刑事訴訟法 第393条
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- 控訴裁判所は、前条の調査をするについて必要があるときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で事実の取調をすることができる。但し、第三百八十二条の二の疎明があつたものについては、刑の量定の不当又は判決に影響を及ぼすべき事実の誤認を証明するために欠くことのできない場合に限り、これを取り調べなければならない。
- 2.控訴裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、第一審判決後の刑の量定に影響を及ぼすべき情状につき取調をすることができる。
- 3.前二項の取調は、合議体の構成員にこれをさせ、又は地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。この場合には、受命裁判官及び受託裁判官は、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。
- 4.第一項又は第二項の規定による取調をしたときは、検察官及び弁護人は、その結果に基いて弁論をすることができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第393条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第393条の条文原文は「控訴裁判所は、前条の調査をするについて必要があるときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で事実の取調をすることができる。但し、第三百八十二条の二…」で始まります。
- 刑事訴訟法第393条は第二章に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第393条の前の条は刑事訴訟法第392条です。
- 刑事訴訟法第393条の次の条は刑事訴訟法第394条です。
- 刑事訴訟法第393条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第393条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第393条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/393
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法393条は、控訴審が必要なとき請求または職権で事実を取り調べられると定める。新証拠の取調べは382条の2の疎明がある場合に限られ、判決後の情状は職権で取り調べられる。
Q · 控訴したら、一審をもう一度ゼロからやり直してもらえるの?
原則できません。控訴審は事後審で新証拠は制限されます
原則としてやり直しはできません。控訴審は一審の記録を基に「判断に誤りがあるか」を審査する事後審です。刑事訴訟法393条により、控訴裁判所は必要なとき請求または職権で事実を取り調べられますが、一審で出せたはずの新証拠は382条の2の疎明(やむを得ない事由)がある場合に限って取調べが義務づけられます。一方、2項により、一審判決後の示談・被害弁償などの情状は職権で取り調べられ、減刑につながりうる抜け道として機能します。
解説
一審で有罪判決を受けた。あなたは「控訴すればもう一度やり直せる」と考える。だが控訴審は、一審をゼロからやり直す場ではない。原則として、一審が作った記録を見て「判断を誤っていないか」を審査する事後審だ。だからこの393条が決定的になる。新しい証拠を控訴審で調べてもらうには、382条の2の疎明、つまり「一審ではやむを得ない事情で出せなかった」ことを示さなければ、裁判所は取り調べる義務を負わない。一方、この条文には逆向きの武器も埋まっている。2項により、裁判所は一審判決後の情状、たとえばあなたが判決後に被害者と示談した、被害弁償をしたといった事情を、職権で取り調べることができる。控訴審で逆転を狙うなら、新証拠の関所と、判決後の情状という抜け道、この二つを同時に見なければならない。
法的な位置づけ
刑事訴訟法393条は控訴審における事実の取調べを定める規定であり、控訴裁判所が控訴趣意の調査に必要な範囲で、請求または職権により事実を取り調べる権限とその限界を規律する。1項但書は382条の2の疎明がある新証拠の取調べを義務的事項として限定し、2項は一審判決後の情状についての職権取調べを認める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.判決宣告の翌日から14日以内に控訴を申し立てる 刑訴法373条の控訴申立期間は判決宣告の日の翌日から14日。この期間を一日でも過ぎると判決が確定し、争う道が閉ざされる。まず控訴申立書を一審裁判所に提出する
- 2.控訴趣意書で記録上の誤りを具体的に特定する 控訴裁判所の定める期間内に控訴趣意書を提出する(刑訴法376条)。記録上のどの証拠で、どこが事実誤認・量刑不当かを具体的に特定する。抽象的な不満では393条の取調べは引き出せない
- 3.新証拠は382条の2の疎明をセットで主張する 後から気づいた有利な事実を控訴審で取り調べてもらうには、382条の2の疎明、つまり「一審でなぜ出せなかったのか、やむを得ない事由」をセットで主張する。証拠だけ後出しすると取調べ義務が生じず弾かれる
- 4.判決後の示談・被害弁償を書面で整えて提出する 判決後に被害者と示談が成立したら、393条2項の情状取調べに乗るよう、示談書・振込記録・嘆願書を書面で整えて提出する。一審で実刑が出た後でも、結審までに間に合えば量刑判断に反映されうる
よくある質問 AI による整理
Q1控訴審の事実の取調べとは何ですか?
控訴裁判所が控訴趣意の調査に必要な範囲で証拠を調べる手続です。刑訴法393条が根拠で、請求または職権により行われ、原則として一審の記録審査が中心です。
Q2控訴審と一審はどう違うのですか?
一審は何でも持ち込める覆審的な法廷、控訴審は一審に誤りがないかを審査する事後審です。控訴審は新たな取調べを原則せず、記録の審査が中心になります。
Q3控訴審で新しい証拠は出せますか?
原則制限されます。一審で出せたはずの証拠は382条の2の疎明(やむを得ない事由)がなければ取調べ義務がなく、門前払いになりやすいです。
Q4控訴審はなぜ一回で結審することが多いのですか?
控訴審が事後審で原則新たな取調べをしないためです。証人尋問もなく書面のやりとりだけで一回で結審することが珍しくありません。
Q5控訴趣意書の提出期限はいつまでですか?
控訴裁判所が定める期間内です(刑訴法376条)。徒過すると控訴棄却の決定を受けます(386条)。控訴申立て自体は判決宣告翌日から14日以内です。
Q6控訴が棄却されるのはどんな場合ですか?
控訴趣意書を期限内に出さない場合(386条)や、控訴の理由がないと判断された場合です。記録上の誤りを具体的に特定できないと棄却に傾きます。
Q7裁判員裁判の判決も控訴審で見直されますか?
見直されます。控訴審は裁判員ではなく職業裁判官3人が、393条の取調べの範囲内で一審の事実認定や量刑を審査します。
Q8判決後の示談は控訴審の量刑に影響しますか?
影響しえます。393条2項により控訴審は一審判決後の情状を職権で取り調べられ、判決後の示談・被害弁償が減刑材料になりえます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1控訴したら、また一から裁判をやり直してもらえるんですか?
原則としてやり直しはありません。日本の控訴審は事後審で、一審の記録を基に「判断に誤りがあるか」を審査します(刑訴法392条、393条)。新証拠の取調べは382条の2の要件を満たす場合に限られます。実務のポイント:控訴審は「一回結審」が圧倒的に多く、証人尋問もなく書面のやりとりだけで終わることが珍しくない。「法廷で大逆転」を期待して臨むと拍子抜けする。勝負は控訴趣意書という一通の書面でほぼ決まっている、ここに全力を注ぐのが実務の常識です
Q2一審の後に被害者と示談したんですが、もう間に合いませんか?
間に合う可能性があります。393条2項は、控訴審が一審判決後の情状を職権で取り調べられると定めており、判決後の示談・被害弁償は減刑材料になりえます。実務のポイント:実刑判決を受けた後でも、控訴審の結審までに示談をまとめれば執行猶予に手が届くケースがある。だから一審で実刑が出ても、弁護人は控訴審に向けて示談交渉を続ける。「判決が出たから終わり」ではない、判決後の数か月が最後の勝負どころになることを知っておく
間違えやすい点 AI による整理
- 「控訴すれば一審をやり直してもらえる」という前提が、そもそも誤っている。控訴審は覆審(やり直し)ではなく事後審(審査)だ。問うべきは「どうやり直すか」ではなく「一審のどこに、記録上どんな誤りがあるか」である。問いの立て方を間違えると、控訴趣意書を書く段階で勝負が終わっている
- 「新しい証拠はいつでも控訴審で出せる」と思われているが、382条の2が壁になる。一審で出せたはずの証拠を温存して控訴審に持ち出すと、やむを得ない事由がないとして門前払いされる。証拠は一審で出し切るのが鉄則だ
- 控訴審にも弁護士をつければ安心、とまでは多くの人が知っている。だが控訴審弁護の本当の難しさは知られていない。膨大な記録を読み込み、一審判決のどこに誤りがあるかを法律論として構成する作業は、一審の弁護とは別種の技術だ。一審を担当した弁護人がそのまま控訴審で強いとは限らない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律内容 | 393条:控訴審の事実の取調べ(権限と限界) | 382条の2:やむを得ない事由による新証拠の主張 392条:控訴審の調査範囲(控訴趣意の範囲) |
| 新証拠の扱い | 原則は裁量、382条の2の疎明があれば取調べ義務 | 一審で取調べを請求できなかった事由を疎明する要件 原則として控訴趣意書に記載された事項を調査 |
| 発動の主体 | 検察官・被告人・弁護人の請求または職権 | 当事者(疎明する側) 控訴裁判所(職権調査を含む) |
| 判決後情状の取扱い | 2項で一審判決後の情状を職権で取調べ可 | 規定なし 規定なし(調査範囲の枠組のみ) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の第二審は第一審の規定を準用する構造で、改良式の覆審に近い運用がされてきた点が、事後審を原則とする日本と対照的
韓国の항소심も記録審査を基調としつつ事実審理を行いうる構造で、新証拠の扱いに一定の制限がある点は日本と類似
ドイツの Berufung(区裁判所判決に対する控訴)は新たな証拠調べを行う覆審的構造で、原則として記録審査にとどまる日本の事後審と性格が異なる
米国の控訴審は record-based で、原則として新証拠を取り調べず法律問題を審査する。事後審という点で日本と方向性が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 一審で実刑判決。控訴の申立期間は判決宣告の翌日から14日(刑訴法373条)、ここを逃すと判決は確定する。そして控訴趣意書には「記録上のどの証拠で、どこが誤りか」を具体的に書く。393条の取調べを引き出せるかどうかは、この一通の書面の精度で決まる。残された時間は二週間だ
- もし、あなたが一審で「言い忘れた有利な事実」に後から気づいたら? それを控訴審で証拠調べしてもらうには、382条の2の疎明、つまり「一審でなぜ出せなかったのか」の説明がセットで要る。「弁護人が出し忘れた」では、やむを得ない事由と認められないことが多い
- 判決後に被害者と示談が成立した。これは一審には存在しなかった事情だ。393条2項により、控訴審が職権で取り調べ、減刑につながりうる
- あなたの家族が控訴審の法廷に立つ。行ってみると証人尋問もなく、書面のやりとりだけで一回で結審した。「これで終わり?」と驚く。控訴審が事後審で、原則として新たな取調べをしないからこそ起きる光景だ
取るべき行動
被害を受けた側:(控訴する側の場合)1. 判決宣告の翌日から14日以内に控訴を申し立てる(刑訴法373条)、この期間を逃すと判決確定2. 控訴趣意書に「記録上のどの証拠で、どこが事実誤認・量刑不当か」を具体的に特定する、抽象的な不満では393条の取調べは引き出せない3. 新証拠があれば382条の2の疎明(一審で出せなかったやむを得ない事由)を必ずセットで主張4. 判決後の示談・被害弁償は2項の情状取調べに乗るよう、示談書・振込記録を書面で整えて提出
訴えられた側:(相手や検察が控訴した側の場合)1. 検察が控訴したら、答弁書で控訴趣意に反論し、一審判決の正当性を記録に基づいて主張2. 検察が新証拠の取調べを求めても、382条の2の要件を満たさなければ取り調べる義務はないと反論できる3. あなたが一審で無罪・軽い刑を得たなら、それを覆すには高いハードルがある事後審の構造を味方につける4. 書面提出期限と期日を弁護人と管理、控訴審は一回結審が多く、準備の遅れが致命傷になる
時効(請求できる期限):控訴の申立ては判決宣告の日の翌日から14日以内(刑訴法373条)。控訴趣意書は控訴裁判所の定める期間内に提出(刑訴法376条)、徒過すれば控訴棄却の決定(刑訴法386条)。393条の取調べ自体に固有の時効はないが、控訴審は一回結審が原則で、主張・立証の機会は極めて限られる
学説
通説(事後審説):現行刑訴法の控訴審は事後審であり、393条の事実の取調べは控訴趣意の調査に必要な範囲に限られ、新証拠の取調べは382条の2の要件を満たす場合に絞られるとする。一審中心主義を支える理論的基礎をなす。
改正沿革 AI による整理
- 昭和28年(1953年)改正 控訴審の事後審的性格を強化する改正の一環。382条の2の新設と連動して393条1項但書を設け、一審で取り調べ可能だった新証拠の取調べを、やむを得ない事由がある場合に限定した(改正年・経緯の詳細は最新の改正状況をご確認ください)
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