刑事訴訟法 第217条
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三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪の現行犯については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、第二百十三条から前条までの規定を適用する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第217条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第217条の条文原文は「三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪の現行犯…」で始まります。
- 刑事訴訟法第217条は第一章 捜査に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第217条の前の条は刑事訴訟法第216条です。
- 刑事訴訟法第217条の次の条は刑事訴訟法第218条です。
- 刑事訴訟法第217条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第217条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第217条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/217
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法217条は、30万円以下の罰金・拘留・科料の軽微犯罪の現行犯について、犯人の住居・氏名が不明か逃亡のおそれがある場合に限り現行犯逮捕を認める。
Q · 軽い罪の現行犯でも、市民や警察官はその場で取り押さえていいの?
軽微犯罪は住居・氏名不明か逃亡のおそれがある場合のみ逮捕できる
刑事訴訟法217条により、30万円以下の罰金・拘留・科料に当たる軽微な罪の現行犯は、犯人の住居もしくは氏名が明らかでない場合、または逃亡のおそれがある場合に限り、現行犯逮捕(213条以下)ができます。相手がその場で身分証を示して氏名・住所を明かし、逃げる素振りもなければ要件を欠き、市民も警察官も取り押さえることはできません。なお刑法・暴力行為等処罰法・経済関係罰則整備法以外の特別法違反は、当分の間2万円が基準となります。
解説
終電間際の駅前で立ちションをした酔客を見つけた人が「現行犯だ」と腕をつかむ。実はこれ、状況によっては違法な取り押さえになる。現行犯人は何人でも令状なしに逮捕できる、それが日本の原則だ(刑訴213条)。ところが本条は、罰金30万円以下、拘留、科料という軽い罪に限って、その強力な権限にブレーキをかける。発動条件は二つだけ。犯人の住居も名前も分からない場合か、逃げるおそれがある場合、このどちらかに当てはまらなければ、たとえ目の前で軽い違反をしていても、市民も警察官もその場で身柄を取り押さえることはできない。相手がその場で身分証を見せ、逃げる素振りもないなら、もう逮捕の根拠は消えている。さらに刑法・暴力行為等処罰法・経済関係罰則整備法以外の特別法違反は、「当分の間」という名目で基準が2万円まで下がる。あなたが軽微な違反で腕をつかまれたとき、この一条を知っているかどうかで、その拘束が適法か違法かの判断が分かれる。
法的な位置づけ
刑事訴訟法217条は軽微事件の現行犯逮捕を制限する規定であり、30万円以下の罰金・拘留・科料に当たる罪の現行犯については、犯人の住居もしくは氏名が明らかでない場合、または逃亡のおそれがある場合に限り、第213条以下の現行犯逮捕規定を適用すると定める。刑法等以外の特別法違反は当分の間2万円が基準となる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.取り押さえられたら、まず身元を明かし逃亡意思がないことを示す 軽微な罪で取り押さえられたら、抵抗せず冷静に身分証を提示し、氏名・住所を告げ、逃げる意思がないことを言葉で明確に伝える。この事実が後で217条の要件欠如を主張する土台になる
- 2.拘束の状況を記録し、証拠を確保する 取り押さえの時刻・場所・相手・やり取りを記憶し、可能なら周囲の目撃者と防犯カメラの存在を確認する。記憶が鮮明なうちにメモを残す
- 3.警察署では黙秘権を行使し当番弁護士を呼ぶ 連行された場合は黙秘権を行使し、当番弁護士を要請する。住居・氏名を明かしており逃亡の意思がなかった事実を、弁護人へ最優先で伝える
- 4.逮捕の違法性を争い、国家賠償・証拠排除を検討する 逮捕が217条の要件を欠くと判断できれば、勾留前の早い段階で弁護人と国家賠償(私人による場合は不法行為に基づく損害賠償)や、後続証拠の排除を検討する
よくある質問 AI による整理
Q1現行犯逮捕とは何ですか?
現に罪を行い、または行い終わった者を、令状なしに逮捕できる制度です(刑訴212条・213条)。明白性が高いため令状主義の例外として認められます。
Q2軽犯罪法違反で逮捕されることはありますか?
あります。ただし拘留・科料の軽い罪なので、刑訴217条により犯人の住居・氏名が不明か、逃亡のおそれがある場合に限られます。
Q3違法な現行犯逮捕をされたらどうすればいい?
黙秘権を行使し当番弁護士を呼び、身元を明かし逃亡の意思がなかった事実を弁護人に伝えます。国家賠償や違法収集証拠の排除を検討できます。
Q4拘留と科料の違いは何ですか?
拘留は1日以上30日未満の身体拘束、科料は1,000円以上1万円未満の財産刑です。いずれも軽微な刑罰で217条の対象になります。
Q5現行犯逮捕に令状は必要ですか?
不要です。憲法33条が現行犯を令状主義の例外と定めています。ただし軽微犯罪は刑訴217条で追加要件が課されます。
Q6逃亡のおそれとはどう判断されますか?
住居の有無、身元確認の可否、その場の言動などから客観的に判断されます。身分証を示し落ち着いていれば、おそれは否定されやすくなります。
Q7私人が現行犯を捕まえた後はどうすればいい?
直ちに検察官または司法警察職員に引き渡す必要があります(刑訴214条)。長く自分で拘束し続けると逮捕監禁罪のリスクがあります。
Q8軽微犯罪の現行犯逮捕の要件は?
罪が30万円以下の罰金・拘留・科料に当たり、かつ犯人の住居・氏名が不明、または逃亡のおそれがあることです(刑訴217条)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1目の前で軽い違反をしてる人を、市民が捕まえちゃダメなんですか?
罰金30万円以下・拘留・科料の軽い罪では、本条により、相手の住居も氏名も分からないか、逃げるおそれがある場合に限って取り押さえができます。相手が身元を明かして逃げてもいないなら、原則として取り押さえはできません。実務のポイント:実務では、迷ったら捕まえずに110番通報して警察官の到着を待つのが鉄則です。要件を欠く取り押さえは、善意でやっても逮捕監禁罪や損害賠償のリスクを負う。捕まえる正義感より、通報して記録を残す冷静さの方が、結果的にあなたを守る
Q2万引き犯を店員が取り押さえるのも、この制限にかかりますか?
窃盗(刑法235条)は10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金で、罰金の上限が30万円を超えるため本条の軽微犯罪には当たりません。つまり万引きの現行犯逮捕は本条の制限を受けず、原則どおり取り押さえ可能です。本条が問題になるのは軽犯罪法違反など拘留・科料の罪の方です。実務のポイント:同じ「その場で捕まえる」でも、罪名と法定刑次第で適法・違法の線が動く。取り押さえる前に、それが罰金30万円超の罪かどうかを意識できる人は、現場でほとんどいない
Q3刑法以外の罪だと基準が2万円って、どういうことですか?
本条は、刑法・暴力行為等処罰法・経済関係罰則整備法の罪は30万円を基準にしますが、それ以外の特別法違反は「当分の間、2万円」という低い基準を当てはめます。つまり特別法違反では、より幅広い罪が現行犯逮捕の制限対象になるということです(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:「当分の間」という暫定文言が長年そのまま生き続けているのは日本の立法によくある形です。条文を読むときは、この種の経過規定が今も効力を持つかを必ず確認する癖をつけると、古い解説書の落とし穴を避けられる
間違えやすい点 AI による整理
- 「現行犯ならどんな罪でも誰でも捕まえられる」と信じている人が大半だが、罰金30万円以下・拘留・科料の軽い罪は本条で例外扱いされ、住居も氏名も不明か、逃亡のおそれがある場合に限られる。軽い罪ほど、身柄拘束のハードルは逆に高い
- 現行犯逮捕の制限を知っている人でも、その制限を破った逮捕の「深刻さ」までは知らない。要件を欠く逮捕は単なる手続ミスでは済まず、逮捕した私人や警察官が逮捕監禁罪(刑法220条)や国家賠償の対象になり、その逮捕に続いて得られた証拠も排除されうる。一つのつまずきが事件全体を崩す
- 「軽い罪だから取り押さえても問題ない」という発想そのものが、本条の下では順序が逆だ。法律から見れば、罪が軽いからこそ即時の実力行使は厳しく絞られる。あなたの『軽いから大丈夫』という感覚と、法の『軽いからこそ慎重に』という設計の落差が、善意で取り押さえた人を加害者に変える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 逮捕の根拠 | 刑訴217条:軽微犯罪の現行犯逮捕(追加要件あり) | 刑訴213条:現行犯逮捕(何人でも令状不要) 刑訴199条:通常逮捕(裁判官の令状が必要) |
| 令状の要否 | 令状不要だが住居・氏名不明か逃亡のおそれが必要 | 令状不要 令状必要 |
| 対象 | 30万円以下の罰金・拘留・科料の軽微犯罪 | 全ての現行犯(罪の軽重を問わない) 相当な理由のある被疑者全般 |
| 逮捕主体 | 私人・警察官いずれも追加要件の制限を受ける | 私人・警察官いずれも可 司法警察職員・検察官等のみ |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は現行犯を何人でも逕行逮捕できると定めるが、罪の軽重による加重要件は置かず、本条のような軽微犯罪専用のブレーキを持たない点で日本と異なる
韓国は多額以下の罰金・拘留・科料に当たる罪の現行犯逮捕を、住居が不明な場合に限るとしており、本条と非常に近い構造の規定を持つ
ドイツは現行犯について、逃亡のおそれがあるか身元を直ちに確認できない場合に何人でも一時逮捕できるとし、本条の要件構造と類似する
米国のコモンローでは、軽罪(misdemeanor)の私人逮捕は『面前での平穏侵害(breach of peace)』に限られるなど、軽微犯罪の私人逮捕を絞る発想は共通する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 公園で深夜に騒いでいたところを軽犯罪法違反(拘留・科料)だとして取り押さえられた。だがあなたはその場で免許証を見せ、住所も名前も明かし、逃げる素振りもなかった。この場合、住居も氏名も明らかで逃亡のおそれもないのだから、本条の要件を満たさず逮捕は違法になりうる。後で国家賠償や違法収集証拠の排除を主張する足場になる
- もし、商業施設の警備員にあなたが軽微な迷惑行為で腕をつかまれたとき、あなたが学生証を提示して身元を明かし、その場を離れようとしていなかったら? 警備員は私人であり、私人の現行犯逮捕も本条の制限を受ける。要件を欠く取り押さえは、逆に警備員側が逮捕監禁罪や損害賠償を問われる側に回る
- 目の前で他人が「軽犯罪の現行犯だ」と第三者に羽交い締めにされている。あなたは止めるべきか迷う。罪が軽く、相手が身元を明かし逃げてもいないなら、その取り押さえは法的根拠を失っている可能性が高い
- 軽微な特別法違反で取り押さえられ、警察署に連れて行かれた。あなたに残された時間は短い。逮捕の適法性を争うなら、当番弁護士を呼び、住居・氏名を明かしていた事実と逃亡の意思がなかった事実を、記憶が鮮明なうちに弁護人へ伝えなければならない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 軽微な罪で取り押さえられたら、まず冷静に身分証を提示し氏名・住所を告げ、逃げる意思がないことを言葉で明確に伝える2. 取り押さえの時刻・場所・相手・やり取りを記憶し、可能なら周囲の目撃者と防犯カメラの存在を確認3. 警察署へ連行されたら黙秘権を行使し、当番弁護士を呼ぶ。住居・氏名を明かし逃亡の意思がなかった事実を弁護人へ最優先で伝える4. 逮捕が本条の要件を欠くと判断できれば、国家賠償(私人なら不法行為に基づく損害賠償)と、後続証拠の排除を弁護人と検討する
訴えられた側:1. あなたが取り押さえる側(店員・警備員・一般市民)なら、まず相手の罪が罰金30万円以下・拘留・科料の軽微犯罪に当たるかを意識する2. 軽微犯罪なら、相手が氏名・住居を明かしているか、逃亡のおそれがあるかを確認、どちらも欠けるなら身柄拘束はせず、警察への通報と証拠保全にとどめる3. 要件を欠く取り押さえは逮捕監禁罪(刑法220条)や損害賠償のリスクがあると認識する4. 迷う場面では実力行使を避け、110番通報で警察官の到着を待つのが最も安全な選択肢
時効(請求できる期限):現行犯逮捕ができるのは、現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった瞬間に限られる(刑訴212条1項)。準現行犯(同条2項)でも「罪を行い終わってから間がないと明らかに認められる」時間枠を超えれば令状逮捕に切り替わる。逮捕後は48時間以内に検察官へ送致されるため(刑訴203条)、逮捕の違法性を争うなら勾留前の早い段階で弁護人に動いてもらうことが鍵
学説
通説:軽微犯罪における現行犯逮捕の加重要件は、人身の自由の保障と即時制圧の必要との均衡を図るものであり、罪が軽いほど即時拘束の公益的必要が小さくなる一方、不当な実力行使による不利益が相対的に重くなることを根拠とする。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の制定に伴い、軽微事件の現行犯逮捕に住居・氏名の不明または逃亡のおそれという加重要件を課す本条が置かれた。
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