刑事訴訟法 第268条
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- 裁判所は、第二百六十六条第二号の規定により事件がその裁判所の審判に付されたときは、その事件について公訴の維持にあたる者を弁護士の中から指定しなければならない。
- 2.前項の指定を受けた弁護士は、事件について公訴を維持するため、裁判の確定に至るまで検察官の職務を行う。但し、検察事務官及び司法警察職員に対する捜査の指揮は、検察官に嘱託してこれをしなければならない。
- 3.前項の規定により検察官の職務を行う弁護士は、これを法令により公務に従事する職員とみなす。
- 4.裁判所は、第一項の指定を受けた弁護士がその職務を行うに適さないと認めるときその他特別の事情があるときは、何時でもその指定を取り消すことができる。
- 5.第一項の指定を受けた弁護士には、政令で定める額の手当を給する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第268条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第268条の条文原文は「裁判所は、第二百六十六条第二号の規定により事件がその裁判所の審判に付されたときは、その事件について公訴の維持にあたる者を弁護士の中から指定しなければならない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第268条は第二章 公訴に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第268条の前の条は刑事訴訟法第267条の2です。
- 刑事訴訟法第268条の次の条は刑事訴訟法第269条です。
- 刑事訴訟法第268条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第268条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第268条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/268
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法268条は、付審判決定が出た事件について裁判所が弁護士を公訴維持者に指定すると定める。この指定弁護士は裁判の確定まで検察官の職務を行う。
Q · 検察が警察官を不起訴にしたら、もう誰も起訴できないの?
裁判所が弁護士を検察官役に指定して起訴を維持させる制度があります
刑事訴訟法268条により、付審判決定(266条2号)が出た事件では、裁判所が弁護士の中から公訴維持にあたる者を指定しなければなりません。指定された弁護士は裁判の確定まで「みなし検察官」として起訴と立証を担います(268条2項)。対象は公務員職権濫用罪・特別公務員暴行陵虐罪など公権力の犯罪に限られますが、検察が身内をかばって動かない構造を外から突き崩す唯一の正規ルートです。ただし指定弁護士は自ら捜査を指揮できず、検察官に嘱託する必要があります(同項但書)。
解説
警察官に殴られた、留置場で家族が不審な死を遂げた、検察官に違法な取調べを受けた。あなたが告訴しても、検察が「不起訴」の紙一枚で幕を引くことがある。日本は起訴するかどうかを検察官が独占する建前(起訴独占主義)だから、ここで諦める人がほとんどだ。だが刑事訴訟法268条は、その壁に開いた抜け道の出口にあたる。被害者が裁判所に付審判を請求し(262条)、裁判所がそれを認めて事件を自らの審判に付すと(266条2号)、裁判所は検察官の代わりに公訴を維持する弁護士を指名しなければならない。指名された弁護士は、判決が確定するまで「みなし検察官」として起訴と立証を担う。対象は公務員職権濫用罪など公権力の犯罪に限られるが、検察が身内をかばって動かないとき、国家の訴追独占を外から突き崩す唯一の正規ルートが、この条文の先に伸びている。
法的な位置づけ
刑事訴訟法268条は付審判事件における指定弁護士の制度を定める規定であり、付審判決定により裁判所の審判に付された公務員職権濫用罪等の事件について、裁判所が弁護士の中から公訴維持にあたる者を指定し、その弁護士が裁判の確定まで検察官の職務を行う旨を規定する。起訴独占主義に対する数少ない例外として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.被害が付審判の対象犯罪か確認する 被害が公務員職権濫用罪(刑法193条)、特別公務員暴行陵虐罪(同195条)など公権力の濫用に当たるかを確認する。痴漢・詐欺など一般犯罪は対象外で、対象外なら検察審査会ルートを検討する
- 2.告訴・告発を行い検察の処分を待つ 捜査機関に告訴または告発を行い、検察官の起訴・不起訴の判断を待つ。不起訴になった場合は、付審判請求の起算点となる不起訴処分通知の到達日を必ず記録する
- 3.不起訴通知から7日以内に付審判を請求する 検察官の不起訴処分通知を受けた日から7日以内に、不起訴処分をした検察官に付審判請求書を差し出す(刑訴262条)。期限を一日でも過ぎると請求できないため、通知到達の当日から弁護士に依頼する
- 4.付審判決定後、指定弁護士に証拠を提供する 裁判所が事件を審判に付し(266条2号)指定弁護士が選任されたら、保有する証拠を漏れなく提供する。指定弁護士は自ら捜査を指揮できないため、被害者側の証拠提供が有罪立証の生命線になる
よくある質問 AI による整理
Q1付審判とは何ですか?
検察が公務員の職権濫用などを不起訴にしたとき、被害者が裁判所に請求し、裁判所が事件を直接審判に付す制度です(刑訴262条以下)。起訴独占主義の例外です。
Q2指定弁護士とは何ですか?
付審判決定が出た事件で、裁判所が検察官に代わって公訴を維持させるために弁護士の中から指定する者です(刑訴268条)。裁判確定まで検察官の職務を行います。
Q3付審判の対象になる犯罪は何ですか?
公務員職権濫用罪(刑法193条)、特別公務員職権濫用罪、特別公務員暴行陵虐罪(同195条)など、公権力の濫用に関する罪に限定されます。痴漢や詐欺は対象外です。
Q4付審判の請求期限はいつまでですか?
検察官の不起訴処分等の通知を受けた日から7日以内です(刑訴262条2項)。週末を挟むと実働は数日しかなく、過ぎると二度と請求できません。
Q5指定弁護士は自分で捜査できますか?
できません。検察事務官・司法警察職員への捜査の指揮は検察官に嘱託する必要があります(刑訴268条2項但書)。捜査力に構造的な弱さがあります。
Q6付審判が認められる確率はどのくらいですか?
認容される件数は年にごくわずかで確率は低いとされます。ただし請求の事実と証拠は記録に残り、後の国家賠償請求の有力な材料になります。
Q7付審判請求が棄却されたら費用はどうなりますか?
請求が棄却または取り下げられた場合、裁判所は請求者に手続費用の負担を命じることができます(刑訴269条)。証拠の見込みを事前に弁護士と検討すべきです。
Q8みなし検察官とは何ですか?
指定弁護士は公訴維持のため検察官の職務を行い、法令により公務に従事する職員とみなされます(刑訴268条2項・3項)。出世や人事と無縁で立証に集中します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1警察官に暴行されたのに、検察が不起訴にしました。もう泣き寝入りするしかないんですか?
いいえ、付審判という道があります。公務員職権濫用罪や特別公務員暴行陵虐罪(刑法193条以下)なら、不起訴通知から7日以内に裁判所へ請求でき(刑訴262条)、認められれば指定弁護士が起訴を引き継ぎます(268条)。実務のポイント:付審判が認容される件数は年に数えるほどで確率は低いが、請求の事実と証拠は記録に残り、後の国家賠償請求で強い材料になる。勝てなくても撃つ価値がある一手だ
Q2検察審査会と付審判、どっちを使えばいいんですか?
相手と犯罪の種類で決まります。警察官・検察官などの職権濫用系は付審判(刑訴262条以下)、それ以外の一般犯罪は検察審査会です。実務のポイント:付審判は裁判所が直接「裁判にかける」と決められる強力な制度だが対象が極めて狭い。一方、検察審査会は2009年改正で起訴議決に拘束力が付き、全犯罪を対象に二度目の議決で強制起訴できるようになった。自分の事件がどちらの土俵かを最初に見極めるのが弁護士の腕の見せどころ
間違えやすい点 AI による整理
- 「検察が不起訴にしたら、もう打つ手はない」と思い込んでいる人が大半だが、公務員の職権濫用については付審判という別ルートがあり、裁判所が検察の判断を飛び越えて事件を裁判にかけられる
- 付審判制度の存在は知っていても、その対象が公務員職権濫用罪・特別公務員暴行陵虐罪など公権力の犯罪に厳しく限定されていることまでは知らない人が多い。痴漢も詐欺も対象外、この狭さを誤解すると請求自体が空振りに終わる
- 「検察官の代わりが弁護士なら、どうせ手加減するのでは」と疑う人がいるが、視点が逆だ。指定弁護士は出世も人事評価も組織の論理も背負わない。純粋に有罪立証だけを追える立場ゆえ、本物の検察官より容赦がないことすらある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続上の役割 | 268条:公訴維持にあたる指定弁護士の選任(みなし検察官) | 262条:被害者による付審判請求(手続の起動) 266条:審判に付すか否かの裁判所決定(分岐点) |
| 主体 | 裁判所が指定し、指定された弁護士が職務を行う | 告訴・告発をした被害者等 裁判所(合議体) |
| タイミング | 266条2号の付審判決定の後 | 不起訴通知から7日以内 付審判請求を受けた後 |
| 費用リスク | 指定弁護士には政令所定の手当が支給される(5項) | 棄却時は請求者が費用負担しうる(269条) — |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の交付審判は日本の付審判を強く参照した制度。2023年改正で『准許提起自訴』へと再構成され、裁判所が許可すると告訴人が自訴を提起できる形になった
韓国の재정신청も同系統。2007年改正で対象犯罪が拡大し、現在は裁判所が認容すると検察官に公訴提起を命じる方式(日本の指定弁護士方式とは公訴維持の主体が異なる)
ドイツの起訴強制手続が母法。被害者が高等裁判所に申し立て、認容されると検察官に公訴提起が命じられる。公訴維持はあくまで検察官が担う点で日本と構造が異なる
米国では私人訴追は原則廃止されているが、刑事侮辱については裁判所が私選弁護士を訴追者に選任できる。Young 判決は、利害関係のない弁護士を選任すべきとした点で『みなし検察官』の中立性論点に通じる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 留置場に勾留されていた家族が、翌朝「自殺」として遺体で戻ってきた。司法解剖の所見に疑問が残るのに、検察は不起訴。担当警察官の特別公務員暴行陵虐罪(刑法195条)を問いたいなら、付審判請求から指定弁護士による公訴維持へつなぐこの268条が、最後の正規ルートになる
- あなたが取調べを担当した刑事で、被疑者への暴言・長時間拘束が職権濫用だと告訴された。検察は身内意識で不起訴にしてくれるかもしれない。だが付審判が認められた瞬間、相手は組織の論理と無縁の指定弁護士、出世も人事も関係なく有罪立証だけに全力を注ぐ「みなし検察官」だ。本物の検察官より手強いこともある
- 検察からの不起訴通知が今日届いた。付審判請求の期限は通知から7日。週末を挟めば実働は数日。動くなら今夜から弁護士を探せ
- もしデモの現場で警察官に押し倒され全治二週間の怪我を負ったら、どうなる? 被害届を出しても検察が動かないとき、公務員職権濫用罪に当たるなら、検察審査会ではなく付審判という別の扉が用意されている
取るべき行動
被害を受けた側:1. 被害が公務員職権濫用罪・特別公務員暴行陵虐罪など(刑法193条から196条)に当たるか確認、付審判の対象は限定されている2. 告訴し、検察が不起訴にしたら通知から7日以内に裁判所へ付審判を請求(刑訴262条) 3. 付審判決定が出れば指定弁護士が公訴を維持するので、保有する証拠を漏れなく提供して立証を支える4. 請求が棄却されると費用負担を命じられうる(刑訴269条)ため、証拠の見込みを弁護士と事前に検討する
訴えられた側:1. 付審判決定が出た時点で、検察の身内意識による手心は期待できないと割り切り、独立した刑事弁護人を直ちに選任2. 指定弁護士は出世や組織と無縁で有罪立証に集中するため、本物の検察官以上に厳しいと心得る3. 職権濫用の構成要件(職務行為性、濫用、相手方に義務なきことの強制など)を一つずつ崩す防御を組む4. 判決確定までみなし検察官が職務を続けるため、長期戦の体制を整える
時効(請求できる期限):付審判の請求は、検察官の不起訴処分等の通知を受けた日から7日以内(刑事訴訟法262条2項)。この起算点と期間を一日でも過ぎると請求できない。指定弁護士の職務は事件の裁判が確定するまで継続する(本条2項)
学説
通説:付審判(準起訴手続)は起訴独占主義(刑訴247条)の例外であり、被告となりうる者が公務員自身であるために検察の自己統制が働きにくい領域を、裁判所による直接の訴追起動と指定弁護士による公訴維持で補うものと理解される。対象犯罪の限定と請求者の費用負担リスクにより、例外が無制限に拡大しないよう均衡が図られている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 改正:現行刑事訴訟法の制定に伴い、公務員の職権濫用等に対する司法的統制として準起訴手続(付審判)が整備され、公訴維持を担う指定弁護士の規定が置かれた。
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