刑事訴訟法 第300条
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第三百二十一条第一項第二号後段の規定により証拠とすることができる書面については、検察官は、必ずその取調を請求しなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第300条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第300条の条文原文は「第三百二十一条第一項第二号後段の規定により証拠とすることができる書面については、検察官は、必ずその取調を請求しなければならない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第300条は第一節 公判準備及び公判手続に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第300条の前の条は刑事訴訟法第299条の7です。
- 刑事訴訟法第300条の次の条は刑事訴訟法第301条です。
- 刑事訴訟法第300条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第300条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第300条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/300
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法300条は、321条1項2号後段の検面調書について検察官に取調べ請求を義務づける。証拠提出を裁量とする原則の唯一の例外である。
Q · 検事の前でサインした調書って、あとで法廷で否定しても証拠に使われるの?
使われる。300条で検察官に提出義務がある
刑事訴訟法300条は、321条1項2号後段の検面調書、つまり証人が捜査段階で検察官に話した内容が法廷証言と食い違い、前の供述に相対的特信情況が認められる調書について、検察官に取調べ請求の義務を課します。証拠提出を検察官の裁量に委ねる原則の例外で、この調書だけは必ず法廷に出されます。前の供述に特信情況が認められれば、裁判官が法廷証言ではなく調書のほうを信用することもあります。
解説
刑事裁判では、どの証拠を法廷に出すかは原則として検察官の判断に委ねられている。出したくない証拠を伏せることも、戦術として許される。ところが刑訴300条は、その原則にたった一つの例外を打ち込んだ。321条1項2号後段の書面、つまり証人が捜査段階で検察官に話した内容と、法廷での証言が食い違った場合に、前の供述のほうが信用できる事情があるとして証拠にできる調書、いわゆる検面調書である。これについて、検察官は必ずその取調べを請求しなければならない。なぜここだけ強制なのか。この種の調書は、生身の法廷証言を上書きするほどの破壊力を持つからだ。あなたが捜査段階で検事の前でサインした一枚は、後で法廷でいくら否定しても、証拠の世界から消えない。それどころか、あなた自身の法廷証言を打ち負かす武器に変わりうる。サインを求められたあの瞬間が、実は裁判の分水嶺だった。
法的な位置づけ
刑事訴訟法300条は検察官の取調べ請求義務を定める規定であり、321条1項2号後段により証拠能力が認められる検面調書について、提出するか否かの裁量を排し、必ず取調べを請求すべき旨を規定する。証拠調べ請求を原則として裁量とする298条に対する特則として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.請求された検面調書が300条の対象か特定する 検察官が証拠請求した書面が321条1項2号後段の検面調書か、それとも1号書面や322条の被告人供述調書かを切り分ける。300条の義務の対象は2号後段に限られるため、まず根拠条文を確認する
- 2.相反性と相対的特信情況を崩す材料を集める 供述が公判証言と相反するか、前の供述のほうが信用できる外部的事情があるかを検討する。聴取時間、誘導や利益誘導の有無、長時間拘束、供述の変遷を洗い出す
- 3.取調べの録音録画記録の開示を求める 対象事件であれば録音録画記録の開示を請求し、調書と実際の供述のニュアンスのズレを確認する。特信情況や任意性を争う核心的な証拠になる
- 4.証拠決定が下りる前に意見・異議を述べる 検面調書の取調べ請求に対する意見・異議(刑訴309条)は、裁判所が証拠の採否を決定する前に述べる。証拠決定後は証拠能力を争う機会を実質的に失うため、入口で塞ぐ
よくある質問 AI による整理
Q1検面調書とは何ですか?
証人や参考人が捜査段階で検察官の面前で行った供述を録取した調書です。法廷証言と食い違い相対的特信情況が認められると、321条1項2号後段で証拠になります。
Q2刑事訴訟法300条はなぜ取調べ請求を義務にしているのですか?
検面調書は法廷の生の証言を覆すほど証明力が強く、検察官が恣意的に出し入れすることを封じて、必ず裁判所の判断に乗せ実体的真実を確保するためです。
Q3相対的特信情況とは何ですか?
捜査段階の供述のほうが、法廷証言よりも信用できる外部的事情をいいます。聴取の状況や時間の近接性などから判断され、検面調書の証拠能力の要件です。
Q4321条1項2号後段の書面とはどれですか?
検察官面前調書のうち、供述者が公判で前の供述と相反するか実質的に異なる供述をし、かつ前の供述に相対的特信情況が認められるものを指します。
Q5検面調書はどの裁判でも証拠になりますか?
証拠能力の要件を満たす場合に限ります。相反性と相対的特信情況の両方が必要で、要件を欠けば証拠とできません。300条の義務もこの要件を満たす書面が対象です。
Q6298条の証拠調べ請求と300条はどう違いますか?
298条は当事者の証拠調べ請求を原則として裁量とする一般則です。300条はその例外で、特定の検面調書に限り検察官に請求を義務づけます。
Q7取調べの可視化(録音録画)は検面調書とどう関係しますか?
対象事件では取調べが録音録画され、その記録は特信情況や供述の任意性を争う材料になります。調書と実際の供述のズレを突く手がかりになります。
Q8検面調書に同意したら証拠になりますか?
当事者が326条で同意すれば、特信情況を問わず書面が証拠になります。300条の義務は同意がない場合に問題となる場面です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1検事に呼ばれて調書にサインしたら、もう取り消せないんですか?
「取り消す」という制度は存在しない。一度作成された検面調書は証拠の世界に残り、321条1項2号後段の要件を満たせば、あなたが法廷で違うことを言っても証拠として使われうる。しかも300条で検察官には提出義務がある。実務のポイント:弁護士が真っ先に確認するのは調書の中身より「取調べの状況」だ。誘導や長時間の聴取があれば、相対的特信情況を争って証拠能力そのものを潰せる。サインした事実より、どう取られたかが勝負どころになる
Q2法廷で正直に証言を変えれば、前の調書はなかったことになりますよね?
逆である。法廷での証言が前の供述と食い違った瞬間こそ、321条1項2号後段が起動し、前の調書が証拠の土俵に上がる。前の供述に特信情況が認められれば、裁判官は法廷証言ではなく調書を信じることがある。実務のポイント:「法廷で本当のことを言えば取り返せる」という思い込みが一番危ない。だからこそ捜査段階の供述を慎重に扱う。取調べの録音録画(可視化)の対象事件なら、必ずその記録の存在を弁護人に確認させること
間違えやすい点 AI による整理
- 「気が変わったら調書を取り消せばいい」と考えて相談に来る人が多いが、立てた問いそのものが誤っている。検面調書に撤回という制度は存在しない。一度作成されれば証拠の世界に残り続け、321条1項2号後段の要件を満たせば、あなたが法廷で違うことを言っても証拠として使われる
- 検面調書が証拠になりうることは知っていても、その深刻さを取り違えている人がいる。これは単なる参考資料ではない。法廷での生の証言と食い違ったとき、裁判官が法廷証言を捨てて調書のほうを採ることがある。つまり捜査段階の一枚が、公開の法廷でのあなたの言葉に勝つ
- あなたから見れば「法廷で本当のことを言えば取り返せる」と映る。だが法律から見れば、相反する二つの供述があり前のほうに信用できる事情があるなら前を採る、というだけだ。この落差を知らずに法廷で証言を変えると、変えた事実そのものが調書を呼び込む引き金になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 証拠調べ請求の性質 | 刑訴300条:特定の検面調書は請求が義務 | 刑訴298条:請求は原則として当事者の裁量 刑訴326条:同意があれば書面を証拠化できる |
| 対象となる書面 | 321条1項2号後段の検面調書 | あらゆる証拠(書面・物・証人) 本来証拠能力のない伝聞書面(同意で補完) |
| 証拠能力の根拠 | 321条の伝聞例外+相対的特信情況 | 320条の伝聞排除原則の枠内 当事者の同意(326条) |
| 争い方 | 相反性・特信情況を証拠決定前に崩す | 証拠の必要性・関連性を争う 同意を撤回せず争うのは困難 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も偵査中に検察官の面前でなされた陳述に証拠能力を認める。日本のような「必ず請求せよ」という提出義務の明文はなく、証拠能力の要件設計が中心となる点で異なる。
韓国も検察官作成の調書の証拠能力を規律する。近年の改正で被告人側の証拠能力要件が厳格化され、調書中心の運用から公判中心主義への移行が進んでいる。
ドイツは公判での供述に矛盾がある場合に、以前の供述を記録した調書を朗読して用いることを認める。職権主義の下、裁判所が主導する点で当事者主義の日本と構造が異なる。
米国は宣誓下でなされた以前の不一致供述を非伝聞として扱う。陪審制と交互尋問を前提とし、検察官の提出義務という形ではなく証拠の定義レベルで処理する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 共犯とされた相手が捜査段階で検事に「主導したのはあいつだ」と供述し、法廷では「実は自分が言い出した」と覆した。あなたが被告人なら、その不利な検面調書は300条で必ず法廷に提出される。前の供述に特信情況が認められれば、覆した法廷証言ではなく、捜査段階の調書のほうが信じられる。法廷で味方になったはずの証言が、紙一枚で無力化される
- もし、あなたが参考人として検事の前で調書にサインし、後で「あのニュアンスは違った」と気付いたとしたら? その調書は他人の刑事裁判で、本人の法廷証言を上回る証拠として復活しうる。撤回という手続は存在しない。サインしたその瞬間が分水嶺だった
- 弁護人として不利な検面調書の提出を受ける。残された勝負どころは「相対的特信情況」を崩せるか一点。取調べの録音録画、聴取時間、誘導の有無を証拠決定の前に出しきる。決定が下りた後では遅い
取るべき行動
被害を受けた側:1. 検察官の前で話す前に、自分の記憶を時系列で、できれば日付入りでメモに残す2. 調書を読み上げられたら一行ずつ確認し、ニュアンスが違う箇所は遠慮なく訂正を求め、署名押印は訂正後にする3. 「だいたい合っている」で押さない、その一枚が後で他人の裁判で証拠になりうる4. 取調べが録音録画されているか確認し、されていなければ聴取直後に自分でメモを残す
訴えられた側:1. 不利な検面調書が証拠請求されたら、まず321条1項2号後段の要件、相反性と相対的特信情況を一つずつ崩せないか弁護人と検討する2. 取調べの状況、誘導、利益誘導、長時間拘束など、特信情況を否定する事情を集める3. 証拠調べ請求への意見・異議は裁判所が採否を決する前に述べる、決定後は争う機会を失う4. 録音録画記録の開示を求め、調書と実際の供述のズレを突く
時効(請求できる期限):特定の消滅時効はない。ただし検面調書の取調請求に対する意見・異議(刑事訴訟法309条)は、裁判所が証拠の採否を決定する前に述べなければならず、証拠決定がなされた後は証拠能力を争う機会を実質的に失う。捜査段階の供述から公判での証拠決定までが勝負どころとなる
学説
通説:刑訴300条の趣旨は、321条1項2号後段の検面調書が法廷証言を覆すほど高い証明力を持つことに鑑み、検察官の証拠提出の裁量を排して必ず裁判所の判断に乗せ、実体的真実主義を確保する点にあるとされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の制定に伴い設けられた。戦後の英米法系・当事者主義の導入を背景に、伝聞例外として証拠能力が認められる検面調書の取調べ請求を義務づけた。
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