刑事訴訟法 第457条
クイックジャンプ
非常上告が理由のないときは、判決でこれを棄却しなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第457条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第457条の条文原文は「非常上告が理由のないときは、判決でこれを棄却しなければならない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第457条は第五編に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第457条の前の条は刑事訴訟法第456条です。
- 刑事訴訟法第457条の次の条は刑事訴訟法第458条です。
- 刑事訴訟法第457条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第457条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第457条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/457
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法457条は、確定判決に対する非常上告に理由がないとき、最高裁判所は判決でこれを棄却しなければならないと定める。申立権者は検事総長に限られる。
Q · 確定した刑事判決に法律の間違いを見つけたら、最高裁にやり直してもらえる?
申立てできるのは検事総長だけ。理由がなければ棄却される
確定判決の法令違反を最高裁判所で正す手続きを非常上告といいます(刑訴454条以下)。ただし申立てができるのは検事総長ただ一人で、被告人本人も弁護人も申立てはできません。最高裁が申立てに理由なしと判断すれば、刑事訴訟法457条により判決で棄却されます。さらに非常上告の目的は法令解釈の統一であり、理由ありで原判決が破棄されても、その効力は原則として被告人本人には及びません(459条本文)。事実の誤りを争うなら再審、法の誤りを争うなら非常上告、という入口の見分けが最初の一歩です。
解説
確定した刑事判決は、もう動かせない。多くの人はそう信じている。だが日本の刑事司法には、確定判決の『法律の使い方の誤り』だけを最高裁判所に持ち込む特別な手続きがある。非常上告だ。そして457条は、その申立てに理由がないと最高裁が判断したとき、判決でこれを棄却すると定める。ここで知っておくべき急所が二つある。第一に、この手続きを起こせるのは検事総長ただ一人。被告人だったあなたも、その弁護人も、自分では申立てすらできない。第二に、非常上告の主たる目的はあなたの救済ではなく、全国の裁判所がバラバラな法解釈をしないようにする『法令解釈の統一』にある。だから仮に理由ありとされ原判決が破棄されても、原則としてその効力はあなた本人には及ばない(459条)。確定判決の誤りに気づいたとき、それが『事実の誤り』なら再審、『法律の誤り』なら非常上告、という二本の道の入口を見分けること。そこが最初の一歩になる。
法的な位置づけ
刑事訴訟法457条は、非常上告の棄却を定める規定である。非常上告とは、確定判決の法令違反を是正するため検事総長が最高裁判所に申し立てる非常救済手続きであり、本条は最高裁判所がその申立てに理由がないと認めた場合に、判決によってこれを退ける旨を規定する。再審が事実認定の誤りを争う手続きであるのに対し、非常上告は法令の適用・解釈の誤りのみを対象とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.誤りが「事実」か「法令」かを切り分ける 確定判決に見つけた誤りが、事実認定の誤り(証拠の評価ミス・新証拠)なのか、法令の適用・解釈の誤り(適用すべき罰条の誤り・時効計算の誤り)なのかを切り分ける。前者は再審(435条)、後者が非常上告の領域
- 2.論点を法令違反一点に純化する 非常上告は事実審理の場ではないため、事実関係を蒸し返す主張を混ぜると457条で理由なしと整理されやすい。適用された罰条や時効計算など、法令の適用・解釈の誤りという核心一点に争点を絞る
- 3.検事総長への上申を準備する 非常上告は自分では申し立てられないため、検察庁を通じて検事総長への上申を検討する。刑事手続に詳しい弁護士に論点整理と上申書作成を依頼し、なぜ法令解釈の統一に資するかの観点も添える
- 4.並行して他の救済手段も確認する 仮に取り上げられても理由なしなら457条で棄却され、理由ありでも効力は原則本人に及ばない(459条)現実を踏まえ、事実を争う余地があれば再審の検討、その他の救済手段がないかも並行して確認する
よくある質問 AI による整理
Q1非常上告とは何ですか?
確定判決の法令違反を是正するため、検事総長が最高裁判所に申し立てる非常救済手続きです(刑訴454条以下)。主目的は被告人の救済ではなく法令解釈の統一にあります。
Q2非常上告は誰が申し立てられますか?
検事総長ただ一人です(刑訴454条)。被告人本人も弁護人も申立てはできず、できるのは検事総長への上申のみです。
Q3非常上告が棄却されるとどうなりますか?
確定判決はそのまま維持されます。理由なしと判断された場合、刑事訴訟法457条により判決で棄却され、被告人の立場が新たに悪化することはありません。
Q4非常上告に申立期限はありますか?
ありません。確定判決であれば刑の執行終了後でも、被告人の死亡後でも申立て可能です。期間制限が走るのは当事者側ではなく、申立権者は検事総長に限られます。
Q5非常上告は何条に規定されていますか?
刑事訴訟法454条から460条までに規定されます。457条は理由なし時の棄却、458条は理由あり時の破棄、459条は効力の範囲を定めます。
Q6非常上告と通常の上告は違いますか?
違います。上告は未確定の判決に対し当事者が行う通常の上訴ですが、非常上告は確定後の判決に対し検事総長のみが法令違反を理由に行う非常救済手続きです。
Q7検事総長に非常上告を頼むにはどうすればよいですか?
検察庁を通じて検事総長への上申を行います。争点を事実ではなく法令の適用・解釈の誤りに絞り、刑事手続に詳しい弁護士に論点整理を依頼するのが現実的です。
Q8非常上告の棄却判決は今後の裁判に影響しますか?
影響します。棄却判決でも最高裁が法令解釈を示すことがあり、その判示は以後の同種事件の実務指針になります。棄却は法解釈が固定される瞬間でもあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1非常上告と再審って、結局なにが違うんですか?
争うものが違います。再審(刑訴法435条)は確定判決の『事実認定の誤り』を、新証拠などを根拠に被告人の利益のためにやり直す手続き。非常上告(454条以下)は確定判決の『法令の適用・解釈の誤り』だけを、検事総長が最高裁に持ち込む手続きです。実務のポイント:相談の入口でこの仕分けを間違えると、弁護士も対応のしようがありません。新しい証拠が出たなら再審、適用された条文や時効計算がそもそも法的におかしいなら非常上告、と切り分けてから相談すると話が一気に進みます
Q2非常上告で勝てば、有罪になった本人は無罪になって出てこられるんですか?
原則として出てこられません。非常上告の目的は法令解釈の統一であって被告人の救済ではないため、理由ありで原判決が破棄されても、その効力は被告人本人には及ばないのが原則です(459条本文)。例外的に被告人に有利な一定の場合のみ本人にも効果が及びます。実務のポイント:『勝っても自分は救われないことが多い』というこの一点を知らずに期待をかけると、457条の棄却でも、たとえ破棄されても、現実が変わらず落胆します。本人の救済を本気で狙うなら、まず再審の道があるかを先に確かめるのが筋です
間違えやすい点 AI による整理
- 『確定判決に法律の間違いを見つけたら、自分や弁護士が最高裁に非常上告できる』と考える人がいるが、問いの立て方自体が誤っている。非常上告の申立権者は検事総長だけ(454条)。当事者にできるのは検事総長へ事情を伝え、上申することだけで、申立てそのものは一切できない
- 被告人の側から見れば非常上告は『無罪を取り戻す最後のチャンス』に映る。だが法の側から見れば、その第一目的は将来の裁判のための法令解釈の統一であり、被告人の救済は副産物にすぎない。理由ありで原判決が破棄されても効力は本人に及ばないのが原則(459条本文)であり、この視点の落差を知らないまま期待すると、勝っても何も変わらないという現実に打ちのめされる
- 『棄却されたら、その判決には何の中身もない』と思われがちだが、深刻さを見誤っている。457条の棄却判決でも、最高裁はなぜ理由がないかを示すために法令解釈を述べることがあり、その判示は以後の実務全体の指針になる。棄却は『無』ではなく、法解釈が一つ固定された瞬間でもある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 争う対象 | 457条(非常上告):法令の適用・解釈の誤りのみ | 435条(再審):事実認定の誤り・新証拠 458条(非常上告・破棄):法令違反に理由ありの場合 |
| 申立権者 | 検事総長のみ(454条) | 検察官・有罪言渡しを受けた者・その親族等(439条) 検事総長のみ(454条) |
| 被告人への効力 | 棄却のため確定判決は不変、本人に新たな不利益なし | 本人の救済が目的、再審開始で本人にも効果 破棄されても原則本人に及ばない(459条本文) |
| 結果 | 理由なし → 判決で棄却 | 理由あり → 再審開始決定 → 通常手続でやり直し 理由あり → 原判決の破棄 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も日本法を継受し、検察総長のみが確定判決の法令違反を理由に最高法院へ提起できる。構造はほぼ同一
韓国も日本法経由で継受。検察総長のみが申立権者であり、法令解釈統一を目的とする点が共通
ドイツ刑事訴訟法には法令解釈統一のみを目的とする確定後の非常救済手続きはなく、事実を争う再審(Wiederaufnahme, StPO § 359 ff.)が中心となる
米国には確定刑事判決を法令解釈統一のためだけに是正する制度はなく、人身保護令状(habeas corpus)等が部分的に機能を代替する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 確定した有罪判決をよく読み返したら、本来適用すべきでない罰条が使われていた、あるいは時効が成立していたのに見落とされていた。こう気づいたとき、あなたに何ができるか? 答えは『自分では何もできない』。検事総長に非常上告を上申するよう働きかける以外、ルートがない。そしてその申立ても、最高裁が理由なしと見れば457条で一行、棄却される
- 報道で『最高裁が検事総長の非常上告を棄却した』という見出しを見たとする。一般には『また誤判が放置された』と読まれがちだが、実際には最高裁がその法解釈に問題なしと判断したという意味であり、457条の棄却判決そのものが今後の同種事件を縛る先例になる
- あなたの親族が刑を終えて出所した後、当時の裁判で法令の適用に明白な誤りがあったと判明した。刑の執行はもう終わっている。それでも非常上告に申立期間の制限はないため、検事総長が動けば最高裁での審理は可能。ただし理由なしと判断されれば、やはり棄却で幕が閉じる
取るべき行動
被害を受けた側:確定判決に法令の適用・解釈の誤りを見つけた当事者の動き。1. その誤りが『事実認定の誤り』か『法令適用の誤り』かを切り分ける。前者なら再審(435条)、後者なら非常上告の領域2. 非常上告は自分では申立てできないため、検察庁を通じて検事総長への上申を検討、刑事手続に詳しい弁護士に論点整理を依頼3. 上申書では事実を蒸し返さず、適用された罰条や時効計算など法令違反の核心一点に絞る4. 仮に取り上げられても理由なしなら457条で棄却される現実を踏まえ、並行して救済可能な他の手段がないか確認する
訴えられた側:非常上告が自分の確定事件に対して申し立てられた、あるいは棄却された側の理解。1. 非常上告は原則として被告人本人の不利益のためには使われにくく、棄却(457条)されても確定判決の効力は変わらないだけで、あなたの立場が新たに悪化するわけではない2. 仮に理由ありで破棄されても、原則その効力は本人に及ばない(459条)ため、過度な期待も過度な不安も不要3. 自分に有利な法令解釈を引き出したい場合は、弁護人を通じて検事総長への上申材料を整える4. 並行して、事実を争う余地があるなら再審の検討も忘れない
時効(請求できる期限):非常上告に申立期間の制限はない(刑事訴訟法454条以下に期間の定めなし)。確定判決であれば、刑の執行が終わった後でも、被告人が死亡した後でも申立て可能。ただし申立権者は検事総長に限られ、当事者の側に『いつまでに』という期限が走る性質の手続きではない
学説
通説:非常上告は確定判決の法的安定性を尊重しつつ、法令違反のみを法令解釈統一の見地から是正する制度であると解される。申立権者を検事総長に限定し、効力を原則被告人に及ぼさない(459条)構造は、この目的論から説明される。457条の棄却判決も法令解釈を示す限りで実務上の指針となる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の制定に伴い、非常上告の章(454条以下)に本条が置かれた。理由なし時の棄却(457条)と理由あり時の破棄(458条)を対の規定として整理した。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める