医療法 第38条
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- 厚生労働大臣は、重要供給確保医薬品(前条第四項に規定する供給確保医薬品のうち、同項各号に掲げる事項を勘案し、その安定的な供給の確保を図ることが特に重要なものとして、厚生労働大臣が厚生科学審議会の意見を聴いて指定するものをいう。)及びその製造に必要不可欠であると認められる原料又は材料(以下「重要供給確保医薬品等」という。)について、製造の状況その他の状況から合理的に判断して、その供給が不足する蓋然性があり、かつ、その供給が不足した場合には、適切な医療の提供が困難になることにより、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、当該重要供給確保医薬品等の製造販売業者又は製造業者に対し、安定供給確保指針に即して、厚生労働省令で定めるところにより、当該重要供給確保医薬品等の供給不足の発生を未然に防止するために必要な措置に関する計画(以下この条において「供給不足防止措置計画」という。)を作成し、厚生労働大臣に届け出るべきことを指示することができる。
- 2.厚生労働大臣は、前項に規定する事態に対処するため特に必要があると認めるときは、同項の規定による指示に従つて届出をした製造販売業者又は製造業者に対し、安定供給確保指針に即して、その届出に係る供給不足防止措置計画(次項の規定による変更の届出があつたときは、その変更後のもの。以下この条において同じ。)を変更し、厚生労働大臣に届け出るべきことを指示することができる。
- 3.前二項の規定による指示に従つて届出をした製造販売業者又は製造業者は、その届出に係る供給不足防止措置計画を変更したときは、厚生労働省令で定めるところにより、変更した事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。
- 4.第一項又は第二項の規定による指示に従つて届出をした製造販売業者又は製造業者は、その届出に係る供給不足防止措置計画に沿つて当該供給不足防止措置計画に係る重要供給確保医薬品等の供給不足の発生を未然に防止するために必要な措置を行わなければならない。
- 5.厚生労働大臣は、第二項の規定による指示を受けた製造販売業者若しくは製造業者が正当な理由がなくその指示に従わなかつたとき、又は前項に規定する製造販売業者若しくは製造業者が正当な理由がなくその届出に係る供給不足防止措置計画に沿つて当該供給不足防止措置計画に係る重要供給確保医薬品等の供給不足の発生を未然に防止するために必要な措置を行つていないと認めるときは、その旨を公表することができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医療法第38条は、日本の医療法に含まれる条文です。
- 医療法第38条の条文原文は「厚生労働大臣は、重要供給確保医薬品(前条第四項に規定する供給確保医薬品のうち、同項各号に掲げる事項を勘案し、その安定的な供給の確保を図ることが特に重要なものとし…」で始まります。
- 医療法第38条は第五章 医療提供体制の確保に置かれています。
- 医療法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医療法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 医療法第38条の前の条は医療法第37条です。
- 医療法第38条の次の条は医療法第38条の2です。
- 医療法第38条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第38条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - 本サイト収録
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第38条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000205/38
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医療法38条は、厚生労働大臣が重要供給確保医薬品等の不足の蓋然性がある場合に、製造販売業者等へ供給不足防止措置計画の作成・届出を指示できると定める。
Q · 薬が足りなくなりそうなとき、国は製薬会社に何を命じられるの?
不足防止計画の作成・届出を指示でき、不履行は公表されうる
医療法38条により、厚生労働大臣は重要供給確保医薬品とその必要不可欠な原料・材料について、供給不足の蓋然性があり、かつ国民の生命・健康に重大な影響のおそれがあると認めるとき、製造販売業者・製造業者に供給不足防止措置計画の作成・届出を指示できます。届け出た業者は計画に沿った措置を行う義務を負い、正当な理由なく変更指示に従わない場合や計画を実行しない場合は、その旨が公表されることがあります。罰金の定めは本条にありません。
解説
薬局で「その薬、今は入荷未定です」と言われた経験があるなら、その裏側にある仕組みを知っておいて損はない。2020年末以降、後発医薬品メーカーの品質不正と業務停止が相次ぎ、咳止めや抗菌薬まで棚から消えた。本条は、その反省から国が持った「先回りの手綱」である。厚生労働大臣は、特に重要な医薬品(重要供給確保医薬品)とその原料について、不足しそうだと合理的に判断できれば、製造販売業者や製造業者に「不足を防ぐ計画を作って届け出よ」と指示できる。届け出た会社はその計画どおりに動く義務を負う。ここで押さえておきたいのは、この仕組みが処罰型ではないことだ。制裁は罰金ではなく「公表」、つまり社名を世間にさらすことである。しかも本条第5項が公表の対象にしているのは、変更指示に従わない場合と、届け出た計画を実行しない場合に限られる。「どの段階で、何が問われるのか」を知っていれば、患者の立場からもメーカーの立場からも、国の動きを読み違えずに済む
法的な位置づけ
医療法38条は、重要供給確保医薬品等の供給不足を未然に防止するための規定であり、厚生労働大臣が製造販売業者または製造業者に対し、安定供給確保指針に即した供給不足防止措置計画の作成・届出、その変更を指示できる旨を定める。届出者には変更届出義務と計画実行義務が課され、正当な理由のない不履行は公表の対象となる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.指示文書の根拠条項と対象品目を特定する 厚生労働省からの文書が1項の作成指示か2項の変更指示かを確認し、対象となる重要供給確保医薬品・原料・材料、提出期限を洗い出す。2項の変更指示は不服従が公表要件に直結するため、優先度を最上位に置く
- 2.安定供給確保指針に即した計画を作成する 安定供給確保指針に即して、原料調達先の分散、在庫積み増し、製造ラインの冗長化などを数値目標とともに記載する。実行が確実な措置に絞ることで、後の計画不履行による公表リスクを抑える
- 3.厚生労働省令の定めに従い届け出る 厚生労働省令で定める方式に従い計画を厚生労働大臣へ届け出て、提出記録と控えを保存する
- 4.状況変化時は自主的に変更届を出す 調達先の停止や生産計画の変更が生じたら、3項に基づき変更事項を速やかに届け出る。正当な理由となりうる海外規制・災害等の事情は証拠とともに記録し、計画に沿った措置の実施状況も定期的に社内で点検する
よくある質問 AI による整理
Q1重要供給確保医薬品とは何ですか?
医療法37条4項の供給確保医薬品のうち、安定供給の確保が特に重要なものとして、厚生労働大臣が厚生科学審議会の意見を聴いて指定する医薬品です。
Q2供給不足防止措置計画とは何ですか?
重要供給確保医薬品等の供給不足を未然に防ぐための措置をまとめた計画で、厚生労働大臣の指示を受けた製造販売業者・製造業者が作成し届け出ます。
Q3医療法38条の指示に従わないと罰則はありますか?
本条に罰金の定めはありません。制裁は公表で、対象は変更指示に正当な理由なく従わない場合と、届け出た計画に沿った措置を行わない場合です。
Q4最初の計画作成の指示に従わなかったら公表されますか?
条文上、5項の公表要件は2項の変更指示違反と4項の計画不履行です。1項の作成指示そのものへの不服従は、5項の文言には挙がっていません。
Q5原薬メーカーも医療法38条の対象になりますか?
なります。本条は重要供給確保医薬品の製造に必要不可欠と認められる原料・材料も対象とし、その製造業者にも指示できる構造です。
Q6供給不足防止措置計画を変更したら届出は必要ですか?
必要です。3項により、指示に従って届出をした業者は計画を変更したとき、厚生労働省令の定めに従い変更事項を届け出なければなりません。
Q7医療法38条の指示はどんなときに出されますか?
製造状況等から合理的に判断して供給不足の蓋然性があり、かつ不足すれば適切な医療の提供が困難となり国民の生命・健康に重大な影響のおそれがあるときです。
Q8国の指示で欠品中の薬はすぐ戻りますか?
すぐには戻りません。本条は不足の未然防止のための計画の仕組みで、既に起きた欠品を即座に埋める増産命令ではありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1国の指示を無視したら、会社は罰金を取られるんですか?
本条自体が定める制裁は、罰金ではなく公表(医療法38条5項)である。しかも対象は、第2項の変更指示に正当な理由なく従わない場合と、届け出た計画を実行しない場合に限られる。実務のポイント:実務で本当に怖いのは公表の後である。病院の採用委員会や卸の担当者は公表情報を見ており、供給が不安定なメーカーの製品は別の製品に切り替えられやすい
Q2どんな薬が「重要供給確保医薬品」になるんですか?
前条(医療法37条)4項の供給確保医薬品のうち、安定供給が特に重要なものを、厚生労働大臣が厚生科学審議会の意見を聴いて指定する(本条1項)。実務のポイント:指定は審議会の議事録と資料に先に現れる。メーカーの薬事担当は審議会の開催予定を追っており、自社品目が議題に上がった時点で計画の準備を始める会社は、指示が出てから慌てることがない
間違えやすい点 AI による整理
- 「国が指示すれば、薬の不足はすぐ解消する」と思われがちだが、本条の射程は「不足の未然防止のための計画」にとどまる。すでに起きた欠品をその場で埋める増産命令ではなく、効き目が出るまでには時間差がある
- メーカー側は「指示に従わなくても罰金はない、公表だけだ」と軽く見がちだが、その深刻度は想像以上に重い。公表されれば、医療機関や卸が「供給が不安定な会社」として採用を見直す判断材料になりうる。取引への影響は罰金額を簡単に上回る
- 「うちは製造販売業者ではなく、原料を作っているだけだから関係ない」という発想は、前提から間違っている。本条は重要供給確保医薬品の製造に不可欠な原料や材料まで対象にし、製造業者も名宛人にしている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 医療法38条:個別業者への計画作成・届出・変更の指示 | 医療法37条:供給確保医薬品と安定供給確保指針の前提規定 経済安全保障推進法7条:特定重要物資の指定による別枠組み |
| 名宛人 | 重要供給確保医薬品等の製造販売業者・製造業者 | 指針の策定を通じた医薬品供給全体の枠組み 特定重要物資の供給確保に取り組む事業者等 |
| 発動要件 | 供給不足の蓋然性+生命・健康への重大な影響のおそれ | 指定・指針策定の前提となる考慮事項 国民の生存・経済活動に不可欠な物資であること等 |
| 不履行時の効果 | 正当な理由のない変更指示違反・計画不履行は公表 | 個別業者への直接の制裁規定ではない 同法の支援措置等の枠組みによる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は必要薬品の供給中断について事前通報義務を課す方式で、日本の計画作成・届出の指示方式とは手法が異なる
ドイツは製薬企業に適切かつ継続的な供給を確保する義務を法律上直接課している
フランスは重要医薬品について事業者に欠品管理計画(PGP)の策定を義務づけており、計画方式の点で日本と近い
米国は製造中止・中断の FDA への事前通知義務を中心とし、リスク管理計画の仕組みも設けている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- かかりつけ医から「いつもの抗菌薬が入らないので、別の薬に変えます」と言われた。子どもの持病の薬だったら、どうする? その薬が国の指定する重要供給確保医薬品かどうかで、国がメーカーにどこまで介入できるかが変わってくる
- あなたは中堅ジェネリックメーカーで薬事を担当している。ある朝、厚生労働省から供給不足防止措置計画の作成・届出を指示する文書が届いた。社内では「どうせ行政指導だろう」という空気がある。しかし一度届け出れば、計画を実行しない場合は第5項の公表対象になる。計画の書き方ひとつが、何年も会社を縛ることになる
- 原薬の9割を中国の一工場から輸入している。現地で環境規制による操業停止のニュースが流れた。国から計画変更の指示が届く前に、自社で調達先の分散案を変更届として出せるかどうかが勝負になる。猶予は長くない
- 病院の薬剤部長である友人から「国が指示を出したのに、なぜ薬が戻ってこないのか」と愚痴を聞かされた。本条はあくまで不足を未然に防ぐための計画の仕組みであり、国が工場を動かして増産させる強制命令ではない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 欠品を告げられたら、薬剤師に代替薬の有無と切り替え時の注意点をその場で確認する2. 厚生労働省が公表している医薬品の供給状況の情報で、該当品目の状況を調べる3. 持病の薬なら、残量が2週間を切る前に主治医へ相談し、処方の見直しを依頼する4. 供給不安が長く続く品目は、国の指定対象かどうかを確認し、患者会などを通じて声を届ける
訴えられた側:1. 指示文書を受け取ったら、対象品目、根拠条項(第1項か第2項か)、提出期限をすぐに特定する2. 計画には実行可能な措置だけを書き、原料の調達先、在庫の積み増し、製造ラインの冗長化を数値で示す3. 状況が変わったら第3項により自主的に変更届を出す4. 「正当な理由」になりうる事情(海外規制、災害など)は、証拠とあわせて日頃から記録しておく5. 公表前の意見聴取の機会などについては、弁護士と行政手続上の対応を検討する
時効(請求できる期限):本条に特定の時効はない。計画の変更届は、変更したときに厚生労働省令の定めに従って提出する義務がある(提出時期の詳細は省令を要確認)。公表には期間制限の定めがなく、計画に沿った措置を行っていない状態が続くかぎり、公表されるリスクも続く(最新の改正状況をご確認ください)
学説
行政法の通説的理解:違反事実の公表は情報提供にとどまらず制裁的機能を持ちうるため、法律の根拠と要件の明確化が求められる。本条は公表要件を変更指示違反と計画不履行に限定し、正当な理由による免責も明記している。
- 医療法 第37条供給確保医薬品と安定供給確保指針の前提規定
- 医療法 第1条良質かつ適切な医療の確保という目的
- 医療法 第30条の3医療提供体制確保の基本方針
- 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律 第7条特定重要物資指定による供給確保の別枠組み(通称 経済安全保障推進法)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第12条名宛人となる製造販売業の許可(通称 薬機法)
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