医療法 第51条
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- 医療法人は、毎会計年度終了後二月以内に、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、関係事業者(理事長の配偶者がその代表者であることその他の当該医療法人又はその役員と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者をいう。)との取引の状況に関する報告書その他厚生労働省令で定める書類(以下「事業報告書等」という。)を作成しなければならない。
- 2.医療法人(その事業活動の規模その他の事情を勘案して厚生労働省令で定める基準に該当する者に限る。)は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の貸借対照表及び損益計算書を作成しなければならない。
- 3.医療法人は、貸借対照表及び損益計算書を作成した時から十年間、当該貸借対照表及び損益計算書を保存しなければならない。
- 4.医療法人は、事業報告書等について、厚生労働省令で定めるところにより、監事の監査を受けなければならない。
- 5.第二項の医療法人は、財産目録、貸借対照表及び損益計算書について、厚生労働省令で定めるところにより、公認会計士又は監査法人の監査を受けなければならない。
- 6.医療法人は、前二項の監事又は公認会計士若しくは監査法人の監査を受けた事業報告書等について、理事会の承認を受けなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医療法第51条は、日本の医療法に含まれる条文です。
- 医療法第51条の条文原文は「医療法人は、毎会計年度終了後二月以内に、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、関係事業者(理事長の配偶者がその代表者であることその他の当該医療法人又はそ…」で始まります。
- 医療法第51条は第四節に置かれています。
- 医療法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医療法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 医療法第51条の前の条は医療法第50条の2です。
- 医療法第51条の次の条は医療法第51条の2です。
- 医療法第51条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第51条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - 本サイト収録
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第51条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000205/51
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医療法51条は、医療法人に決算後二月以内の事業報告書等の作成と、監事監査・理事会承認を義務付ける。大規模法人には公認会計士等の外部監査も課される。
Q · 医療法人は決算のあと、どんな書類を作って誰のチェックを受ける必要があるの?
事業報告書等を2か月以内に作り、監事監査と理事会承認を受ける
医療法51条1項により、医療法人は毎会計年度終了後二月以内に、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、関係事業者との取引の状況に関する報告書などの「事業報告書等」を作成します。すべての法人が監事の監査(4項)と理事会の承認(6項)を受ける必要があり、厚生労働省令の基準に該当する大規模法人は、省令に従った貸借対照表・損益計算書の作成(2項)と公認会計士等の外部監査(5項)も必要です。貸借対照表と損益計算書は10年間保存します(3項)。
解説
理事長の妻が社長を務める会社にクリニックが払う賃料や委託料は、帳簿の奥で静かに流れているわけではない。医療法51条1項は、医療法人に対し、毎会計年度終了後二月以内に事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書に加えて「関係事業者との取引の状況に関する報告書」の作成を義務付けている。関係事業者とは、理事長の配偶者が代表を務める会社など、法人や役員と特殊の関係にある者をいう。いわゆる MS 法人(医療法人の周辺業務を請け負う同族会社)との取引は、一定規模を超えると書面に残り、監事の監査を受け、理事会の承認を経て、次条以下の手続で都道府県知事に届け出られ、閲覧の対象になる。さらに負債額や事業収益が厚生労働省令の基準を超える大規模法人は、医療法人会計基準に沿った決算書の作成と、公認会計士または監査法人による外部監査が必須になる。職員、出資者、M&A の買い手、病院の承継を考える親族にとって、本条は法人の内側を覗く窓である。どの書類がいつまでに、誰のチェックを経て作られるかを知っていれば、何を請求し、どこを疑うべきかが見えてくる
法的な位置づけ
医療法51条は、医療法人の決算書類の作成・保存・監査・承認を定める規定である。毎会計年度終了後二月以内に事業報告書等を作成させ、監事監査と理事会承認を全法人に義務付けるとともに、一定規模以上の医療法人には省令に基づく決算書の作成と公認会計士または監査法人による外部監査を課し、関係事業者との取引を書面上で可視化する。
手順
- 1.関係事業者の範囲を洗い出す 決算前に、理事長・役員の配偶者や親族が代表を務める会社など、医療法施行規則上の関係事業者に当たる相手を一覧化し、年間の取引額と取引条件を集計する
- 2.会計年度終了後二月以内に事業報告書等を作成 事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、関係事業者との取引の状況に関する報告書を作成する。税務申告書類とは別物なので、顧問税理士の業務範囲に含まれているか事前に確認する
- 3.監事監査を受ける 作成した事業報告書等について監事の監査を受け、監査報告書を作成してもらう。監事には関係事業者取引の契約書と相場資料もあわせて提示する
- 4.大規模法人は外部監査を受ける 厚生労働省令の基準に該当する法人は、医療法人会計基準に沿って決算書を作成し、公認会計士または監査法人の監査を受ける。監査人の手配は前年度から始める
- 5.理事会の承認を得て届出へ 監査済みの事業報告書等について理事会の承認を受け、議事録を残す。その後、会計年度終了後三月以内に都道府県知事へ届け出る(医療法52条)
よくある質問 AI による整理
Q1医療法人の事業報告書等とは何ですか?
医療法51条1項が定める決算書類一式です。事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、関係事業者との取引の状況に関する報告書などを含みます。
Q2医療法人の事業報告書はいつまでに作成しますか?
毎会計年度終了後二月以内です。3月決算なら5月末が作成期限で、都道府県知事への届出は会計年度終了後三月以内(医療法52条)です。
Q3関係事業者とは誰のことですか?
理事長の配偶者が代表者である会社など、医療法人やその役員と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者です。具体的な範囲は医療法施行規則で定められています。
Q4医療法人の外部監査が必要なのはどんな法人?
事業規模などが厚生労働省令の基準に該当する大規模な医療法人です。該当すると、公認会計士または監査法人の監査が必要になります(医療法51条5項)。
Q5医療法人の貸借対照表の保存期間は何年?
作成した時から10年間です(医療法51条3項)。損益計算書も同じく10年間の保存が義務付けられています。
Q6小さなクリニックの医療法人にも監事監査は必要?
必要です。監事監査(4項)と理事会承認(6項)は法人の規模に関係なく全医療法人に義務付けられています。不要なのは外部監査だけです。
Q7MS法人との取引は報告書に載りますか?
理事長の親族が代表を務める MS 法人は典型的な関係事業者で、省令の基準を満たす取引は関係事業者報告書への記載が必要です。
Q8医療法人の事業報告書を出さないとどうなる?
都道府県への届出懈怠や虚偽記載は過料の対象となりうるほか、指導監査で是正を求められます。最新の罰則規定は必ず確認してください。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちのクリニック、決算書は税理士に全部お任せなんですけど、それで医療法の義務も果たせてますか?
果たせているとは限りません。法人税の申告書類と医療法51条の事業報告書等は別物で、関係事業者との取引報告書や都道府県への届出(52条)は税務申告の範囲外です。実務のポイント:顧問税理士との契約書に「医療法上の事業報告書等の作成・届出」が業務として明記されているかを確認すること。書かれていなければ誰も作っていない可能性があり、都道府県の指導監査で初めて発覚するケースがある
Q2妻が社長の会社にクリニックの建物を借りてます。これって全部報告書に書かないといけないんですか?
配偶者が代表者の会社は、本条1項が例示する典型的な関係事業者です。記載が必要な取引の範囲(取引額や取引条件の基準)は医療法施行規則で定められており、規模によっては報告対象になります。実務のポイント:報告すること自体より、賃料が相場から大きく外れていないかが本当の論点である。近隣の賃料相場の資料を毎年とっておけば、指導監査や承継の場面で説明に困らない
Q3監事って名前だけでいいって言われて引き受けたんですけど、何か責任ありますか?
あります。本条4項は全医療法人に監事監査を義務付けており、監事は業務や財産の状況を監査し、監査報告書を作成する立場です(医療法46条の8)。実務のポイント:医療法人の監事には、役員の損害賠償責任の規定(医療法47条以下)が適用されうる。名ばかり監事でも、明らかな不正を見逃して判を押し続ければ、責任を免れられるとは限らない
間違えやすい点 AI による整理
- 「決算書は法人税の申告で出しているから、医療法上の書類は別にいらない」と思い込んでいる開業医は多い。税務申告書と医療法の事業報告書等は宛先も様式も別物である。関係事業者報告書は税務申告には存在しない書類であり、税理士の業務範囲に当然含まれているとは限らない
- 関係事業者報告書の存在は知っていても、その重さを分かっていない人がいる。この書類は届出後、閲覧の対象になる。理事長の配偶者の会社との賃貸借や業務委託が一定規模を超えれば取引額とともに記載され、第三者の目に触れうる。MS 法人スキームの「見え方」は、節税の観点だけで設計してはならない
- 「うちは小さいクリニックだから外部監査は関係ない」は正しい。ただ、問うべきはそこではない。外部監査が不要な法人でも、監事監査(4項)と理事会承認(6項)は全法人に義務付けられている。監事が理事長の親族で、実質的に監査が機能していない状態こそ、法の想定から外れた危うい状態である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の内容 | 医療法51条:事業報告書等の作成・保存・監査・理事会承認 | 医療法52条:事業報告書等の都道府県知事への届出 医療法46条の8:監事の職務と監査報告書の作成 |
| 期限 | 会計年度終了後二月以内に作成 | 会計年度終了後三月以内に届出 監査は事業報告書等の作成後、理事会承認前 |
| 対象 | 全医療法人(外部監査は大規模法人のみ) | 全医療法人 監事個人の職務 |
| 見落としやすい点 | 関係事業者報告書は税務申告にない書類 | 届出後の書類は閲覧の対象になりうる 名ばかり監事でも責任を問われうる |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾では医療財団法人に会計制度の整備と会計師による財務報告の査核を求め、主管機関への報告が予定される。関係者取引の専用報告書という形式は日本ほど明確でない
米国の非営利病院は税務申告書 Form 990の Schedule L で利害関係者との取引を開示する。日本が医療法で行う開示を、米国は税務の枠組みで担っている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 開業医の父が理事長を務める医療法人を継ぐことになった。ところが決算書を見ると、母が代表の不動産会社への賃料が相場の倍近い。関係事業者との取引報告書にこの取引がどう書かれているかが、承継後にその契約を見直せるかどうかの出発点になる
- もし、あなたが医療法人の監事に就任したばかりで、理事長から「決算書は税理士が作ったからハンコだけ押して」と言われたら? 51条4項の監査は形式ではない。署名した監事自身が責任を問われる場面がある
- 決算日は3月31日。事業報告書等の作成期限は5月31日、都道府県知事への届出は6月末。顧問税理士が法人税申告で手一杯で、関係事業者報告書の様式がまだ手つかずのまま残っている。あと3週間しかない
- 病院グループの事業収益が70億円を超えそうだ。監査法人の手配は1年前から始めないと間に合わない。基準を超えた年度になってから探し始めても、引き受けてくれる監査法人が見つからない
- クリニックの M&A で買い手側についた。売り手の医療法人は「経営は健全」と言うが、都道府県で閲覧できる過去の事業報告書等を取り寄せると、理事長親族の会社への委託費が毎年膨らんでいた
取るべき行動
被害を受けた側:1. 承継予定の親族、出資者、監事、M&A の買い手なら、まず直近数年分の事業報告書等一式(関係事業者報告書を含む)を法人に請求する2. 法人が出さない場合、都道府県に届け出られた書類の閲覧制度(医療法52条以下)を確認し、所管の都道府県に照会する3. 関係事業者取引の条件(賃料・委託料)を近隣の相場や外部見積と比べる4. 不自然な取引があれば、監事または理事会での是正を求め、記録を残す。社員の立場なら社員総会での質問権も使う
訴えられた側:1. 理事長・事務長の立場なら、まず関係事業者の範囲(配偶者・親族が代表の会社など)を施行規則に照らして洗い出し、報告書の漏れをなくす2. 親族会社との取引は相場を示す資料と契約書を整え、説明がつく状態にしておく3. 監事を実質的に機能させる(親族以外の専門家の起用を検討する) 4. 大規模法人の基準に近づいている場合、医療法人会計基準への移行と監査法人の手配を前年度から始める。届出の遅れや記載漏れは過料の対象になりうる(医療法93条、最新の改正状況をご確認ください)
時効(請求できる期限):毎会計年度終了後二月以内に事業報告書等を作成(本条1項)。都道府県知事への届出は会計年度終了後三月以内(医療法52条)。貸借対照表・損益計算書は作成時から10年間保存(本条3項)。本条違反そのものに私法上の消滅時効はなく、関連する損害賠償請求は一般消滅時効(民法166条、知った時から5年または権利行使可能時から10年)による
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)第五次医療法改正 医療法人制度改革の一環として、事業報告書等の作成・届出・閲覧に関する規律が整備されたとされる(人的検証が必要)
- 平成27年(2015年)改正、平成29年(2017年)施行 関係事業者との取引の状況に関する報告書の作成、大規模医療法人への会計基準適用と公認会計士等による外部監査、理事会承認の規定が整備されたとされる(人的検証が必要)
改正の年表
- 1.平成27年(2015年) 改正:医療法人制度の見直しにより、関係事業者との取引の状況に関する報告書、大規模医療法人の会計基準適用と公認会計士等による外部監査、理事会承認に関する規定が整備された(平成29年施行、詳細は原典で要確認)
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