医療法 第56条の3
クイックジャンプ
医療法人が解散したときは、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除き、理事がその清算人となる。ただし、定款若しくは寄附行為に別段の定めがあるとき、又は社員総会において理事以外の者を選任したときは、この限りでない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医療法第56条の3は、日本の医療法に含まれる条文です。
- 医療法第56条の3の条文原文は「医療法人が解散したときは、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除き、理事がその清算人となる。ただし、定款若しくは寄附行為に別段の定めがあるとき、又は社員…」で始まります。
- 医療法第56条の3は第七節に置かれています。
- 医療法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医療法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 医療法第56条の3の前の条は医療法第56条の2です。
- 医療法第56条の3の次の条は医療法第56条の4です。
- 医療法第56条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第56条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - 本サイト収録
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第56条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000205/56_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医療法56条の3は、医療法人が解散したとき、合併と破産の場合を除き理事が清算人になると定める。定款等に別段の定めがあるか、社員総会で別人を選任すれば例外となる。
Q · 医療法人を解散したら、清算人は誰がやるの?
原則は理事。定款か社員総会で別人にできる
医療法56条の3により、医療法人が解散すると、原則として理事がそのまま清算人になります。経営に実際に関与していたかどうかは問いません。例外は、定款・寄附行為に別段の定めがある場合と、社員総会で理事以外の者(税理士や弁護士など)を選任した場合です。なお合併による解散は権利義務が承継されるため清算がなく、破産手続開始による解散では破産管財人が財産を管理するため、いずれも本条の対象外です。
解説
閉院を決めた一人医師の医療法人では、名義だけ理事に並べていた配偶者や親族が、手続も何もないまま清算人(法人を畳む実務責任者)になる。医療法56条の3は、医療法人が解散したとき、原則として理事全員がそのまま清算人になると定めている。例外は二つだけ。合併と破産手続開始による解散は最初から対象外であり、合併なら存続法人が権利義務を引き継ぎ、破産なら裁判所が選ぶ破産管財人が財産を管理する。もう一つは、定款や寄附行為に別の定めがある場合と、社員総会で理事以外の者を選んだ場合である。つまり、何も手を打たなければ、名義を貸しただけのあなたが、債権者への公告、職員への未払金の精算、残余財産の引渡しを担う立場になる。解散を決める社員総会で、清算人を誰にするかを同時に決議するかどうか。その一手で、閉院後の一年間に誰の携帯が鳴り続けるかが決まる。
法的な位置づけ
医療法56条の3は、医療法人の清算人の就任に関する規定であり、合併及び破産手続開始の決定による解散を除き、医療法人が解散したときは理事が当然に清算人となる旨を定める。定款若しくは寄附行為に別段の定めがある場合、又は社員総会において理事以外の者を選任した場合には、この原則は適用されない。
よくある質問 AI による整理
Q1医療法人の清算人とは何ですか?
解散した医療法人の残務を処理する人です。現務の結了、債権の取立て、債務の弁済、残余財産の引渡しを担います。医療法56条の3により原則は理事が就任します。
Q2医療法人 解散 清算人 誰がなる?
定款・寄附行為に別段の定めがなく、社員総会で別人を選んでいなければ、理事が清算人になります。合併・破産による解散は対象外です。
Q3医療法人の清算人を弁護士や税理士にできる?
できます。医療法56条の3ただし書により、社員総会で理事以外の者を清算人に選任できます。定款で予め定めておく方法もあります。
Q4医療法人の清算人は辞退できる?
条文上、理事は当然に清算人となるため、就任を拒む仕組みは明記されていません。避けたい場合は、解散前に社員総会で別の清算人を選任してもらうのが現実的です。
Q5医療法人の清算人がいないときはどうなる?
清算人となる者がいない場合などには、裁判所が利害関係人の申立て等により清算人を選任できます(医療法56条の4)。
Q6医療法人が破産したら清算人は誰?
破産手続開始の決定による解散は本条の対象外です。財産の管理処分は裁判所が選任する破産管財人が担い、理事が清算人になるわけではありません。
Q7医療法人の清算はいつ終わる?
債務の弁済と残余財産の引渡しを終えて清算が結了するまで続きます。債権申出の公告期間だけでも2か月以上必要なため、数か月以上かかるのが通常です。
Q8クリニック閉院後も医療法人は残る?
残ります。解散しても、清算中の医療法人は清算の目的の範囲内でなお存続します。法人格が消えるのは清算結了の時点です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1理事って名前を貸しただけなんですけど、それでも清算人にならなきゃいけないんですか?
医療法56条の3は、実際に経営に関与していたかどうかを区別せず、理事が清算人になると定めている。避けるには、定款に別の定めを置くか、社員総会で理事以外の者を清算人に選ぶ必要がある。実務のポイント:解散を決議する総会の議事録に、清算人選任の決議を一行入れておくだけで済むことが多い。解散の後から外れようとすると、改めて総会を招集する手間がかかる
Q2医療法人が合併したときは、誰が清算するんですか?
合併による解散の場合、清算手続そのものがない。消滅する医療法人の権利義務は、存続する法人や新設される法人に承継されるからである。本条がこの場合を除外しているのはそのためである。実務のポイント:廃業を考えている医療法人が、清算ではなく近隣の医療法人との合併を選ぶことがある。職員の雇用と患者の診療を途切れさせずに済み、清算人の負担も生じないからである
Q3閉院した医療法人から、最後の給料をまだもらってません。どうすればいい?
解散した医療法人も清算中は存続しているため、清算人に書面で請求し、債権申出の公告があれば期間内に届け出る(医療法56条の8)。債務超過なら清算人に破産申立ての義務が生じ、破産手続に移る(同56条の10)。実務のポイント:破産に移れば、未払賃金立替払制度(賃金の支払の確保等に関する法律)の利用が視野に入る。任意の清算のまま放置されると利用の要件を満たさないことがあり、窓口の労働基準監督署に早めに相談する価値がある
間違えやすい点 AI による整理
- 「閉院すれば法人も自然に消える」と思われがちだが、医療法人は解散しただけでは消えない。清算中の医療法人は、清算の目的の範囲内でなお存続する。債務の弁済と残余財産の引渡しを終え、清算が結了するまで、法人も清算人の責任も残り続ける
- 理事が清算人になることは知っていても、それが名義だけの理事にも及ぶ重さは見落とされやすい。条文は「理事がその清算人となる」としか書いておらず、実際に経営に関与していたかどうかで区別していない。名義を貸した日から、清算の当事者になる可能性を引き受けていたことになる
- 「清算人は誰がやるのが正しいのか」と悩む人が多いが、問いの立て方がずれている。法律はすでに理事という既定値を決めている。問うべきは、その既定値を定款の定めか社員総会の選任で変えておくべき事情があるかどうか、そして変えるならいつまでに決議するか、である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 清算人の決まり方 | 医療法56条の3:理事が当然に就任(法定清算人) | 医療法56条の4:裁判所が選任(選任清算人) 医療法55条:清算人ではなく解散事由・認可を定める |
| 発動する場面 | 合併・破産以外の事由で医療法人が解散したとき | 清算人となる者がいない、又は欠けたため損害が生じるおそれがあるとき 社員総会の決議、目的事業の成功の不能などで解散するとき |
| 関係者の手続 | 原則不要。変更するなら定款の定め又は社員総会の選任 | 利害関係人の申立て等による裁判所の選任手続 事由により都道府県知事の認可が必要 |
他国ではどう定めているか 4 か国
法人解散後の財産清算は董事が行い、定款の特別規定又は総会の別決議があれば例外とする。日本の本条とほぼ同じ構造である
破産の場合を除き理事が清算人となり、定款又は総会決議で別に定められる。日本旧民法74条と同型
合併・分立を除き清算義務人が清算組を組成する。董事・理事等の執行機関の構成員を清算義務人とする点で機能的に近い
社団の清算は原則として理事会(Vorstand)が行い、他の者を清算人に選任することもできる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父が理事長を務めるクリニックを閉じることになった。あなたは設立時に頼まれて理事に名前を貸しただけである。解散決議の翌日から、あなたも法定の清算人として、取引業者からの請求書の宛先になりうる
- 理事の一人が長期入院中で、判断能力が落ちている。解散しても本当にその人が清算人になるのか? 条文上はなるため、社員総会で理事以外の税理士や弁護士を清算人に選ぶかどうかを先に決めておかないと、清算の手続が止まる
- もし閉院した医療法人の元職員が、最後の月の給料と退職金をまだ受け取っていなかったら、誰に請求すればいい? 清算中の医療法人は清算の目的の範囲でまだ存続しており、請求の窓口は清算人である。債権申出の公告期間を逃すと、配当の順番で後回しになるおそれがある
- 医療機器のリース会社の担当者として、取引先のクリニックが解散したと知った。社員総会で別人が選ばれていない限り、元理事が清算人である。清算人の公告に気付かず申出期間が過ぎると、残った財産からしか回収できなくなる
- 資金繰りが尽きて債務超過が見えている医療法人。社員総会で解散し、理事がそのまま清算人として穏便に畳もうとしている。だが債務超過が明らかになれば、清算人には破産手続開始の申立て義務が生じ(医療法56条の10)、清算の主導権は破産管財人に移る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 取引先や元勤務先の医療法人が解散したと知ったら、登記事項証明書を取り、清算人の氏名を確認する2. 官報などに出る債権申出の公告を確認し、期間内に請求額と根拠資料を添えて書面で申し出る3. 未払賃金がある職員は、給与明細・雇用契約書・タイムカードの写しを確保する4. 清算人の対応が滞るときは、利害関係人として裁判所に清算人の選任や解任を求める手続があることを押さえておく(医療法56条の4、56条の5)
訴えられた側:1. 自分が理事なら、解散前に定款・寄附行為の清算人条項を確認する2. 実務を担えない事情があれば、解散を決める社員総会で理事以外の清算人(税理士・弁護士など)を選任してもらう3. 清算人になったら、現務の結了、債権の取立て、債務の弁済、残余財産の引渡しを記録付きで進める4. 債務超過の兆候が見えたら独断で弁済を続けず、専門家と破産申立ての要否を検討する(医療法56条の10)
時効(請求できる期限):清算人は就職の日から2か月以内に、少なくとも3回の公告で債権者に債権の申出を催告し、申出期間は2か月以上としなければならない(医療法56条の8、最新の改正状況をご確認ください)。清算人の就任自体に特定の時効はない。債権者側の請求権には一般消滅時効(民法166条、知った時から5年または権利を行使できる時から10年)が適用される
学説
通説:理事の清算人就任は、選任手続の空白を生まず法人の内情を知る者に清算を担わせる趣旨の法定の既定値と解される。定款の定めや社員総会の選任で自治的に変更できる任意規定的な性格を持つ。
- 医療法 第55条医療法人の解散事由と知事の認可
- 医療法 第56条解散後の残余財産の帰属先
- 医療法 第56条の4清算人不在時の裁判所による選任
- 医療法 第56条の8清算人による債権申出の公告催告(現行効力を要確認)
- 医療法 第56条の10債務超過時の清算人の破産申立義務(現行効力を要確認)
- 破産法 第74条破産による解散時の破産管財人選任
- 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第209条非営利法人の理事清算人制度の対照規定
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める