医療法 第56条の4
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前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医療法第56条の4は、日本の医療法に含まれる条文です。
- 医療法第56条の4の条文原文は「前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人…」で始まります。
- 医療法第56条の4は第七節に置かれています。
- 医療法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医療法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 医療法第56条の4の前の条は医療法第56条の3です。
- 医療法第56条の4の次の条は医療法第56条の5です。
- 医療法第56条の4には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第56条の4 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - 本サイト収録
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第56条の4(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000205/56_4
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医療法第56条の4は、解散した医療法人に清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けて損害のおそれがあるとき、利害関係人・検察官の請求又は職権で裁判所が清算人を選任できると定める。
Q · 解散した医療法人の理事長が亡くなって清算人がいないとき、未払いのお金は誰に請求すればいいの?
裁判所に清算人選任を申し立て、その清算人に請求できる
医療法56条の4により、清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けて損害を生ずるおそれがあるときは、利害関係人(債権者・元職員など)や検察官の請求、あるいは裁判所の職権で清算人が選任されます。選ばれた清算人(多くは弁護士)が法人財産を換金し債権者へ弁済します。ただし法人財産が乏しい場合、申立人が予納金を求められるのが実務の通例です。
解説
クリニックの看板を下ろしても、医療法人という「器」は勝手には消えない。解散した医療法人は清算が終わるまで法人として残り、その後始末を担うのが清算人(借金を払い、財産を換金し、残りを引き渡す係)である。原則は、それまでの理事がそのまま清算人になる(医療法56条の3)。ところが、医師一人で回してきた医療法人では、理事長が亡くなったり行方が分からなくなったりすると、借金を払う人も、預金を動かす人も、書類に判を押す人もいなくなる。本条は、その空白を埋めるための非常口である。清算人になる者がいないとき、または清算人が欠けて損害が出るおそれがあるときは、利害関係人か検察官の請求により、あるいは裁判所自身の判断で、裁判所が清算人を選任できる。つまり、未払い給与を抱えた元職員も、リース料を回収できない業者も、「誰に請求すればいいのか分からない」で止まる必要はない。自分で裁判所に申し立てて、交渉の相手方を作り出せるのである。
法的な位置づけ
医療法第56条の4は、解散した医療法人において、理事が清算人となる原則(同法56条の3)が機能しない場合に備え、清算人となる者がないとき又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときに、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、裁判所が清算人を選任できる旨を定める補充的規定である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.登記事項証明書で清算人の有無を確認 法務局で医療法人の登記事項証明書を取得し、解散の登記と清算人欄の記載を確認する。清算人が登記されていれば、まずその者に請求する
- 2.自分の債権を裏付ける資料をそろえる 契約書、給与明細、請求書、リース契約書など、債権の存在と金額を示す資料を集め、利害関係人であることを疎明できるようにする
- 3.法人に残っている財産を把握する 預金口座、未収の診療報酬、医療機器、敷金など、法人に残っていそうな財産を分かる範囲で整理する。財産の有無が予納金負担と申立ての損得を左右する
- 4.管轄の地方裁判所に清算人選任を申し立てる 主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所に申立書を提出する。予納金の額を事前に確認し、可能なら清算人候補者の弁護士を添える(採否は裁判所が判断)
- 5.破産申立てとの比較検討 債務超過が明らかな場合は、清算人選任ではなく破産申立てのほうが早いことがある。費用と時間を二重に払わないよう、弁護士と比較検討する
よくある質問 AI による整理
Q1医療法人の清算人とは何ですか?
解散した医療法人の後始末を担う者です。現務の結了、債権の取立て、債務の弁済、残余財産の引渡しを行います。原則は理事がそのまま清算人になります(医療法56条の3)。
Q2医療法人 清算人 選任 申立て どこに出す?
医療法人の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所に申し立てるのが実務の流れです。申立て前に、予納金の額や必要書類を裁判所へ問い合わせておくと手戻りが減ります。
Q3清算人選任を申し立てできるのは誰?
医療法56条の4では、利害関係人と検察官が請求でき、裁判所は職権でも選任できます。未払い給与のある元職員、リース会社、取引業者などの債権者が典型的な利害関係人です。
Q4医療法人の清算人選任 予納金はいくら?
金額は裁判所や事案の規模によって異なり、一律ではありません。法人財産が乏しいほど申立人の負担が重くなるため、申立て前に裁判所へ確認することが必要です。
Q5理事長が死亡した医療法人の借金は相続される?
法人の借金は法人の債務であり、原則として理事長の相続人個人の借金にはなりません。ただし、理事長が個人で連帯保証をしていた場合は、その保証債務が相続の対象になります。
Q6清算人選任と破産申立て どちらを選ぶべき?
債務超過が明らかな場合は破産申立てのほうが早いことがあります。清算人が選ばれても、債務超過が判明すれば破産申立てに移行するため、先に財産状況を見極めることが重要です。
Q7名義だけの理事でも清算人になる?
定款や社員総会で別段の定めがなければ、理事は原則として清算人になります(医療法56条の3)。名義だけの理事であっても、この原則から当然に外れるわけではありません。
Q8清算人がいない間も時効は進む?
法人に代表者がいないことを理由に時効の完成を猶予する規定は民法にありません。清算人選任を待つ間も時効が進むと考え、早めに申立てを行うのが安全です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1閉院したクリニックに給料を払ってもらってないんですけど、理事長が亡くなってて、誰に言えばいいんですか?
清算人がいなければ、利害関係人として医療法56条の4により裁判所へ清算人の選任を申し立て、その清算人に請求する。実務のポイント:法人に財産が残っていない場合は、未払賃金立替払制度(賃金の支払の確保等に関する法律)を検討する価値がある。中小規模の事業主であれば、労働基準監督署による「事実上の倒産」の認定ルートもある。要件は厳格なので、まず労働基準監督署に相談すること
Q2裁判所が選ぶ清算人って誰がなるんですか?費用は申し立てた側が払うんですか?
実務では、その地域の弁護士が選ばれることが多い。清算人の報酬は法人の財産から支払われるのが原則だが、財産がはっきりしないうちは、申立人が予納金を求められる。実務のポイント:調べてみて債務超過が明らかなら、清算人は破産手続開始の申立てをしなければならない(医療法56条の10)。つまり清算人を選んでも、結局は破産に移ることがある。最初から破産申立てを選ぶべき事案かどうかを先に見極めると、費用と時間を二重に払わずに済む
間違えやすい点 AI による整理
- 「理事長が亡くなったのだから、医療法人の借金はもう取れない」と考える人は多い。しかし、法人の借金は理事長個人の借金ではなく、法人の財産で払うものである。預金、診療報酬の未収分、医療機器、敷金は法人に残っている。清算人さえ立てば、それらから回収する道が開ける
- 「誰を訴えればいいのか」と悩むこと自体、問いの立て方がずれている。代表者がいない法人には、そもそも請求書を受け取る人も、訴状を受け取る人もいない。最初の一手は相手を探すことではなく、裁判所に相手を作ってもらうことである。訴訟一件だけなら特別代理人(民事訴訟法35条)という近道もあるが、財産の換金から配当まで全体を動かすには清算人の選任が必要になる
- 申立てさえすれば裁判所がすべてを片付けてくれる、というほど甘くはない。選ばれた清算人はたいてい弁護士であり、その報酬や費用のために予納金(申立て時に裁判所へ預けるお金)を求められるのが実務の通例である。法人の財産が乏しければ、その負担が申立人にのしかかる。申し立てる前に、法人に何が残っているかを把握できているかどうかで損得が決まる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 清算人が決まる方法 | 医療法56条の4:裁判所が選任(請求又は職権) | 医療法56条の3:理事が就任(定款・社員総会で別段の定め可) 医療法56条の5:裁判所が既存の清算人を解任 |
| 発動の場面 | 清算人となる者がない、又は欠けて損害のおそれがあるとき | 解散時の原則(特段の事情不要) 清算人を解任すべき重要な事由があるとき |
| 誰が動くか | 利害関係人・検察官の請求、又は裁判所の職権 | 法人内部(理事・社員総会) 裁判所(請求又は職権) |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾も法人清算は董事が担うのが原則で、会社については清算人を定められないとき利害関係人の申請で法院が選派する仕組みがある
韓国民法は本条とほぼ同じ文言で、職権または利害関係人・検察官の請求による清算人選任を定める
ドイツでは清算人(Liquidatoren)は原則として理事会が務め、欠けた場合は区裁判所による緊急選任の仕組みがある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 閉院したクリニックで働いていた看護師のあなたには、最後の二か月分の給与が支払われていない。理事長は急逝し、ほかの理事は名義を貸していただけの親族で、連絡しても「自分は関係ない」の一点張りである。賃金請求権の時効は3年で、すでに1年が過ぎた。何もしない一日一日が、取り戻せる金額を削っていく
- もし、医療機器のリース会社であるあなたの取引先の医療法人が解散し、清算人だった理事まで病気で亡くなったら、どうなるか。機器は院内に置かれたままで、建物のオーナーは明け渡しを迫っている。放っておけば機器が処分され、損害が出るおそれがある。まさに本条の「清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるとき」に当たる
- 亡くなった父の医療法人で、あなたは名前だけの理事だった。清算人の役から逃げても、空いた席は債権者の申立てで裁判所が埋める。放置しても、面倒からは逃げられない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 法務局で医療法人の登記事項証明書を取り、解散の登記と清算人の記載を確認する2. 契約書、給与明細、請求書など、自分の債権を裏付ける資料をそろえる3. 預金口座、未収の診療報酬、医療機器、敷金など、法人に残っていそうな財産を分かる範囲でメモしておく4. 主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所に清算人選任を申し立てる。予納金の額は事前に裁判所へ問い合わせる5. 債務超過が明らかなら、清算人選任ではなく破産申立てのほうが早い場合もあるので、弁護士と比べて検討する
訴えられた側:1. 理事だった人やその相続人は、まず自分が56条の3によって清算人になっているかどうかを確認する2. 清算人を引き受けないなら、知っている財産と負債の資料を整理して、後任や裁判所選任の清算人に引き継げる状態にしておく3. 法人の財産を勝手に動かしたり、持ち出したりしない。後で責任を問われる火種になる4. 法人の借金は、原則として理事の相続人個人の借金ではない。ただし、理事長個人が連帯保証をしていた場合は別であり、相続放棄の期限(知った時から3か月、民法915条)と並行して判断する
時効(請求できる期限):本条には固有の期限はない。しかし債権には一般消滅時効(民法166条:権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)が適用され、未払い賃金は3年(労働基準法115条・附則143条、最新の改正状況をご確認ください)である。法人に代表者がいないことを理由に時効の完成を猶予する規定は民法にない。そのため、清算人の選任を待つ間も時効は進むと考えて動くこと
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