医療法 第60条の5
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- 医療法人は、前条第一項の期間内に、その債権者に対し、異議があれば一定の期間内に述べるべき旨を公告し、かつ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなければならない。ただし、その期間は、二月を下ることができない。
- 2.債権者が前項の期間内に吸収分割に対して異議を述べなかつたときは、吸収分割を承認したものとみなす。
- 3.債権者が異議を述べたときは、医療法人は、これに弁済をし、若しくは相当の担保を提供し、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、吸収分割をしてもその債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医療法第60条の5は、日本の医療法に含まれる条文です。
- 医療法第60条の5の条文原文は「医療法人は、前条第一項の期間内に、その債権者に対し、異議があれば一定の期間内に述べるべき旨を公告し、かつ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなけれ…」で始まります。
- 医療法第60条の5は第一目に置かれています。
- 医療法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医療法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 医療法第60条の5の前の条は医療法第60条の4です。
- 医療法第60条の5の次の条は医療法第60条の6です。
- 医療法第60条の5には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第60条の5 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - 本サイト収録
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第60条の5(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000205/60_5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医療法60条の5は、医療法人が吸収分割をするとき、2か月以上の異議期間を定めて公告し、判明している債権者に個別催告するよう義務付ける。異議があれば弁済・担保・信託で対応する。
Q · 取引先の医療法人が分割するとき、債権者は何ができるの?
2か月以上の期間内に異議を出し、弁済や担保を求められる
医療法60条の5により、吸収分割をする医療法人は、債権者に2か月以上の異議申述期間を定めて公告し、判明している債権者には個別に催告しなければなりません。異議を述べた債権者に対しては、弁済、相当の担保の提供、信託会社等への財産の信託のいずれかを行う必要があります。ただし、分割しても債権者を害するおそれがない場合は不要です。期間内に異議を述べなければ、分割を承認したものとみなされます。
解説
病院が二つに分かれるとき、ツケを払ってもらう権利まで二つに割られてしまうかもしれない。医療法人の吸収分割(法人の事業の一部を、別の医療法人に丸ごと引き継がせる手続)では、借金や未払代金も一緒に移せる。そこで本条は、債権者を守る門番を置いた。医療法人は、都道府県知事の認可の通知から2週間以内に「異議があれば申し出よ」と公告しなければならない。さらに、分かっている債権者には一人ずつ個別に知らせる必要がある。異議を出せる期間は最低2か月で、株式会社の会社分割(最低1か月)より長い。ただし、黙っていると分割を承認したものとみなされる。異議を出せば、医療法人は弁済するか、担保を出すか、信託で財産を確保するかを選ばなければならない。例外は、分割しても債権者を害するおそれがない場合だけである。あなたが医療機器のリース会社でも、薬の卸でも、未払い残業代を抱える職員でも、この2か月のあいだにどう動くかで回収できる額が変わる。
法的な位置づけ
医療法第60条の5は、医療法人の吸収分割における債権者異議手続を定める規定である。医療法人は二月以上の異議申述期間を定めて公告し、判明している債権者には各別に催告しなければならない。異議を述べた債権者に対しては、害するおそれがない場合を除き、弁済、相当の担保提供または財産の信託を行う義務を負う。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.催告書・公告から異議の締切日を特定する 届いた「吸収分割に関する催告書」または公告を確認し、異議申述期間の末日、分割当事者の医療法人名、効力発生予定日を書き出す。締切日は社内カレンダーに登録する
- 2.備置き書類で自分の債権の行き先を確認する 医療法60条の4に基づき備え置かれた財産目録・貸借対照表等を閲覧し、自分の債権が分割後にどちらの法人に帰属するか、承継先の財務状況に問題がないかを確かめる
- 3.書面で異議を述べ、希望する対応を明記する 締切前に内容証明郵便などで異議を述べる。弁済、相当の担保提供、信託会社等への信託のうちどれを希望するかを具体的に書き、回答期限も付す
- 4.「害するおそれなし」の主張には根拠資料を求める 医療法人側が本条3項ただし書を理由に対応を拒んだ場合、承継先の資力を示す資料の開示を求め、必要に応じて弁護士に交渉や法的手続を依頼する
よくある質問 AI による整理
Q1医療法人の吸収分割とは何ですか?
医療法人が事業の全部または一部に関する権利義務を、別の既存の医療法人に承継させる組織再編です。平成27年改正で制度化されました。
Q2医療法人の分割で債権者異議の期間はいつまで?
医療法人が定める期間ですが、2か月を下回ることはできません(医療法60条の5第1項)。催告書や公告に記載された締切日を確認してください。
Q3医療法人の分割で個別催告を省略できる?
本条には会社法のような省略規定がありません。公告に加えて、判明している債権者全員に各別の催告を行う必要があります。
Q4債権者異議を出すと分割は止められる?
止められません。異議の効果は、弁済・担保提供・信託のいずれかを受けられることです。分割そのものを差し止める権利ではありません。
Q5債権者異議の申し出方法は?
法律上の様式はありませんが、締切前に内容証明郵便など到達と日付を証明できる書面で出すのが確実です。希望する対応も明記します。
Q6「債権者を害するおそれがない」とはどんな場合?
分割後も弁済が十分見込まれる場合などです。医療法人側がこれを主張するなら、財産目録や貸借対照表など根拠資料の確認が重要です。
Q7医療法人の分割に知事の認可は必要?
必要です。吸収分割には都道府県知事の認可が要り(医療法60条の3)、その認可通知が債権者異議手続のスタート地点になります。
Q8個別催告を受けていない債権者はどうなる?
手続上の瑕疵となりえます。催告が来なかった事実を記録し、分割の効力や承継先への請求について弁護士に相談することが推奨されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1催告書が届いたけど、無視したらどうなるんですか?
期間内に異議を述べなければ、吸収分割を承認したものとみなされます(医療法60条の5第2項)。その後に「承継先に資力がない」と言っても、この手続で担保や弁済を求める道は閉じます。実務のポイント:催告書は定型文で薄く見えるため、経理担当が請求書と一緒に積んでしまいがちです。医療系の取引が多い会社は、「分割」「合併」という語を見たら法務に回すルールを決めておくと、取りこぼしを防げます。
Q2株式会社の会社分割と同じ感覚で手続してもいいですか?
危険です。医療法60条の5では、異議を述べられる期間が最低2か月です。会社法789条の最低1か月より長くなっています。さらに、本条には会社法のように公告方法を工夫して個別催告を省く規定がありません。実務のポイント:会社法に慣れたコンサルタントや司法書士がスケジュールを組むと、1か月で引いた工程表が出てくることがあります。医療法人の組織再編では、工程表の異議期間の欄を最初に確認してください(最新の改正状況をご確認ください)。
間違えやすい点 AI による整理
- 「官報に公告を出せば、個別に連絡しなくてもよい」と考える経営者は多い。会社法では、官報に加えて日刊新聞や電子公告も使えば各別の催告を省ける場面がある。しかし本条には、そのような省略ルートが書かれていない。株式会社の感覚で手続を組むと、医療法人ではそのまま穴になる。
- 異議を出せば分割を止められると思う債権者がいるが、問いの立て方がずれている。本条が債権者に与えるのは、分割を差し止める権利ではない。自分の債権について弁済・担保・信託のどれかを受ける権利である。しかも、分割によって「害するおそれがない」と医療法人側が示せば、それすら受けられない。狙うべきは分割の阻止ではなく、確実な回収である。
- 債権者が見るのは「誰がお金を返すのか」、医療法人が見るのは「どの事業をどこに移すか」。同じ手続でも、両者はまったく違うものを見ている。分割契約で債務が承継先に振られていたら、債権者から見れば請求先が知らないうちに差し替えられるのと同じである。承継先の財務内容を確かめないまま黙っていると、この見え方の差がそのまま損失になる。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 異議申述期間 | 医療法60条の5:2か月以上 | 医療法58条の4:吸収合併時の債権者異議(分割と並行する構造) 会社法789条:株式会社の吸収分割、1か月以上 |
| 個別催告の省略 | 省略規定なし。公告と個別催告の両方が必要 | 合併手続でも公告と個別催告を前提とする構造 官報公告に加え日刊新聞または電子公告をすれば、一定の場合に省略可 |
| 異議を述べた債権者への対応 | 弁済・相当の担保提供・信託。害するおそれがなければ不要 | 合併でも弁済・担保・信託の三択という同型の保護 弁済・相当の担保提供・信託。害するおそれがなければ不要 |
| 手続の起点 | 60条の4第1項の期間(知事の認可通知から2週間)内に公告・催告 | 合併の認可を起点とする 効力発生日までに期間が満了するよう設定 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾では会社分割の債権者保護は公司法が規律し、異議期間は30日以上。医療法人に特化した分割手続の規定は確認できていない
韓国も会社分割時に公告と個別催告を要求し、異議を述べた債権者への弁済・担保提供を定める構造は日本と近い
ドイツは事前の異議手続ではなく、分割後に債権者が担保提供を請求できる事後型の保護を採る点で日本と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先のクリニックグループから「吸収分割に関する催告書」という封書が届いた。中身は定型文で、異議の締切まで残り3週間。開封しないまま放っておけば、分割を承認したものとみなされる。
- 分院を別法人に移すと決めた理事長のあなたが、「公告を出したからもう大丈夫だろう」と考え、帳簿に載っている業者への個別催告を省いた。締切が過ぎたあとで、医療機器の割賦代金を持つメーカーが「催告を受けていない」と言ってきたらどうなるか。手続の瑕疵(手続上の欠陥)を突かれ、分割そのものの効力が争いの的になりかねない。
- 退職した看護師のもとに、元勤務先から催告が届いた。未払いの残業代が、経営の苦しい分院側の法人へ移される設計になっている。ここで異議を出すかどうかで、請求先の資力が大きく変わる。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 催告書と公告を確認し、異議の締切日を特定する。2. 60条の4の備置き書類(財産目録・貸借対照表)を閲覧し、自分の債権が分割後どちらの法人に振られているかを確かめる。3. 締切前に、内容証明郵便などの書面で異議を述べる。弁済・担保提供・信託のうち、何を希望するかも明記する。4. 相手が「害するおそれなし」と主張してきたら、その根拠資料の提示を求める。個別の催告が来なかった場合は、その事実を記録に残しておく。
訴えられた側:1. 認可通知の日から2週間以内に、定款で定めた方法で公告する。同時に、帳簿上判明している債権者すべてに個別催告を送る(リース会社、卸業者、職員も漏らさない)。2. 異議期間は2か月以上とし、会社法の1か月基準で日程を組まない。3. 異議が出たら、弁済・担保・信託のどれで対応するかを早めに決める。「害するおそれなし」で押し通すなら、承継先の財務資料をそろえておく。4. 発送記録はすべて保存する。
時効(請求できる期限):都道府県知事の認可通知から2週間以内(60条の4第1項の期間)に、公告と個別催告を行う。異議を述べられる期間は2か月以上でなければならない。期間内に異議がなければ、承認したものとみなされる(本条2項)。債権そのものには、一般の消滅時効(民法166条、原則として知った時から5年、権利を行使できる時から10年)が適用される。
改正沿革 AI による整理
- 平成27年(2015年)改正、平成28年(2016年)9月施行 医療法人の分割制度の創設にあわせて新設された。吸収分割の際の公告と個別催告、2か月以上の異議期間、異議を述べた債権者への弁済・担保・信託を定めた
改正の年表
- 1.平成27年(2015年) 新設:医療法人の分割制度の創設にあわせ、吸収分割時の公告・各別の催告、2か月以上の異議期間、弁済・担保・信託による債権者保護を定めた。平成28年(2016年)9月施行
- 医療法 第60条吸収分割ができる医療法人の範囲
- 医療法 第60条の3吸収分割の同意手続と知事の認可
- 医療法 第60条の4財産目録等の作成と備置き、異議期間の起点
- 医療法 第58条の4吸収合併時の債権者異議手続、並行する構造
- 会社法 第789条株式会社の吸収分割における債権者異議(最低1か月)
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