医療法 第58条の4
クイックジャンプ
- 医療法人は、前条第一項の期間内に、その債権者に対し、異議があれば一定の期間内に述べるべき旨を公告し、かつ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなければならない。ただし、その期間は、二月を下ることができない。
- 2.債権者が前項の期間内に吸収合併に対して異議を述べなかつたときは、吸収合併を承認したものとみなす。
- 3.債権者が異議を述べたときは、医療法人は、これに弁済をし、若しくは相当の担保を提供し、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等(信託会社及び信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関をいう。)をいう。以下同じ。)に相当の財産を信託しなければならない。ただし、吸収合併をしてもその債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医療法第58条の4は、日本の医療法に含まれる条文です。
- 医療法第58条の4の条文原文は「医療法人は、前条第一項の期間内に、その債権者に対し、異議があれば一定の期間内に述べるべき旨を公告し、かつ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなけれ…」で始まります。
- 医療法第58条の4は第二目に置かれています。
- 医療法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医療法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 医療法第58条の4の前の条は医療法第58条の3です。
- 医療法第58条の4の次の条は医療法第58条の5です。
- 医療法第58条の4には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第58条の4 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - 本サイト収録
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第58条の4(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000205/58_4
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医療法58条の4は、吸収合併する医療法人に債権者への公告と個別催告を義務付け、異議期間を2か月以上とする。期間内に異議がなければ合併承認とみなされる。
Q · 取引先の医療法人から合併の催告書が届いたけど、何もしなかったらどうなるの?
黙れば承認扱い。債権は残るが担保要求の機会を失う
医療法58条の4第2項により、異議期間内に異議を述べなかった債権者は吸収合併を承認したものとみなされます。債権そのものは存続する医療法人に引き継がれるため消えませんが、合併前に弁済や相当の担保提供を求める機会は失われます。異議を述べれば、法人は弁済・担保提供・信託会社等への財産信託のいずれかで応じる必要があります(同条3項)。ただし、合併しても債権者を害するおそれがないときは、この対応は不要です。
解説
二か月。株式会社の合併なら債権者が異議を述べる期間は最短一か月で済むが、医療法人の吸収合併ではその倍が必要になる。医療法58条の4は、合併する医療法人に二つの通知を課している。一つは「異議があれば期間内に申し出よ」という公告、もう一つは把握している債権者一人ひとりへの個別の催告(書面などでの呼びかけ)である。医療機器のリース会社、薬の卸、融資している銀行、未払いの給与がある元職員、医療過誤で損害賠償を求めている患者も、ここでいう「債権者」に入りうる。ここで押さえておくべきことがある。期間内に黙っていれば、あなたは合併を承認したものとみなされる。債権そのものは消えず、存続する法人が引き継ぐ。ただ、「今すぐ払え」「担保を出せ」と要求できる機会はその時点で失われる。異議を述べれば、法人は弁済するか、相当の担保を出すか、信託会社等に財産を信託しなければならない。唯一の抜け道は「債権者を害するおそれがない」場合だ。届いた一枚の通知を読み飛ばすかどうかで、あなたの債権の安全度は変わる。
法的な位置づけ
医療法58条の4は、医療法人の吸収合併における債権者保護手続を定める規定である。法人は異議申出の公告と判明している債権者への各別の催告を行い、異議期間は二か月以上とされる。期間内に異議のない債権者は承認したものとみなされ、異議を述べた債権者には弁済、担保提供または財産の信託で応じる必要がある。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.合併認可の通知日から期限を逆算する 医療法人側は、合併認可の通知日を起点に、前条(58条の3)第1項の期間内に財産目録等の作成と公告・催告を終えるスケジュールを確定する。異議期間は二か月以上で設定する
- 2.判明している債権者リストを確定する 金融機関・リース会社・医薬品卸などの取引先に加え、未払賃金のある元職員や係争中の患者など、法人が把握している債権者を漏れなくリスト化する
- 3.公告と各別の催告を実施する 異議があれば一定期間内に述べるべき旨を公告し、判明している債権者全員に書面等で個別に催告する。発送記録を保存し、催告漏れの有無を再点検する
- 4.債権者は期限内に書面で異議を述べる 催告書を受け取った債権者は、存続法人の財務状況を確認し、不安があれば異議期間内に内容証明郵便などで異議を述べ、弁済または担保提供を求める
- 5.異議への対応方針を決める 医療法人は、異議を述べた債権者ごとに弁済・相当の担保提供・信託会社等への財産信託のいずれで応じるか、または「害するおそれがない」と判断するかを決め、その根拠資料を整える
よくある質問 AI による整理
Q1医療法人の合併 債権者異議とは?
医療法人が吸収合併する際、債権者が合併に異議を述べられる手続です。医療法58条の4が根拠で、法人は公告と判明債権者への個別催告を行う必要があります。
Q2医療法人 合併 異議期間 いつまで?
公告・催告で示された期間までです。この期間は二か月を下ることができません(医療法58条の4第1項ただし書)。株式会社の合併(一か月以上)より長く設定されています。
Q3医療法人の合併公告はどこに出される?
医療法58条の4は公告の方法自体を細かく定めていません。法人の定款等で定める公告方法によるのが一般的で、判明している債権者には別途個別の催告が届きます。
Q4合併の異議申述書はどう書く?
債権者名、債権の内容と金額、合併に異議を述べる旨、求める対応(弁済または担保提供)を記載します。到達日を証明できるよう内容証明郵便で送るのが確実です。
Q5医療法人の合併で債権者が異議を出したら合併は止まる?
止まりません。法人が弁済・相当の担保提供・信託会社等への財産信託のいずれかで応じれば手続は進みます。異議は拒否権ではなく、債権保全を求める手段です。
Q6「債権者を害するおそれがない」とはどんな場合?
合併後の存続法人の資産・収支からみて、弁済が確実に見込まれる場合などをいいます。この場合、異議があっても弁済や担保提供は不要です(同条3項ただし書)。
Q7医療法人の合併で個別催告を省略できる?
本条には、会社法のように官報と日刊新聞等の二重公告で個別催告を省略できる規定がありません。判明している債権者には各別の催告が必要です。
Q8医療過誤の損害賠償請求中でも債権者になる?
法人に対する損害賠償請求権も債権であり、法人が把握していれば「判明している債権者」として個別催告の対象になりえます。異議を述べて担保を求める余地があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1取引先の病院の合併通知、うちの売掛金は数十万円なんですが、わざわざ異議なんて出す意味あります?
異議を出せば、法人は弁済・担保提供・信託のどれかで対応する義務を負います(医療法58条の4第3項)。少額でも、期限内に書面で一通出すだけです。実務のポイント:少額の債権者から異議が出た場合、法人側はその場で全額を払って手続を終わらせることが多いです。合併登記を遅らせるより安いからです。回収が不安な売掛金を早く現金化する正式な機会として使えます
Q2合併のお知らせが来なかったんですけど、僕の債権ってどうなるんですか?
債権自体は存続法人に引き継がれるので消えません。問題は、あなたが「判明している債権者」だったのに個別催告を受けていない場合です。本条1項の手続に欠陥があったことになります。その場合の効果(承認とみなされるか、合併の効力を争えるか)は、実務上解釈が分かれています。実務のポイント:催告漏れは法人側の弱みです。これを指摘すると、法人側は任意に弁済するなど、交渉に応じやすくなる傾向があります
間違えやすい点 AI による整理
- 「異議を出さなければ債権が消える」と恐れる人がいるが、問いの立て方がずれている。承認とみなされても債権は存続法人にそのまま引き継がれる。失うのは債権そのものではなく、合併前に弁済や担保を求められる交渉上の優位である
- 合併の実務では知事の認可が最大の山場と思われがちだが、法人側にとって本当に怖いのは債権者の把握漏れである。個別催告は「判明している債権者」全員が対象で、係争中の患者や退職した職員の未払賃金も含まれうる。会社法のような「官報と日刊新聞の二重公告で個別催告を省略できる」規定は本条には置かれていない。株式会社の感覚で手続を組むと足元をすくわれる
- 経営者の目には「異議を出されたら合併が止まる」と映るが、法律の目から見れば、異議は合併を阻止する拒否権ではない。法人が弁済・担保提供・信託のいずれかで応じれば手続は進む。そもそも債権者を害するおそれがなければ、何もしなくてよい(3項ただし書)。異議は取引条件を見直す交渉材料として働くのであって、合併を止める力はない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定する手続 | 医療法58条の4:債権者異議手続(公告・個別催告・弁済等) | 医療法58条の3:財産目録等の作成、公告期間の起点 会社法789条:株式会社の吸収合併における債権者異議手続 |
| 異議期間 | 二か月以上 | 期間の起点(認可通知の日)を定める 一か月以上 |
| 個別催告の省略 | 省略規定なし(判明債権者全員に各別の催告) | 該当なし 官報+日刊新聞または電子公告の二重公告で省略可 |
| 手続の位置付け | 知事認可後の債権者保護 | 知事認可後の財産状況の開示準備 株主総会決議等と並行する債権者保護 |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾の会社合併では債権者への個別通知と公告を行い、30日以上の異議期間を指定する。医療社団法人の合併に直接対応する規定は要確認
韓国の会社合併では1か月以上の期間を定めて公告・個別催告を行い、異議を述べた債権者には弁済・担保提供等を要する
中国の会社合併では債権者への通知と公告を行い、債権者は弁済または担保提供を求めることができる
ドイツ組織再編法は、合併公示後一定期間内に申し出た債権者に担保提供請求権を認める。事前の異議手続ではなく事後の担保請求型
米国では債権者異議手続は一般になく、存続会社が消滅会社の債務を当然に承継する構成で債権者を保護する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先のクリニックから「吸収合併に関する公告及び催告のお知らせ」という書面が届き、「異議があれば○月○日までに」と書かれていた。放っておいたらどうなるか。期限を過ぎれば合併を承認したものとみなされる(本条2項)。売掛金は存続法人に引き継がれるが、存続法人の財務が弱かった場合でも、あとから「担保を出せ」とは言えなくなる
- 医療法人の事務長として、合併認可の通知を受け取った。財産目録を作り、認可通知の日から数えた期間内に公告と個別催告を終えなければならない。残り10日で債権者リストを確定させるのに、係争中の医療過誤の患者を「債権者」に入れるべきか迷っている。入れ忘れて、あとで手続の瑕疵(手続上の欠陥)として突かれるリスクをどう見積もるか
- 医療機器リース会社の与信担当者が、合併先の法人の決算書に赤字が三期続いていることに気付いた。異議を一通出せば、状況は変わる。
- 開業医の父が理事長を務める医療法人が、近隣の大きな法人に吸収されることになった。親族として、法人の借入金に付けていた個人保証がどうなるのかが一番気になっている。保証契約は合併で自動的には消えない。異議手続と並行して、金融機関との保証の見直し交渉が必要になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 催告書または公告で異議期限を確認し、すぐにカレンダーに入れる2. 存続法人の直近の決算書(事業報告書等は都道府県で閲覧できる場合がある)を取り寄せ、支払能力を確認する3. 不安があれば、期限内に書面で異議を述べ、弁済か担保提供を求める。証拠を残すため内容証明郵便が確実4. 法人から「債権者を害するおそれがない」と反論されたら、その根拠資料の開示を求める5. 個人保証が付いている場合は、保証人の変更についても並行して協議する
訴えられた側:1. 認可通知の日から期間を逆算し、財産目録の作成と公告・催告のスケジュールを固める2. 債権者リストには、取引先・金融機関だけでなく未払賃金のある元職員や係争中の患者も入れる。漏れを防ぐ3. 異議が出た場合に備え、弁済資金・担保にできる物件・信託の三つの選択肢を事前に試算しておく4. 「害するおそれがない」と判断して対応しない場合は、財務資料でその判断を説明できるようにしておく。医療法人の実務に詳しい弁護士・司法書士・行政書士にスケジュールを確認してもらう
時効(請求できる期限):法人側は、合併認可の通知日から前条(58条の3)第1項の期間(2週間)内に公告と個別催告を行う。債権者の異議申出期間は2か月以上でなければならない(本条1項ただし書)。期間内に異議がなければ承認とみなされる(本条2項)(最新の改正状況をご確認ください)
- 医療法 第58条医療法人の吸収合併の根拠規定
- 医療法 第58条の2吸収合併契約・同意・知事認可
- 医療法 第58条の3財産目録作成、公告期間の起点
- 医療法 第59条新設合併の規定(現行効力を要確認)
- 会社法 第789条株式会社合併の同型制度(期間1か月)
- 金融機関の信託業務の兼営等に関する法律 第1条信託先となる金融機関の認可範囲
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める