医療法 第58条の5
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吸収合併存続医療法人は、吸収合併消滅医療法人の権利義務(当該医療法人がその行う事業に関し行政庁の許可その他の処分に基づいて有する権利義務を含む。)を承継する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医療法第58条の5は、日本の医療法に含まれる条文です。
- 医療法第58条の5の条文原文は「吸収合併存続医療法人は、吸収合併消滅医療法人の権利義務(当該医療法人がその行う事業に関し行政庁の許可その他の処分に基づいて有する権利義務を含む。」で始まります。
- 医療法第58条の5は第二目に置かれています。
- 医療法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医療法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 医療法第58条の5の前の条は医療法第58条の4です。
- 医療法第58条の5の次の条は医療法第58条の6です。
- 医療法第58条の5には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第58条の5 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - 本サイト収録
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第58条の5(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000205/58_5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医療法58条の5は、吸収合併で存続する医療法人が、消滅する医療法人の権利義務を包括的に承継すると定める。行政庁の許可に基づく権利義務も承継対象に含まれる。
Q · 医療法人が吸収合併されたら、消えた法人の契約や借金はどうなるの?
存続する医療法人がすべて丸ごと引き継ぎます
医療法58条の5により、吸収合併存続医療法人は吸収合併消滅医療法人の権利義務を包括的に承継します。職員との雇用契約、取引代金の債務、係争中の医療過誤の賠償責任、リース契約などは、個別の移転手続なしで存続法人へ移ります。括弧書きにより病院開設許可など行政庁の処分に基づく権利義務も承継対象です。ただし保険医療機関の指定は健康保険法上の別制度で、扱いは地方厚生局への確認が必要です。
解説
病院の看板も、受付の顔ぶれも、翌朝の外来予約も変わらない。それでも吸収合併の登記が済んだ日から、その病院を経営する法人は別の法人になっている。医療法58条の5は、消えた医療法人の権利義務を、合併後も残る医療法人(存続法人)がまとめて引き継ぐと定める。これを「包括承継」(一つずつ移す手続を踏まず、丸ごと移ること)という。職員との雇用契約、未払いの取引代金、係争中の医療過誤の賠償責任、リース契約まで、すべてが自動的に移る。見落とされやすいのが括弧書きだ。行政庁の許可その他の処分に基づく権利義務も承継の対象に含まれる。つまり病院の開設許可のような行政上の地位も、原則として新たに取り直す必要がない。ただし、保険診療に必要な保険医療機関の指定を別途申請し直す必要があるかどうかは、地方厚生局の運用に左右される。あなたが消滅側の法人に対して債権を持つ患者や取引先なら、請求先は存続法人に変わるが、請求権そのものは消えない。存続側の理事なら、帳簿に載っていない債務も一緒に抱え込むことになる
法的な位置づけ
医療法58条の5は、医療法人の吸収合併における権利義務の包括承継を定める規定である。吸収合併存続医療法人は、吸収合併消滅医療法人の権利義務を個別の移転手続を経ずに一括して承継し、その対象には消滅法人が事業に関し行政庁の許可その他の処分に基づいて有する権利義務も含まれる。
よくある質問 AI による整理
Q1医療法人の吸収合併とは何ですか?
既存の医療法人の一方が存続し、もう一方が消滅して存続法人に吸収される合併です。消滅法人の権利義務は医療法58条の5により存続法人が包括承継します。
Q2医療法人の合併に都道府県知事の認可は必要?
必要です。医療法人の合併は都道府県知事の認可を受けなければ効力を生じません。認可の前に社員総会や理事会などの内部手続も求められます。
Q3医療法人の合併 債権者はいつまでに異議を出せる?
合併に際して公告・催告される一定の期間内に異議を述べる必要があります。期間を過ぎると合併を承認したものとみなされるため、公告の確認が重要です。
Q4病院が合併したらカルテはどうなる?
診療録の保存義務は存続法人に引き継がれます。合併後に開示を求める場合、請求先は存続法人であり、前の法人の記録であることを理由に拒むことはできません。
Q5医療法人が合併したらリース契約は結び直し?
結び直しは不要です。リース契約上の地位は包括承継で存続法人へ自動的に移ります。ただし担保や連帯保証人の扱いはリース会社と個別に確認が必要です。
Q6合併した医療法人は過去の診療報酬の返還義務も負う?
負います。消滅法人が不正・誤請求した診療報酬の返還義務も権利義務の一部として存続法人が承継します。合併前のレセプト監査が欠かせない理由です。
Q7医療法人 合併後 労働条件の変更は違法?
合併を理由に一方的に引き下げることはできません。雇用契約はそのまま承継されるため、変更には労働者の同意か合理的な就業規則変更の手続が必要です。
Q8医療法人の合併の効力はいつ発生する?
存続法人の主たる事務所所在地で合併の登記をした時に効力が生じます。権利義務の包括承継もこの時点で起こるため、登記日が実務上の基準日になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1病院が合併したら、今まで働いた年数ってリセットされるんですか?
リセットされない。医療法58条の5により雇用契約は存続法人へ包括承継されるので、勤続年数も有給休暇の残日数も原則として引き継がれる。実務のポイント:合併直後に「新法人との雇用契約書」への署名を求められることがあるが、その中に勤続年数の起算日を合併日に変える一文が紛れ込んでいないか確認すること。サインした時点で、その内容に同意したと扱われるおそれがある
Q2合併先の病院に、前の法人の医療ミスの責任を問えますか?
問える。医療法58条の5は消滅法人の権利義務を包括的に承継させており、損害賠償債務もその中に含まれる。訴訟中であれば、存続法人が当事者の地位を承継する。実務のポイント:存続法人は合併時の精査でこうした係争を把握しており、合併契約で消滅法人側の旧経営者に補償を求めていることが多い。存続法人が早期和解に応じやすい背景には、この社内の損失負担の取り決めがある
Q3開設許可は引き継げるのに、保険診療は止まるって本当ですか?
開設許可のような行政処分に基づく地位は、本条の括弧書きにより承継される。これに対して保険医療機関の指定は健康保険法に基づく別の制度で、開設者の変更にあたって改めて指定申請を求める運用がある。実務のポイント:実務では、遡及して指定を受ける扱いで保険診療の空白を防ぐことが多い。ただし申請の時期を誤ると遡及が認められない危険があるため、合併の日程が固まった段階で所管の厚生局に事前相談しておくのが定石だ
間違えやすい点 AI による整理
- 合併すれば過去の問題はリセットされると考える人は多いが、実際は逆だ。消滅法人の債務、係争中の訴訟、過去の診療報酬の返還義務まで存続法人が背負い込む。事業譲渡のように引き継ぐ範囲を選ぶことはできない
- 包括承継だから行政手続は一切不要という理解は浅い。括弧書きで許可に基づく地位は承継されるが、合併そのものに都道府県知事の認可が必要で、合併後も開設者変更に伴う届出が求められる。さらに保険医療機関の指定を取り直す必要があるかどうかは地方厚生局の運用次第であり、実務上もっとも事故が起きやすいのはここだ(最新の運用は所管の厚生局に確認すること)
- 職員の側からは「会社が変わったのだから再雇用の手続があるはず」と見えるが、法律の上では雇用契約はそのまま存続法人に移っている。この認識のずれを放置すると、年次有給休暇の日数や勤続年数の通算で、職員が本来持っている権利を自分から手放すことになりかねない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 合併の形態 | 医療法58条の5:吸収合併(既存の医療法人が存続) | 医療法59条の5:新設合併(新たな医療法人を設立、現行条番号は要確認) 会社法750条:株式会社の吸収合併 |
| 承継の範囲 | 消滅法人の権利義務全部。行政庁の許可その他の処分に基づく権利義務を括弧書きで明記 | 消滅する全法人の権利義務を新設法人が包括承継 消滅会社の権利義務を存続会社が承継 |
| 効力発生の基準 | 存続法人の主たる事務所所在地での合併登記 | 新設法人の設立登記 合併契約で定めた効力発生日 |
| 事前の公的関与 | 都道府県知事の認可+債権者保護手続 | 都道府県知事の認可+債権者保護手続 行政庁の認可は原則不要(株主総会決議+債権者保護手続) |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾でも合併による消滅会社の権利義務は存続会社が承受する。医療社団法人の合併については医療法の個別規定の確認が必要
韓国商法も合併後の存続会社による権利義務の承継を定める。医療法人の合併については明文規定の整備状況を要確認
中国民法典は法人一般について、合併後の法人が権利義務を享有・負担すると定め、法人類型を問わない総則規定としている
ドイツ組織再編法は合併の登記により財産が債務を含めて存続主体へ移転する全部承継(Gesamtrechtsnachfolge)を定める
米国デラウェア州法も合併後の存続会社が消滅会社の権利・財産・債務を承継すると定める。医療機関の免許の扱いは州ごとに異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 勤めていたクリニックが近くの大きな医療法人に吸収された。新しい就業規則を渡され、退職金の計算方法も変わると言われた。ただ、あなたの雇用契約は包括承継でそのまま移っており、合併を理由に労働条件を一方的に引き下げることはできない。変更には原則として同意か、合理的な就業規則変更の手続が必要だ
- もし、去年受けた手術のミスで損害賠償を請求していた病院が、係争中に合併で消えたら? 相手は存続法人に切り替わるだけで、請求は続けられる。訴訟中であれば、存続法人が当事者の地位を引き継ぐ形で手続が進む
- あなたは存続側医療法人の事務長。合併契約の調印まであと二週間しかない。相手法人の過去の診療報酬請求に不正が見つかれば、その返還義務も承継対象になりうる。レセプトの抜き取り監査を今週中に始めないと間に合わない
- 医療機器のリース会社の担当者として、合併の知らせを受け取った。契約上の地位は自動的に存続法人へ移るため、新たに契約を結び直す必要はない。確認すべきは、担保や連帯保証人の扱いがどう変わるかだ
- 院長の高齢化で後継者がいない地方のクリニック。持分の買取りでも事業譲渡でもなく吸収合併を選べば、開設許可も雇用もそのまま移せる。ただし相手法人は、あなたの法人の過去の債務も含めてすべてを引き受けることになる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 消滅法人に対する請求(未払い賃金、医療過誤の賠償、取引代金)は、存続法人を相手方として継続できると理解する2. 合併の公告を確認し、債権者異議の申述期間内であれば、書面で異議を述べて弁済や担保の提供を求める3. 係争中の事件は、当事者が承継されたことを裁判所の手続で確認する4. 職員であれば、合併前の雇用契約書、就業規則、給与明細を保全し、不利益な変更には安易に同意しない
訴えられた側:1. 合併契約の締結前に、消滅法人の簿外債務、係争案件、過去の診療報酬請求の適否、労務の未払いを精査する2. 都道府県知事への認可申請と債権者保護手続のスケジュールを逆算して組む3. 開設者変更に伴う届出と、保険医療機関の指定の扱いを事前に地方厚生局と協議し、保険診療が途切れる期間をつくらない4. 職員への説明会を開き、労働条件の変更は同意の取得または合理的な就業規則変更の手続で行う
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。承継した債権債務には一般消滅時効(民法166条、権利を行使できると知った時から5年または権利を行使できる時から10年)が適用される。人の生命・身体侵害による損害賠償請求は、損害と加害者を知った時から5年である(民法724条の2)。合併の効力は存続法人の主たる事務所所在地での登記によって生じる。債権者異議の申述期間や、合併後の各種変更届の期限は、医療法および施行規則の定めによる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:医療法人の合併による承継は会社の合併と同様の包括承継であり、消滅法人の権利義務は相手方の個別同意なく存続法人へ移転する。承継範囲の選択はできず、簿外債務も承継対象に含まれる。
改正沿革 AI による整理
- 平成27年(2015年)改正(要検証) 医療法人の分割制度の創設にあわせて合併規定が吸収合併と新設合併に整理され、承継規定が現行の条番号に置かれたとみられる。改正年と改正前の条番号は人的検証が必要
- 医療法 第58条医療法人の吸収合併の根拠規定
- 医療法 第58条の2吸収合併契約と知事認可(現行効力を要確認)
- 医療法 第59条の5新設合併における権利義務承継(現行効力を要確認)
- 医療法 第7条承継対象となる病院開設許可
- 健康保険法 第65条保険医療機関指定の申請、承継外の手続
- 会社法 第750条株式会社吸収合併の効力、対比規定
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