医療法 第79条
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前二条の罪の未遂は、罰する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医療法第79条は、日本の医療法に含まれる条文です。
- 医療法第79条の条文原文は「前二条の罪の未遂は、罰する。」で始まります。
- 医療法第79条は第九章に置かれています。
- 医療法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医療法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 医療法第79条の前の条は医療法第78条です。
- 医療法第79条の次の条は医療法第80条です。
- 医療法第79条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第79条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - 本サイト収録
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第79条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000205/79
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医療法79条は、前二条が定める医療法人役員等の特別背任罪について、未遂も処罰すると定める。財産上の損害が生じる前でも、実行に着手すれば犯罪が成立しうる。
Q · 医療法人の理事長が身内の会社に高値で発注しかけて、支払い前に止まったら罪にならないの?
着手していれば、損害ゼロでも未遂罪になりうる
医療法79条は、前二条の医療法人役員等による特別背任罪について未遂も処罰すると定めています。刑法44条により、未遂は条文で定めた場合にだけ処罰されます。本条があるため、契約締結や振込指示など実行に着手していれば、支払い前に発覚して法人に損害が出なくても犯罪が成立しえます。刑の減軽は裁判所の裁量であり、必ず減免されるのは自分の意思でやめた中止未遂(刑法43条ただし書)に限られます。
解説
医療法人の金が実際には一円も減っていなくても、刑事事件になりうる。条文はわずか十数文字だが、医療法人の理事長や理事にとっての意味は重い。前二条(第77条・第78条)は、医療法人などの役員等が自分や身内の利益を図る目的、または法人に損害を与える目的で任務に背く行為をした罪を定めている。いわゆる特別背任の類型である。本条は、その犯行が途中で止まった場合、つまり「未遂」(犯罪の実行に取りかかったが、結果までは至らなかった状態)も処罰すると宣言している。日本の刑法は、未遂を罰するには条文の明記が必要という立場をとる(刑法44条)。だから本条がなければ、「損害が出る前に発覚したのだからセーフ」という逃げ道が残っていた。理事長一族の会社に相場の三倍で清掃を発注する契約書に判を押した時点で、まだ支払いが済んでいなくても、すでに一線を越えている可能性がある。発覚のタイミングは運の問題にすぎず、罪の成否には関係しない。
法的な位置づけ
医療法79条は、医療法人の役員等が自己もしくは第三者の利益を図り、または法人に損害を加える目的で任務に背く行為を処罰する前二条の罪について、未遂を処罰の対象とする規定である。刑法44条が求める各本条の明文規定にあたり、処罰の時点を財産上の損害の発生から実行の着手まで前倒しする機能を持つ。
よくある質問 AI による整理
Q1医療法人の特別背任とは何ですか?
医療法人の役員等が、自己や第三者の利益を図る目的または法人に損害を加える目的で任務に背き、法人に財産上の損害を与える罪です。刑法の背任罪より重い特則です。
Q2医療法79条 未遂 どこから?
未遂は犯罪の実行に着手した時点から成立します。社内での検討段階では足りず、契約締結や振込指示など、損害発生の具体的危険が生じる行為に移ったかが争点になります。
Q3医療法人 理事長 身内 取引 違法?
身内企業との取引そのものは直ちに違法ではありません。相場から外れた条件で図利・加害の目的があり、任務に背く場合に特別背任やその未遂が問題になります。
Q4特別背任の未遂 刑は軽くなる?
未遂の減軽は刑法43条本文により裁判所の任意です。必ず軽くなるわけではありません。自分の意思でやめた中止未遂だけが必要的に減軽または免除されます。
Q5医療法人の監事は不正に気付いたらどうすべき?
契約書や稟議書、メールなどの証拠を保全し、理事会で書面により異議を述べて議事録に残すのが基本です。そのうえで刑事告発や責任追及を弁護士と検討します。
Q6クリニックを医療法人化すると刑事リスクは変わる?
変わります。法人化すると院長は医療法人の理事となり、法人財産を私的に流用すると医療法の特別背任罪やその未遂の対象になりえます。個人事業主時代の感覚は通用しません。
Q7医療法人の特別背任 時効は何年?
公訴時効は犯罪行為が終わった時から起算し、法定刑の上限で期間が決まります(刑事訴訟法250条・253条)。未遂も既遂と同じ法定刑を基準に計算します。
Q8経理担当者も特別背任の共犯になる?
事情を知りながら不正な支払いに手を貸せば、身分のない者でも共犯となりうる余地があります(刑法65条)。指示を受けても不審な振込は実行前に上長や監事に相談すべきです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1お金が実際には出ていってないのに、なんで犯罪になるんですか?
医療法79条が、前二条の罪(医療法人の役員等の特別背任)について、未遂も処罰すると明記しているからである。刑法44条により、未遂は条文に定めがある場合にだけ処罰される。本条がその定めにあたる。実務のポイント:実務で争点になりやすいのは「どの時点で実行に着手したか」である。社内での検討段階なのか、契約締結なのか、振込指示なのか。この線引きで未遂の成否が分かれうるため、時系列の記録が勝負を分ける
Q2途中で思い直してやめた場合でも、罪になるんですか?
未遂犯は成立しうる。ただし、自分の意思で犯行をやめたと認められれば中止未遂となり、刑は必ず減軽または免除される(刑法43条ただし書)。発覚しそうになって慌てて撤回した場合は、任意性が否定されやすい。実務のポイント:中止の任意性は「外部からの障害がなくても、自分でやめたか」で判断される。監事の指摘や税理士の指摘を受けて撤回したのか、それより前に自発的にやめたのか。この違いが記録に残っているかどうかで結論が変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 「実害がないなら刑事事件にはならない」という感覚は、民事の損害賠償の発想である。刑事では、本条がある以上、法人に損害が出なくても処罰の対象になる。民事で請求されるものがなくても、刑事の土俵は残る
- 未遂なら罪は軽いと分かっている人は多い。だが、その軽さの中身を知る人は少ない。刑法43条本文による減軽は裁判所の「任意」であり、必ず軽くなるわけではない。確実に刑が減軽または免除されるのは、自分の意思で犯行をやめた「中止未遂」(同条ただし書)に限られる。発覚して止められた場合は、原則としてこれにあたらない
- 「医療法は病院の開設基準や広告規制を定めた行政の法律だから、刑事罰は関係ない」と考えるのは視角のずれである。医療法人の役員から見れば、医療法は許認可の手続ルールにすぎない。しかし法律の側から見ると、医療法人は公益性の高い非営利法人(剰余金の配当は禁止、医療法54条)であり、その財産を食い物にする行為は、刑法の一般背任より重い特則で裁かれる対象である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処罰される段階 | 医療法79条:実行の着手があれば、損害の発生前でも処罰(未遂) | 医療法77条・78条:任務違背により財産上の損害が生じた既遂 刑法250条:一般の背任罪(247条)の未遂を処罰 |
| 主体 | 前二条の主体(医療法人の役員等)に限られる | 医療法人の役員等(前二条所定の者) 他人のためにその事務を処理する者一般 |
| 刑の減軽 | 刑法43条本文により任意的減軽、中止未遂は必要的減免 | 既遂のため未遂減軽なし 刑法43条本文により任意的減軽、中止未遂は必要的減免 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾の背信罪も第2項で未遂を処罰する。医療法人役員に特化した特則はなく、一般の背信罪で対応する
韓国も背任罪の未遂を処罰する。業務上背任は加重類型として別に定められている
ドイツの背任罪(Untreue)は未遂処罰規定を持たない。損害発生前の段階で処罰する日本医療法の設計とは対照的である
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 理事長が、自分の妻が経営する不動産会社から、クリニックの新しい分院用の土地を相場より大幅に高い価格で買う契約を結んだ。決済日の前に監事が気付いて契約は白紙に戻った。医療法人の損害はゼロである。それでも、前二条の罪の未遂として捜査の対象になりうる
- もし、経理を担当するあなたが、理事から「この請求書、今月中に振り込んでおいて」と実体のない医療機器のコンサル料の支払いを指示されたら、どうなる? 振込ボタンを押す前に止めても、理事の側は未遂の嫌疑を免れないかもしれない。あなた自身も、事情を知りながら手を貸せば共犯の問題が生じうる(刑法65条)
- 事業承継でもめている医療法人。前理事長派の理事が、退任前に法人所有の高額な医療機器を知人の業者へ安く売り渡す手続を進めていた。新理事長の就任まで残り一週間。搬出の前夜に新体制側が差し止めた。損害は出ていないが、刑事告発のカードは消えていない
- 監事として理事会の議事録を読んでいたら、不自然な関連当事者取引が一件だけ紛れていた。まだ実行されていない。黙っていれば見逃したことになり、指摘すれば未遂の段階で止められる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 医療法人側(他の理事・監事・評議員)として不正な取引の準備に気付いたら、まず契約書・稟議書・メール・振込予約の画面を保全する2. 理事会で書面により異議を述べ、議事録に残す3. 実行を止めたうえで、刑事告発と役員の責任追及(医療法47条の損害賠償責任、現行条文を要確認)のどちらを使うか、弁護士と検討する4. 所轄の都道府県への報告の要否も確認する
訴えられた側:1. 取引がまだ完了していないなら、自分の意思でただちに撤回する。中止未遂であれば刑が必ず減軽または免除される(刑法43条ただし書) 2. 取引の相当性を示す資料(相見積もり、市場価格、理事会の承認手続)を集める3. 図利・加害の目的がなかったこと、つまり法人の利益のための経営判断だったことを客観的な資料で説明できるか、刑事弁護人と早期に詰める4. 捜査機関から連絡があった段階で、供述前に弁護人に相談する
時効(請求できる期限):公訴時効は、犯罪行為が終わった時から起算する(刑事訴訟法253条)。前二条の法定刑の上限が拘禁刑7年であれば、時効期間は5年である(同法250条2項5号)。未遂も既遂と同じ法定刑を基準に計算する。法人内部での役員の責任追及は、別途民事の時効による(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:未遂処罰には各本条の明文が必要とする刑法44条の原則のもと、本条は特別背任の処罰時期を実行の着手まで前倒しする。図利加害目的と任務違背という前二条の要件は未遂でもそのまま要求される
- 医療法 第77条未遂処罰の対象となる前二条の罪(現行効力を要確認)
- 医療法 第78条未遂処罰の対象となる前二条の罪(現行効力を要確認)
- 医療法 第54条剰余金配当禁止、非営利性の保護法益
- 医療法 第47条役員等の法人に対する民事賠償責任(現行効力を要確認)
- 刑法 第43条未遂減軽と中止未遂の必要的減免
- 刑法 第44条未遂処罰は各本条で定める原則
- 刑法 第247条一般の背任罪、前二条はその特則
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