医療法 第90条
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- 法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの(以下この条において「人格のない社団等」という。)を含む。以下この項において同じ。)の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第八十五条の二、第八十七条、第八十七条の二又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。
- 2.人格のない社団等について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医療法第90条は、日本の医療法に含まれる条文です。
- 医療法第90条の条文原文は「法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの(以下この条において「人格のない社団等」という。」で始まります。
- 医療法第90条は第九章に置かれています。
- 医療法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医療法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 医療法第90条の前の条は医療法第89条です。
- 医療法第90条の次の条は医療法第91条です。
- 医療法第90条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第90条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - 本サイト収録
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第90条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000205/90
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医療法90条は、従業者等が業務に関して所定の罰則に違反したとき、行為者に加え法人や開設者個人にも罰金刑を科す両罰規定。監督に過失がなければ免責されうる。
Q · クリニックの職員が勝手に違法な広告を出したら、医療法人も罰せられるの?
はい、業務主として法人も罰金刑の対象になりえます
医療法90条1項により、従業者が法人の業務に関して同法85条の2、87条、87条の2又は89条の違反行為をした場合、行為者本人に加えて、その法人又は個人の開設者にも各本条の罰金刑が科されます。判例は、業務主が従業者の選任・監督について過失がなかったことを証明すれば免責されうると解しています(最大判昭和32年11月27日)。院長が知らなかったというだけでは足りず、監督の記録が防御の鍵になります。
解説
クリニックの SNS 担当者が、院長に相談せずにビフォーアフター写真付きの広告を出した。罰せられるのは担当者だけではない。医療法90条は、従業者が「業務に関して」違反をしたとき、行為者本人に加えて、その医療法人や開設者個人にも罰金刑を科すと定めている。いわゆる両罰規定である。刑事罰は本来、実際に行為をした人にしか科されない。この条文はその原則に例外を設け、組織そのものを被告人の席に座らせる。判例は、業務主が従業者の選任・監督に過失がなかったことを証明できれば処罰を免れると解している(最大判昭和32.11.27)。したがって「部下が勝手にやった」は言い訳にならない。通用するのは、監督していたことを示す記録だけである。院内規程、広告のチェック記録、外注先との契約書が、いざというときあなたの組織を守る唯一の盾になる。さらに2項により、法人格のない任意団体(人格のない社団等)も同じように被告人になりうる
法的な位置づけ
医療法第90条は、法人(人格のない社団等を含む)又は人の代表者・代理人・使用人その他の従業者が、その業務に関して同法所定の罰則規定に違反した場合に、行為者に加えて業務主である法人又は人にも罰金刑を科す両罰規定である。第2項は、人格のない社団等が被告人となる場合の代表者と刑事訴訟法規の準用を定める。
よくある質問 AI による整理
Q1両罰規定とは何ですか?
従業者が業務に関して違反行為をしたとき、行為者本人だけでなく、雇い主である法人や個人事業主にも罰金刑を科す規定です。医療法では90条が定めています。
Q2医療法の両罰規定の対象になる違反は?
医療法90条1項が列挙する85条の2、87条、87条の2、89条の違反行為です。各条の具体的な構成要件は、e-Gov で現行条文を確認してください。
Q3両罰規定で法人に懲役(拘禁刑)は科される?
科されません。法人に身体刑は執行できないため、90条が法人・業務主に科すのは各本条の罰金刑に限られます。行為者本人には各本条の刑が科されます。
Q4個人開設のクリニックも両罰規定の対象?
対象になりえます。90条1項は「法人又は人」と定めており、個人が開設者である場合、その個人も業務主として罰金刑を科されうります。
Q5両罰規定で法人が免責されるのはどんな場合?
判例上、業務主が従業者の選任・監督について相当の注意を尽くし、過失がなかったことを証明した場合です。事前の規程や承認記録が証拠になります。
Q6任意団体も医療法で罰せられる?
代表者又は管理人の定めがある人格のない社団等は、90条1項で法人と同様に扱われ、罰金刑の対象になりえます。訴訟では代表者等が団体を代表します。
Q7両罰規定の罰金はいくら?
90条自体に金額の定めはなく、違反した各本条の罰金刑がそのまま法人等に科されます。金額は各本条の法定刑を確認する必要があります。
Q8法人が被告人のとき、裁判には誰が出る?
法人の代表者が訴訟行為を代表します(刑事訴訟法27条)。人格のない社団等の場合は、90条2項により代表者又は管理人が代表します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1院長が全然知らなかった違反でも、クリニックが罰せられるんですか?
罰せられる可能性がある。90条1項は、従業者が業務に関して違反をしたとき、法人や開設者個人にも罰金刑を科す。判例上、業務主は選任・監督に過失がなかったことを証明すれば免責されうる(最大判昭和32.11.27)。実務のポイント:実務では「知らなかった」はほぼ評価されない。評価されるのは、日付入りの広告チェック記録や外注先への指示書といった、事件が起きる前から存在していた書面である
Q2広告を作ったのは外部の代理店なのに、責任はうちなんですか?
代理店の社員が行為者になり、その代理店も業務主として90条の対象になりうる。一方で、医療機関の従業者が掲載を指示・承認していれば、医療機関側も問われうる。実務のポイント:「代理店に任せていた」は、監督を放棄していた証拠と受け取られるおそれがある。代理店との契約書に医療広告ガイドラインの遵守と事前承認の手順が書かれているかが、双方の防御の分かれ目になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「刑事罰は悪いことをした本人だけのもので、法人には関係ない」と思っている経営者は多い。両罰規定はまさにその常識を破るために存在する。医療法人は、理事長が何も知らなくても罰金刑の被告人になりうる
- 両罰規定があることは知っていても、その重みを軽く見ている人が多い。罰金額そのものは大きくなくても、法人が有罪判決を受けたという事実は、行政処分や報道、取引先や金融機関の審査に跳ね返る。本当のコストは罰金額の外側にある
- 「部下の暴走を防ぐにはどうすればいいか」という問い方そのものが、的を外していることがある。法的に問われるのは暴走を完全に防げたかどうかではない。相当の注意をもって選任・監督していたことを証明できるかどうかである。問うべきは「監督の証拠は残っているか」である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処罰される者 | 医療法90条:業務主である法人・人格のない社団等・個人(行為者処罰に加えて) | 各本条(87条・89条等):違反行為をした行為者本人 医療法6条の5:刑罰規定ではなく広告の行為規範(違反の源泉) |
| 科される刑 | 各本条の罰金刑のみ | 各本条の法定刑(条文により異なる、現行効力を要確認) 本条自体に刑はなく、罰則条項を通じて処罰 |
| 責任の根拠 | 従業者の選任・監督上の過失(判例上推定され、反証で免責の余地) | 行為者自身の故意による違反行為 何人も対象となる広告規制への違反 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の医療法は罰鍰(行政罰)中心で、第115條が罰鍰を負責醫師又は醫療法人に帰属させる。刑事罰の両罰は著作權法等の個別法に置かれ、日本と同じ個別法方式をとる
韓国医療法も両罰規定を置く。韓国憲法裁判所が免責規定のない両罰規定を責任主義違反とした流れを受け、相当の注意と監督を尽くした場合の免責但書が明文化されている
ドイツは法人に刑罰を科さず、秩序違反法上の過料で対応する。監督義務違反(§ 130)を介して組織責任を問う構造で、日本の刑事罰方式とは異なる
米国連邦法では respondeat superior により従業員の職務上の犯罪が法人に帰属する。監督上の無過失による免責の枠組みは日本ほど明確でない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 美容クリニックの広報担当が、集客のためインスタグラムに症例写真と「痛みゼロ」の文言を投稿した。院長は知らなかった。捜査が入れば担当者は行為者として、医療法人は90条により業務主として罰金刑の対象になる。院長が監督体制を証明できるかどうかで、法人の運命が分かれる
- 広告代理店の社員であるあなたは、クライアントの歯科医院のために、体験談を並べた LP を作った。医療広告の規制は「何人も」を名宛人にしているため、医療機関の職員でなくても行為者になりうる。そして、あなたの勤める代理店も両罰規定で業務主として問われうる
- もし、事務長が理事長に黙って違反行為をしていたら、法人は責任を免れるのか? 免れるのは、選任・監督に過失がなかったと法人側が証明できた場合に限られる。証明責任は実質的に法人側にある
- 保健所から広告の是正指導が届いた。回答期限まであと2週間。この段階で院内の広告承認フローを文書化し、違反物を撤去して記録を残すかどうかで、刑事手続に進んだときの法人の防御力がまったく違ってくる
取るべき行動
被害を受けた側:誇大な医療広告を信じて施術を受け、被害に遭った場合:1. 広告の画面を URL と日時が分かる形で保存する2. 管轄の保健所または厚生労働省の医療広告ネットパトロールに情報提供する3. 施術被害の賠償は刑事手続とは別に民事で請求する(民法709条、415条)。法人が両罰で有罪になった記録は、民事で過失を立証する材料として役立ちうる
訴えられた側:法人・開設者として問われた場合:1. 行為者個人の弁護と法人の弁護は利害が対立しうるため、弁護人を分けることを検討する2. 院内規程、研修記録、広告承認フロー、外注契約書など、選任・監督に過失がなかったことを示す資料を即座に保全する3. 違反物を撤去し、是正の経過を時系列で記録する。起訴・不起訴の判断や量刑に影響しうる
時効(請求できる期限):両罰規定による法人への罰金刑の公訴時効は、罰金刑を基準に3年と解されるのが一般的である(刑事訴訟法250条2項6号)。起算点は犯罪行為が終わった時点で、広告の掲載が続いている間は時効が進行しないと扱われうる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
過失推定説(判例・通説):業務主の処罰根拠は従業者の選任・監督上の過失にあり、両罰規定はその過失を推定したもの。業務主は無過失を証明して免責されうるため、責任主義に反しないと説明される
無過失責任説(旧説):業務主は従業者の違反について過失の有無を問わず責任を負うとする見解。責任主義に反するとの批判を受け、昭和32年大法廷判決以降は判例上採られていない
- 医療法 第87条両罰の対象となる罰則本条(現行効力を要確認)
- 医療法 第89条「前条」として両罰の対象となる罰則(現行効力を要確認)
- 医療法 第6条の5広告規制、何人も対象となる違反の源泉
- 刑事訴訟法 第27条法人被告人の訴訟行為は代表者が代表
- 刑法 第8条刑法総則を他の法令の罪に適用
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