弁護士法 第23条の2(報告の請求)
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- 弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。
- 2.弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
この条文の基本情報
報告の請求とは何ですか?
定義報告の請求とは、弁護士法第23条の2に定められた規定で、「弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 弁護士法第23条の2(報告の請求)は、日本の弁護士法に含まれる条文です。
- 弁護士法第23条の2の条文原文は「弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。」で始まります。
- 弁護士法第23条の2は第四章 弁護士の権利及び義務に置かれています。
- 弁護士法の公布日は昭和24年6月10日です。
- 弁護士法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 弁護士法第23条の2の前の条は弁護士法第23条です。
- 弁護士法第23条の2の次の条は弁護士法第24条です。
- 弁護士法第23条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第23条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205 - 本サイト収録
弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第23条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/324AC1000000205/23_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点弁護士法23条の2は、弁護士が所属弁護士会を通じて役所や銀行などに照会し、必要な事項の報告を求められると定める。裁判前でも使えるが、照会先が拒んでも罰則はほぼない。
Q · 弁護士に頼むと、相手の住所や口座を裁判前でも調べられるって本当ですか?
弁護士が弁護士会を通じて役所や銀行に照会できる制度です
弁護士法23条の2により、弁護士は受任事件について所属弁護士会を通じて、公務所又は公私の団体に照会し、必要な事項の報告を求めることができます。裁判を起こす前でも使え、相手の住民票上の住所、銀行口座、勤務先などを合法的に調査できます。ただし弁護士本人が直接照会できるわけではなく、弁護士会が「適当でない」と認めれば拒絶されます。さらに照会された側が報告を拒んでも罰則はほぼなく、強力だが実効性に限界のある調査手段です。
解説
離婚した元配偶者が養育費を踏み倒して行方をくらました。貸した金を返さない相手が口座を隠した。普通なら、相手の居場所も財産も調べようがなくて詰む。だが、あなたが弁護士に頼むと景色が変わる。弁護士法23条の2は、弁護士が所属弁護士会を通じて、役所や銀行、携帯電話会社といった「公務所又は公私の団体」(国や自治体の役所、または民間企業や団体)に照会をかけ、必要な事項の報告を求められると定める。裁判を起こす前でも使える。この一条のおかげで、弁護士は探偵を雇わずに相手の住民票上の住所、銀行口座、勤務先を合法的にたぐり寄せられる。ただし落とし穴が二つある。弁護士本人が直接照会できるわけではなく、弁護士会が「適当でない」と判断すれば拒否される。そして照会された側が報告を拒んでも、現実には罰則がほとんどない。強力だが、刃こぼれもしている武器だ。
法的な位置づけ
弁護士法23条の2は弁護士会照会を定める規定であり、弁護士が受任している事件について所属弁護士会に申し出て、弁護士会が公務所又は公私の団体に照会し、必要な事項の報告を求めることができる制度を規律する。裁判手続外で利用できる調査手段である一方、弁護士会の審査と照会先の任意の協力に依存する点に特徴がある。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.照会したい事項を弁護士に具体的に伝える 「相手のことを調べて」では弁護士会の審査で止まる。住民票上の住所、口座の有無、勤務先、保険加入の有無など、必要な事項を特定して依頼する
- 2.弁護士が申出書を作成し弁護士会が審査・発送 弁護士が申出書を作成、所属弁護士会が「適当か」を審査し、適当と認めれば弁護士会名義で照会先へ発送する。本人が直接照会することはできない
- 3.訴訟前に資産・所在を把握し回収可能性を見極める 回答が届いたら、相手の口座・勤務先・保険の有無を確認し、勝訴後に回収できる財産があるかを訴える前に判断する。判決後に隠されると手遅れになる
- 4.拒否に備え文書送付嘱託など並行手段を準備 照会先が報告を拒む可能性を織り込み、民事訴訟法による文書送付嘱託など照会後の手段を弁護士と並行で詰めておく
よくある質問 AI による整理
Q1弁護士会照会とは何ですか?
弁護士が所属弁護士会を通じて、役所や銀行など公務所・公私の団体に必要な事項の報告を求められる制度です。弁護士法23条の2が根拠で、裁判前でも利用できます。
Q2弁護士会照会を拒否したら罰則はありますか?
罰則はありません。報告義務はあるとされますが、拒否しても弁護士会や依頼者への損害賠償責任は原則生じません(最判平成30.12.21)。
Q3弁護士会照会と個人情報保護法は矛盾しませんか?
矛盾しません。照会への回答は個人情報保護法の「法令に基づく場合」に当たり、第三者提供制限の例外です。照会事項の範囲内なら適法に回答できます。
Q4弁護士会照会で銀行口座は分かりますか?
回答する銀行が増えました。最判平成28.10.18を背景に取引履歴を答える運用が広がりましたが、銀行ごとに対応が分かれます。
Q5弁護士会照会の費用はいくらですか?
弁護士費用に加え、弁護士会への手数料が1件ごとにかかります。金額は弁護士会により異なり、却下される場合もあります。
Q6弁護士会照会に回答する義務はありますか?
法的には報告義務があるとされます。ただし拒否しても罰則や損害賠償責任は原則なく、実効性確保の手段は限定的です。
Q7弁護士会照会で携帯電話の契約者は分かりますか?
携帯電話会社への照会で契約者情報が得られる場合があります。逃げた相手の特定手段の一つですが、会社の対応方針により回答可否が分かれます。
Q8弁護士会照会で前科を答えてもいいですか?
照会事項の範囲を超えて前科を答えると、回答者がプライバシー侵害で訴えられます(前科照会事件・最判昭和56.4.14)。聞かれた範囲に限定すべきです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1弁護士会照会って、相手の銀行残高まで全部分かるんですか?
金融機関によります。口座の有無や取引履歴を回答する銀行が増えましたが、預金者の同意を求めたり拒否したりする銀行もあります。最判平成28年10月18日は銀行に報告義務があると認めましたが、拒否しても弁護士会への損害賠償にはならないと判断しました。実務のポイント:照会への対応方針はメガバンクと地方銀行、ネット銀行で大きく分かれます。だから経験のある弁護士は、相手の口座がありそうな銀行を絞り込んで照会先を選びます。やみくもに照会しても回答率は上がりません
Q2会社に弁護士会照会の書面が届きました。無視したらどうなりますか?
法的には報告義務があるとされますが、拒否しても弁護士会や依頼者への損害賠償責任は原則ありません(最判平成28.10.18、平成30.12.21)。罰則もありません。ただし正当な理由のない拒否は弁護士会から個別に問題視されることがあります。実務のポイント:多くの企業が「個人情報保護のため」と拒否しますが、照会への回答は個人情報保護法27条1項1号の「法令に基づく場合」に当たり第三者提供制限の例外です。つまり照会事項の範囲内なら、答えてもプライバシー侵害にはならず、拒否の法的根拠はむしろ弱い
Q3照会に丁寧に答えたら、逆にこっちが訴えられたって本当ですか?
本当に起こり得ます。最判昭和56年4月14日(前科照会事件)では、京都市が弁護士会照会に応じて個人の前科を回答したことが、本人へのプライバシー侵害の不法行為とされました。照会された範囲を超えて答えると、回答した側が本人から損害賠償を求められます。実務のポイント:だから照会を受けたら「照会事項に厳密に対応する範囲だけ」答えるのが鉄則です。親切心で背景情報や聞かれていない事実を書き足すと、その一行が賠償リスクになる。聞かれたことだけ、過不足なく答える
Q4弁護士に頼まず、自分で照会することはできないんですか?
できません。23条の2は、弁護士が所属弁護士会を通じてのみ使える制度です。流れは、弁護士が申出→弁護士会が適当か審査→弁護士会の名義で照会先へ発送、というものです。本人が直接役所や銀行に「照会する」ことはできません。実務のポイント:照会には弁護士費用と1件ごとの手数料がかかり、弁護士会の審査で却下されることもあります。だから弁護士は、本当に必要な事項を絞って申し出ます。何でもかんでも照会できる魔法の杖ではなく、関所つきの限定ツールだと理解しておくと、依頼するときの期待値を間違えません
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば「弁護士が勝手に他人の個人情報を集める怖い制度」に映るだろう。だが照会される企業や役所から見ると、同じ条文は「答える義務はあるのに、拒否しても罰がない」という、逆向きの顔をしている。同じ23条の2が、立場によって正反対の温度で読まれる。この落差を知らないと、仕掛ける側は過信し、受ける側は怯えすぎる
- 「弁護士に頼めば照会で何でも調べられる」という問いの立て方自体が誤っている。照会できるのは「必要な事項」に限られ、弁護士会が適当でないと判断すれば申出は門前で止まり、照会先が報告を拒めば空振りに終わる。万能ツールではなく、関所と空振りリスクを抱えた条件付きの道具だ
- 「照会が来たら答えればいい」という認識は持っていても、その深刻な裏面を知る人は少ない。照会事項を超えて前科を回答した自治体が、本人からプライバシー侵害で訴えられ敗訴した実例がある(最判昭和56.4.14前科照会事件)。答えること自体ではなく、聞かれた範囲を超えて答えることが命取りになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 主体・経路 | 弁護士法23条の2:弁護士→所属弁護士会→照会先(裁判所を通さない) | 民訴186条(調査の嘱託):裁判所→団体(訴訟係属が前提) 刑訴197条(捜査関係事項照会):捜査機関→団体(捜査が前提) |
| 利用時期 | 受任事件があれば訴訟提起前でも可 | 訴訟係属中のみ 捜査中のみ |
| 拒否への制裁 | 報告義務はあるが拒否しても罰則・賠償なし(最判平成30.12.21) | 裁判所の嘱託でも直接の制裁規定は弱い 捜査の必要性を背景に協力が得られやすい |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には弁護士会照会に直接対応する制度はなく、弁護士は裁判所を通じた文書提出命令や証拠調べで機能を代替する
韓国も弁護士会主導の照会制度はなく、裁判所経由の事実照会(調査の嘱託)で機能的に近い役割を果たす
中国は律師に調査取証権を法定し、関係単位・個人に証拠の提供を求められる。弁護士主導の調査権という点で機能的に近い
米国は訴訟前後のディスカバリーや召喚状で第三者から情報・文書を取得する。範囲が広く、裁判所の関与を前提とする点が日本と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 養育費を払わない元配偶者が引っ越して住所も勤務先も分からない。あなたが弁護士に依頼すれば、市区町村への照会で住民票上の住所を、勤務先への照会で給与差押えの足場を作れる。差押えは相手の現在地が分からなければ動かせない。23条の2はその「現在地を割り出す」第一歩になる
- あなたが会社の人事・法務担当で、ある日見慣れない弁護士会からの照会書が届く。退職した元従業員の在籍期間と給与を答えろという内容だ。答える義務はあるのか、断ったら訴えられるのか、社内の誰に聞いてもはっきりしない。法的には報告義務があるとされるが、拒否しても弁護士会や依頼者への損害賠償責任は原則ない(最判平成28.10.18)。一方で、聞かれていない病歴や前科まで答えると、今度はあなたの側が本人からプライバシー侵害で訴えられる
- 貸金を踏み倒され、相手が口座を空にして雲隠れ。残された時間は債権の消滅時効まで。今すぐ口座と勤務先を押さえないと、勝訴判決を取っても回収する財産が消える
- もし照会で対象者の前科や病歴、宗教まで聞かれたら、答えていいのか? 答えると過剰回答でこちらが訴えられ、断ると報告義務違反を問われる。この板挟みは、照会事項を一字一句確認することでしか抜けられない
- 交通事故の加害者が「任意保険に入っている」と口では言うが書面を出さない。弁護士会照会で保険会社に契約の有無を照会すれば、口約束の真偽が分かり、無保険なら加害者本人の資力を最初から見据えた交渉に切り替えられる
取るべき行動
被害を受けた側:照会を使いたい側として。1. 弁護士に依頼し、知りたい事項を具体的に伝える(住民票上の住所、口座の有無、勤務先、保険加入の有無など)。漠然と「相手のことを調べて」では弁護士会の審査で止まる2. 弁護士が申出書を作成、弁護士会が適当か審査して照会先へ発送3. 訴訟前に資産・所在を把握し、回収可能性と訴える実益を先に見極める4. 相手が報告を拒む可能性も織り込み、文書送付嘱託(民事訴訟法226条)など照会後の手段も弁護士と並行で詰める
訴えられた側:照会を受けた側(企業・役所)として。1. まず照会書の「照会を求める事項」を逐条で確認、求められた範囲を正確に切り出す2. 報告義務はあるとされるが、拒否しても弁護士会・依頼者への損害賠償責任は原則生じない(最判平成28.10.18、平成30.12.21)ことを前提に対応方針を決める3. 回答する場合は照会事項を一文字も超えない。聞かれていない前科・病歴・思想信条を付け足すと、本人からプライバシー侵害で訴えられる(最判昭和56.4.14) 4. 判断に迷う事項は社内法務・顧問弁護士に確認し、回答の根拠と範囲を記録に残す
時効(請求できる期限):23条の2の照会制度自体に期限や時効はない。ただし照会で押さえたい情報源(携帯電話の通信記録、防犯カメラ映像、取引ログ等)には数か月の保存期間があり、動きが遅いと証拠そのものが消える。請求権の時効は、照会の目的である本体事件(貸金・養育費・損害賠償など)それぞれの時効に従う(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:照会を受けた公務所又は公私の団体は報告義務を負うと解されるが、その性質は公法上の協力義務にとどまり、違反に対する直接の制裁は予定されていない。回答にあたっては照会事項の範囲を超えないことが求められる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和26年(1951年) 新設:弁護士法改正により23条の2を新設。弁護士が所属弁護士会を通じて公務所又は公私の団体に照会できる弁護士会照会制度を導入した。
- 弁護士法 第1条弁護士の使命、基本的人権擁護のための調査権限の根拠
- 弁護士法 第23条弁護士の秘密保持の権利義務、照会で得た情報の取扱い基準
- 弁護士法 第56条懲戒、照会権限の濫用に対する自治的統制
- 民事訴訟法 第186条調査の嘱託、裁判所を通じた機能的に類似する調査手段
- 刑事訴訟法 第197条の2捜査関係事項照会、捜査機関による同型の照会制度
- 個人情報の保護に関する法律 第27条第三者提供制限の例外(法令に基づく場合)として回答を適法化
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