弁護士法 第25条(職務を行い得ない事件)
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- 弁護士は、次に掲げる事件については、その職務を行つてはならない。ただし、第三号及び第九号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
- 一相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
- 二相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
- 三受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
- 四公務員として職務上取り扱つた事件
- 五仲裁手続により仲裁人として取り扱つた事件
- 六弁護士法人(第三十条の二第一項に規定する弁護士法人をいう。以下この条において同じ。)若しくは弁護士・外国法事務弁護士共同法人(外国弁護士による法律事務の取扱い等に関する法律(昭和六十一年法律第六十六号)第二条第六号に規定する弁護士・外国法事務弁護士共同法人をいう。以下同じ。)の社員若しくは使用人である弁護士又は外国法事務弁護士法人(同条第五号に規定する外国法事務弁護士法人をいう。以下この条において同じ。)の使用人である弁護士としてその業務に従事していた期間内に、当該弁護士法人、当該弁護士・外国法事務弁護士共同法人又は当該外国法事務弁護士法人が相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件であつて、自らこれに関与したもの
- 七弁護士法人若しくは弁護士・外国法事務弁護士共同法人の社員若しくは使用人である弁護士又は外国法事務弁護士法人の使用人である弁護士としてその業務に従事していた期間内に、当該弁護士法人、当該弁護士・外国法事務弁護士共同法人又は当該外国法事務弁護士法人が相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるものであつて、自らこれに関与したもの
- 八弁護士法人若しくは弁護士・外国法事務弁護士共同法人の社員若しくは使用人又は外国法事務弁護士法人の使用人である場合に、当該弁護士法人、当該弁護士・外国法事務弁護士共同法人又は当該外国法事務弁護士法人が相手方から受任している事件
- 九弁護士法人若しくは弁護士・外国法事務弁護士共同法人の社員若しくは使用人又は外国法事務弁護士法人の使用人である場合に、当該弁護士法人、当該弁護士・外国法事務弁護士共同法人又は当該外国法事務弁護士法人が受任している事件(当該弁護士が自ら関与しているものに限る。)の相手方からの依頼による他の事件
この条文の基本情報
職務を行い得ない事件とは何ですか?
定義職務を行い得ない事件とは、弁護士法第25条に定められた規定で、「弁護士は、次に掲げる事件については、その職務を行つてはならない。ただし、第三号及び第九号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 弁護士法第25条(職務を行い得ない事件)は、日本の弁護士法に含まれる条文です。
- 弁護士法第25条の条文原文は「弁護士は、次に掲げる事件については、その職務を行つてはならない。ただし、第三号及び第九号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限…」で始まります。
- 弁護士法第25条は第四章 弁護士の権利及び義務に置かれています。
- 弁護士法の公布日は昭和24年6月10日です。
- 弁護士法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 弁護士法第25条の前の条は弁護士法第24条です。
- 弁護士法第25条の次の条は弁護士法第26条です。
- 弁護士法第25条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第25条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205 - 本サイト収録
弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第25条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/324AC1000000205/25
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点弁護士法25条は、相手方から相談を受けた事件や、現に受任する事件の相手方からの別事件など九類型の利益相反事件について、弁護士がその職務を行うことを禁じる。違反は懲戒事由となる。
Q · 一度相談した弁護士が、後で相手方の代理人になっても許されるの?
原則禁止。排除を求められ、懲戒の対象にもなる
許されません。弁護士法25条は、相手方の協議を受けて賛助した事件(1号)や、信頼関係に基づき相談を受けた事件(2号)について、弁護士がその職務を行うことを禁じます。有償か無償かは問いません。違反した弁護士は懲戒の対象となり(弁護士法56条)、訴訟係属中であれば相手方は本案について弁論する前にその代理人の排除を求める異議を申し立てられます。ただし3号・9号の事件は、受任している依頼者の同意があれば受任できます。
解説
離婚を考えて、ある弁護士の無料相談で家庭の事情を洗いざらい話した。数か月後、配偶者がその同じ弁護士を代理人に立ててきた。あなたの手の内を全部知っている人間が、敵の側に座る。理不尽に思えるが、弁護士法25条はまさにこれを禁じている。相手方の協議を受けて賛助した事件、信頼関係に基づいて相談を受けた事件、現に受任している事件の相手方から頼まれた別事件、公務員として扱った事件、仲裁人として扱った事件。これら「利益相反」事件について、弁護士はその職務を行つてはならない。あなたが知っておくべきは、これが弁護士の自主マナーではなく法律の禁止だという点だ。違反した弁護士は懲戒の対象になり、相手方は裁判でその代理人を排除する異議を出せる。一度でも相談した相手が敵についたとき、泣き寝入りする必要はない。条文の番号を一つ握っておくだけで、戦況は変わる。
法的な位置づけ
弁護士法25条は、弁護士の利益相反事件における職務禁止を定める規定である。相手方の協議を受けて賛助した事件、信頼関係に基づき相談を受けた事件、現に受任する事件の相手方からの別事件、公務員・仲裁人として取り扱つた事件、所属する弁護士法人等が相手方から受任する事件など九類型を列挙し、当該事件についての職務遂行を禁ずる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.相談・依頼した事実を証拠化する 過去にその弁護士へ相談・依頼した事実を裏づける資料を集める。相談予約のメール、弁護士会相談センターの記録、相談メモ、領収書などを時系列で整理する
- 2.該当する号を特定する 相談で事件の具体的内容や証拠まで話したかを整理し、25条1号(賛助)・2号(信頼関係に基づく協議)・8号(所属法人の受任)など、どの号に該当するかを固める
- 3.訴訟で排除を求める異議を申し立てる 訴訟係属中なら、相手代理人の就任を知った後、本案について弁論する前に裁判所へ当該代理人の排除を求める異議を申し立てる。期日を重ねる前に動くことが要点
- 4.所属弁護士会へ懲戒請求を検討する 並行して所属弁護士会への懲戒請求を検討する。証拠が揃っているほど通りやすい。63条の3年の除斥期間を意識し、早めに動く
よくある質問 AI による整理
Q1弁護士の利益相反とは何ですか?
立場が対立する両当事者の事件を同じ弁護士が扱うことです。依頼者の信頼と秘密を守るため、弁護士法25条が九類型を列挙して職務を禁じています。
Q2弁護士法25条にはどんな類型がありますか?
相手方への賛助、信頼関係に基づく相談、受任事件の相手方からの別事件、公務員・仲裁人として扱った事件、所属法人が相手方から受任する事件など、計九類型が列挙されています。
Q3双方代理と利益相反は何が違いますか?
双方代理(民法108条)は代理行為の効力の問題、弁護士法25条は弁護士の業務規律の問題です。25条は同意による解除が一部の号に限られます。
Q4同じ法律事務所の別の弁護士なら依頼できますか?
所属法人や事務所が相手方から受任していれば8号・9号で制限される場合があります。事務所単位の利益相反チェックが必要です。
Q5利益相反でも依頼者が同意すれば受任できますか?
3号と9号の事件に限り、受任している依頼者が同意すれば受任できます。同意はトラブル防止のため書面で残すのが実務です。
Q6元検察官の弁護士が受任できない事件はありますか?
25条4号により、公務員として職務上取り扱った事件は受任できません。現職時代に起訴・捜査した事件は被告人本人の依頼でも受けられません。
Q7利益相反の異議はいつまでに出せばよいですか?
訴訟では相手代理人の就任を知ったら、本案について弁論する前に遅滞なく異議を申し立てます。期日を重ねると治癒されたと扱われる裁判例があります。
Q8利益相反の懲戒請求に期限はありますか?
弁護士法63条により、懲戒の事由があった時から3年を経過すると手続を開始できないとされます(除斥期間、現行効力は要確認)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1無料相談しただけでも、その弁護士は相手側につけないんですか?
有償か無償かは関係ありません。25条2号は「協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められる」相談を禁止対象とします。30分の無料相談でも、家庭の事情や証拠を具体的に話していれば該当しうる。実務のポイント:弁護士会の法律相談センターは相談記録を残します。相手方が同じ弁護士を立てたとき、この記録が「信頼関係に基づく協議」の証拠になる。相談したら日時と内容を自分でもメモしておくと、後で武器になる
Q2相手の弁護士が昔うちの顧問だった場合、どうすればいいですか?
排除を求められます。現に受任していなくても、過去に賛助・受任した事件なら25条1号で禁止、顧問契約中なら8号も問題になります。相手の代理人就任を知ったら、訴訟では遅滞なく異議を申し立てる。実務のポイント:異議には期限の壁があり、本案について弁論した後では「治癒された」とする裁判例があります。気付いた瞬間が勝負で、黙って数回期日をこなすと排除のチャンスが消える
Q3弁護士が利益相反を犯したら、どんな罰があるんですか?
二つの効果があります。一つは懲戒(弁護士法56条)で、戒告から業務停止、最悪は除名まで。もう一つは訴訟上の効果で、相手方が異議を出せばその弁護士の訴訟行為が排除されうる。実務のポイント:懲戒には除斥期間があり、事由があつた時から3年で手続を開始できなくなる(同63条、現行効力を要確認)。被害に気付いたら懲戒請求は早めに所属弁護士会へ。3年の壁を越えると、明白な違反でも処分できない
間違えやすい点 AI による整理
- 無料相談だから利益相反にはならないと思い込みやすいが、25条は有償か無償かを一切問わない。30分の無料相談でも、事件の具体的内容や証拠を話して「信頼関係に基づく協議」と認められれば、その弁護士は相手側につけない
- 多くの人は「相手の弁護士は本当に違反しているのか」を自分一人で悩み続けるが、立てるべき問いはそこではない。あなたがすべきは、相談した事実を証拠化し、期限内に裁判所へ異議を出すこと。違反の最終判断は裁判所がする。あなたが動かなければ、違反があっても何も起きないままだ
- 利益相反という言葉は知っていても、その破壊力を軽く見ている人が多い。これは単なる職業マナー違反ではなく、相手代理人の訴訟行為そのものを排除しうる強力な異議事由であり、同時にその弁護士の資格を脅かす懲戒事由でもある。マナーの問題ではなく、勝敗と資格を動かす装置だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の性質 | 弁護士法25条:利益相反事件の職務禁止(業務規律) | 弁護士法56条:違反に対する懲戒の根拠 民法108条:双方代理の禁止(代理行為の効力) |
| 違反の効果 | 懲戒事由 + 訴訟上の排除異議 | 戒告・業務停止・退会命令・除名の懲戒処分 無権代理として本人に効力不帰属(原則) |
| 依頼者同意による解除 | 3号・9号は受任している依頼者の同意で受任可 | —(懲戒は同意で消えない) 本人があらかじめ許諾すれば有効 |
| 時間制限 | 排除異議は本案弁論前/懲戒請求は63条の前提 | 懲戒は63条の3年除斥期間 なし(代理行為時に判断) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も対立当事者の事件の受任を禁じ、律師倫理規範で具体化する。利益相反の判断枠組みは日本と近い
韓国も従前受任事件の相手方からの別事件等を制限。依頼者の同意による解除を一部認める点も日本と類似する
ドイツは弁護士職業法で widerstreitende Interessen の代理を禁じ、悪質な場合は刑法356条の Parteiverrat として刑事罰の対象にもなる
米国は現在・過去の依頼者との利益相反を区別し、informed consent in writing による放棄を広く認める。事務所単位の imputation ルールも明文化
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 離婚を相談した弁護士に、財産も浮気の証拠も全部見せた。半年後、配偶者の代理人欄にその弁護士の名前があった。25条1号・2号で、あなたはその弁護士の排除を求められる。先に手の内を明かした側が、必ずしも不利とは限らない
- もし、無料相談で会社の内情やパワハラの記録を話した弁護士が、後日あなたを解雇した会社の代理人として現れたら? あなたの手の内は筒抜けだ。だが25条1号は、その弁護士がその事件の職務を行うことを正面から禁じている
- 中小企業の長年の顧問弁護士が、ある取引先とのトラブルで、なぜか取引先側についた。あなたの会社の経営事情も契約の弱点も知り尽くした人間が敵に回る。8号は、法人が相手方から受任している事件への関与を禁じる。顧問契約の継続中なら特に問題が大きい
- 元検察官の弁護士が、自分が現職時代に起訴した事件の被告人の弁護を引き受けようとした。25条4号、公務員として職務上取り扱つた事件は禁止。たとえ被告人本人が依頼しても受けられない
- 相手の代理人が、半年前にあなたが相談した弁護士だと第二回期日で気付いた。残された時間はわずか。本案について弁論が進む前に異議を出さないと、排除のチャンスそのものが消えてしまう
取るべき行動
被害を受けた側:1. 過去にその弁護士へ相談した事実を証拠化:相談予約のメール、弁護士会相談センターの記録、相談メモ、領収書を集める2. 相談で事件の具体的内容まで話したかを整理し、25条1号・2号の該当性を固める3. 訴訟係属中なら、相手代理人の就任を知った後、本案について弁論する前に裁判所へ排除を求める異議を申し立てる4. 並行して所属弁護士会への懲戒請求を検討。証拠が揃っているほど通りやすい
訴えられた側:1. 受任前に必ず利益相反チェック:過去の相談者・顧問先・公務員時代の担当事件・事務所の受任案件と照合2. 3号・9号の事件は、受任している依頼者の同意があれば受任可能(但書)、同意は必ず書面で残す3. 相手方から異議が出たら、協議が「信頼関係に基づく」程度だったか、具体的な賛助があったかを争う余地がある4. 違反が明白なら速やかに辞任し懲戒リスクを最小化。事件処理を続けるほど傷は深くなる
時効(請求できる期限):訴訟代理の排除を求めるなら、相手方は遅滞なく異議を述べる必要がある(本案について弁論する前が原則)。懲戒請求は、懲戒の事由があつた時から3年を経過すると手続を開始できない(弁護士法63条、除斥期間、現行効力を要確認)
学説
通説:25条の利益相反は依頼者の信頼保護を根拠とし、相手方からの相談・協議が「信頼関係に基づく」程度に達したかを実質的に判断する。無償・短時間の相談でも該当しうる一方、禁止を過度に広げると弁護士選任の自由を害するため、九類型の限定列挙と3号・9号の同意解除で均衡が図られる。
改正沿革 AI による整理
- 平成13年(2001年)改正 弁護士法人制度の創設に伴い、弁護士法人に関与した弁護士の利益相反規定(現6号以下に相当する部分)を整備した
- 令和2年(2020年)改正(令和4年施行) 弁護士・外国法事務弁護士共同法人の創設に伴い、共同法人および外国法事務弁護士法人に関する利益相反規定を追加し、号を再編した
改正の年表
- 1.平成13年(2001年) 改正:弁護士法人制度の創設に伴い、弁護士法人に関与した弁護士の利益相反規定を整備した
- 2.令和2年(2020年) 改正:弁護士・外国法事務弁護士共同法人の創設に伴い、共同法人および外国法事務弁護士法人に関する利益相反規定を追加し、号を再編した(令和4年施行)
- 弁護士法 第30条の2弁護士法人の定義、本条の利益相反規定の前提
- 弁護士法 第56条利益相反違反は懲戒の事由
- 弁護士法 第63条懲戒手続の除斥期間(事由から3年)
- 外国弁護士による法律事務の取扱い等に関する法律 第2条弁護士・外国法事務弁護士共同法人等の定義
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