弁護士法 第64条の4(綱紀審査等)
クイックジャンプ
- 綱紀審査会は、前条第一項の綱紀審査により原弁護士会の懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当と認めるときは、その旨の議決をする。この議決は、出席した委員の三分の二以上の多数をもつてしなければならない。
- 2.前項の場合において、日本弁護士連合会は、当該議決に基づき、自らがした異議の申出を却下し、又は棄却する決定及び原弁護士会がした対象弁護士等を懲戒しない旨の決定を取り消して、事案を原弁護士会に送付する。
- 3.前項の規定により事案の送付を受けた原弁護士会は、その懲戒委員会に事案の審査を求めなければならない。この場合においては、第五十八条第五項及び第六項の規定を準用する。
- 4.綱紀審査会は、綱紀審査の申出を不適法として却下することを相当と認めるときは、その旨の議決をする。この場合において、日本弁護士連合会は、当該議決に基づき、綱紀審査の申出を却下する決定をしなければならない。
- 5.綱紀審査会は、前項の場合を除き、第一項の議決が得られなかつたときは、その旨の議決をしなければならない。この場合において、日本弁護士連合会は、当該議決に基づき、綱紀審査の申出を棄却する決定をしなければならない。
この条文の基本情報
綱紀審査等とは何ですか?
定義綱紀審査等とは、弁護士法第64条の4に定められた規定で、「綱紀審査会は、前条第一項の綱紀審査により原弁護士会の懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当と認めるときは、その旨の議決をする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 弁護士法第64条の4(綱紀審査等)は、日本の弁護士法に含まれる条文です。
- 弁護士法第64条の4の条文原文は「綱紀審査会は、前条第一項の綱紀審査により原弁護士会の懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当と認めるときは、その旨の議決をする。」で始まります。
- 弁護士法第64条の4は第二節 懲戒請求者による異議の申出等に置かれています。
- 弁護士法の公布日は昭和24年6月10日です。
- 弁護士法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 弁護士法第64条の4の前の条は弁護士法第64条の3です。
- 弁護士法第64条の4の次の条は弁護士法第64条の5です。
- 弁護士法第64条の4には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第64条の4 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205 - 本サイト収録
弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第64条の4(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/324AC1000000205/64_4
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点弁護士法64条の4は、市民で構成する綱紀審査会が出席委員の3分の2以上で審査相当と議決すれば、日弁連の不処分決定を取り消し事案を懲戒委員会へ差し戻すと定める。
Q · 弁護士会に懲戒請求しても「処分しない」とされたら、もう本当に終わりですか?
いいえ、市民の綱紀審査会が覆せます
弁護士法64条の4により、市民で構成する綱紀審査会が「懲戒委員会で審査すべき」と出席委員の3分の2以上で議決すれば、日本弁護士連合会の不処分・棄却決定は取り消され、事案は原弁護士会の懲戒委員会へ強制的に差し戻されます。ただし議決自体に懲戒処分を下す力はなく、できるのは決定の取消しと差し戻しまでです。なお綱紀審査の申出には前段階として異議の申出(64条)を経ている必要があります。
解説
信頼して着手金まで払った弁護士に連絡を絶たれ、金も仕事も返ってこない。弁護士会に懲戒請求をしたが、届いたのは「懲戒しない」の一通。日弁連に異議を申し出ても棄却。ここで諦める人が大半だ。だが弁護士法64条の4は、その先にもう一枚の扉を残している。綱紀審査会、つまり弁護士でも裁判官でもない一般市民11人で構成される委員会が、その身内に甘く見える決定を審査する。委員の3分の2以上が「やはり懲戒手続にかけるべきだ」と議決すれば、日弁連の決定は取り消され、案件は強制的に元の弁護士会の懲戒委員会へ差し戻される。資格者集団の自浄作用に、外部の市民が直接メスを入れられる、日本でも数少ない制度だ。検察審査会が検察の不起訴を覆すのと、同じ発想がここに埋め込まれている。
法的な位置づけ
弁護士法64条の4は綱紀審査会の議決の効果を定める規定であり、綱紀審査会が懲戒委員会への審査を相当と認める場合は出席委員の3分の2以上で議決し、これに基づき日本弁護士連合会の不処分・棄却決定が取り消され、事案が原弁護士会へ差し戻される手続を規律する。不適法な申出の却下、議決不成立による棄却の各効果も併せて定める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.綱紀審査の前提手続を確認する 綱紀審査は最終手段。懲戒請求 → 弁護士会の綱紀委員会の不処分決定 → 日弁連への異議の申出(64条)という前段階を踏み、その異議が却下・棄却されていることを確認する
- 2.30日の不変期間内に綱紀審査の申出書を提出する 日弁連の異議却下・棄却通知が届いたら、通知日の翌日から30日の不変期間内に日弁連へ綱紀審査の申出書を提出する(64条の3)。1日でも過ぎると申出権が消滅する
- 3.市民委員に伝わる具体的事実を書く 申出書には弁護士会と日弁連の判断の誤りを、法律用語ではなく「何をされてどう困ったか」という生活者の言葉で記載する。専門家でない委員11人の共感を得る書き方が要点
- 4.議決後の差し戻し手続に備える 出席委員の3分の2以上で審査相当と議決されれば、日弁連が決定を取り消し原弁護士会へ送付、懲戒委員会で再審査が始まる(58条5項・6項準用)。差し戻しは処分確定ではなく再審査の開始である点を理解しておく
よくある質問 AI による整理
Q1綱紀審査会とは何ですか?
弁護士・裁判官・検察官・政府職員を除いた一般市民11人で構成され、弁護士懲戒の最終段階を審査する委員会です(弁護士法71条の2)。専門家自治の最後の歯止めとして設計されています。
Q2綱紀審査の申出の期限はいつまでですか?
日弁連の異議却下・棄却通知を受けた日の翌日から30日の不変期間内です(弁護士法64条の3第2項)。不変期間のため延長は原則認められません。
Q3綱紀審査会の委員には誰がなりますか?
弁護士・裁判官・検察官・政府職員を除く一般市民から日弁連が委嘱します。専門家を点検するのが専門家でない点が制度の核心です。
Q4綱紀審査会の議決には何人の賛成が必要ですか?
審査相当の議決は出席した委員の3分の2以上の多数が必要です(弁護士法64条の4第1項)。過半数ではなく特別多数が求められます。
Q5綱紀審査で審査相当になるとどうなりますか?
日弁連が不処分・棄却決定を取り消し、事案を原弁護士会へ送付します。原弁護士会は懲戒委員会へ審査を求めなければなりません(同条2項・3項)。
Q6綱紀審査の申出は誰ができますか?
懲戒請求をして弁護士会・日弁連に退けられた請求者本人です。前提として異議の申出(64条)を経ている必要があります。
Q7綱紀審査会と検察審査会はどう違いますか?
どちらも市民が専門家集団の判断を覆す制度ですが、検察審査会は検察の不起訴を、綱紀審査会は弁護士の不処分決定を対象とします。発想は同じです。
Q8弁護士の懲戒請求が棄却されたらどうすればいいですか?
まず日弁連へ異議の申出(64条)、さらに棄却されたら30日以内に綱紀審査の申出(64条の3)です。多くの人が一段目で諦めます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1弁護士会に懲戒請求したのに「処分しない」と言われました。もう何もできないんですか?
いいえ、二段階の救済が残っています。まず日弁連に異議を申し出(64条)、それも棄却されたら綱紀審査の申出(64条の3)です。綱紀審査会が委員の3分の2以上で審査相当と議決すれば、案件は懲戒委員会へ差し戻されます。実務のポイント:弁護士の多くは、依頼者がこの異議から綱紀審査への二段ロケットを最後まで使い切らないことを経験的に知っている。一段目の棄却で大半が諦めるからだ。期限内に二段目まで進む請求者は、それだけで本気度が伝わる。
Q2綱紀審査会って、結局は弁護士同士で身内をかばうんじゃないですか?
そこが誤解の核心です。綱紀審査会の委員11人は、弁護士・裁判官・検察官・政府職員を除いた一般市民から日弁連が委嘱します(弁護士法71条の2)。専門家を審査するのは専門家ではなく市民です。実務のポイント:この構造は検察審査会と同じで、専門家集団の判断を素人の常識で点検させる狙いがある。だから申出書は法律論を競うより、何をされてどう困ったかを生活者の言葉で書く方が、委員の共感を得やすい。
間違えやすい点 AI による整理
- 「弁護士会が処分しないと決めたら、もう打つ手はない」と思われているが、その後に異議の申出、さらに綱紀審査という二段階の救済が用意されている。多くの人は一段目の棄却で止まり、最後の手段を使わずに権利を捨てている
- 「綱紀審査会も結局は弁護士の集まりで、身内をかばうのだろう」という前提そのものが誤り。綱紀審査会の委員11人は、弁護士・裁判官・検察官・政府職員を除外した一般市民で構成される。専門家を点検するのは専門家ではなく、あなたと同じ立場の市民だ
- あなたから見れば「綱紀審査会が認めれば弁護士が罰せられる」手続だが、法律から見れば綱紀審査会の議決そのものに懲戒処分を下す力はない。できるのは決定を取り消して「もう一度審査せよ」と差し戻すことだけ。この落差を知らないと、議決が出た瞬間に処分が確定したと誤解して動きを止める
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の段階 | 64条の4:綱紀審査会の議決とその効果(最終段階) | 64条の3:綱紀審査の申出(議決の直前手続) 64条:日弁連への異議の申出(前段階) |
| 判断の主体 | 一般市民11人の綱紀審査会 | 申出人(懲戒請求者) 日本弁護士連合会 |
| 必要な要件・多数 | 審査相当は出席委員の3分の2以上の多数 | 30日の不変期間内の書面申出 弁護士会の不処分決定への不服 |
| 効果 | 決定を取消し原弁護士会へ差し戻し(懲戒委員会で再審査) | 綱紀審査会の審査開始 認容なら懲戒手続、否なら棄却 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は律師懲戒委員会と覆審委員会の二審制をとり、覆審委員会に学者・社会公正人士を含める点で外部の目を入れる。市民11人の専門委員会という日本の形とは構成が異なる。
ドイツは弁護士懲戒を anwaltsgerichtliches Verfahren(弁護士裁判所手続)で扱い、職業裁判所型の制度をとる。市民主導の差し戻し議決という発想は薄い。
米国は州ごとに州最高裁の監督下で弁護士懲戒を運用し、専任の市民審査会という固定機関は一般的でない。市民参加の度合いは州により大きく異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 日弁連から「あなたの異議を棄却します」という通知が届いた。多くの人はここで天を仰ぐ。だが通知の翌日から30日、この不変期間内に綱紀審査を申し出れば、市民11人の委員会があなたの訴えを最初から見直す。30日を1日でも過ぎれば、その扉は二度と開かない
- あなたが弁護士で、対応のまずさから懲戒請求を受けた。弁護士会も日弁連も「処分には及ばない」と判断し、ほっとしていた。しかし請求者が綱紀審査を申し出て、市民委員の3分の2が「審査すべき」と議決すれば、案件は懲戒委員会へ差し戻される。身内の判断が出たからといって安心はできない
- 依頼者を装った着服、利益相反、説明義務違反。綱紀委員会が「証拠不十分」で流した案件が、市民の目で見ると違って見える。それが綱紀審査会の存在意義だ
- もし友人が「弁護士に裏切られたのに、弁護士会は何もしてくれない」と相談してきたら? あなたは異議の申出と、その先の綱紀審査という二段ロケットの存在を教えられる。ほとんどの人は一段目で諦め、二段目があることすら知らない
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず懲戒請求、弁護士会の綱紀委員会の決定、日弁連への異議申出という前段階を踏んでいることを確認。綱紀審査はその後の最終手段だ2. 日弁連の棄却・却下通知が届いたら、通知日の翌日から30日の不変期間内に、日弁連へ綱紀審査の申出書を提出(弁護士法64条の3) 3. 申出書には弁護士会と日弁連の判断の誤りを、市民委員にも伝わる具体的事実で記載4. 綱紀審査会が委員の3分の2以上で「審査相当」と議決すれば、決定は取り消され案件は元の弁護士会の懲戒委員会へ差し戻される
訴えられた側:1. 懲戒請求を受けた弁護士は、弁護士会と日弁連が不処分・棄却としても、請求者の綱紀審査申出で案件が再燃しうると念頭に置く2. 綱紀審査会は市民11人で構成され、専門的な反論より依頼者対応の誠実さが伝わる事実が重視される3. 差し戻されても懲戒処分の確定ではなく、懲戒委員会での再審査の開始にすぎない。58条5項6項準用の手続で弁明の機会がある4. 委任契約書・連絡履歴・記録を保全し、対応の正当性を時系列で示せるよう準備する
時効(請求できる期限):綱紀審査の申出は、日弁連の異議却下・棄却決定の通知を受けた日の翌日から起算して30日の不変期間内(弁護士法64条の3第2項)。不変期間のため延長は原則認められず、1日でも過ぎると申出権が消滅する(最新の改正状況をご確認ください)。
学説
通説:綱紀審査会制度は、弁護士自治の独立性を維持しつつ自浄作用の信頼性を外部の市民の目で担保する折衷的設計と理解されている。検察審査会と同型の市民参加により、専門家集団の判断を素人の常識で点検させる狙いがあるとされる。
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)新設、平成16年(2004年)施行 司法制度改革の一環として、懲戒手続への市民参加を実現するため綱紀審査会制度を新設。従来は日弁連が異議を棄却すれば懲戒請求者の手続は終了したが、本条により市民委員会が決定を覆して懲戒委員会へ差し戻す道が開かれた
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:司法制度改革の一環として、懲戒手続への市民参加を実現するため綱紀審査会制度を新設。日弁連が異議を棄却すれば請求者の手続が終了していた従来の構造に、市民委員会が決定を覆して懲戒委員会へ差し戻す道を開いた。
- 2.平成16年(2004年) 改正:綱紀審査会制度が施行され、弁護士でない市民11人による懲戒判断の最終審査が実務上運用開始された。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める