放送法 第186条
クイックジャンプ
- 第九条第一項(第八十一条第六項において準用する場合を含む。)の規定に違反したときは、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
- 2.前項の罪は、私事に係るときは、告訴がなければ公訴を提起することができない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 放送法第186条は、日本の放送法に含まれる条文です。
- 放送法第186条の条文原文は「第九条第一項(第八十一条第六項において準用する場合を含む。」で始まります。
- 放送法第186条は第十一章 罰則に置かれています。
- 放送法の公布日は昭和25年5月2日です。
- 放送法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 放送法第186条の前の条は放送法第185条です。
- 放送法第186条の次の条は放送法第187条です。
- 放送法第186条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第186条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000132 - 本サイト収録
放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第186条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000132/186
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点放送法186条は、9条1項の訂正放送義務に違反した者を50万円以下の罰金に処すると定める。私事に係る場合は告訴がなければ起訴できない。
Q · テレビ局が誤報を訂正しなかったら、罰則はあるの?
罰金50万円以下。私事なら告訴が必要
放送法186条1項により、9条1項の訂正・取消し放送義務に違反した者は50万円以下の罰金に処されます。罰せられるのは局という法人ではなく、違反行為をした担当者などの個人です。ただし同条2項により、個人の名誉やプライバシーなど私事に係る事案は親告罪とされ、被害者の告訴がなければ起訴できません。訂正放送そのものを裁判で強制する私法上の権利は、最高裁平成16年11月25日判決で否定されています。
解説
テレビ局が事実と違うことを放送しても訂正しない。その場合に局の担当者を刑事罰の対象にするのが放送法186条で、上限は罰金50万円である。根拠になる義務は9条に書かれている。真実でない放送で権利を侵害された本人または直接関係人が、放送日から3か月以内に請求すれば、局は遅滞なく調査しなければならない。真実でないと分かったら、判明した日から2日以内に、同等の放送設備を使って訂正または取消しの放送をする義務を負う。ここで知っておくべき落とし穴がある。最高裁(最判平成16.11.25)は、この義務を「被害者が裁判で訂正放送を直接強制できる私法上の権利」ではないと判断した。つまりあなたが持てるのは訂正放送そのものを裁判で強制する力ではなく、局の担当者が刑事罰を負いうるという圧力である。さらに2項により、個人のプライバシーや名誉のような私事に関わる場合は、あなたの告訴がなければ起訴すらできない。どのボタンを押すかは被害者であるあなたに委ねられている
法的な位置づけ
放送法186条は、放送事業者が真実でない事項の放送について訂正または取消しの放送を行う義務(同法9条1項、81条6項による準用を含む)に違反した場合の罰則規定である。違反行為者を50万円以下の罰金に処し、私事に係る事案については告訴を訴追条件とする親告罪とする。
よくある質問 AI による整理
Q1訂正放送とは何ですか?
真実でない放送で権利を侵害された人の請求などを受け、放送局が同等の設備・相当の方法で訂正または取消しを放送することです(放送法9条)。
Q2放送法186条の罰金はいくらですか?
50万円以下の罰金です。懲役(拘禁刑)は定められておらず、罰則の対象は訂正義務に違反した行為者個人です。
Q3訂正放送の請求はいつまでにできますか?
放送のあった日から3か月以内です(放送法9条1項)。期限を過ぎると請求に基づく訂正義務は生じないため、早めの書面請求が重要です。
Q4訂正しなかった場合、処罰されるのは放送局ですか?
条文が罰するのは「当該違反行為をした者」で、訂正の判断や実施に関わった担当者・責任者などの個人が対象と解されます。
Q5訂正放送義務違反で前科はつきますか?
罰金刑も刑罰なので、起訴されて有罪となれば前科になります。私事に係る事案では、被害者の告訴がなければ起訴自体ができません。
Q6放送法186条の公訴時効は何年ですか?
法定刑が罰金のみの罪なので、公訴時効は3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。最新の改正状況はあわせて確認してください。
Q7訂正放送は深夜に流してもいいのですか?
9条は放送と同等の設備により「相当の方法」で行うことを求めます。元の放送と比べて明らかに視聴者が少ない時間帯では、相当と認められない可能性があります。
Q8誤報されたら BPO に申し立てできますか?
できます。BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送人権委員会は名誉・プライバシー侵害の申立てを審理します。法的強制力はありませんが、186条の告訴とは別の手段として使えます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1テレビ局に訂正放送をさせるために裁判を起こせますか?
放送法9条を根拠に訂正放送そのものを求める訴えは、最判平成16.11.25により認められていません。ただし、名誉毀損が成立すれば、民法723条に基づいて謝罪広告などの名誉回復処分を求める道があります。実務のポイント:実務では訴訟よりも、9条の請求書と BPO への申立てを並行して進める方が、局を早く動かせることが多いです
Q2局に訂正を求めたのに無視されました。警察に行けば何とかなりますか?
訂正義務違反は放送法186条の罪になりますが、個人の名誉やプライバシーなど私事に関わる場合は親告罪なので、まず告訴が必要です(同条2項)。実務のポイント:告訴状には、いつ9条の請求をしたのか、局がどう対応したのかを時系列で書いておくと受理されやすくなります。この時系列が書けるかどうかは、最初に内容証明で請求したかどうかで決まります
Q3ネットニュースや YouTube で嘘を書かれた場合も、同じように訂正させられますか?
放送法9条は放送事業者だけに適用されるので、ネットメディアや動画配信者には及びません。この場合は民法709条による損害賠償や、情報流通プラットフォーム対処法に基づく削除・発信者情報開示を使います。実務のポイント:テレビ局がネット配信した同じ番組については、放送部分にだけ訂正義務がかかるので、ネット版の削除は別に求める必要があります
間違えやすい点 AI による整理
- 「テレビで嘘を流されたら、裁判で訂正放送を命じさせればいい」と考えがちだが、最高裁は放送法の訂正放送制度について、被害者が訴訟で直接強制できる私法上の権利を認めていない(最判平成16.11.25)。裁判で訂正に近い効果を狙うなら、民法723条の名誉回復処分という別の扉を使う必要がある
- 罰金50万円以下と聞いて「大企業には痛くもかゆくもない」と軽く見る人は多い。だが条文が罰するのは「当該違反行為をした者」、つまり現場の担当者や責任者個人である。前科がつくかもしれないという圧力は、局の法務部より先に個人の判断を動かす
- 被害者の視点では「局が勝手に訂正してくれるだろう」と待ちがちだが、法律は3か月以内の請求と、私事なら告訴という二段階の能動的な行動を求めている。黙って待つ被害者を、法律は助けない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の性質 | 放送法186条:訂正義務違反に対する罰則(刑事罰) | 放送法9条:訂正・取消し放送の義務そのもの 放送法10条:番組保存と視聴させる義務 |
| 期間 | 私事に係る場合の告訴期間は犯人を知った日から6か月(刑訴235条)、公訴時効3年 | 請求は放送日から3か月以内、訂正は判明した日から2日以内 放送後3か月間保存(訂正請求があれば6か月間) |
| 被害者が取れる行動 | 私事に係る事案では告訴するかどうかを決める | 放送局に書面で訂正放送を請求する 保存期間内に放送内容の視聴を請求し証拠を確保する |
| 裁判での強制力 | 刑事手続による処罰(罰金50万円以下) | 訂正放送を訴訟で直接求める私法上の権利はない(最判平成16.11.25) 罰則と組み合わせて運用される前提的義務 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は利害関係人の更正要求に対し、放送局に一定期間内の更正を義務づける。日本と同じく放送事業者に限った更正制度
韓国は被害者に訂正報道請求権を認め、言論仲裁委員会や裁判所を通じて実現できる。日本より被害者の私法上の権利が強い
ドイツは事実主張に対する反論放送請求権を認め、裁判所で強制できる。真実性の審査に入らない点が日本の訂正放送と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 地方局のニュースで、逮捕されたのは別人なのにあなたの店の外観が映った。常連客から心配の電話が鳴りやまない。放送日から3か月を過ぎると9条の訂正請求ができなくなる。今週中に書面で請求し、10条の番組保存期間内に録画の視聴も求めておく
- 情報番組で、あなたの会社の商品に「健康被害の報告がある」と事実でない紹介をされた。局に訂正を求めても「調査中」と言われたまま1か月が過ぎた。このとき「遅滞なく調査せよ」という9条の義務と186条の罰則が、交渉で使える現実的な手札になる
- ディレクターとして、放送後に取材相手の証言が虚偽だったと気づいたらどうなる? 9条2項により、請求がなくても自分で発見した時点で訂正義務が発生する。黙って次の企画に移ると、罰則の対象になりうるのは局という組織より先に、違反行為をしたあなた自身である
- 友人が「テレビで名前を出されて人生が狂った。局を刑事告訴できる?」と相談してきた。私事に関わる事案なら親告罪なので、犯人を知った日から6か月の告訴期間に注意する必要がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 放送日時・番組名・該当部分を記録し、手元に録画がなければ10条に基づき局に視聴を請求する2. 放送日から3か月以内に、内容証明郵便で9条に基づく訂正放送を請求する。真実でない箇所と根拠資料を特定して添付する3. 局が調査しない、または訂正しないなら、私事に関わる事案では告訴期間内に刑事告訴を検討する4. 並行して民法709条・723条による損害賠償と名誉回復処分、BPO(放送倫理・番組向上機構)への申立ても視野に入れる
訴えられた側:1. 訂正請求を受けたら受付日を記録し、すぐ社内調査を始める。「遅滞なく」の要件を満たしていた証拠が後で効く2. 真実でないと判明したら、判明した日から2日以内に同等の設備で訂正を放送する。深夜枠など明らかに不相当な時間帯では「相当の方法」と認められない危険がある3. 真実と判断した場合は、その根拠となる取材資料を保全する4. 告訴された場合は、真実性の判断過程を弁護士と整理して説明する
時効(請求できる期限):訂正請求は放送日から3か月以内(放送法9条1項)。訂正放送は真実でないと判明した日から2日以内。私事に関わる場合の告訴期間は、犯人を知った日から6か月(刑事訴訟法235条)。罰金50万円以下の罪の公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項6号)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説・判例:訂正放送義務は放送事業者の公法上の義務であり、その履行は刑事罰と行政的監督で担保される。表現の自由と放送の自律に配慮し、裁判所が訂正放送の内容に直接介入する私法上の請求権は認めないとする立場
改正沿革 AI による整理
- 平成22年(2010年)放送法改正 放送関連法の統合改正により条文番号が変わり、旧4条(訂正放送)が9条に、それに対応する罰則が186条に移ったとされる。改正の具体的な内容と経緯は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和25年(1950年) 新設:放送法制定(昭和25年法律第132号)。訂正放送制度(旧4条)と、その義務違反に対する罰則が設けられた
- 2.平成22年(2010年) 改正:放送関連法の統合を含む改正により条文が再編され、訂正放送義務は9条に、その罰則は本条(186条)に移ったとされる。経緯の詳細は要検証
- 放送法 第9条罰則の前提となる訂正放送義務
- 放送法 第10条番組保存と被害者の視聴請求
- 放送法 第81条9条の準用規定を置く条文(現行効力を要確認)
- 民法 第723条名誉回復処分による訂正類似の救済
- 刑事訴訟法 第235条親告罪の告訴期間6か月
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める