地方税法 第343条(固定資産税の納税義務者等)
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- 固定資産税は、固定資産の所有者(質権又は百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする。以下固定資産税について同様とする。)に課する。
- 2.前項の所有者とは、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者(区分所有に係る家屋については、当該家屋に係る建物の区分所有等に関する法律第二条第二項の区分所有者とする。以下固定資産税について同様とする。)として登記又は登録がされている者をいう。この場合において、所有者として登記又は登録がされている個人が賦課期日前に死亡しているとき、若しくは所有者として登記又は登録がされている法人が同日前に消滅しているとき、又は所有者として登記されている第三百四十八条第一項の者が同日前に所有者でなくなつているときは、同日において当該土地又は家屋を現に所有している者をいうものとする。
- 3.第一項の所有者とは、償却資産については、償却資産課税台帳に所有者として登録されている者をいう。
- 4.市町村は、固定資産の所有者の所在が震災、風水害、火災その他の事由により不明である場合には、その使用者を所有者とみなして、固定資産課税台帳に登録し、その者に固定資産税を課することができる。この場合において、当該市町村は、当該登録をしようとするときは、あらかじめ、その旨を当該使用者に通知しなければならない。
- 5.市町村は、相当な努力が払われたと認められるものとして政令で定める方法により探索を行つてもなお固定資産の所有者の存在が不明である場合(前項に規定する場合を除く。)には、その使用者を所有者とみなして、固定資産課税台帳に登録し、その者に固定資産税を課することができる。この場合において、当該市町村は、当該登録をしようとするときは、あらかじめ、その旨を当該使用者に通知しなければならない。
- 6.農地法第四十五条第一項若しくは農地法等の一部を改正する法律(平成二十一年法律第五十七号)附則第八条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる同法第一条の規定による改正前の農地法第七十八条第一項の規定により農林水産大臣が管理する土地又は旧相続税法(昭和二十二年法律第八十七号)第五十二条、相続税法第四十一条若しくは第四十八条の二、所得税法の一部を改正する法律(昭和二十六年法律第六十三号)による改正前の所得税法第五十七条の四、戦時補償特別措置法(昭和二十一年法律第三十八号)第二十三条若しくは財産税法(昭和二十一年法律第五十二号)第五十六条の規定により国が収納した農地については、買収し、又は収納した日から国が当該土地又は農地を他人に売り渡し、その所有権が売渡しの相手方に移転する日までの間はその使用者をもつて、その日後当該売渡しの相手方が登記簿に所有者として登記される日までの間はその売渡しの相手方をもつて、それぞれ第一項の所有者とみなす。
- 7.土地区画整理法による土地区画整理事業(農住組合法第八条第一項の規定により土地区画整理法の規定が適用される農住組合法第七条第一項第一号の事業及び密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第四十六条第一項の規定により土地区画整理法の規定が適用される密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第四十五条第一項第一号の事業並びに大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法による住宅街区整備事業を含む。以下この項において同じ。)又は土地改良法による土地改良事業の施行に係る土地については、法令若しくは規約等の定めるところにより仮換地、一時利用地その他の仮に使用し、若しくは収益することができる土地(以下この項、第三百四十九条の三の三第三項及び第三百八十一条第八項において「仮換地等」と総称する。)の指定があつた場合又は土地区画整理法による土地区画整理事業の施行者が同法第百条の二(農住組合法第八条第一項及び密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第四十六条第一項において適用する場合並びに大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第八十三条において準用する場合を含む。)の規定により管理する土地で当該施行者以外の者が仮に使用するもの(以下この項及び第三百八十一条第八項において「仮使用地」という。)がある場合には、当該仮換地等又は仮使用地について使用し、又は収益することができることとなつた日から換地処分の公告がある日又は換地計画の認可の公告がある日までの間は、仮換地等にあつては当該仮換地等に対応する従前の土地について登記簿又は土地補充課税台帳に所有者として登記又は登録がされている者をもつて、仮使用地にあつては土地区画整理法による土地区画整理事業の施行者以外の仮使用地の使用者をもつて、それぞれ当該仮換地等又は仮使用地に係る第一項の所有者とみなし、換地処分の公告があつた日又は換地計画の認可の公告があつた日から換地又は保留地を取得した者が登記簿に当該換地又は保留地に係る所有者として登記される日までの間は、当該換地又は保留地を取得した者をもつて当該換地又は保留地に係る同項の所有者とみなすことができる。
- 8.公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)第二十三条第一項の規定により使用する埋立地若しくは干拓地(以下この項において「埋立地等」という。)又は国が埋立て若しくは干拓により造成する埋立地等(同法第四十二条第二項の規定による通知前の埋立地等に限る。以下この項において同じ。)で工作物を設置し、その他土地を使用する場合と同様の状態で使用されているもの(埋立て又は干拓に関する工事に関して使用されているものを除く。)については、これらの埋立地等をもつて土地とみなし、これらの埋立地等のうち、都道府県、市町村、特別区、これらの組合、財産区及び合併特例区(以下この項において「都道府県等」という。)以外の者が同法第二十三条第一項の規定により使用する埋立地等にあつては、当該埋立地等を使用する者をもつて当該埋立地等に係る第一項の所有者とみなし、都道府県等が同条第一項の規定により使用し、又は国が埋立て若しくは干拓により造成する埋立地等にあつては、都道府県等又は国が当該埋立地等を都道府県等又は国以外の者に使用させている場合に限り、当該埋立地等を使用する者(土地改良法第八十七条の二第一項の規定により国又は都道府県が行う同項第一号の事業により造成された埋立地等を使用する者で政令で定めるものを除く。)をもつて当該埋立地等に係る第一項の所有者とみなし、これらの埋立地等が隣接する土地の所在する市町村をもつてこれらの埋立地等が所在する市町村とみなして固定資産税を課することができる。
- 9.信託会社(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)により同法第一条第一項に規定する信託業務を営む同項に規定する金融機関を含む。以下この項において同じ。)が信託の引受けをした償却資産で、その信託行為の定めるところにしたがい当該信託会社が他の者にこれを譲渡することを条件として当該他の者に賃貸しているものについては、当該償却資産が当該他の者の事業の用に供するものであるときは、当該他の者をもつて第一項の所有者とみなす。
- 10.家屋の附帯設備(家屋のうち附帯設備に属する部分その他総務省令で定めるものを含む。)であつて、当該家屋の所有者以外の者がその事業の用に供するため取り付けたものであり、かつ、当該家屋に付合したことにより当該家屋の所有者が所有することとなつたもの(以下この項において「特定附帯設備」という。)については、当該取り付けた者の事業の用に供することができる資産である場合に限り、当該取り付けた者をもつて第一項の所有者とみなし、当該特定附帯設備のうち家屋に属する部分は家屋以外の資産とみなして固定資産税を課することができる。
この条文の基本情報
固定資産税の納税義務者等とは何ですか?
定義固定資産税の納税義務者等とは、地方税法第343条に定められた規定で、「固定資産税は、固定資産の所有者(質権又は百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 地方税法第343条(固定資産税の納税義務者等)は、日本の地方税法に含まれる条文です。
- 地方税法第343条の条文原文は「固定資産税は、固定資産の所有者(質権又は百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする。」で始まります。
- 地方税法第343条は第一款に置かれています。
- 地方税法の公布日は昭和25年7月31日です。
- 地方税法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 地方税法第343条の前の条は地方税法第342条です。
- 地方税法第343条の次の条は地方税法第344〜347条です。
- 地方税法第343条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第343条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226 - 本サイト収録
地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第343条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000226/343
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点地方税法343条は、固定資産税を固定資産の所有者に課すと定め、その所有者を1月1日時点で登記簿や課税台帳に所有者として登記・登録された者とする。
Q · 年の途中で家を売ったら、その年の固定資産税は誰が払うの?
1月1日時点の登記名義人が一年分を払います
地方税法343条2項により、土地・家屋の固定資産税は登記簿等に所有者として登記されている者に課され、その基準日は1月1日の賦課期日です(同法359条)。年の途中で売却しても、市町村は1月1日時点の名義人に一年分を課税します。売主と買主の日割り精算は契約上の取り決めにすぎず、契約書に精算条項がなければ買主への請求は難しくなります。
解説
固定資産税の請求書は、「本当の持ち主」ではなく「台帳に名前が載っている人」に届く。地方税法343条が採るこの台帳課税主義は事務的に見えるが、実際には容赦がない。売買代金を受け取って鍵を渡していても、1月1日(賦課期日、課税の基準日)の時点で登記名義があなたに残っていれば、その年の税は丸ごとあなたの負担になる。逆に、亡くなった親の名義のまま放置した実家については、相続人であるあなたが「現に所有している者」として課税される。令和2年度の改正では、所有者を探し尽くしても見つからない土地について、使っている人を所有者とみなして課税できるようになった。テナントが自費で取り付けた内装設備も、市町村の扱いによってはテナント自身に課税される。誰が払うかは、所有権の実態ではなく「紙の上の名前」と「1月1日」という一点で決まる。この二つを押さえた人だけが、売買・相続・賃貸の段取りで損をしない。
法的な位置づけ
地方税法343条は固定資産税の納税義務者を定める規定であり、固定資産の所有者を納税義務者とした上で、土地・家屋については登記簿または補充課税台帳に所有者として登記・登録された者を所有者とする台帳課税主義を採る。名義人の死亡・消滅時の現所有者課税、所有者不明時の使用者みなし課税、特定附帯設備の取付者みなし課税などの特則を置く。
手順
- 1.課税明細書と登記を照合する 納税通知書に同封された課税明細書の名義・地番・家屋番号・住宅用地特例の欄を、登記事項証明書と突き合わせる。1月1日時点の名義と一致しているかを最初に確認する
- 2.名義と実態のずれを資産税課に申し出る 1月1日より前に売却・死亡・相続放棄があった場合や、特例の適用漏れがある場合は、根拠資料を添えて市町村の資産税課に課税先や課税内容の見直しを申し出る
- 3.不服があれば期限内に審査請求・審査申出をする 納税義務者の認定への不服は処分を知った日の翌日から3か月以内に市町村長へ審査請求する。評価額への不服は納税通知書の交付を受けた日後3か月以内に固定資産評価審査委員会へ審査申出をする(地方税法432条)
- 4.名義人に代わって払った分を当事者間で精算する 実際の所有者でないのに名義人として納税した場合は、市ではなく真の所有者や買主に対し、契約上の精算条項または不当利得返還請求(民法703条)で回収を求める
よくある質問 AI による整理
Q1台帳課税主義とは何ですか?
登記簿や課税台帳に所有者として載っている人に固定資産税を課す考え方です。地方税法343条2項が根拠で、真の所有者かどうかは問いません。
Q2固定資産税の納税義務者は誰ですか?
原則として1月1日時点で登記簿または補充課税台帳に所有者として登記・登録されている人です。償却資産は償却資産課税台帳の登録者です。
Q3共有名義の不動産の固定資産税は誰が払う?
共有者全員が連帯して納付義務を負います(地方税法10条の2)。納税通知書は代表者に届きますが、市は共有者の誰からでも全額を徴収できます。
Q4相続放棄したのに固定資産税の通知が届いたら?
放棄者は「現に所有している者」に当たりません。相続放棄申述受理通知書の写しを資産税課に提出し、課税先の見直しを求めます。
Q5未登記の建物にも固定資産税はかかる?
かかります。登記がなくても家屋補充課税台帳に所有者として登録された者に課税され、1月1日時点の所有者が後から登録される場合もあります。
Q6所有者不明の土地の固定資産税は誰が払う?
市町村が相当な努力で探索しても所有者が不明なら、使用者を所有者とみなして課税できます(343条5項)。登録前に使用者へ通知が届きます。
Q7地上権者が固定資産税を払うことはある?
あります。質権の目的である土地や、存続期間100年超の地上権の目的である土地は、質権者・地上権者が納税義務者となります(343条1項)。
Q8固定資産税の納税通知書はいつ届く?
多くの市町村では4月から6月ごろに届きます。課税されるのは1月1日時点の名義人で、届いた時点の所有者ではありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1家を年の途中で売ったら、固定資産税は日割りで返ってくるんですか?
市役所からは返ってきません。343条と359条により、1月1日時点の登記名義人が一年分の納税義務者となり、年の途中で所有者が変わっても課税は動きません。日割り精算は売主と買主のあいだの契約上の取り決めです。実務のポイント:精算の起算日は関東では1月1日、関西では4月1日とすることが多いとされ、どちらを採るかで数か月分の差が出る。仲介業者任せにせず、契約書の文言で確認しておく
Q2親名義の家、相続登記してないけど税金ってどうなるの?
親が1月1日より前に亡くなっていれば、343条2項後段により相続人が「現に所有している者」として課税されます。遺産分割前であれば、相続人全員が連帯して納付義務を負います(地方税法10条の2)。実務のポイント:市から相続人代表者の届出を求められても、代表者が税を一人で負担すると決まるわけではない。誰が払うかを遺産分割協議書に書いておかないと、あとで立替金の回収をめぐって兄弟で揉める
Q3店の内装は自分で入れたけど、大家の建物にくっついてるのに私が税金を払うの?
市町村が343条10項を適用していれば、取り付けたテナントが所有者とみなされ、償却資産として課税されます。民法上は付合(民法242条)により大家の所有物になっていても、税法上は別扱いです。実務のポイント:この扱いを採っていない自治体では、設備は大家の家屋の一部として課税される。出店前にその市の扱いを確認しておくと、賃料交渉や原状回復の協議で材料になる
Q4評価が高すぎた気がする。何年分さかのぼって取り戻せる?
過誤納金の還付は原則として5年分です(地方税法17条の5、18条の3)。それより前の分も、市町村の評価に過失があれば国家賠償請求で取り戻せる余地があると最高裁は認めました(最判平成22.6.3)。実務のポイント:住宅用地特例の適用漏れは、自治体側のミスとして各地で繰り返し見つかっている。課税明細書の小規模住宅用地の欄が空欄なら、まず資産税課に問い合わせる価値がある
間違えやすい点 AI による整理
- 「売ったのだから、税金はもう買主の負担」と考えがちだが、課税は1月1日時点の登記名義で決まり、年の途中で売買しても納税義務者は変わらない。日割り精算は不動産取引の慣行であって、法律上の義務ではない。契約書に精算条項がなければ、買主から1円も回収できないおそれがある
- 「この家の本当の所有者は誰か」を市役所と争おうとする人がいるが、問いの立て方が違う。343条2項は台帳上の名義人に課税すると定めており、判例(最判昭和47.1.25)も、登記名義人が真の所有者でなくても課税は適法だとした。争う相手は市ではなく名義と実態を食い違わせた当事者であり、手段は不当利得返還請求(民法703条)である
- 相続登記をしなくても税金は何とか処理される、ということは知っていても、放置の代償の大きさは知られていない。2024年4月から相続登記は義務化され、正当な理由なく3年以内に申請しなければ10万円以下の過料の対象になる。さらに市町村は条例により、現所有者に申告を求めることができる(地方税法384条の3)。怠れば過料の対象になりうる(最新の改正状況をご確認ください)
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定する内容 | 343条:誰が納税義務者か(台帳上の所有者) | 359条:いつの時点で判定するか(1月1日) 384条の3:現所有者に申告させる制度 |
| 名義人死亡時の扱い | 賦課期日前の死亡なら現に所有している者に課税 | 1月1日の状態で翌年度課税が確定 条例により相続人等の現所有者に申告を求められる |
| 納税者側の対応 | 名義と実態のずれは当事者間の精算・不当利得で調整 | 決済・登記日を12月中か1月以降かで設計 求められた申告を怠ると過料の対象になりうる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は地價稅・房屋稅を所有権者等に課し、毎年8月31日など一定の基準日の登記・登録で納税義務者を判定する点で、日本の台帳課税と発想が近い
韓国の財産税は課税基準日(6月1日)に事実上財産を所有する者に課す。基準日方式は日本と共通だが、日付と事実上の所有を重視する点が異なる
ドイツの不動産税も毎年1月1日の状態を基準とし、課税対象が帰属する者を納税義務者とする
米国の財産税は州ごとに lien date(基準日)を定め、登録所有者に課税するのが一般的。売買時の日割り精算は取引慣行で行われる点も日本と似る
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 12月20日に中古マンションの売買契約を結び、決済と所有権移転登記は1月10日になった。翌年5月、売主のあなたのもとに一年分の納税通知書が届く。買主との日割り精算は契約上の約束にすぎず、市役所はそれに関与しない。契約書に精算条項がなければ、買主に請求する根拠そのものが弱くなる
- 父が亡くなって5年、実家の名義は父のまま。誰も住んでいないのに、なぜ長男のあなたにだけ納税通知書が届くのか? 市は相続人の一人に宛てて通知を送るが、法律上は相続人全員が連帯納付義務(地方税法10条の2)を負う。兄弟が払っていなくても、市はあなたの預金を差し押さえることができる
- あなたは美容室を開くため、借りた店舗に600万円をかけてシャンプー台・空調・内装を入れた。翌年1月、市から償却資産の申告書が届く。建物は大家のものでも、あなたが取り付けた設備は、市が343条10項を使っていればあなたが所有者とみなされる。申告期限は1月31日で、残り3週間しかない
- 震災以来、所有者が行方不明になっている隣の空き地を、あなたは駐車場として使い続けている。市はあなたを所有者とみなして課税できる。事前の通知が一通届くだけである
- 12月に家庭裁判所で相続放棄が受理されたのに、翌年も亡き母の家の固定資産税の通知が届いた。放棄の効力は相続開始時にさかのぼるため、あなたは「現に所有している者」に当たらない。相続放棄申述受理通知書を資産税課に提出すれば、課税先の見直しを求められる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 課税明細書の名義・地番・家屋番号を登記事項証明書と照合する2. 1月1日より前に売却・死亡・相続放棄があったなら、登記簿・戸籍・受理通知書を添えて資産税課に申し出る3. 納税義務者の認定に不服があれば、処分を知った日の翌日から3か月以内に市町村長へ審査請求する(行政不服審査法18条) 4. 評価額への不服は別ルートで、固定資産評価審査委員会に審査申出をする(地方税法432条)
訴えられた側:1. みなし所有者としての事前通知を受けたら、使用の実態と所有者の手がかりを整理し、誤認であれば登録前に反論資料を出す2. 相続人なら遺産分割後すみやかに相続登記をして課税先を確定させる3. 納付が難しければ徴収猶予(地方税法15条)を申請し、滞納処分に進ませない4. テナントとして設備を入れたなら、1月31日までに償却資産を申告する
時効(請求できる期限):賦課期日は毎年1月1日(地方税法359条)。償却資産の申告期限は1月31日(同383条)。課税処分への審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内。価格への審査申出は納税通知書の交付を受けた日後3か月以内(同432条)。過誤納金の還付請求権は5年(同18条の3)。5年を超える過大課税については国家賠償請求の余地がある(最判平成22.6.3)。相続登記の申請義務は、相続による取得を知った日から3年以内(不動産登記法76条の2)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:343条2項は課税の便宜と確実性のために形式的基準を採用したものであり、台帳上の名義人は真の所有者でなくても納税義務を負う。実体とのずれは私法上の不当利得等で調整されるとする
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)度改正 テナント等が取り付けた家屋の附帯設備(特定附帯設備)について、取り付けた者を所有者とみなして課税できる規定を追加した(項番号はその後移動)
- 令和2年(2020年)度改正 相当な努力を払って探索しても所有者が存在しない場合に、使用者を所有者とみなして課税できる規定(現5項)を追加した。あわせて現所有者の申告制度(384条の3)を創設した
改正の年表
- 1.昭和25年(1950年) 新設:シャウプ勧告を受けた地方税法の制定により、固定資産税の創設とともに台帳課税を基本とする納税義務者規定が置かれた
- 2.平成16年(2004年) 改正:テナント等が事業用に取り付けた家屋の附帯設備について、取り付けた者を所有者とみなして課税できる規定を追加した
- 3.令和2年(2020年) 改正:相当な努力を払って探索しても所有者が不明な場合に、使用者を所有者とみなして課税できる規定を追加し、あわせて現所有者の申告制度(384条の3)を創設した
- 地方税法 第359条賦課期日を1月1日と定める
- 地方税法 第341条固定資産・償却資産・台帳の定義
- 地方税法 第384条の3現所有者の申告制度
- 地方税法 第10条の2共有物に対する連帯納付義務
- 地方税法 第432条価格への審査申出の手続
- 不動産登記法 第76条の2相続登記の申請義務と課税名義の整合
- 建物の区分所有等に関する法律 第2条区分所有者の定義の引用元
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