航空法 第49条(物件の制限等)
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- 何人も、空港について第四十条(第四十三条第二項において準用する場合を含む。)の告示があつた後においては、その告示で示された進入表面、転移表面又は水平表面(これらの投影面が一致する部分については、これらのうち最も低い表面とする。)の上に出る高さの建造物(その告示の際現に建造中である建造物の当該建造工事に係る部分を除く。)、植物その他の物件を設置し、植栽し、又は留置してはならない。ただし、仮設物その他の国土交通省令で定める物件(進入表面又は転移表面に係るものを除く。)で空港の設置者の承認を受けて設置し又は留置するもの及び供用開始の予定期日前に除去される物件については、この限りでない。
- 2.空港の設置者は、前項の規定に違反して、設置し、植栽し、又は留置した物件(成長して進入表面、転移表面又は水平表面の上に出るに至つた植物を含む。)の所有者その他の権原を有する者に対し、当該物件を除去すべきことを求めることができる。
- 3.空港の設置者は、第一項の告示の際現に存する物件で進入表面、転移表面又は水平表面の上に出るもの(同項の告示の際現に存する植物で成長して進入表面、転移表面又は水平表面の上に出るに至つたもの及び同項の告示の際現に建造中であつた建造物で当該建造工事によりこれらの表面の上に出るに至つたものを含む。)の所有者その他の権原を有する者に対し、政令で定めるところにより通常生ずべき損失を補償して、当該物件の進入表面、転移表面又は水平表面の上に出る部分を除去すべきことを求めることができる。
- 4.前項の物件又はこれが存する土地の所有者は、同項の物件の除去によつて、その物件又は土地を従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、政令で定めるところにより空港の設置者に対し、その物件又は土地の買収を求めることができる。
- 5.第三項の補償すべき損失の額並びに前項の買収及びその価格等の条件は、当事者間の協議により定める。協議が調わないとき、又は協議することができないときは、国土交通大臣が裁定する。
- 6.前項の裁定中補償すべき損失の額及び買収の価格について不服のある者は、その裁定の通知を受けた日から六箇月以内に、訴えをもつてその金額の増減を請求することができる。
- 7.前項の訴えにおいては、空港の設置者又は物件若しくは土地の所有者その他の権原を有する者を被告とする。
- 8.第五項の裁定についての審査請求においては、買収の価格についての不服をその裁定についての不服の理由とすることができない。
この条文の基本情報
物件の制限等とは何ですか?
定義物件の制限等とは、航空法第49条に定められた規定で、「何人も、空港について第四十条(第四十三条第二項において準用する場合を含む。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 航空法第49条(物件の制限等)は、日本の航空法に含まれる条文です。
- 航空法第49条の条文原文は「何人も、空港について第四十条(第四十三条第二項において準用する場合を含む。」で始まります。
- 航空法第49条は第五章 航空路、空港等及び航空保安施設に置かれています。
- 航空法の公布日は昭和27年7月15日です。
- 航空法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 航空法第49条の前の条は航空法第48条です。
- 航空法第49条の次の条は航空法第50条です。
- 航空法第49条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第49条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0000000231 - 本サイト収録
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第49条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/327AC0000000231/49
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点航空法49条は、空港の告示後に進入表面・転移表面・水平表面を超える建造物や植物の設置を禁じる規定。告示前からある物件は、損失を補償したうえで除去を求める。
Q · 空港の近くの建物や木を「削ってほしい」と言われたら、補償はもらえるの?
告示前からある物件なら補償あり、告示後なら補償なし
航空法49条では、空港の告示後に制限表面を超えて設置・植栽した物件は、補償なしで除去を求められます(2項)。一方、告示の際に既に存在していた物件は、空港の設置者が通常生ずべき損失を補償して除去を求めます(3項)。除去で土地を従来の目的に使うことが著しく困難になれば買収請求もでき(4項)、金額は協議、不調なら国土交通大臣が裁定し、不服は通知から六か月以内に増減の訴えで争います(5項・6項)。
解説
空港の周りには、国の告示によって見えない斜面と天井が張られている。滑走路の延長線上に伸びる「進入表面」、その両脇を覆う「転移表面」、空港の上空を水平に覆う「水平表面」の三つである。告示が出た後は、これらの面より高い建物を建てることも、木を植えて育てることも、クレーンを置いたままにすることもできない。ここで決定的に効くのが、その物件が告示の前からあったのか、後から置かれたのかという一点だ。告示前からある建物や木であれば、空港の設置者は「通常生ずべき損失」(普通に考えて当然発生する損害)を補償しない限り、超えた部分を削らせることはできない。削った結果、土地が元の用途に使えなくなるなら、あなたの側から買い取りを求める権利まである。逆に告示後に置いたものは、補償なしで除去を求められる。金額で揉めれば国土交通大臣が裁定し、その金額に不服なら六か月以内に裁判で増減を争える。所有者のあなたが持っているカードは、思っているよりずっと多い。
法的な位置づけ
航空法49条は、空港周辺の物件の高さ制限を定める規定であり、同法40条の告示後に進入表面・転移表面・水平表面を超える建造物・植物等の設置を禁止する。告示前から存する物件については、通常生ずべき損失の補償を条件とする除去請求、所有者の買収請求、国土交通大臣の裁定および金額増減の訴えという補償手続を定める。
手順
- 1.物件が告示前か告示後かを証拠で確定する 除去を求められた物件について、建築確認済証・登記事項証明書・古い航空写真などで、空港の告示(航空法40条)より前から存在していたかを確認する。告示前なら補償対象、告示後なら補償なしの除去対象となる
- 2.制限表面の高さを照会し実測値と照合する 空港の設置者または地方航空局に地番を伝えて制限表面の高さを照会し、物件の実際の高さと比べて、どの部分がどの表面を超えているかを特定する
- 3.補償または買収請求について協議する 告示前の物件であれば通常生ずべき損失の補償を求め、除去後に従来の用途で使えなくなる場合は最初から買収請求(49条4項)も議題に載せて空港の設置者と協議する
- 4.不調なら大臣裁定、金額不服は六か月以内に提訴 協議が調わなければ国土交通大臣の裁定を受ける。補償額や買収価格に不服があれば、裁定の通知を受けた日から六か月以内に金額の増減を求める訴えを起こす。買収価格への不服は審査請求の理由にできないので注意する
よくある質問 AI による整理
Q1航空法 制限表面とは?
空港周辺の上空に設定される、物件が超えてはならない見えない面です。進入表面・転移表面・水平表面などがあり、定義は航空法2条、範囲は40条の告示で示されます。
Q2航空法49条 違反するとどうなる?
空港の設置者から補償なしで除去を求められます(49条2項)。さらに航空法には罰則規定もあるため、最新の条文で確認が必要です。
Q3空港 高さ制限 調べ方は?
対象地の地番を空港の設置者や地方航空局に照会すると、地点ごとの制限表面の高さを確認できることが多いです。設計前の確認が欠かせません。
Q4空港 高さ制限 補償 いくら?
法律上の基準は「通常生ずべき損失」で、具体額は政令の定めに従い当事者が協議して決めます。協議が不調なら国土交通大臣が裁定します(49条3項・5項)。
Q5航空法 買収請求 できる条件は?
告示前からある物件の除去によって、その物件や土地を従来の目的に使うことが著しく困難になる場合です(49条4項)。所有者の側から買取りを求められます。
Q6国土交通大臣の裁定 不服 いつまで?
補償額・買収価格への不服は、裁定の通知を受けた日から六か月以内に増減の訴えを起こします(49条6項)。被告は空港の設置者または所有者側です。
Q7工事用クレーン 空港 高さ制限 違法?
制限表面を超えれば原則違反です。ただし仮設物等は、水平表面に限り空港の設置者の承認で例外となりえます。進入表面・転移表面には例外がありません。
Q8建築中の建物 告示 どうなる?
告示の時点で建造中だった建造物の当該工事部分は禁止の対象外です(49条1項括弧書)。工事で制限表面を超えた場合は補償つき除去の対象になります(3項)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1空港から結構離れてるのに、うちの土地にも高さ制限ってかかるんですか?
かかることがある。水平表面は空港標点の上方45メートルの高さにあり、滑走路の規模に応じて半径数キロまで広がる。進入表面は滑走路の延長方向へさらに遠くまで伸びている(49条1項、40条)。実務のポイント:制限表面の高さは地点ごとに違う。設計の前に空港の設置者や地方航空局へ地番を伝えて照会すれば、具体的な制限高を確認できることが多い。この照会一本で、図面の描き直しを防げる
Q2補償額が安すぎるんだけど、どこに文句を言えばいいの?
まず空港の設置者と協議し、まとまらなければ国土交通大臣が裁定する(5項)。裁定の金額に不服なら、通知から六か月以内に裁判所へ増減を求める訴えを起こす(6項)。被告は国ではなく空港の設置者になる(7項)。実務のポイント:審査請求では買収価格への不満を理由にできない(8項)。不服審査の手続に時間を使ってしまい、出訴期間を逃すのがありがちな落とし穴である
Q3古い家を建て替えるとき、前と同じ高さなら問題ないですよね?
原則として問題になる。建て替えは告示後の新たな設置にあたり、制限表面を超える部分は建てられない(1項)。補償の対象となる「告示の際現に存する物件」は既存の建物そのものを指し、建て替え後の建物は含まれないと解するのが一般的である。実務のポイント:制限表面を超えている古い建物は、今の高さが既得権のように見える。しかし建て替えた瞬間にその高さは失われる。購入前の評価で見落とされやすい減価要因である
間違えやすい点 AI による整理
- 「自分の土地なのだから、建築基準法や都市計画の高さ制限さえ守れば何階建てでも建てられる」と考えがちである。しかし航空法の制限表面は建築基準法・都市計画法とは別系統の規制であり、建築確認を通った建物でも、制限表面を超えれば本条違反になりうる
- 告示後に植えた木でも、低いうちは問題にならないことは知られている。見落とされているのは、成長して制限表面を超えた瞬間に補償なしの除去対象へ変わるという点だ(2項)。苗木を植えたその日に、二十年後の伐採費用を誰が負担するかがすでに決まっている
- 「補償額が安いから審査請求で争う」という発想そのものが筋違いである。買収価格への不服は審査請求の理由にできず(8項)、補償額・買収価格を争う専用ルートは、裁定通知から六か月以内に起こす金額増減の訴えである(6項)。窓口を間違えて費やした時間が、そのまま出訴期間を削っていく
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の内容 | 航空法49条:制限表面を超える物件の設置禁止と除去・補償 | 航空法40条:制限表面の範囲等を示す空港の告示 航空法51条:一定の高さ以上の物件への航空障害灯の設置 |
| 所有者への効果 | 超える部分の設置不可、除去を求められうる | 告示により規制の起点(告示日)が確定する 物件は残せるが灯火の設置義務が生じる |
| 補償の有無 | 告示前の物件は通常生ずべき損失を補償、告示後は補償なし | 告示自体に補償規定はない 本条とは別の取扱い(条文で要確認) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も航空站周辺の一定範囲で建築物等の高さを禁止・制限し、管理辦法で詳細を定める。既存物件の取扱いと補償の要件は条文で要確認
韓国も障害物制限表面を超える建築物等の設置を制限する。日本と同じくICAO基準を国内法化した構造
ドイツは空港周辺に建築保護区域(Bauschutzbereich)を設け、一定高さを超える建築に航空当局の同意を要する許可制として運用する
米国は連邦レベルでは一定高さ以上の建設をFAAへ事前通報させ障害物評価を行い、実際の高さ規制は州・自治体のゾーニングに委ねる二層構造
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 国土交通大臣の裁定書が届いた。示された補償額は見込みの半分しかない。ここからどう動けばいいのか? 裁定の通知を受けた日から六か月以内に、空港の設置者を被告として増額を求める訴えを起こすことになる。審査請求で「金額が安すぎる」と主張しても、それを理由にすることはできない(49条8項)
- 空港から数キロの場所でマンションを建てる現場の責任者があなただとする。タワークレーンのジブを上げると水平表面を超えてしまう。仮設物であれば、空港の設置者の承認を受けて水平表面を超える余地がある。ただし進入表面・転移表面にかかる場所では、この例外がそもそも使えない。工程表を固める前に確認しなければ、着工後に工事が止まる
- 祖父が植えた屋敷林の杉が、気付けば水平表面を突き抜けていた。告示より前から生えていた木なら、切らせる側が補償を払う
- 空港の告示が出た後に庭へ植えたヒマラヤスギが、二十年かけて育ち、進入表面の上に出た。空港の設置者から除去を求められたが、補償は出ない。植えたときは低くても、成長して制限面を超えた植物は違反物件として扱われるからだ(49条2項括弧書)
- 畑の中にある倉庫について、上半分を削るよう求められた。半分の高さでは農機が入らない。この場合、削った部分の補償を受けるだけで終わらせる必要はない。49条4項の買収請求によって、倉庫と土地をまとめて買い取るよう求める道がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 除去を求められた物件が告示前から存在したかどうかを、建築確認済証・登記・古い航空写真で確認する2. 告示前からある物件なら3項の補償対象であり、補償の提示がない除去要求には即答せず協議を求める3. 除去によって土地や建物が従来の用途に使えなくなるなら、4項の買収請求を検討する4. 協議がまとまらなければ国土交通大臣の裁定を受け、金額に不服があれば通知から六か月以内に増減の訴えを起こす
訴えられた側:1. 対象地点の制限表面の高さを空港の設置者または地方航空局に照会し、実測値と照らし合わせる2. 告示の時点で建造中だった建造物の工事部分は1項括弧書で除外されるため、着工時期を示す資料を揃える3. クレーンなどの仮設物は、水平表面に限り設置者の承認で例外となりうるので、事前に承認を申請する4. 違反には罰則規定がある(最新の改正状況をご確認ください)。指摘を受けたら早めに是正計画を示す
時効(請求できる期限):補償額・買収価格についての裁定に不服がある場合は、裁定の通知を受けた日から六か月以内に増減の訴えを起こす(49条6項)。裁定そのものへの審査請求は、原則として処分を知った日の翌日から三か月以内(行政不服審査法18条)。ただし買収価格への不服は審査請求の理由にできない(49条8項)
学説
通説(損失補償論):告示前から適法に存在した物件の除去は所有者に特別の犠牲を課すため補償を要し、告示後の物件は規制を前提に設置されたものとして補償を要しないとする整理。本条3項と2項の区別はこの考え方に沿うものとされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和27年(1952年) 新設:航空法(昭和27年法律第231号)の制定により、空港周辺の物件の制限および告示前物件に対する補償・買収請求の制度が設けられた
- 航空法 第2条進入表面・転移表面・水平表面の定義
- 航空法 第40条制限表面を示す空港の告示
- 航空法 第43条告示事項の変更時に40条告示を準用
- 航空法 第51条高層物件への航空障害灯の設置義務
- 航空法 第132条の85空港周辺の無人航空機飛行禁止空域(現行効力を要確認)
- 行政事件訴訟法 第4条当事者訴訟として争う補償額増減の訴え
- 行政不服審査法 第18条裁定に対する審査請求の期間
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