要点厚生年金保険法 38 条の 2 は、受給権者の申出により年金の全額支給を停止できると定める。撤回は将来分のみに効き、停止期間中の年金は増額も遡及支給もされない。
Q · 年金って、自分の希望で止めることはできるんですか?
止められるが、止めた期間の分は戻らず増えもしない
厚生年金保険法 38 条の 2 により、受給権者本人の申出だけで年金たる保険給付の全額支給を停止できます。理由は問われません。申出はいつでも撤回できますが、効力は将来に向かってのみ生じるため、停止していた期間の年金は撤回しても支給されません。繰下げ受給(同法 44 条の 3)と異なり増額もありません。さらに第 4 項により、政令で定める法令の適用上は「支給を停止されていない」ものとみなされるため、他制度の判定を有利にする目的では期待した効果が出ない場合があります。
年金は、受け取りたくなければ止められる。厚生年金保険法 38 条の 2 は、受給権者本人の申出だけで、年金たる保険給付の全額支給を停止できると定める。理由は問われず、役所の審査もない。ここまでは親切な制度に見える。問題はその先だ。第 3 項は撤回を「将来に向かつて」のみ認める。つまり止めていた期間の年金は、撤回しても戻らない。繰下げ受給(44 条の 3)のように、待った分だけ増える仕組みは、この条文のどこにもない。止めた分は増えも戻りもせず、ただ消える。さらに第 4 項は、政令で定める法令の規定の適用については、停止中の年金も「支給を停止されていないものとみなす」と定める。止めれば加給年金が復活する、扶養に入れる、保険料の段階が下がる。そう考えて申し出た人の期待は、この一項で先回りして封じられている。
厚生年金保険法 38 条の 2 は、受給権者の申出による年金給付の支給停止を定める規定である。申出により年金たる保険給付は全額の支給が停止され、他の規定により一部が停止されている場合は停止されていない部分が対象となる。申出は将来に向かってのみ撤回でき、停止中の給付は政令で定める法令の適用については支給を停止されていないものとみなされる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
厚生年金保険法 38 条の 2 に基づき、受給権者本人の申出だけで年金たる保険給付の全額支給を止める制度です。理由は問われず、審査もありません。
年金事務所または街角の年金相談センターで、支給停止申出書を提出します。撤回する場合も同じ窓口に撤回の届出が必要です。
厚生労働省令で定める支給停止申出書のほか、年金証書や本人確認書類が求められます。様式と添付書類は年金事務所で最新版を確認してください。
年金は月単位で支払われる制度のため、停止も撤回も月単位で判断されます。届出の受理時期で 1 か月分が動くので、月末の郵送提出は避けるのが安全です。
本条は「年金たる保険給付」を対象とするため、老齢厚生年金だけでなく障害厚生年金・遺族厚生年金も申出の対象になります。個別の可否は年金事務所で確認してください。
国民年金法 20 条の 2 に同趣旨の申出による支給停止の規定があります。厚生年金だけを止めても基礎年金は止まらないため、別々の判断になります。
停止期間中の分はそもそも支給されない扱いのため、未支給の保険給付(同法 37 条)として遺族が請求できるのは、停止されていない未払分に限られます。
支給されていない期間の年金は現実の収入として受け取っていません。ただし第 4 項の政令指定法令の適用では停止していない扱いになるため、対象法令かの確認が必要です。
増えない。増額の仕組みを持つのは繰下げ(厚生年金保険法 44 条の 3)だけで、38 条の 2 の申出に増額規定は一つもない。撤回も第 3 項で将来分のみ。業界裏話ヒント:二つを分ける唯一の分水嶺は「裁定請求をしたかどうか」。窓口では両方が同じ「今は受け取らない選択」として並べて説明されることがあるが、金額の結末は正反対になる。
いつでも撤回できる(第 3 項)。ただし効力は将来分のみで、停止していた期間の分は復活しない。撤回には年金事務所への届出が必要である。業界裏話ヒント:判定されるのは「出した日」ではなく届出が受理された時点であり、月末の郵送投函は一か月分を失うリスクがある。窓口持参か、月半ばまでの提出がそのまま現金差になる。
第 4 項が先回りしている。政令で定める法令の規定の適用については、停止中の年金も「支給を停止されていないものとみなす」ため、収入がゼロになる前提の節約策は多くの場面で成立しない。業界裏話ヒント:どの法令が対象かは政令の列挙で決まる。申し出る前に、狙っている制度の所管窓口(市区町村の介護保険課や国保課)に確認すべきで、年金事務所は他制度の判定までは答えられない。
金額を指定する部分停止はできない。第 1 項は「その全額の支給を停止する」と定めている。ただし在職老齢年金などで既に一部が停止されている場合は、停止されていない残りの部分が停止対象になる(第 1 項ただし書)。業界裏話ヒント:複数の年金を持つ人は、実務上どの給付について申し出るかを選べる。全部を一律に止める必要はなく、給付単位で組み立てられる点は窓口から積極的には説明されない。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 増額の有無 | 38 条の 2:増額規定は一切ない | — |
| 発動のきっかけ | 受給権者本人の申出(理由不問) | — |
| やり直しの効力 | 撤回は将来に向かってのみ、停止分は復活しない | — |
| 他制度での扱い | 政令で定める法令の適用上は支給停止されていないとみなす(第 4 項) | — |
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