要点厚生年金保険法 38 条は、他の年金を受けられるときに厚生年金の支給を停止する併給調整の規定。同一事由の基礎年金や 65 歳以降の障害基礎年金は例外として併給できる。
Q · 年金の受給権が二つあると、どちらか一方は必ず止まってしまうの?
原則は一方が停止。ただし併給できる組み合わせもあります
厚生年金保険法 38 条 1 項は、他の年金たる保険給付や国民年金法の年金給付を受けられるときは厚生年金の支給を停止すると定めます。ただし括弧書きで例外があり、同一の支給事由に基づく障害基礎年金・遺族基礎年金のほか、65 歳以降は障害基礎年金と老齢厚生年金、障害基礎年金と遺族厚生年金も併給できます。停止された側は 2 項で解除を申請でき、4 項によりその申請はいつでも撤回できますが、効力は将来に向かってのみ生じます。
年金は一人一つ、それが原則である。だが 38 条を最後まで読むと、その原則には最初から穴が空けてある。老齢厚生年金を止める場面の括弧書きから、わざわざ「障害基礎年金」が除かれている。つまり 65 歳以降、障害基礎年金を受けながら老齢厚生年金も受け取れる。遺族厚生年金の側にも同じ除外がある。そしてもう一つ、2 項から 4 項は「選択」の装置だ。止められた側の年金は、申請すれば停止を解除できる。4 項でその申請はいつでも撤回できる。ただし条文は「将来に向かつて」と書いている。ここが致命傷になる。有利な方に気付いて選び直しても、過去にさかのぼって差額を取り戻すことは原則できない。気付くのが一年遅れれば、一年分は静かに消える。
厚生年金保険法 38 条は、併給の調整を定める規定である。受給権者が他の年金たる保険給付または国民年金法による年金給付を受けることができるときは、原則として厚生年金側の支給を停止する。同一の支給事由に基づく基礎年金等は停止の対象から除外され、停止された給付の受給権者は支給停止の解除を申請することができ、その申請は将来に向かって撤回することができる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
一人に複数の年金の受給権が生じたとき、原則として一方の支給を停止する仕組みです。厚生年金は 38 条、国民年金は 20 条が根拠で、一人一年金の原則と呼ばれます。
提出期限そのものはありませんが、年金は月単位で動くため(36 条)、月をまたぐと一か月分の差が出ます。解除申請の効力は将来分のみで、遡って差額は請求できません。
他の年金たる保険給付や国民年金法の年金給付を受けられるときです。ただし同一の支給事由に基づく障害基礎年金は除かれ、二階建てで併給できます。
65 歳以降は併給できます。38 条 1 項の遺族厚生年金に関する括弧書きから障害基礎年金が除外されているためです。65 歳前は原則としてどちらかの選択になります。
受給権を得た時点で遺族厚生年金などの他の年金の受給権を持っていると、44 条の 3 但書により繰下げ申出ができません。併給調整とは別枠の制約です。
年金は月を単位として支給され、停止事由が生じた月の翌月分から停止するのが原則です(36 条)。起算月がずれると一か月分の額がそのまま動きます。
保険給付を受ける権利は、支給すべき事由が生じた日から 5 年で時効消滅します(92 条)。記録訂正による増額分は年金時効特例法で救済される場合があります。
国民年金法 20 条が鏡像規定として同じ構造を持ちます。基礎年金側で停止するか厚生年金側で停止するかが異なるだけで、一人一年金という原則は共通です。
原則はそうだが、1 項の括弧書きに例外が並んでいる。同一事由の障害厚生年金+障害基礎年金、遺族厚生年金+遺族基礎年金に加え、65 歳以降は障害基礎年金+老齢厚生年金、障害基礎年金+遺族厚生年金も成り立つ。業界裏話ヒント:この組み合わせは請求書に自動反映されない。障害基礎年金を受けている人が 65 歳を迎えるとき、自分から申し出るかどうかで受取額が変わる
4 項でいつでも撤回でき、選び直し自体は自由。ただし条文は「将来に向かつて」と限定しており、過去分の差額は原則戻らない。年金は月単位で動く(36 条)ため、気付いた月の差がそのまま一か月分の差になる。業界裏話ヒント:記録訂正で増えた分は年金時効特例法により 5 年の時効にかからないが、選択の判断ミスは救済対象外。記録の誤りと選択の誤りは扱いがまるで違う
受けられるが、38 条の話ではない。38 条は公的年金どうしの調整で、労災保険の年金と厚生年金・国民年金が同一事由で重なるときは労災側が一定割合減額される。減らされる側が逆になる。業界裏話ヒント:障害厚生年金には 54 条という固有の停止事由があり、同じ傷病で労働基準法上の障害補償を受ける権利を得た場合は 6 年間停止する。労災保険給付と労基法の補償では扱いが違う
原則は申請主義で、2 項の解除申請が要る。ただし 3 項に救済があり、支給停止事由が生じた日の属する月分の支給が行われる場合は、その時点で解除申請があったものとみなされる。業界裏話ヒント:みなしが働くのは限られた場面だけ。実務では「みなされているはず」と放置して数か月分を落とす例がある。停止の通知が届いたら、みなしの対象かを必ず確認する
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 停止の理由 | 38 条:他の年金の受給権が重なることによる併給調整 | — |
| 対象となる給付 | 障害厚生年金・老齢厚生年金・遺族厚生年金の三種すべて | — |
| 本人の選択余地 | 2 項の解除申請と 4 項の撤回により本人が選び直せる | — |
| 実務上の落とし穴 | 効力が将来に向かってのみで、気付くのが遅れた分は戻らない | — |
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