要点厚生年金保険法 37 条は、受給権者の死亡時に未払の保険給付を、生計を同じくしていた三親等内の親族が自己の名で請求できると定める。相続財産ではないため相続放棄者も請求できる。
Q · 亡くなった親の年金で、まだ振り込まれていない分は誰がもらえるの?
生計を同じくしていた遺族が自分の名で請求できます
厚生年金保険法 37 条 1 項により、受給権者の死亡時に未払となっている保険給付は、死亡当時に生計を同じくしていた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹または三親等内の親族が、自己の名で請求できます。相続財産ではないため、相続放棄をした人でも受け取れます。ただし請求しなければ支払われず、保険給付を受ける権利は 5 年で時効消滅します(同法 92 条)。同順位者が複数いる場合、一人がした請求は全員のためにしたものとみなされます(同条 5 項)。
年金は後払いである。偶数月の15日に、前の2か月分がまとめて振り込まれる。つまり受給者が亡くなった瞬間、必ず1か月から3か月分の「まだ振り込まれていない年金」が宙に浮く。この宙に浮いた分を、遺族が自分の名前で請求できると定めたのが本条だ。効いてくるのは「自己の名で」という五文字である。相続で受け継ぐのではなく、遺族固有の権利として国に請求する。だから相続放棄をした人でも受け取れるし、遺言の内容にも左右されない。条件は二つ、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹または三親等内の親族であること、そして死亡当時に生計を同じくしていたこと。同居していなくても、仕送りや定期的な音信があれば認められる余地がある。請求しなければ、国はこの金を自動的には払わない。
厚生年金保険法 37 条は未支給の保険給付に関する規定であり、受給権者の死亡時に未払となっている保険給付について、死亡当時に生計を同じくしていた一定範囲の親族が自己の名で請求できる旨を定める。相続による承継ではなく請求者固有の権利として構成され、受けるべき者の順位は政令に委任されている。
AI 輔助整理,以條文原文為準
受給権者が亡くなった時点で、まだ振り込まれていない年金のことです。年金は後払いのため死亡時に必ず発生し、厚生年金保険法 37 条により遺族が自己の名で請求します。
年金は偶数月に前 2 か月分が支払われるため、死亡の時期により通常 1〜3 か月分が未支給として残ります。死亡した月の分までが対象で、翌月分は含まれません。
未支給の請求書、故人の年金証書、故人と請求者の関係が分かる戸籍、住民票(除票・世帯全員)、請求者名義の預金通帳が基本です。別居なら生計同一関係に関する申立書を追加します。
保険給付を受ける権利の消滅時効は 5 年です(厚生年金保険法 92 条 1 項)。起算点は各支払期月の翌月初日で、放置すると古い月分から順に権利が消えていきます。
受け取った遺族の一時所得になります(所得税法 34 条)。50 万円の特別控除があるため通常は課税されませんが、同じ年に保険の満期金や解約返戻金があると合算され課税される場合があります。
配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、それ以外の三親等内の親族という枠組みで、具体的な順位は 4 項の委任を受けた政令が定めます。法定相続分の割合とは無関係です。
できます。37 条 3 項により、死亡した受給権者が生前に請求していなかった保険給付も、遺族が自己の名で請求できます。未請求の障害厚生年金などは金額が大きくなることがあります。
振り込まれません。請求した遺族本人の口座に直接支払われます。遺族固有の権利であるため、故人の口座が凍結されていても請求と受領の障害にはなりません。
止まりますが終わりではない。年金は前月までの分を後払いする仕組み(厚生年金保険法36条)なので、死亡月までの分が必ず未支給として残り、37条1項で遺族が自分の名で請求できる。業界裏話ヒント:マイナンバー収録済みなら死亡の届出は自動化されている一方、未支給分は遺族が請求書を出さない限り支払われない。止める側だけが自動化され、もらう側は自動化されていない。
諦める必要はない。37条1項の「自己の名で」が示すとおり、未支給の保険給付は相続財産ではなく遺族固有の権利で、同旨の国民年金法19条について最高裁も相続財産に含まれないとしている(最判平成7.11.7)。業界裏話ヒント:未支給年金の受領自体は相続財産の処分にあたらないと解されているが、故人名義の預金に手を付けると法定単純承認(民法921条)を疑われる。同じ「故人がらみのお金」でも扱いが正反対なので、線を引いて動く。
別居でも可能性はある。生計同一の認定は同居に限られず、継続的な仕送りや定期的な音信・訪問があれば認定されうる(厚生労働省の生計同一関係等の認定基準に関する通知)。申立書に第三者の証明を添える運用だ。業界裏話ヒント:第三者証明は親族以外であればよく、介護施設の施設長や担当ケアマネジャー、民生委員の署名が実務上通りやすい。誰に頼むかで、同じ事実でも結論が変わる。
制度上は持っていける。5項により、一人がした請求は全員のためにしたものとみなされ、一人への支給は全員への支給とみなされるので、国は分配に関与しない。分け方は当事者間の民事問題(民法703条など)に落ちる。業界裏話ヒント:この「先に出した者が窓口になる」構造を知っている人は、揉めそうな家族ほど請求前に分配の覚書を交わす。出したあとの交渉と、出す前の交渉では、力関係が完全に逆転する。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 権利の性質 | 37 条:遺族固有の請求権。相続財産に含まれない | — |
| 受け取れる人 | 死亡当時に生計を同じくしていた三親等内の親族(順位は政令) | — |
| 相続放棄の影響 | 影響しない。相続放棄した者でも請求できる | — |
| 金額と期間 | 未払分の一括(通常 1〜3 か月分、未請求給付があればそれ以上) | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。