厚生年金保険法 第66条
クイックジャンプ
- 子に対する遺族厚生年金は、配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給を停止する。ただし、配偶者に対する遺族厚生年金が前条本文、次項本文又は次条の規定によりその支給を停止されている間は、この限りでない。
- 2.配偶者に対する遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であつた者の死亡について、配偶者が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であつて子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、その支給を停止する。ただし、子に対する遺族厚生年金が次条の規定によりその支給を停止されている間は、この限りでない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第66条は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第66条の条文原文は「子に対する遺族厚生年金は、配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給を停止する。ただし、配偶者に対する遺族厚生年金が前条本文、次項本文又は次条の規定によ…」で始まります。
- 厚生年金保険法第66条は第四節に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第66条の前の条は厚生年金保険法第65条の2です。
- 厚生年金保険法第66条の次の条は厚生年金保険法第67条です。
- 厚生年金保険法第66条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第66条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第66条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/66
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法66条は、配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する期間、子に対する遺族厚生年金の支給を停止すると定める。止まるのは支給だけで、子の受給権は失われない。
Q · 夫が亡くなって妻と子の両方に遺族厚生年金の権利があるのに、なぜ子の分が振り込まれないんですか?
配偶者が受給権を持つ間、子の分は止まります。権利自体は残ります。
厚生年金保険法66条1項により、子に対する遺族厚生年金は、配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給を停止されます。停止されるのは支給であって受給権ではないため、配偶者が再婚などで失権すれば(同法63条)、止まっていた子の分が動き出します。逆に、配偶者が遺族基礎年金の受給権を持たず子だけが持つ場合は、2項により配偶者側の支給が止まります。総額が増減するのではなく、支給の宛先が切り替わる規定です。
解説
遺族厚生年金は、配偶者と子が同時に受給権を持つ。ところが口座に振り込まれるのは片方だけである。66条1項は、配偶者が受給権を持っている間、子の分の支給を止めると定める。ここで決定的なのは、止まるのは「支給」であって「受給権」ではないという点だ。子の権利は消えていない、引き出しの中で眠っているだけである。だから配偶者が再婚などで失権すれば、眠っていた子の遺族厚生年金が動き出す。2項は逆向きに働く。配偶者に遺族基礎年金の受給権がなく、子にだけそれがあるとき、今度は配偶者側が止まる。つまりこの一条は、金額を決める条文ではなく、同じ一本の年金の宛先を書き換える条文である。総額は増えない。誰の口座に入るかだけが動く。
法的な位置づけ
厚生年金保険法第66条は、遺族厚生年金の受給権が配偶者と子に併存する場合の支給調整を定める規定である。1項は配偶者が受給権を有する期間、子に対する遺族厚生年金の支給を停止し、2項は配偶者が遺族基礎年金の受給権を有せず子が有するとき、配偶者に対する遺族厚生年金の支給を停止する。いずれも受給権を消滅させる失権ではなく、支給の一時的な停止である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.「止まっている」のか「権利がない」のかを確定させる 年金事務所で、子について受給権が認められたうえで66条1項により支給停止となっているのか、そもそも受給権が認定されていないのかを確認する。この二つは全く別物で、打つ手が変わる
- 2.配偶者側の事情を時系列で書き出す 再婚、死亡、所在不明が1年以上続いているか、子との生計が分離しているか。停止解除の引き金は配偶者側の状況にしかない。日付が特定できる資料(婚姻届受理証明、行方不明者届の受理番号など)を添えて整理する
- 3.該当する届出・申請を提出する 配偶者に失権事由があれば失権届、所在不明が1年以上続くなら67条の支給停止申請を子の側から行う。67条の停止が認められれば66条1項ただし書が働き、子への支給が開始する。申請しない限り年金事務所は動かない
- 4.5年の時効を先に止める 調査や相談の結論を待つ前に、請求書だけは先に提出しておく。年金を受ける権利は支給事由が生じた日から5年で時効消滅する(同法92条1項)ため、確認に費やした期間がそのまま受給額の目減りになる
- 5.納得できない処分は審査請求で争う 支給停止の決定通知書を受け取ったら、根拠条文と前提事実を確認し、生計同一の実態(同居、送金記録)を示す資料を揃えて社会保険審査官へ審査請求する。請求期間は原則として処分を知った日の翌日から3か月以内(最新の改正状況をご確認ください)
よくある質問 AI による整理
Q1遺族厚生年金の支給停止とは?
受給権を残したまま支払いだけを止める扱いです。厚生年金保険法66条は、配偶者と子の双方に受給権がある場合に一方の支給を止め、給付が二重に出ることを防いでいます。
Q2遺族厚生年金の支給停止はいつ解除される?
停止事由が消えた時点です。配偶者が再婚などで失権した場合(同法63条)、配偶者側の支給が65条・66条2項・67条で停止された場合に、66条1項ただし書が働き子への支給が動き出します。
Q3遺族厚生年金が止まったとき通知は来る?
支給停止の処分には決定通知書が出ます。根拠条文が66条2項なのか他の停止規定なのかを通知書で必ず特定してください。理由が分からないまま放置すると、争う期間が過ぎてしまいます。
Q4中高齢寡婦加算も一緒に止まりますか?
中高齢寡婦加算は遺族厚生年金に加算される給付のため、本体の支給が66条2項で停止されれば加算部分も支給されません。振込額の内訳を通知書で確認することが必要です。
Q5離婚した元夫が亡くなったら子は遺族厚生年金をもらえる?
元配偶者に受給権はありませんが、死亡当時に生計を維持されていた子には受給権が生じうる。配偶者がいない以上66条1項で止める相手方がなく、支給は子へ向かいます。養育費の送金記録が証拠になります。
Q6遺族厚生年金の請求に期限はありますか?
年金を受ける権利は、支給すべき事由が生じた日から5年で時効消滅します(同法92条1項)。支給停止の解除を争う前に、請求書だけは先に提出しておくのが安全です。
Q7子が養子縁組したら遺族厚生年金は止まりますか?
継父母は直系姻族にあたるため、母の再婚相手との養子縁組それ自体で子が当然に失権するわけではありません。直系血族・直系姻族以外の者の養子となった場合は失権事由になります。
Q8支給停止中でも届出は必要ですか?
必要です。停止中も子は受給権者であり続けるため、住所や生計関係の変更は届け出る義務が残ります。怠ると解除できたはずの月が流れ、遡及できる範囲も5年の時効で削られます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1妻が再婚したら、子どもの遺族年金も止まっちゃうんですか?
逆です。配偶者は再婚により受給権を失うため(厚生年金保険法63条)、66条1項の停止事由が消え、子の遺族厚生年金が支給される方向へ動きます。子が再婚相手と養子縁組をしても、継父母は直系姻族にあたるためそれ自体で失権するわけではない。実務のポイント:再婚と養子縁組は同時に進めがちだが、遺族基礎年金の側は国民年金法の別ルールで動く。二階建ての一階と二階を分けて確認しないと、想定と違う金額になる
Q2支給停止って、要するにもうもらえないってことですよね?
もらえないのは「今」だけで、権利そのものは残っています。66条は支給を止める規定であり、権利を消す失権(同法63条)とは別物。停止事由が消えれば支給は再開します。実務のポイント:停止中でも子は受給権者なので、住所や生計関係が変わったときの届出義務は続く。届出を怠ると再開できたはずの月が流れ、遡って受け取れる範囲も5年の時効(同法92条)で削られていく
Q3夫が家を出て行方不明なんですが、子どもの年金はどうにもならないんでしょうか?
所在が一年以上明らかでないときは、67条により子の側からの申請で配偶者の遺族厚生年金の支給を停止できます。停止されれば66条1項ただし書が働き、子の遺族厚生年金が動き出す。実務のポイント:これは申請しない限り誰も動かしません。年金事務所は家庭の内情を知らないので、警察への行方不明者届の受理番号など、所在不明を裏づける資料を自分で揃えて持ち込む必要がある
Q4妻と子の両方に年金が出るって聞いたんですが、本当ですか?
遺族厚生年金は死亡した人の報酬比例部分の4分の3という一本の給付で、配偶者と子に二重には出ません。66条はどちらに支給するかを切り替える規定です。実務のポイント:試算した金額が合わないと感じたら、まず遺族基礎年金(国民年金法)と遺族厚生年金のどちらの話をしているかを切り分ける。この切り分けをしないまま足し算した金額は、ほぼ確実にずれる
間違えやすい点 AI による整理
- 「再婚したら子どもの遺族年金も消える」と信じて再婚を我慢する人は多いが、実際は逆方向に働く。配偶者が再婚により受給権を失えば(厚生年金保険法63条)、66条1項の停止事由が消え、子の遺族厚生年金が動き出す。しかも子が再婚相手と養子縁組をしても、継父母は直系姻族にあたるため、それ自体で子が失権するわけではない
- 支給停止と失権が違うことは知っている人もいる。だが深刻なのはその先で、支給停止中も子は受給権者であり続けるため、住所や生計関係が変わったときの届出義務は残ったままである。届出を怠ると、本来なら停止が解除できた月がそのまま流れ、遡って受け取れる範囲も時効(同法92条)で削られていく
- 「妻と子、合わせていくらもらえるのか」という問いの立て方自体がずれている。遺族厚生年金は死亡した人の報酬比例部分の4分の3という一本の給付であり、66条は配偶者と子で分け合う規定ではなく、どちらか一方へ寄せる規定である。足し算の問題ではなく、宛先の問題だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 権利がどうなるか | 厚年法66条:受給権は残り、支給だけが止まる | 厚年法63条:受給権そのものが消滅(失権) 厚年法67条:所在不明を理由に支給だけが止まる |
| 発動の引き金 | 配偶者と子の受給権併存、または配偶者に遺族基礎年金の受給権がなく子にあること | 死亡、再婚、直系血族・直系姻族以外の養子縁組、子の年齢到達など 所在が1年以上明らかでないこと+他方からの申請 |
| 元に戻るか | 停止事由が消えれば支給再開 | 戻らない。以後の請求も不可 所在が判明すれば本人の申請で停止解除 |
| 誰が動く必要があるか | 職権で調整されるが、家族関係の変動は届出が前提 | 失権届の提出が必要 子など他の受給権者からの申請が必須(申請主義) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は遺属年金の受給順位を定めたうえで、同順位者が複数いる場合は年金額を平均分配する方式をとる。日本のように一方へ寄せて他方を停止する構造ではなく、分配型である点が対照的
韓国は最先順位者に集約して支給する点で日本に近く、受給権者の順位と失権・지급정지を条文で整理している。日本のような基礎年金/報酬比例年金の二階建て連動調整は持たない
ドイツは配偶者年金と孤児年金を別個の給付として並行支給する構成をとり、一方の支給を他方の受給権の存在で停止する調整弁を置かない。代わりに所得調整(Einkommensanrechnung)で総額を制御する
米国は配偶者・子それぞれに給付を認めたうえで、世帯合計に family maximum の上限をかけて按分する。宛先を切り替える日本型ではなく、上限内で全員に配る設計
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 夫を亡くした妻が数年後に再婚したら、高校生の子の年金はどうなる? 妻は再婚により受給権を失う(厚生年金保険法63条)。その瞬間、66条1項で止まっていた子の遺族厚生年金の停止事由が消える。再婚したら一家全滅だと思い込み、何年も再婚を先送りにする相談は珍しくない
- あなたが受け取っている側の配偶者で、亡くなった人の子と生計を同じくしていない場合。子に遺族基礎年金の受給権があり、あなたにはない。この瞬間、66条2項であなたの遺族厚生年金は止まる。40歳以上65歳未満の妻に付く中高齢寡婦加算があったなら、それも本体と一緒に止まる
- 配偶者が家を出て一年以上、行方が分からない。子の遺族厚生年金は66条1項で止まったままである。67条の所在不明による支給停止を誰かが申請しない限り、この状態は一円も動かない
- 配偶者が亡くなったのが4年前。手続の途中で心が折れ、遺族厚生年金の請求書を出さないまま封筒を引き出しに入れた。年金を受ける権利は5年で時効消滅する(厚生年金保険法92条)。残り時間は1年を切っている
- 友人から「元夫が亡くなったけど、離婚しているから子どもには何もないよね」と相談された。元妻に受給権はないが、死亡当時にその子が生計を維持されていたなら、子には受給権がありうる。66条1項で止める相手方の配偶者がいない以上、年金は子の側へ向かう
取るべき行動
被害を受けた側:1. 子の遺族厚生年金が「止まっている」のか、そもそも受給権が認められていないのかを年金事務所で確認する。この二つは全く別物である2. 配偶者側の状況(再婚、死亡、所在不明一年以上、子との生計の分離)を時系列で書き出す。停止解除の引き金はここにしかない3. 所在不明なら67条の支給停止申請、失権事由があれば失権届の提出を促す4. 死亡から5年で時効(同法92条)。確認より先に、請求書だけは先に出しておく
訴えられた側:1. 支給を止める通知が来たら、根拠が66条2項なのか他の停止規定なのかを決定通知書で必ず特定する2. 2項は、子に遺族基礎年金の受給権があり自分にない場合に働く。生計同一が認められれば前提が崩れるので、同居実態や送金の資料を集める3. 納得できなければ社会保険審査官への審査請求へ。期間は原則として処分を知った日の翌日から3か月以内(最新の改正状況をご確認ください) 4. 中高齢寡婦加算まで一緒に止まっていないか、内訳を確認する
時効(請求できる期限):年金を受ける権利は、支給すべき事由が生じた日から5年で時効消滅する(厚生年金保険法92条1項)。所在不明による支給停止は所在が明らかでなくなってから1年の経過が要件で、申請により所在不明となった時にさかのぼる(同法67条)。処分に対する審査請求は原則3か月以内(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:66条の支給停止は受給権の存否に影響を与えず、支払の一時的な差止めにとどまる。したがって停止中も受給権者としての届出義務が存続し、停止事由の消滅により当然に支給が再開すると解される。失権(63条)との峻別が本条理解の出発点とされる
改正沿革 AI による整理
- 昭和60年(1985年)改正、昭和61年4月施行 基礎年金制度の導入により遺族基礎年金が創設され、本条2項のように厚生年金側の支給停止を国民年金側の受給権の有無に連動させる調整構造が整えられた。改正回数と各改正の詳細は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和60年(1985年)改正・昭和61年4月施行 改正:基礎年金制度の導入により遺族基礎年金が創設され、本条2項のように厚生年金側の支給停止を国民年金側の受給権の有無に連動させる調整構造が整えられた。改正回数と各改正の詳細は人的検証が必要
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める