厚生年金保険法 第54条(支給停止)
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- 障害厚生年金は、その受給権者が当該傷病について労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第七十七条の規定による障害補償を受ける権利を取得したときは、六年間、その支給を停止する。
- 2.障害厚生年金は、受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなつたときは、その障害の状態に該当しない間、その支給を停止する。ただし、その支給を停止された障害厚生年金の受給権者が疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病に係る初診日において被保険者であつた場合であつて、当該傷病によりその他障害の状態にあり、かつ、当該傷病に係る障害認定日以後六十五歳に達する日の前日までの間において、当該障害厚生年金の支給事由となつた障害とその他障害(その他障害が二以上ある場合は、すべてのその他障害を併合した障害)とを併合した障害の程度が障害等級の一級又は二級に該当するに至つたときは、この限りでない。
- 3.第四十六条第六項の規定は、障害厚生年金について、第四十七条第一項ただし書の規定は、前項ただし書の場合について準用する。
この条文の基本情報
支給停止とは何ですか?
定義支給停止とは、厚生年金保険法第54条に定められた規定で、「障害厚生年金は、その受給権者が当該傷病について労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第七十七条の規定による障害補償を受ける権利を取得したときは、六年間、その支…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第54条(支給停止)は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第54条の条文原文は「障害厚生年金は、その受給権者が当該傷病について労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第七十七条の規定による障害補償を受ける権利を取得したときは、六年間、その支…」で始まります。
- 厚生年金保険法第54条は第三節に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第54条の前の条は厚生年金保険法第53条です。
- 厚生年金保険法第54条の次の条は厚生年金保険法第55条です。
- 厚生年金保険法第54条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第54条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第54条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/54
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法54条は、障害等級に該当しなくなった間の障害厚生年金の支給停止を定める。停止されるのは支払いのみで、受給権は53条の失権事由に当たるまで存続する。
Q · 障害厚生年金が「支給停止」になったら、もう受給権はなくなったということですか?
止まるのは支払いだけで、受給権は消えていない
厚生年金保険法54条2項は、障害等級に該当する程度の障害の状態でなくなった「間」の支給停止を定めるだけで、受給権を消滅させる規定ではありません。失権するのは同法53条の要件を満たしたときです。症状が再び悪化して等級に該当すれば支給は復活しますが、自動ではなく、診断書を添えた支給停止事由消滅届の提出が必要です。また1項は、労働基準法77条の障害補償を受ける権利を取得したときの6年間の停止を定めています。
解説
「支給を停止する」という四文字が届いても、それは受給権が消えたという意味ではない。ここが54条の最大の勘所である。2項は、障害の状態が障害等級(厚生年金は1級から3級)に該当しなくなった「間」だけ支給を止めると書いている。止めるだけで、権利そのものは53条の失権事由に当たらない限り生き続ける。体調が再び悪化して3級以上に戻れば、支給は復活しうる。ただし復活は自動ではない。あなたが診断書を添えた「支給停止事由消滅届」を出して初めて審査が動く。さらに2項ただし書には、存在すら知られていない救済ルートがある。停止中の人が新たな病気や怪我をし、その初診日に被保険者であったなら、元の障害と新しい障害(その他障害)を併合した程度が1級か2級に達したとき、停止が解ける。使えるのは65歳に達する日の前日までである。
法的な位置づけ
厚生年金保険法54条は、障害厚生年金の支給停止を定める規定である。労働基準法77条の障害補償を受ける権利を取得した場合の6年間の停止と、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった間の停止を規定し、後者には新たな傷病によるその他障害との併合により停止が解除される例外を置く。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.支給停止の通知と控えを保全する 支給停止の通知書、提出した診断書の控え、年金証書を一式で保管する。通知に書かれた理由と障害認定基準の該当箇所を突き合わせ、どの項目で等級不該当とされたのかを特定する。受給権は消えていないため、年金証書は捨てない
- 2.受診前に生活実態のメモを用意して診断書を取得する 症状が再び障害等級に該当する実感があれば、主治医に診断書の作成を依頼する。受診前に、服薬管理の状況、外出できなかった日数、家事や通院を誰が代替しているかを箇条書きにしたメモを渡し、日常生活能力の欄が実態どおり記載されるようにする
- 3.支給停止事由消滅届を年金事務所に提出する 診断書を添えて支給停止事由消滅届を年金事務所(または街角の年金相談センター)に提出する。提出しない限り審査は開始されない。年金給付の時効は5年(厚生年金保険法92条)であり、遅れた分は取り戻せないため、診断書が揃い次第すぐ出す
- 4.新たな傷病があるなら初診日と納付要件を先に確認する 停止中に別の病気や怪我をした場合、その初診日に被保険者であったか、3項が準用する47条1項ただし書の保険料納付要件を満たすかを先に確認する。両方満たせば、元の障害とその他障害を併合した程度が1級または2級に至ったときに停止が解ける
- 5.65歳に達する日の前日から逆算して日程を組む その他障害の併合による停止解除が使えるのは、当該傷病の障害認定日以後、65歳に達する日の前日までである。障害認定日の到来時期、診断書作成に要する期間、書類収集の期間を逆算し、カレンダーに提出期限を書き込む
- 6.不服がある場合は3か月以内に審査請求する 等級不該当の決定に納得できない場合、社会保険審査官へ審査請求する。期限は決定があったことを知った日の翌日から3か月以内。診断書の記載と障害認定基準の当てはめのどこがずれているかを具体的に主張することが要点になる
よくある質問 AI による整理
Q1支給停止事由消滅届とは?
支給停止の原因がなくなったことを届け出て、年金の支払再開を求める書類です。障害年金では医師の診断書を添えて年金事務所に提出し、これを出さない限り審査は始まりません。
Q2障害厚生年金の支給停止はいつ解除される?
障害の状態が再び障害等級に該当したときです(54条2項)。ただし解除は自動ではなく、診断書を添えた支給停止事由消滅届の提出が前提になります。
Q3障害年金が止まったら通知は来る?
支給停止の決定は通知されます。通知には理由が記載されるため、障害認定基準のどの項目で等級不該当と判断されたかを確認し、控えを必ず保管してください。
Q4障害年金の支給停止に不服がある場合は?
社会保険審査官への審査請求ができます。決定があったことを知った日の翌日から3か月以内が期限で、争点は診断書の記載内容であることが多いです。
Q5障害年金の時効は何年?
年金給付を受ける権利の時効は5年です(厚生年金保険法92条)。届出が遅れた期間はそのまま受け取れない月数になるため、支給停止の解除は早いほど有利です。
Q6障害厚生年金3級が停止されるのはどんなとき?
障害の状態が3級にも該当しなくなったときです。厚生年金の障害等級は1級から3級で、3級を下回ると54条2項により該当しない間の支給が停止されます。
Q7障害年金の更新(障害状態確認届)は何年ごと?
受給者ごとに概ね1年から5年の周期が定められ、指定された月までに診断書を提出します。ここで等級不該当と判断されると54条2項の支給停止に至ります。
Q8障害者手帳が更新されれば障害年金も続く?
連動しません。障害者手帳と障害年金は根拠法も認定基準も別の制度です。手帳の等級が維持されていても、年金側で等級不該当となれば支給は停止されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1障害年金が止まったって通知が来たんですけど、もう二度ともらえないんですか?
止まっているだけで、受給権そのものは残っています。54条2項は「その障害の状態に該当しない間」の支給停止を定めるにすぎず、権利が消えるのは53条の失権事由に当たったときだけです。実務のポイント:再開は自動ではありません。診断書を添えた支給停止事由消滅届を出して初めて審査が動きます。年金機構があなたの体調を見張っているわけではないので、届出をしない限り、状態が重くなっていても停止は続きます
Q2労災をもらうと障害厚生年金は6年止まるって本当ですか?
止まるのは労働基準法77条による使用者の障害補償を受ける権利を取得した場合です(54条1項)。労災保険から障害補償給付が出るときは労働基準法84条1項で使用者の補償責任が免除されるため、この6年停止が実際に発動する場面はごく限られます。実務のポイント:労災保険の年金と厚生年金の障害給付が重なるときは、労災保険側の年金が調整率で減額される仕組みです。減っているのがどちらなのか、支給決定通知で必ず確認してください
Q3別の病気になったら、止まっている年金は復活しますか?
条件付きで復活します。54条2項ただし書は、新たな傷病の初診日に被保険者であり、その障害認定日以後65歳に達する日の前日までに、元の障害とその他障害を併合した程度が1級または2級に至ったときに停止を解くと定めます。3項により保険料納付要件(47条1項ただし書)も準用されます。実務のポイント:退職後に発病すると初診日に被保険者でないため、この道は最初から閉じています。在職中に気になる症状があるかどうかが、後から効いてきます
Q4更新の診断書で等級が下がりそうです。何を準備すればいいですか?
日常生活の実態を医師に正確に伝えることが最優先です。障害等級の該当性は障害認定基準に沿って判断され、診断書の日常生活能力に関する記載が実質的な決め手になります。実務のポイント:診察時間は短く、医師はあなたの自宅での様子を見ていません。調子の悪い日の具体例(服薬の飲み忘れ、外出できなかった日数、家事を誰が代わったか)を書いたメモを渡す人と渡さない人では、同じ症状でも診断書の中身が変わります
間違えやすい点 AI による整理
- 支給停止=受給権の消滅だと受け取られがちだが、54条2項が止めるのは支払いだけである。権利の消滅は53条の失権事由を満たして初めて起きる。停止されている間も、あなたは法律上ずっと受給権者のままだ
- 「悪化したら再開できる」ことは知っていても、再開が自動でない事実の重さが理解されていない。日本年金機構はあなたの体調を見張っていない。診断書を添えた支給停止事由消滅届を出さない限り、症状が1級相当まで戻っていても1円も動かない。しかも年金給付を受ける権利には5年の時効があり(厚生年金保険法92条)、届出の遅れはそのまま取り戻せない月数に変わる
- 「労災をもらうと年金が6年止まるのか」という問いの立て方自体がずれている。54条1項が止めるのは、労働基準法77条に基づく使用者からの障害補償を受ける権利を取得した場合であって、労災保険法の障害補償給付とは別物である。労災保険給付と厚生年金が重なる場面は、労災保険側の年金額を調整率で減らす仕組みで処理される。どちらの制度から金が出ていて、どちらが減っているのかを取り違えると、生活設計の計算がまるごと狂う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の効果 | 54条:支払いを止めるだけ(受給権は存続) | 53条:受給権そのものが消滅(失権) 52条:受給権は維持したまま年金額を改定 |
| 発動事由 | 労基法77条の障害補償を受ける権利の取得(1項)/障害等級に該当しなくなったこと(2項) | 死亡その他53条所定の失権事由 障害の程度が増進または軽減したこと |
| 回復の可否 | 再び等級に該当すれば支給停止事由消滅届で復活しうる | 一度失権すると同一の受給権は復活しない 改定後も程度の変動に応じて再改定されうる |
| 本人が取るべき行動 | 診断書を添えた支給停止事由消滅届の提出、その他障害の初診日と納付要件の確認 | 新たな受給権の取得要件(47条・47条の3)を検討する 額改定請求または職権改定の待機 |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾も障害(失能)の程度に応じた年金給付を設け、状態の変動に応じて給付を見直す仕組みを持つ。ただし日本の「支給停止と失権の峻別」ほど条文上明確な二層構造にはなっていない
韓国も障害等級に応じた年金を支給し、障害程度の変動に応じて等級と給付額を調整する。障害状態の再審査の仕組みを持つ点は日本と共通
中国は業務上災害(工傷)と非業務上の病残を別建てで扱い、労働能力鑑定の結果に応じて傷残津貼を調整する。日本の54条1項に相当する使用者補償との調整も労災側で処理される
ドイツは稼得能力の減退を基準とし、稼得能力が回復すれば年金が終了・変更される。日本のような「該当しない間の停止」という形式ではなく、期限付き年金(Zeitrente)を原則とする設計が特徴
フランスの障害年金は稼得能力の減少度合いで3カテゴリに分かれ、状態の改善や就労再開に応じて停止・変更される。医学的再評価を前提とする点は日本と共通
米国は定期的な継続障害審査により医学的改善があれば給付を終了する。終了後の再申請には期間限定の簡易再開手続(expedited reinstatement)があり、日本の支給停止事由消滅届に機能的に近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、更新の診断書を出したあとで「障害の状態に該当しなくなった」という通知が来たら、あなたの受給権はどうなる? 消えない。54条2項は支給を止めるだけで、権利が消えるかどうかは53条という別条文の仕事である。止まった時点で諦めて手続をやめる人が、いちばん損をする
- うつ病で3級の障害厚生年金を受けていたが、症状が軽快して支給停止になった。その後62歳で脳梗塞を発症する。ここが分水嶺で、その他障害との併合による停止解除は65歳に達する日の前日まで。残り時間は3年を切っている。しかも新しい傷病の初診日に被保険者であったかどうかは、その受診日に確定してしまい、後から作り直せない
- 業務上の事故で障害が残り、勤務先が労働基準法77条の障害補償を支払った。この場合、障害厚生年金は6年間止まる。もっとも労災保険から給付が出るときは労働基準法84条1項で使用者の補償責任が免除されるため、この6年停止が実際に発動する場面は極めて限られる
- あなたが会社の人事担当で、労災事故の後処理をしている。被災者への補償を労働基準法77条で処理するか労災保険給付で通すかによって、その人の障害厚生年金が6年止まるかどうかが変わる。本人からは見えない選択を、あなたの事務処理が握っている
- 友人から「障害年金が止まったから、もう一生もらえないんだよね」と相談された。あなたは3分で答えられる。止まっているだけで権利は残っていること、悪化したら支給停止事由消滅届を出すこと、新しい傷病があるなら初診日の被保険者資格と保険料納付要件を先に確認すること
取るべき行動
被害を受けた側:1. 支給停止の通知が来ても受給権は残っている、通知と診断書の控えを捨てない2. 症状が再び3級以上に戻った実感があれば、主治医の診断書を取り「支給停止事由消滅届」を年金事務所へ提出する3. 新たな傷病があるなら、その初診日に被保険者であったか、保険料納付要件(47条1項ただし書)を満たすかを先に確認し、その他障害との併合を検討する4. 期限は65歳に達する日の前日、そこから逆算して受診と書類収集の日程を組む
訴えられた側:事業主や実務担当者の立場なら、労災事故の補償を労働基準法77条で処理するか労災保険給付で通すかを本人に説明する。前者を選べば本人の障害厚生年金は6年止まる。等級不該当と判定された受給者側の立場なら、決定通知に書かれた理由と障害認定基準の該当箇所を突き合わせ、社会保険審査官への審査請求(決定を知った日の翌日から3か月以内)を検討する。争点は診断書の記載であることが圧倒的に多い
時効(請求できる期限):その他障害による支給停止解除が使えるのは、当該傷病の障害認定日以後65歳に達する日の前日まで(54条2項ただし書)。年金給付を受ける権利の時効は5年(厚生年金保険法92条)。等級不該当の決定に対する審査請求は、決定があったことを知った日の翌日から3か月以内(社会保険審査官及び社会保険審査会法)。失権の可否は54条ではなく53条の要件で決まる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
条文構造上の通説的理解:54条の支給停止は受給権を存続させたまま支払いのみを止める措置であり、受給権を終局的に消滅させる53条の失権とは法的性質が異なる。停止事由が消滅すれば、届出を前提に支給は再開されうる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和29年(1954年) 改正:厚生年金保険法の全部改正により現行法(昭和29年法律第115号)が成立し、障害厚生年金の支給停止に関する規定が現行の条文体系に置かれた
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