厚生年金保険法 第77条
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- 年金たる保険給付は、次の各号のいずれかに該当する場合には、その額の全部又は一部につき、その支給を停止することができる。
- 一受給権者が、正当な理由がなくて、第九十六条第一項の規定による命令に従わず、又は同項の規定による当該職員の質問に応じなかつたとき。
- 二障害等級に該当する程度の障害の状態にあることにより、年金たる保険給付の受給権を有し、又は第四十四条第一項の規定によりその者について加算が行われている子が、正当な理由がなくて、第九十七条第一項の規定による命令に従わず、又は同項の規定による診断を拒んだとき。
- 三前号に規定する者が、故意若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、その障害の回復を妨げたとき。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第77条は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第77条の条文原文は「年金たる保険給付は、次の各号のいずれかに該当する場合には、その額の全部又は一部につき、その支給を停止することができる。」で始まります。
- 厚生年金保険法第77条は第五節に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第77条の前の条は厚生年金保険法第76条です。
- 厚生年金保険法第77条の次の条は厚生年金保険法第78条です。
- 厚生年金保険法第77条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第77条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第77条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/77
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法77条は、正当な理由なく書類提出命令や指定医の診断を拒んだ場合などに、年金の額の全部又は一部の支給を停止できると定める。停止は義務ではなく実施機関の裁量である。
Q · 書類を出さなかったり診断を受けなかったりすると、本当に年金は止まるんですか?
止まりうる。ただし「正当な理由」があれば争える
厚生年金保険法77条により、正当な理由なく書類提出命令や職員の質問に応じない場合、指定医の診断を拒んだ場合、療養に関する指示に従わず障害の回復を妨げた場合には、年金の額の全部又は一部の支給が停止されることがあります。停止は自動的に発生するのではなく実施機関の裁量であり、額も全部か一部かを選べます。したがって、期日前に事情を伝えた記録が残っているかどうかが、結論を大きく左右します。
解説
日本年金機構から届く封筒の中には、ときどき「指定する医師の診断を受けよ」「書類を出せ」という命令が入っている。放置しても罰金は来ない。代わりに来るのは、年金そのものの停止である。厚生年金保険法77条は三つの引き金を並べる。第一に、受給権者が正当な理由なく書類提出命令や職員の質問に応じないとき(96条1項)。第二に、障害の状態を理由に年金を受けている人、または加給年金の対象となっている子が、正当な理由なく診断命令に従わず、診断を拒んだとき(97条1項)。第三に、その者が故意もしくは重大な過失により、または正当な理由なく療養に関する指示に従わないことにより、障害の回復を妨げたとき。ここで押さえるべきは「停止することができる」という語尾だ。停止は自動的に発生するのではなく実施機関の裁量であり、額の全部でも一部でもよい。つまり、あなたが「正当な理由」を記録付きで示せるかどうかが、その裁量の幅の中で勝負になる。
法的な位置づけ
厚生年金保険法77条は、年金たる保険給付の支給停止事由を定める規定である。受給権者が正当な理由なく96条1項の命令や質問に応じない場合、障害を理由に受給する者および加給年金額の対象となる子が97条1項の診断命令に従わない場合、故意もしくは重大な過失または療養指示の不履行により障害の回復を妨げた場合に、実施機関は額の全部又は一部について支給を停止することができる。
手順
- 1.通知書で停止の根拠号を特定する 支給停止の通知書には停止理由欄と根拠条項が記載されている。77条の1号(書類・質問への不応答)、2号(診断命令の拒否)、3号(療養指示不履行による回復妨害)のどれに当たると判断されたかをまず確定する。争点の立て方がここで決まる
- 2.事実を争うか「正当な理由」を争うかを決める 診断を受けていた、書類は提出済みという事実自体を争うのか、応じられなかったが正当な理由があったと争うのかを選ぶ。前者は記録の突き合わせ、後者は当時の事情の立証が中心になり、集める資料が変わる
- 3.当時の事情を裏づける資料を日付順に集める 入院記録、勤務シフト、日本年金機構への連絡履歴(いつ誰に何を伝えたか)、主治医の意見書、通院記録などを時系列で並べる。3号を争う場合は、指示不履行と障害の状態との医学的な関係について主治医の意見を得る
- 4.3か月以内に審査請求し、並行して停止事由を解消する 処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に社会保険審査官へ審査請求する。同時に、受診・書類提出という停止事由の解消を先に済ませて将来分の再開を確保する。争う道と再開させる道は別物であり、実務上は両方を同時に走らせる
よくある質問 AI による整理
Q1厚生年金保険法77条とは何ですか?
年金たる保険給付の支給停止事由を定める規定です。書類提出命令への不応答、診断命令の拒否、療養指示の不履行による回復妨害の三つが挙げられ、額の全部又は一部を停止できます。
Q2障害厚生年金が止められる理由は?
77条が挙げるのは、正当な理由のない書類提出命令・質問への不応答、指定医の診断拒否、故意重過失または療養指示不履行による回復の妨げです。不正受給の有無は要件になっていません。
Q3年金の支給停止と受給権の消滅はどう違いますか?
支給停止は受給権を残したまま支払いだけを止める措置で、事由が解消すれば将来分は再開しえます。受給権の消滅(失権)は権利そのものが失われ、原則として復活しません。
Q4支給停止に納得できないときはどうすればいい?
処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に社会保険審査官へ審査請求できます(社会保険審査官及び社会保険審査会法4条1項)。期間を過ぎると同じ主張でも門前払いになります。
Q5診断命令の通知が来たらいつまでに受診しますか?
通知書に記載された指定日・提出期限が実務上の時計です。77条自体に固有の期限はありません。間に合わない場合は期日前に理由と代替日を申し出た記録を残すことが重要です。
Q6加給年金の対象の子が診断を拒むとどうなりますか?
77条2号は加算の対象となる子が診断を拒んだ場合も停止事由としています。条文は「その額の全部又は一部」と定めるのみで、加算部分だけに限るとは書かれていません。
Q7正当な理由と認められるのはどんな場合ですか?
入院中、遠方居住、感染症、指定日の勤務などが正当な理由になりえます。ただし判断材料は実施機関に届いた記録であり、事前に連絡していたかどうかが実務上の分かれ目になります。
Q8支給停止はどうやって解除しますか?
停止事由の解消が前提です。改めて受診し書類を提出したうえで、実施機関が停止の解除を判断して支払いが再開します。自動復活ではない点に注意が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1病院に行けなかっただけで、本当に年金を止められるんですか?
止まりうる。ただし77条2号は「正当な理由がなくて」診断を拒んだ場合に限られる。入院中、遠方、感染症、指定日の勤務などは正当な理由になりうる。問題は、それが実施機関に伝わっているかどうかだ。実務のポイント:社会保険労務士が最初に確認するのは診断書の中身ではなく、機構との連絡履歴である。電話一本でも、いつ誰に何を伝えたかを日付付きでメモしておくと、後の審査請求で「正当な理由」を裏づける唯一の証拠になることが多い
Q2止められた年金は、あとから戻ってきますか?
停止事由を解消すれば将来分の支払いは再開されるが、停止されていた期間の分が当然に遡って支払われるとは限らない。77条は「その額の全部又は一部につき、その支給を停止することができる」と定めるだけで、遡及の扱いを書いていない。実務のポイント:処分そのものが違法または不当だったと審査請求で認められれば、停止期間の分まで回復しうる。停止事由を解消して黙って再開を待つ道と、3か月以内に審査請求を出す道は別物であり、両方を同時に走らせるのが実務上の定石である
Q3これって罰則ですか?前科みたいなものがつくんでしょうか?
刑罰ではない。77条は保険給付の支給停止という行政上の措置であり、前科にはならない。もっとも厚生年金保険法には別に罰則規定があり、虚偽の届出などは別ルートで処罰の対象になりうる。停止と処罰は並走する。実務のポイント:刑罰ではないという事実は安心材料に見えて、逆に働くことがある。刑事手続なら黙秘権も弁護人もつくが、支給停止は書面のやり取りだけで完結し、対面で反論する場が用意されるとは限らない。書面を出していないという一点で入金だけが止まる
間違えやすい点 AI による整理
- 支給停止という言葉は知っていても、その復活が自動ではないことまでは知られていない。停止事由が消えれば当然に戻ると考えがちだが、実務では改めて診断を受け書類を出し、実施機関が停止の解除を判断して初めて支払いが再開する。止まっていた期間の分が当然に遡って支払われるとも限らない
- 「不正受給していないのだから止められるはずがない」という問いの立て方自体がずれている。77条の停止事由には、不正も詐欺も一切書かれていない。書かれているのは「命令に従わなかった」「診断を拒んだ」「回復を妨げた」という手続と療養の態度だけである。誠実に受給していても、返事をしなければ要件は満たされる
- あなたから見れば「忙しくて病院に行けなかった」だけだが、記録の上には「正当な理由なく診断を拒んだ」としか残らない。理由はあなたの頭の中ではなく、実施機関に届いた書面の中にしか存在しない。この落差が、停止処分を争うとき最初に効いてくる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 厚年法77条:受給開始後、命令・診断・療養への不協力があったとき | 厚年法73条の2:故意・重過失等があった場合の給付制限(支給前の対応を含む) 国民年金法72条:障害基礎年金における同旨の支給停止 |
| 効果 | 額の全部又は一部につき支給を停止できる(受給権は残る) | 保険給付の全部又は一部を行わないことができる(給付制限) 基礎年金部分の支給停止 |
| 実施機関の裁量 | 「停止することができる」=裁量。全部か一部かも選べる | 同じく裁量型の給付制限 同じく裁量型の支給停止 |
| 不服申立て | 社会保険審査官へ審査請求(知った日の翌日から3か月以内) | 同じ審査請求ルート(厚年法90条) 同じ審査請求ルート |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も障害年金受給者に定期的な障害程度の審査を課し、正当な理由なく複検に応じない場合に給付を停止しうる構造をとる。日本の77条2号と発想が近い
韓国も、受給権者が正当な事由なく資料提出要求に応じず、又は質問・診断を拒否した場合に給付の全部又は一部の支給を停止できると定める。日本法との親近性が高い
ドイツは協力義務を体系的に一般法(SGB I)に置き、§ 62で受診、§ 63で治療への協力を定め、§ 66で不履行時の給付の拒否・剥奪を認める。ただし事前の書面による教示と相当期間の設定が要件とされる点が日本より手続的に厚い
米国では、正当な理由(good cause)なく指定された consultative examination に応じない場合、SSA は既存記録のみで判断し、結果として障害の認定が否定されうる。停止ではなく認定判断のレベルで処理される点が日本と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 指定された診断日にどうしても仕事を休めなかったら、それは「正当な理由」になるのか? 通知が届いてから指定日までの猶予は長くない。入院・遠方・勤務といった事情を期日前に文書やコールセンター経由で伝え、日程変更を申し出た記録があるかどうかで結論が割れる。何も言わずに行かなかった場合が最も危ない
- うつ病で障害厚生年金を受けているあなたが、主治医の通院指示を半年間放置した。症状は固定せず、むしろ後退した。77条3号は、この「療養に関する指示に従わない」を停止事由として名指ししている
- 日本年金機構の職員から生計維持関係の確認で連絡があり、面倒だから答えず、書類も出さなかった。それは96条1項の質問と提出命令であり、無視は77条1号にそのまま乗る。不正受給をしていなくても、年金は止まりうる
- 老齢厚生年金に加給年金がついている家庭で、障害のある子が診断を拒んだ。削られるのが加算部分だけで済むとは条文に書かれていない。文言は「その額の全部又は一部」であり、どこまで及ぶかは実務上の運用と裁量に委ねられている
取るべき行動
被害を受けた側:1. 通知書の停止理由欄と根拠条項(77条の何号か)を特定する。2. 該当する事実そのものを争うのか、「正当な理由」があったと争うのかを決める。3. 入院記録、勤務シフト、機構への連絡履歴、主治医の意見書など、当時の事情を裏づける資料を日付順に集める。4. 処分を知った日の翌日から3か月以内に社会保険審査官へ審査請求。並行して停止事由の解消(受診、書類提出)を先に済ませ、将来分の再開を確保する
訴えられた側:療養の指示に従わなかった、回復を妨げたと指摘された場合、争点は態度ではなく因果関係にある。1. 主治医に、指示不履行と障害の状態との医学的関係について意見を求める。2. 副作用、経済的事情、通院困難など、従えなかった事情を時系列で書き出す。3. 3号は故意・重過失の場合と、正当な理由なく療養指示に従わない場合の二本立てであり、いずれも「回復を妨げた」という結果との結びつきを実施機関側が示す必要がある点を突く
時効(請求できる期限):77条自体に固有の期限はない。実務上の時計は二つある。(1)通知書に記載された診断日・書類提出期限。(2)停止処分に不服がある場合の審査請求期間、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(社会保険審査官及び社会保険審査会法4条1項)。なお年金を受ける権利は原則として支給事由が生じた日から5年で時効消滅する(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説的理解:77条の支給停止は制裁ではなく、受給要件の確認と療養協力の確保を目的とする行政上の措置と解される。したがって停止の可否・範囲は目的との均衡によって画され、確認に必要な限度を超える全部停止は裁量統制に服する。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和16年(1941年) 新設:労働者年金保険法として制度創設。被保険者・受給権者の協力義務と給付制限の枠組みが置かれる
- 2.昭和19年(1944年) 改正:厚生年金保険法に改称。適用範囲が拡大される
- 3.昭和29年(1954年) 改正:全部改正により現行厚生年金保険法(法律第115号)が成立。現行の条文体系に整理される(本条固有の改正経緯は e-Gov の改正履歴で要確認)
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