要点厚生年金保険法 77 条は、正当な理由なく書類提出命令や指定医の診断を拒んだ場合などに、年金の額の全部又は一部の支給を停止できると定める。停止は義務ではなく実施機関の裁量である。
Q · 書類を出さなかったり診断を受けなかったりすると、本当に年金は止まるんですか?
止まりうる。ただし「正当な理由」があれば争える
厚生年金保険法 77 条により、正当な理由なく書類提出命令や職員の質問に応じない場合、指定医の診断を拒んだ場合、療養に関する指示に従わず障害の回復を妨げた場合には、年金の額の全部又は一部の支給が停止されることがあります。停止は自動的に発生するのではなく実施機関の裁量であり、額も全部か一部かを選べます。したがって、期日前に事情を伝えた記録が残っているかどうかが、結論を大きく左右します。
日本年金機構から届く封筒の中には、ときどき「指定する医師の診断を受けよ」「書類を出せ」という命令が入っている。放置しても罰金は来ない。代わりに来るのは、年金そのものの停止である。厚生年金保険法 77 条は三つの引き金を並べる。第一に、受給権者が正当な理由なく書類提出命令や職員の質問に応じないとき(96 条 1 項)。第二に、障害の状態を理由に年金を受けている人、または加給年金の対象となっている子が、正当な理由なく診断命令に従わず、診断を拒んだとき(97 条 1 項)。第三に、その者が故意もしくは重大な過失により、または正当な理由なく療養に関する指示に従わないことにより、障害の回復を妨げたとき。ここで押さえるべきは「停止することができる」という語尾だ。停止は自動的に発生するのではなく実施機関の裁量であり、額の全部でも一部でもよい。つまり、あなたが「正当な理由」を記録付きで示せるかどうかが、その裁量の幅の中で勝負になる。
厚生年金保険法 77 条は、年金たる保険給付の支給停止事由を定める規定である。受給権者が正当な理由なく 96 条 1 項の命令や質問に応じない場合、障害を理由に受給する者および加給年金額の対象となる子が 97 条 1 項の診断命令に従わない場合、故意もしくは重大な過失または療養指示の不履行により障害の回復を妨げた場合に、実施機関は額の全部又は一部について支給を停止することができる。
年金たる保険給付の支給停止事由を定める規定です。書類提出命令への不応答、診断命令の拒否、療養指示の不履行による回復妨害の三つが挙げられ、額の全部又は一部を停止できます。
77 条が挙げるのは、正当な理由のない書類提出命令・質問への不応答、指定医の診断拒否、故意重過失または療養指示不履行による回復の妨げです。不正受給の有無は要件になっていません。
支給停止は受給権を残したまま支払いだけを止める措置で、事由が解消すれば将来分は再開しえます。受給権の消滅(失権)は権利そのものが失われ、原則として復活しません。
処分があったことを知った日の翌日から 3 か月以内に社会保険審査官へ審査請求できます(社会保険審査官及び社会保険審査会法 4 条 1 項)。期間を過ぎると同じ主張でも門前払いになります。
通知書に記載された指定日・提出期限が実務上の時計です。77 条自体に固有の期限はありません。間に合わない場合は期日前に理由と代替日を申し出た記録を残すことが重要です。
77 条 2 号は加算の対象となる子が診断を拒んだ場合も停止事由としています。条文は「その額の全部又は一部」と定めるのみで、加算部分だけに限るとは書かれていません。
入院中、遠方居住、感染症、指定日の勤務などが正当な理由になりえます。ただし判断材料は実施機関に届いた記録であり、事前に連絡していたかどうかが実務上の分かれ目になります。
停止事由の解消が前提です。改めて受診し書類を提出したうえで、実施機関が停止の解除を判断して支払いが再開します。自動復活ではない点に注意が必要です。
止まりうる。ただし 77 条 2 号は「正当な理由がなくて」診断を拒んだ場合に限られる。入院中、遠方、感染症、指定日の勤務などは正当な理由になりうる。問題は、それが実施機関に伝わっているかどうかだ。業界裏話ヒント:社会保険労務士が最初に確認するのは診断書の中身ではなく、機構との連絡履歴である。電話一本でも、いつ誰に何を伝えたかを日付付きでメモしておくと、後の審査請求で「正当な理由」を裏づける唯一の証拠になることが多い
停止事由を解消すれば将来分の支払いは再開されるが、停止されていた期間の分が当然に遡って支払われるとは限らない。77 条は「その額の全部又は一部につき、その支給を停止することができる」と定めるだけで、遡及の扱いを書いていない。業界裏話ヒント:処分そのものが違法または不当だったと審査請求で認められれば、停止期間の分まで回復しうる。停止事由を解消して黙って再開を待つ道と、3 か月以内に審査請求を出す道は別物であり、両方を同時に走らせるのが実務上の定石である
刑罰ではない。77 条は保険給付の支給停止という行政上の措置であり、前科にはならない。もっとも厚生年金保険法には別に罰則規定があり、虚偽の届出などは別ルートで処罰の対象になりうる。停止と処罰は並走する。業界裏話ヒント:刑罰ではないという事実は安心材料に見えて、逆に働くことがある。刑事手続なら黙秘権も弁護人もつくが、支給停止は書面のやり取りだけで完結し、対面で反論する場が用意されるとは限らない。書面を出していないという一点で入金だけが止まる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 厚年法 77 条:受給開始後、命令・診断・療養への不協力があったとき | — |
| 効果 | 額の全部又は一部につき支給を停止できる(受給権は残る) | — |
| 実施機関の裁量 | 「停止することができる」=裁量。全部か一部かも選べる | — |
| 不服申立て | 社会保険審査官へ審査請求(知った日の翌日から 3 か月以内) | — |
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