要点厚生年金保険法 43 条の 4 は、調整期間中の再評価率を、名目手取り賃金変動率に調整率と前年度の特別調整率を乗じた率で改定すると定める。算出率が一を下回る年は一とする。
Q · 年金は毎年増えているのに、生活が楽にならないのはなぜ?
名目額は下がらない一方、実質的な購買力が毎年削られるから
厚生年金保険法 43 条の 4 は、財政の調整期間中、再評価率の改定に調整率と前年度の特別調整率を乗じると定めます。調整率は公的年金被保険者総数の変動率の三乗根に〇・九九七を乗じた率で、少子化が進むほど改定は抑えられます。ただし算出率が一を下回るときは一とされ(第一項)、名目手取り賃金変動率が一を下回る年は本条を適用しない(第四項)ため、名目額は原則として下がりません。減るのは金額ではなく購買力です。
ねんきん定期便に印字された見込額を、そのまま将来の生活費として頭に入れていないだろうか。その数字の裏側で毎年書き換えられているのが、本条が扱う「再評価率」である。再評価率とは、あなたが二十代で稼いだ月二十万円を、年金の計算上いま何円として扱うかを決める換算率だ。四十三条の四は、財政の調整期間中、この換算率の伸びを「調整率」(公的年金の被保険者総数の減少率に〇・九九七を乗じた率)の分だけ削ると定める。つまりマクロ経済スライドは、受給が始まってから額を削る仕組みではない。受け取る前から、過去の給料の評価そのものが毎年少しずつ書き換えられている。しかも算出率が一を下回るときは一とされ、名目額は下げない設計だ。通帳に振り込まれる数字は増えたまま、そのお金で買えるものだけが静かに減っていく。反発が起きにくいように組み立てられた条文である。
厚生年金保険法 43 条の 4 は、いわゆるマクロ経済スライドの中核をなす規定であり、財政の調整期間における再評価率の改定方法を定める。名目手取り賃金変動率に、公的年金被保険者総数の減少等を反映した調整率と前年度の特別調整率を乗じた率を基準とし、算出率が一を下回る場合は一とすることで名目額の維持を図る特例である。
現役世代の減少と平均余命の伸びに応じて年金の改定率を抑える仕組みです。厚生年金保険法 43 条の 4 が再評価率側の根拠条文で、平成 16 年改正で導入されました。
過去に受け取った標準報酬を現在の賃金水準へ換算する率です。年金額の計算基礎そのもので、毎年度改定されるため、受給前から将来の年金額に影響します。
平均余命の伸びを一律に織り込むための固定値です。これに公的年金被保険者総数の変動率の三乗根を乗じたものが調整率となり、少子化が進むほど改定率が抑えられます。
その年に調整しきれなかった未消化分を翌年度以降へ繰り越す率です。平成二十九年度を一として起算し、賃金や物価が伸びた年にまとめて発動します。
財政の均衡が保たれると見込まれるまでの調整期間中です。終期は少なくとも五年ごとの財政検証(厚生年金保険法 2 条の 4)で見直され、事前に固定されていません。
現在の再評価率で計算した現在価値です。受給開始までに積み重なる調整分は反映されていないため、実質的な購買力は表示額より低くなる前提で読む必要があります。
適用されます。基礎年金側は国民年金法 16 条の 2 が調整期間を、同法 27 条の 4 が改定率の特例を定めており、厚生年金と同一の機構で動いています。
68 歳到達年度以後は物価変動率を基礎とする改定に切り替わります(厚生年金保険法 43 条の 3、調整期間中は 43 条の 5)。現役世代と改定基準が異なります。
名目は増えていても実質は抑えられている可能性が高い。本条一項は名目手取り賃金変動率に調整率を乗じると定めるため、賃金が伸びた分から調整率が差し引かれる。業界裏話ヒント:厚生労働省が毎年一月に出す年金額改定の報道資料には「マクロ経済スライドによる調整」という一行が必ず入っている。見出しの改定率ではなくその括弧内を先に読むと、その年の実質がすぐ見える
ならない。第四項により賃金変動率が一を下回る年は適用が外れるが、第五項の特別調整率が未消化分を翌年度以降へ繰り越す。平成二十九年度を一として起算し、以後毎年度改定される仕組みだ。業界裏話ヒント:この繰越は平成二十八年改正で入り平成三十年度から動いている。それ以前に書かれた年金解説は今も検索上位に残っているので、記事の発行年を先に確認する
できるが、勝ち筋を選ぶ必要がある。審査請求先は社会保険審査官、期限は処分を知った日の翌日から三か月。ただし調整率や再評価率は法律と政令で全国一律に決まるため、率そのものを争って覆った例はない。業界裏話ヒント:社会保険労務士が最初に見るのは率ではなく記録の欠落で、転職の空白期間、厚生年金基金の代行部分、届出漏れの三点に絞って照合する
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 適用場面 | 43 条の 4:調整期間中の再評価率の改定・設定(マクロ経済スライド) | — |
| 改定の基礎となる率 | 名目手取り賃金変動率 × 調整率 × 前年度の特別調整率 | — |
| 下限措置 | 算出率が一を下回るときは一(第一項)、賃金変動率が一を下回る年は不適用(第四項) | — |
| 未消化分の扱い | 第五項の特別調整率により翌年度以降へ繰り越す(キャリーオーバー) | — |
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