厚生年金保険法 第43条の4(調整期間における再評価率の改定等の特例)
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- 調整期間における再評価率の改定については、前二条の規定にかかわらず、名目手取り賃金変動率に、調整率(第一号に掲げる率に第二号に掲げる率を乗じて得た率(当該率が一を上回るときは、一)をいう。以下この条及び次条において同じ。)に当該年度の前年度の特別調整率を乗じて得た率を乗じて得た率(当該率が一を下回るときは、一。以下この条において「算出率」という。)を基準とする。
- 一当該年度の初日の属する年の五年前の年の四月一日の属する年度における公的年金の被保険者(この法律又は国民年金法の被保険者をいう。)の総数として政令で定めるところにより算定した数(以下この号において「公的年金被保険者総数」という。)に対する当該年度の前々年度における公的年金被保険者総数の比率の三乗根となる率
- 二〇・九九七
- 2.調整期間における次の各号に掲げる再評価率の改定については、前項の規定にかかわらず、当該各号に定める率を基準とする。
- 一前年度の標準報酬に係る再評価率イに掲げる率にロに掲げる率を乗じて得た率(算出率が一となる場合にあつては、当該乗じて得た率に、一をハに掲げる率にロに掲げる率を乗じて得た率で除して得た率を乗じて得た率)
- 一可処分所得割合変化率
- 二調整率に当該年度の前年度の特別調整率を乗じて得た率
- 三名目手取り賃金変動率
- 二前々年度等の標準報酬に係る再評価率物価変動率に前号イに掲げる率及び同号ロに掲げる率を乗じて得た率(算出率が一となる場合にあつては、当該乗じて得た率に、一を同号ハに掲げる率に同号ロに掲げる率を乗じて得た率で除して得た率を乗じて得た率)
- 3.調整期間における当該年度に属する月の標準報酬に係る再評価率の設定については、第四十三条の二第三項の規定にかかわらず、当該年度の前年度におけるその年度に属する月の標準報酬に係る再評価率に、第一号に掲げる率及び第二号に掲げる率を乗じて得た率(算出率が一となる場合にあつては、当該乗じて得た率に、一を第三号に掲げる率に第二号に掲げる率を乗じて得た率で除して得た率を乗じて得た率)を基準とする。
- 一可処分所得割合変化率
- 二調整率に当該年度の前年度の特別調整率を乗じて得た率
- 三名目手取り賃金変動率
- 4.名目手取り賃金変動率が一を下回る場合の調整期間における再評価率の改定又は設定については、前三項の規定にかかわらず、第四十三条の二第一項から第三項までの規定を適用する。
- 5.第一項から第三項までの特別調整率とは、第一号の規定により設定し、第二号の規定により改定した率をいう。
- 一平成二十九年度における特別調整率は、一とする。
- 二特別調整率については、毎年度、名目手取り賃金変動率に調整率を乗じて得た率を算出率で除して得た率(名目手取り賃金変動率が一を下回るときは、調整率)を基準として改定する。
- 6.前各項の規定による再評価率の改定又は設定の措置は、政令で定める。
この条文の基本情報
調整期間における再評価率の改定等の特例とは何ですか?
定義調整期間における再評価率の改定等の特例とは、厚生年金保険法第43条の4に定められた規定で、「調整期間における再評価率の改定については、前二条の規定にかかわらず、名目手取り賃金変動率に、調整率(第一号に掲げる率に第二号に掲げる率を乗じて得た率(当該率が一…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第43条の4(調整期間における再評価率の改定等の特例)は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第43条の4の条文原文は「調整期間における再評価率の改定については、前二条の規定にかかわらず、名目手取り賃金変動率に、調整率(第一号に掲げる率に第二号に掲げる率を乗じて得た率(当該率が一…」で始まります。
- 厚生年金保険法第43条の4は第二節に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第43条の4の前の条は厚生年金保険法第43条の3です。
- 厚生年金保険法第43条の4の次の条は厚生年金保険法第43条の5です。
- 厚生年金保険法第43条の4には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第43条の4 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第43条の4(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/43_4
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法43条の4は、調整期間中の再評価率を、名目手取り賃金変動率に調整率と前年度の特別調整率を乗じた率で改定すると定める。算出率が一を下回る年は一とする。
Q · 年金は毎年増えているのに、生活が楽にならないのはなぜ?
名目額は下がらない一方、実質的な購買力が毎年削られるから
厚生年金保険法43条の4は、財政の調整期間中、再評価率の改定に調整率と前年度の特別調整率を乗じると定めます。調整率は公的年金被保険者総数の変動率の三乗根に〇・九九七を乗じた率で、少子化が進むほど改定は抑えられます。ただし算出率が一を下回るときは一とされ(第一項)、名目手取り賃金変動率が一を下回る年は本条を適用しない(第四項)ため、名目額は原則として下がりません。減るのは金額ではなく購買力です。
解説
ねんきん定期便に印字された見込額を、そのまま将来の生活費として頭に入れていないだろうか。その数字の裏側で毎年書き換えられているのが、本条が扱う「再評価率」である。再評価率とは、あなたが二十代で稼いだ月二十万円を、年金の計算上いま何円として扱うかを決める換算率だ。四十三条の四は、財政の調整期間中、この換算率の伸びを「調整率」(公的年金の被保険者総数の減少率に〇・九九七を乗じた率)の分だけ削ると定める。つまりマクロ経済スライドは、受給が始まってから額を削る仕組みではない。受け取る前から、過去の給料の評価そのものが毎年少しずつ書き換えられている。しかも算出率が一を下回るときは一とされ、名目額は下げない設計だ。通帳に振り込まれる数字は増えたまま、そのお金で買えるものだけが静かに減っていく。反発が起きにくいように組み立てられた条文である。
法的な位置づけ
厚生年金保険法43条の4は、いわゆるマクロ経済スライドの中核をなす規定であり、財政の調整期間における再評価率の改定方法を定める。名目手取り賃金変動率に、公的年金被保険者総数の減少等を反映した調整率と前年度の特別調整率を乗じた率を基準とし、算出率が一を下回る場合は一とすることで名目額の維持を図る特例である。
よくある質問 AI による整理
Q1マクロ経済スライドとは何ですか?
現役世代の減少と平均余命の伸びに応じて年金の改定率を抑える仕組みです。厚生年金保険法43条の4が再評価率側の根拠条文で、平成16年改正で導入されました。
Q2再評価率とは何ですか?
過去に受け取った標準報酬を現在の賃金水準へ換算する率です。年金額の計算基礎そのもので、毎年度改定されるため、受給前から将来の年金額に影響します。
Q3調整率の〇・九九七という数字は何ですか?
平均余命の伸びを一律に織り込むための固定値です。これに公的年金被保険者総数の変動率の三乗根を乗じたものが調整率となり、少子化が進むほど改定率が抑えられます。
Q4特別調整率(キャリーオーバー)とは?
その年に調整しきれなかった未消化分を翌年度以降へ繰り越す率です。平成二十九年度を一として起算し、賃金や物価が伸びた年にまとめて発動します。
Q5マクロ経済スライドはいつまで続きますか?
財政の均衡が保たれると見込まれるまでの調整期間中です。終期は少なくとも五年ごとの財政検証(厚生年金保険法2条の4)で見直され、事前に固定されていません。
Q6ねんきん定期便の見込額はそのまま信じていいですか?
現在の再評価率で計算した現在価値です。受給開始までに積み重なる調整分は反映されていないため、実質的な購買力は表示額より低くなる前提で読む必要があります。
Q7マクロ経済スライドは国民年金にも適用されますか?
適用されます。基礎年金側は国民年金法16条の2が調整期間を、同法27条の4が改定率の特例を定めており、厚生年金と同一の機構で動いています。
Q868歳以上の人の年金はどう改定されますか?
68歳到達年度以後は物価変動率を基礎とする改定に切り替わります(厚生年金保険法43条の3、調整期間中は43条の5)。現役世代と改定基準が異なります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1ニュースで「年金また増額」って言ってましたけど、じゃあ暮らしは楽になってるんですか?
名目は増えていても実質は抑えられている可能性が高い。本条一項は名目手取り賃金変動率に調整率を乗じると定めるため、賃金が伸びた分から調整率が差し引かれる。実務のポイント:厚生労働省が毎年一月に出す年金額改定の報道資料には「マクロ経済スライドによる調整」という一行が必ず入っている。見出しの改定率ではなくその括弧内を先に読むと、その年の実質がすぐ見える
Q2発動されない年があると聞きました。その分は得したことになるんですか?
ならない。第四項により賃金変動率が一を下回る年は適用が外れるが、第五項の特別調整率が未消化分を翌年度以降へ繰り越す。平成二十九年度を一として起算し、以後毎年度改定される仕組みだ。実務のポイント:この繰越は平成二十八年改正で入り平成三十年度から動いている。それ以前に書かれた年金解説は今も検索上位に残っているので、記事の発行年を先に確認する
Q3年金額の通知に納得できません。不服申立てはできますか?
できるが、勝ち筋を選ぶ必要がある。審査請求先は社会保険審査官、期限は処分を知った日の翌日から三か月。ただし調整率や再評価率は法律と政令で全国一律に決まるため、率そのものを争って覆った例はない。実務のポイント:社会保険労務士が最初に見るのは率ではなく記録の欠落で、転職の空白期間、厚生年金基金の代行部分、届出漏れの三点に絞って照合する
間違えやすい点 AI による整理
- 「マクロ経済スライドで年金が減らされる」という問いの立て方自体がずれている。第一項は算出率が一を下回るときは一とし、第四項は名目手取り賃金変動率が一を下回る年には本条を適用しないと定める。名目額は原則として下がらない。減るのは購買力であって金額ではない。この区別を踏まえずに「減額された」と主張しても、制度側には反論材料しか残らない
- 調整が発動されない年があること自体は、多くの人が知っている。知られていないのは、見送られた分が消えるわけではないという点だ。平成二十九年度を一として起算する特別調整率(第五項)が未消化分を持ち越し、賃金や物価が伸びた年にまとめて効かせる。調整の総量は変わらず、タイミングだけが後ろへずれている
- あなたから見れば「今年は発動しなくて助かった」だが、制度から見れば「調整期間が一年延びた」である。調整期間が延びれば、削られ続ける年数を最も長く浴びるのは現役世代とこれから生まれる世代だ。今日の据え置きは、明日の誰かの取り分に付け替えられている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用場面 | 43条の4:調整期間中の再評価率の改定・設定(マクロ経済スライド) | 43条の2:調整期間外の原則的な再評価率の改定 43条の3:68歳到達年度以後の者に係る改定の特例 |
| 改定の基礎となる率 | 名目手取り賃金変動率 × 調整率 × 前年度の特別調整率 | 名目手取り賃金変動率(物価変動率)そのもの 物価変動率を基礎とする改定 |
| 下限措置 | 算出率が一を下回るときは一(第一項)、賃金変動率が一を下回る年は不適用(第四項) | 調整による削減自体がない 調整期間中は43条の5が並行して適用される |
| 未消化分の扱い | 第五項の特別調整率により翌年度以降へ繰り越す(キャリーオーバー) | 繰越しの概念なし 繰越しは43条の5の枠組みで処理 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は消費者物価指数の累計成長率が一定水準に達した場合に年金額を調整する物価連動型で、人口構造を自動的に織り込む調整装置は持たない。年金財政の均衡は保険料率と所得代替率の法改正で調整される
韓国は過去の標準所得を再評価したうえで前年の全国消費者物価変動率で調整する構造。日本のような人口減少を織り込む自動調整装置は導入されておらず、所得代替率の段階的引下げを法定する方式を採る
ドイツは年金価値の改定式に Nachhaltigkeitsfaktor(持続可能性係数)を組み込み、被保険者と受給者の比率変動を反映させる。Schutzklausel により名目額の引下げを禁じる点、未調整分を後年に繰り越す点まで日本と発想が近い
米国は CPI-W に基づく COLA による物価連動のみで、人口構造を反映する自動調整装置はない。財政不足はトラストファンド枯渇時の一律削減という形で顕在化する設計になっている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし来年の年金改定が「三年連続プラス」と報じられたら、あなたの生活は本当に楽になるだろうか? 名目で一・九パーセント増えても、同じ年の物価が二・七パーセント上がっていれば実質はマイナスだ。見出しの数字は名目、財布の中身は実質。この二つを分けて読めるかどうかが、増額報道のたびに効いてくる
- あなたが人事担当で、定年再雇用を控えた社員から「年金いくらもらえますか」と聞かれた場面。ねんきん定期便の見込額をそのまま読み上げると、数年後に恨まれる側に立つ。あの数字は現在の再評価率で計算した現在価値であり、受給開始までに積み重なる調整分は反映されていない
- 親が年金の決定通知書を持ってきて「去年より増えてる、よかった」と言う。増えているのは名目額だけだ。同じ年の物価上昇率と並べた瞬間に、実質で目減りしているかどうかが分かる
- 決定通知書が届き、金額が想定よりかなり低い。ここで争えるのは調整率ではなく、あなたの標準報酬の記録だ。審査請求の期限は処分があったことを知った日の翌日から三か月(社会保険審査官及び社会保険審査会法四条)。残った日数で、記録の照合と請求書の作成を同時に走らせなければ間に合わない
取るべき行動
被害を受けた側:1. ねんきんネットで標準報酬月額と被保険者期間を全期間照合、転職の前後と二十代の記録欠落を最優先で確認する2. 定期便の見込額は現在価値なので、財政検証が示す所得代替率の低下見通し分を割り引いて生活設計を組む3. 決定通知書が届いたら平均標準報酬額と期間の根拠を確認し、記録に誤りがあれば知った日の翌日から三か月以内に社会保険審査官へ審査請求4. 繰下げの判断は、増額率と実質目減りを別々の軸で試算する
訴えられた側:1. 人事や士業として見込額を伝えるときは「現在価値である」と必ず添える。これを省いた説明が後年の苦情の温床になる2. 退職金や企業年金の設計は、公的年金の実質目減りを前提に据置期間と受取方法を選ぶ3. 顧客向け資料は平成三十年度以降の版に差し替える。キャリーオーバー導入前の解説は現行制度と食い違う4. 制度批判には第四項の名目下限と第五項の繰越を分けて説明すると、議論が噛み合う
時効(請求できる期限):本条自体に特定の期限はない。関連する期限は二つ。年金給付を受ける権利は五年で時効消滅する(厚生年金保険法九十二条一項)。年金額の決定に対する審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して三か月以内(社会保険審査官及び社会保険審査会法四条一項、最新の改正状況をご確認ください)。調整期間の終期自体は、少なくとも五年ごとの財政検証(同法二条の四)で見直される
学説
通説:マクロ経済スライドは、保険料水準を固定したうえで給付水準を自動調整することにより制度の持続可能性を確保する装置であり、名目額不減額という歯止めを備える限り立法裁量の範囲内と解される
有力な批判説:名目額を守る下限措置は調整の進行を遅らせ、調整期間の長期化を通じて負担を将来世代へ後ろ倒しにする。世代間衡平の観点から、下限措置の在り方自体を再検討すべきとする見解
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)年金制度改正 本条が新設され、マクロ経済スライドが導入された。調整期間中は名目手取り賃金変動率に調整率(公的年金被保険者総数の変動率の三乗根に〇・九九七を乗じた率)を乗じて再評価率を改定する仕組みとし、あわせて名目額を下回らせない下限措置を置いた
- 平成28年(2016年)改正、平成30年度施行 第五項の特別調整率(いわゆるキャリーオーバー)が追加され、賃金や物価の伸びが小さく調整しきれなかった分を翌年度以降へ繰り越して発動できるようになった。平成二十九年度の特別調整率を一として起算する
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:年金制度改正により本条が新設され、マクロ経済スライドが導入された。調整期間中は名目手取り賃金変動率に調整率を乗じて再評価率を改定する仕組みとし、あわせて名目額を下回らせない下限措置を置いた
- 2.平成28年(2016年) 改正:第五項の特別調整率(キャリーオーバー)が追加され、賃金や物価の伸びが小さく調整しきれなかった分を翌年度以降へ繰り越して発動できるようになった。平成二十九年度の特別調整率を一として起算し、平成30年度から実施
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