第七十八条の六第一項及び第二項の規定により標準報酬が改定され、又は決定された者に対する保険給付についてこの法律を適用する場合においては、次の表の上欄に掲げる規定(他の法令において、これらの規定を引用し、準用し、又はその例による場合を含む。)中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとするほか、当該保険給付の額の計算及びその支給停止に関する規定その他政令で定める規定の適用に関し必要な読替えは、政令で定める。
要点厚生年金保険法 78 条の 11 は、離婚時の年金分割で標準報酬が改定された者への保険給付について読替えを定める。分割記録は年金額に反映されるが、受給資格期間には算入されない。
Q · 離婚の年金分割で記録が増えたら、年金は全部増えるんですか?
増えるのは年金額だけで、受給資格は増えない
厚生年金保険法 78 条の 11 は、合意分割で標準報酬が改定された者への保険給付について読替えを定めます。分割で得た離婚時みなし被保険者期間は老齢厚生年金の額の計算には反映されますが、受給資格期間 10 年の判定、特別支給の老齢厚生年金に必要な被保険者期間 1 年の要件、加給年金額や中高齢寡婦加算の 240 月要件には算入されません。どの規定をどう読み替えるかの細目は政令で定められています。
条文を開くと、いきなり表が出てくる。上欄・中欄・下欄。読む気を削ぐ作りだが、この表こそが離婚した人の老後の入金額を決めている。年金分割(合意分割)で標準報酬が改定されると、その記録はあなた自身のものになる。ただし「あなた自身の被保険者期間」としてすべての場面に効くわけではない。どの給付規定にどう読み替えるかが、本条と政令で一つずつ仕分けされているからだ。効くのは老齢厚生年金の「額」の計算。効かないのは受給資格期間10年の判定、特別支給の老齢厚生年金に必要な被保険者期間1年の判定、加給年金額や中高齢寡婦加算に必要な240月の判定。つまり分割で20年分の記録が増えても、あなた自身の加入歴が短ければ、60代前半は1円も出ない設計になっている。按分割合0.5を勝ち取ることに全力を注ぐ人は多いが、その0.5がどの計算式に入り、どの計算式で止まるかを知っている人は驚くほど少ない。
厚生年金保険法 78 条の 11 は、同法 78 条の 6 第 1 項及び第 2 項により標準報酬が改定又は決定された者に対する保険給付について、法律を適用する際に必要な字句の読替えを定める規定である。給付額の計算及び支給停止に関する規定その他の読替えの細目は政令に委任されている。
離婚等の際に、婚姻期間中の厚生年金の標準報酬記録を当事者間で分ける制度です。分けるのは年金額ではなく記録で、按分割合の上限は 0.5、基礎年金は対象外です。
原則として離婚等をした日の翌日から 2 年以内です(厚生年金保険法 78 条の 2)。2 年経過前に按分割合を定める審判等を申し立て、2 年経過後に確定した場合は確定日の翌日から 6 か月以内となります。
合意分割は婚姻期間全体が対象で当事者の合意または審判が必要です。3 号分割は平成 20 年 4 月以降の第 3 号被保険者期間が対象で、按分割合 0.5 が固定され相手の同意は不要です。
年金事務所に請求すると、対象期間の標準報酬総額、按分割合の範囲、分割後の年金見込額などを記載した情報通知書が交付されます。離婚交渉に入る前に取得すると数字で議論できます。
超えられません。按分割合の上限は 0.5 で、下限は分割を受ける側の持分割合です。合意でも審判でもこの範囲外の割合を定めることはできません。
入りません。離婚時みなし被保険者期間は老齢厚生年金の額の計算には反映されますが、受給資格期間 10 年の判定や加給年金額の 240 月要件には算入されません。
影響しません。改定後の標準報酬はあなた自身の記録となるため、再婚しても元配偶者が死亡しても支給は止まりません。逆にあなたが死亡すれば記録は消え、子に承継されません。
標準報酬改定請求書、婚姻期間等を明らかにできる戸籍謄本、按分割合を定めた公正証書等または審判書謄本、双方の基礎年金番号が分かる書類などです。詳細は年金事務所でご確認ください。
振り込まれません。分割されるのは婚姻期間中の厚生年金の標準報酬記録で(厚生年金保険法78条の6)、按分割合の上限は0.5、基礎年金は対象外です。増えるのはあなた自身の老齢厚生年金の報酬比例部分だけです。業界裏話ヒント:請求前に「年金分割のための情報提供請求」をすれば、分割後の年金見込額まで示してもらえます。多くの人はこれを取らずに調停に入り、実額を知らないまま割合だけを争っている。
出ません。本条の読替は老齢厚生年金の「額」の計算には及びますが、特別支給の老齢厚生年金に必要な被保険者期間1年の判定に離婚時みなし被保険者期間(厚生年金保険法78条の7)は算入されないからです。業界裏話ヒント:そもそも男性は昭和36年4月2日以後生まれ、女性は昭和41年4月2日以後生まれだと特別支給の制度自体がありません。自分が対象世代かどうかを先に確認しないと、議論の前提が丸ごと空振りする。
今受けている障害厚生年金は増えません。離婚時みなし被保険者期間は障害厚生年金の額の計算の基礎とされず、本条と政令による読替の対象外だからです。効いてくるのは65歳以降です。業界裏話ヒント:65歳からは障害基礎年金と老齢厚生年金を組み合わせて受けられる。分割で増えた老齢厚生年金は、この組合せを選んだときに初めて手取りとして現れる。障害年金だけを見て「分割しても無意味」と判断するのは早い。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 78 条の 11:分割後の保険給付への読替えと政令委任 | — |
| 手取りへの効き方 | どの給付規定に分割記録を反映するかを仕分ける配電盤 | — |
| 期限との関係 | 期限規定なし(改定が済んだ後の適用ルール) | — |
| 算入されない場面 | 受給資格期間 10 年、特別支給の 1 年要件、240 月要件 | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。