厚生年金保険法 第78条の10(老齢厚生年金等の額の改定)
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- 老齢厚生年金の受給権者について、第七十八条の六第一項及び第二項の規定により標準報酬の改定又は決定が行われたときは、第四十三条第一項の規定にかかわらず、対象期間に係る被保険者期間の最後の月以前における被保険者期間(対象期間の末日後に当該老齢厚生年金を支給すべき事由が生じた場合その他の政令で定める場合にあつては、政令で定める期間)及び改定又は決定後の標準報酬を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、当該標準報酬改定請求のあつた日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。
- 2.障害厚生年金の受給権者について、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間に係る標準報酬が第七十八条の六第一項及び第二項の規定により改定され、又は決定されたときは、改定又は決定後の標準報酬を基礎として、当該標準報酬改定請求のあつた日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。ただし、第五十条第一項後段の規定が適用されている障害厚生年金については、離婚時みなし被保険者期間は、その計算の基礎としない。
この条文の基本情報
老齢厚生年金等の額の改定とは何ですか?
定義老齢厚生年金等の額の改定とは、厚生年金保険法第78条の10に定められた規定で、「老齢厚生年金の受給権者について、第七十八条の六第一項及び第二項の規定により標準報酬の改定又は決定が行われたときは、第四十三条第一項の規定にかかわらず、対象期間に…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第78条の10(老齢厚生年金等の額の改定)は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第78条の10の条文原文は「老齢厚生年金の受給権者について、第七十八条の六第一項及び第二項の規定により標準報酬の改定又は決定が行われたときは、第四十三条第一項の規定にかかわらず、対象期間に…」で始まります。
- 厚生年金保険法第78条の10は第三章の二に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第78条の10の前の条は厚生年金保険法第78条の9です。
- 厚生年金保険法第78条の10の次の条は厚生年金保険法第78条の11です。
- 厚生年金保険法第78条の10には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の10 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の10(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/78_10
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法78条の9は、離婚時の年金分割で標準報酬が改定された場合、老齢厚生年金と障害厚生年金の額を標準報酬改定請求のあった日の属する月の翌月から改定すると定める規定である。
Q · 年金分割が決まったら、私の年金はいつから増えるんですか?
離婚日ではなく請求した月の翌月から増えます
厚生年金保険法78条の9により、離婚時の年金分割で標準報酬が改定されても、老齢厚生年金・障害厚生年金の額が実際に改定されるのは標準報酬改定請求のあった日の属する月の翌月からです。離婚日に遡っての支給はありません。請求自体の期限は原則として離婚等をした日の翌日から2年(78条の2第1項)です。また障害厚生年金で被保険者期間を300月とみなす最低保障が適用されている場合、離婚時みなし被保険者期間は計算の基礎に加えられません(78条の9第2項ただし書)。
解説
離婚届を出した瞬間に自分の年金が増える、と思っている人は多い。78条の9はその期待を静かに裏切る。年金分割で標準報酬が書き換えられても、老齢厚生年金の額が実際に動き出すのは「標準報酬改定請求のあった日の属する月の翌月」からである。離婚から請求まで半年空ければ、その半年分は後から遡って支払われることはない。しかも請求できる期限は原則として離婚等をした日の翌日から2年。この2年を1日でも過ぎれば、分割の権利そのものが消える。第2項は障害厚生年金にも同じ改定ルールを及ぼすが、ただし書で、300月みなしの最低保障が効いている障害厚生年金には離婚時みなし被保険者期間を足さないと釘を刺している。受け取る側だけでなく、渡す側の障害厚生年金が下がる場面もこの条文の射程に入っている。
法的な位置づけ
厚生年金保険法78条の9は、離婚時の年金分割に伴う年金額改定の効力発生時期を定める規定である。第78条の6により標準報酬が改定・決定されたときは、老齢厚生年金は第43条第1項の特則として改定後の標準報酬を計算の基礎とし、障害厚生年金とともに、標準報酬改定請求のあった日の属する月の翌月から年金額が改定される。
手順
- 1.2年の満了日を先に確定させる 離婚等をした日の翌日を起算日として2年後の日付を算出し、手帳とスマートフォンのカレンダーに書き込む。当事者の一方が死亡した場合は死亡日から1か月以内に短縮される点も併せて確認する
- 2.年金分割のための情報通知書を取得する 年金事務所に情報提供請求を行い、婚姻期間と対象期間標準報酬総額の実数を握る。離婚前でも一方が単独で請求でき、交渉を感情論から数字の勝負に引き戻せる
- 3.按分割合を確定させる(合意または家庭裁判所) 合意できるなら公正証書または公証人の認証を受けた私署証書にする。合意できないなら2年の満了前に家庭裁判所へ調停・審判を申し立てる。期限内に申立てをしていない人には、期限経過後の救済ルートは開かない
- 4.書類が揃った当日に標準報酬改定請求を出す 年金額の改定は請求のあった日の属する月の翌月から始まる。合意ができた日ではなく請求書が受理された月が起点なので、翌月まで待つ理由は一つもない。提出後は受付控えを保管する
よくある質問 AI による整理
Q1年金分割はいつから年金額に反映されますか?
標準報酬改定請求のあった日の属する月の翌月からです(78条の9)。離婚が成立した日には遡りません。請求が遅れた月数分の年金は後から支払われることはありません。
Q2標準報酬改定請求とは何ですか?
婚姻期間中の厚生年金の標準報酬記録を按分割合に従って書き換えるよう、日本年金機構に求める請求です。この請求が受理された月が、年金額改定の起点になります。
Q3年金分割の手続きはどこでしますか?
年金事務所(日本年金機構)の窓口です。按分割合が合意できない場合は、先に家庭裁判所へ調停・審判を申し立て、確定した審判書等を添えて年金事務所で請求します。
Q4年金分割のための情報通知書はどうやって取りますか?
年金事務所に請求すれば、離婚前でも当事者の一方が単独で取得できます。婚姻期間や対象期間標準報酬総額が記載され、按分割合の交渉を数字ベースに引き戻せます。
Q5年金分割で相手の年金はいつから減りますか?
渡す側の減額も同じく標準報酬改定請求のあった日の属する月の翌月からです。増える側と減る側は同じ日を起点に動きます。過去分の返還請求は生じません。
Q6事実婚でも年金分割はできますか?
国民年金第3号被保険者だった期間があれば、事実婚の解消でも分割の対象になりうるとされています。籍を入れていなくても射程に入る場面があるため年金事務所で確認してください。
Q7年金分割の請求に必要な書類は何ですか?
標準報酬改定請求書、婚姻期間等を明らかにする戸籍謄本類、按分割合を定めた公正証書・公証人認証の私署証書または家庭裁判所の審判書等、本人確認書類が基本です。
Q8年金分割した後に再婚したらどうなりますか?
一度改定された標準報酬の記録は、再婚しても元に戻りません。分割によって書き換えられた記録は本人の記録として残り続けます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1離婚してから2年過ぎちゃったんですけど、もう無理ですか?
原則として請求できない(厚生年金保険法78条の2第1項)。ただし2年が経過する前に按分割合を定める調停や審判を申し立てていて、確定が2年経過後になった場合の救済規定がある(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:窓口では「2年で終わりです」としか言われないことが多い。係属中または確定した家事事件があるかどうかで結論が変わるので、申立書や審判書を持参して相談する
Q2按分割合0.5で合意できました。私の年金はいくら増えるんですか?
増えるのは厚生年金の報酬比例部分だけで、老齢基礎年金は動かない。しかも増額が現実の振込に現れるのは、あなた自身に老齢厚生年金の受給権が生じてからである(78条の9第1項)。実務のポイント:情報通知書に載る「対象期間標準報酬総額」は年金額そのものではない。年金事務所では分割後の見込額の試算を頼める。数字を見て「思ったより少ない」となる人が非常に多い
Q3障害厚生年金をもらっている側なんですが、分割で減りますか?
合意分割で標準報酬が改定されれば、その記録を基礎とする障害厚生年金の額も請求月の翌月から改定される(78条の9第2項)。受け取る側でも、被保険者期間を300月とみなす最低保障が適用されている障害厚生年金には離婚時みなし被保険者期間は加算されない(同項ただし書、50条1項)。実務のポイント:3号分割(78条の14)には特定被保険者が障害厚生年金の受給権者である場合の適用除外が定められており、合意分割と扱いが異なる。この違いは窓口説明で飛ばされやすい
Q4私は自分の年金の加入期間が短いんですが、分割してもらえば年金もらえますよね?
もらえない可能性がある。離婚時みなし被保険者期間は年金額の計算基礎には入るが、老齢年金を受け取るための受給資格期間には算入されない。自分自身で資格期間を満たしていなければ、分割された記録は使われないまま眠る。実務のポイント:この場合は国民年金の任意加入や未納分の追納で資格期間を作る方が先。按分割合を0.4から0.5へ上げる交渉より、自分の記録の穴を埋める方が生涯受取額へのインパクトが大きいことがある
間違えやすい点 AI による整理
- 分割で得た期間が年金額に反映されることは知っていても、その期間が「受給資格期間には算入されない」ところまで知る人は少ない。離婚時みなし被保険者期間は年金額の計算基礎には入るが、老齢年金を受け取るための資格期間や加給年金額の要件年数には算入されない。自分の年金記録に穴が空いている人が、分割さえすれば年金がもらえると考えていると、資格そのものが足りず一円も受け取れない
- 「相手の年金の半分をもらえる」という問いの立て方自体が誤っている。分割されるのは厚生年金の報酬比例部分に対応する標準報酬の記録だけで、老齢基礎年金も、企業年金や個人型確定拠出年金も対象外である。按分割合の上限0.5は「相手の年金額の半分」ではなく「婚姻期間中の夫婦の記録の合計に対する持分の上限」を意味する
- あなたから見れば人生の区切りは離婚が成立した日だが、法律から見た区切りは「請求のあった日の属する月」である。この落差の月数分だけ、あなたが生涯で受け取る年金は薄くなる。離婚協議が長引く間は記録が消えるわけではないが、離婚後の放置だけは取り返しがつかない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 78条の9:改定後の標準報酬に基づく年金額改定の効力発生時期 | 78条の2:標準報酬改定請求の要件と2年の請求期限 78条の6:改定・決定される標準報酬そのものの算定 |
| 起算点 | 標準報酬改定請求のあった日の属する月の翌月 | 離婚等をした日の翌日から2年(期限の起算) 対象期間(婚姻期間)に係る標準報酬 |
| 対象となる給付 | 老齢厚生年金(1項)・障害厚生年金(2項) | 分割請求そのもの(給付を特定しない) 標準報酬記録(給付ではない) |
| 見落とされやすい制限 | 300月みなしの最低保障が効く障害厚生年金には離婚時みなし被保険者期間を加算しない | 期限徒過で請求権が消滅する 老齢基礎年金・企業年金・iDeCoは対象外 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には公的年金記録を分割する制度がなく、離婚時は婚後財産の分配で調整する。年金の期待権をどこまで分配対象に取り込むかが争点になる点が日本と異なる
韓国は分割年金として、一定の婚姻期間を要件に元配偶者が自ら受給権を取得する構成。日本のように標準報酬記録を書き換えるのではなく、給付段階で分割する設計
ドイツは離婚時に裁判所が職権で年金期待権を調整する(原則として離婚判決と同時に決定される)。当事者の請求と2年の期限に委ねる日本と、起動の仕組みが根本的に違う
米国は私的年金を裁判所命令で分割する。公的年金である Social Security は分割ではなく、婚姻期間10年以上等の要件で元配偶者給付を認める別建ての仕組み
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 離婚から1年11か月が経った日に、年金分割をまだ請求していないと気付いたら? 残りは1か月。年金事務所の相談予約は数週間待ちのことがあり、按分割合を定めた公正証書がなければ家庭裁判所の手続から始めることになる。期限を過ぎた瞬間、按分割合の合意が紙の上に残っていても請求権は消える
- あなたは会社員として30年勤め、専業主婦だった配偶者と離婚した。相手が請求すれば、あなたの標準報酬記録は書き換えられ、あなたの老齢厚生年金は請求月の翌月から減る。減額もまた同じ日から始まる
- 障害厚生年金を受けながら離婚した。合意分割の請求が通れば、渡す側であるあなたの障害厚生年金も改定後の標準報酬を基礎に計算し直される。逆に受け取る側が300月みなしの最低保障を受けているなら、離婚時みなし被保険者期間は上乗せされない。分割が成立したのに手取りが一円も増えないという結末があり得る
- 50歳で按分割合0.5を勝ち取ったが、通帳の数字は何も変わらない。老齢厚生年金の受給開始はまだ先で、この条文が動くのは「年金の額を改定する」場面だからである。分割で勝ったつもりのまま、増額の実感が十年以上先になることを知らずにいる人は多い
- 友人が「慰謝料と親権で揉めているから年金分割は落ち着いてからやる」と言い出した。あなたは2年の期限と翌月起算の意味を三分で説明できる。後回しは、そのまま権利の放棄になりうる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 離婚等をした日の翌日を起算日とする2年の満了日を、まず手帳に書き込む2. 年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を取得し、対象期間標準報酬総額の実数を握る3. 按分割合が合意できるなら公正証書または公証人の認証を受けた私署証書にし、合意できなければ家庭裁判所へ調停・審判を申し立てる4. 起点になるのは合意ができた日ではなく請求書が受理された月なので、書類が揃った当日に提出する
訴えられた側:1. 情報通知書で自分の記録がどれだけ削られるか試算する。按分割合は0.5が自動的に決まるものではなく、上限である2. 障害厚生年金を受給しているなら、合意分割で自分の年金額が改定される可能性を事前に確認する3. 年金分割は財産分与とは別枠の制度なので、現金や不動産の分与と組み合わせて全体で調整する交渉余地がある4. 期限や手続について口頭でやり取りせず、回答は書面に残す
時効(請求できる期限):標準報酬改定請求の期限は原則として離婚等をした日の翌日から起算して2年(厚生年金保険法78条の2第1項)。当事者の一方が死亡した場合は死亡日から起算して1か月以内に限られる。按分割合を定める審判等が2年経過後に確定した場合の特例もある(最新の改正状況をご確認ください)。年金額の改定自体は請求のあった日の属する月の翌月からで、離婚日への遡及はない
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)年金制度改正 離婚時の厚生年金分割(合意分割)制度の導入に伴い新設され、平成19年(2007年)4月1日施行。その後の被用者年金一元化等による条文整備の有無は要検証
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:年金制度改正により離婚時の厚生年金分割(合意分割)制度が導入され、その一部として本条が新設された。施行は平成19年(2007年)4月1日
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