厚生年金保険法 第78条の18(老齢厚生年金等の額の改定の特例)
クイックジャンプ
- 老齢厚生年金の受給権者について、第七十八条の十四第二項及び第三項の規定により標準報酬の改定又は決定が行われたときは、第四十三条第一項の規定にかかわらず、改定又は決定後の標準報酬を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、第七十八条の十四第一項の請求のあつた日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。
- 2.第七十八条の十第二項の規定は、障害厚生年金の受給権者である被扶養配偶者について第七十八条の十四第二項及び第三項の規定により標準報酬の決定が行われた場合に準用する。この場合において、必要な読替えは、政令で定める。
この条文の基本情報
老齢厚生年金等の額の改定の特例とは何ですか?
定義老齢厚生年金等の額の改定の特例とは、厚生年金保険法第78条の18に定められた規定で、「老齢厚生年金の受給権者について、第七十八条の十四第二項及び第三項の規定により標準報酬の改定又は決定が行われたときは、第四十三条第一項の規定にかかわらず、改定又は…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第78条の18(老齢厚生年金等の額の改定の特例)は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第78条の18の条文原文は「老齢厚生年金の受給権者について、第七十八条の十四第二項及び第三項の規定により標準報酬の改定又は決定が行われたときは、第四十三条第一項の規定にかかわらず、改定又は…」で始まります。
- 厚生年金保険法第78条の18は第三章の三に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第78条の18の前の条は厚生年金保険法第78条の17です。
- 厚生年金保険法第78条の18の次の条は厚生年金保険法第78条の19です。
- 厚生年金保険法第78条の18には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の18 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の18(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/78_18
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法78条の18は、3号分割で標準報酬が改定されたとき、老齢厚生年金の額を請求のあった日の属する月の翌月から改定すると定める。障害厚生年金には反映されない。
Q · 離婚して年金分割をしたら、いつから年金が増えるの?
増額は請求月の翌月から。離婚日には遡りません
厚生年金保険法78条の18第1項により、3号分割で標準報酬の改定・決定が行われたときは、請求のあった日の属する月の翌月から老齢厚生年金の額が改定されます。離婚成立日まで遡って増額されることはなく、請求が遅れた期間の増額分は取り戻せません。さらに第2項は78条の10第2項を準用し、障害厚生年金の受給権者である被扶養配偶者については、分割で決定された標準報酬を障害厚生年金の額の計算の基礎としません。分割の請求自体は離婚等から2年以内(78条の14第1項)です。
解説
離婚届を出した日ではない。年金事務所の窓口に請求書が届いた日、そこが分岐点になる。厚生年金保険法78条の18第1項は、3号分割(78条の14)によって標準報酬が動いたとき、老齢厚生年金の額は「請求のあつた日の属する月の翌月から」改定すると定める。離婚から1年半寝かせてから請求すれば、その1年半分の増額は戻ってこない。逆に、記録が減る側から見れば、相手の請求が遅れた分だけ従来の額を受け取り続けられる。そして第2項が本当の落とし穴だ。障害厚生年金を受けている被扶養配偶者が3号分割で標準報酬の決定を受けても、その記録は障害厚生年金の額の計算には取り込まれない。78条の10第2項を準用して、障害給付だけが分割の効果から切り離されている。「分割すれば自分の年金が全部増える」と信じたまま手続を進めた人は、通知書を受け取ってから初めてそのことを知る。
法的な位置づけ
厚生年金保険法78条の18は、3号分割による標準報酬の改定・決定後における年金額の改定時期を定める規定である。第1項は老齢厚生年金について、43条1項の原則にかかわらず改定後の標準報酬を額の計算の基礎とし、請求のあった日の属する月の翌月から額を改定する。第2項は障害厚生年金の受給権者である被扶養配偶者について78条の10第2項を準用する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.離婚成立日を確定し、2年の期限をカレンダーに落とす 戸籍謄本等で離婚成立日を確認する。3号分割の請求期限は離婚等をしたときから原則2年(78条の14第1項ただし書)。交渉が長引いたことは期限切れの理由にならないため、成立日から逆算した期限日を先に固定する
- 2.年金分割のための情報通知書を取得する 年金事務所に情報提供請求を行い、対象期間・按分割合の範囲を記載した情報通知書を取得する。平成20年4月1日以後の第3号被保険者期間があるか、合意分割の対象期間も併存していないかをここで確認する
- 3.合意分割の対象期間があるか判定し、手続を一本化する 平成20年3月以前の期間や被用者だった期間があれば合意分割(78条の2)の対象になる。3号分割と別々の手続と思い込んで先送りすると、その期間がそのまま2年の期限を食い潰す。実務上は同時に処理できるため一度で済ませる
- 4.標準報酬改定請求書を窓口に提出する(提出月が起点) 年金事務所の窓口に標準報酬改定請求書を提出する。額の改定は請求のあった日の属する月の翌月からであり、受付日は到達日で決まる。月末をまたぐと開始月が丸ごと1か月ずれるため、郵送ではなく窓口提出を選ぶ
- 5.決定通知書を受け取り、給付ごとの反映を検算する 標準報酬改定通知書が届いたら、対象期間の表示と改定開始月を突き合わせる。障害厚生年金の受給権者は第2項の準用により障害給付の額が動かないため、通知の記録が将来の老齢厚生年金に効く前提で保管する
よくある質問 AI による整理
Q13号分割とは何ですか?
国民年金の第3号被保険者だった期間について、相手方の厚生年金の標準報酬を2分の1ずつ分ける制度です。相手の同意も合意も不要で、請求だけで成立します(厚生年金保険法78条の14)。
Q2年金分割の請求期限は2年ですか?
原則として離婚等をしたときから2年です(78条の14第1項ただし書)。起算点は離婚成立日であり、話し合いがまとまった日ではありません。1日でも過ぎれば請求権は消滅します。
Q3合意分割と3号分割の違いは?
合意分割(78条の2)は当事者の合意または裁判所の決定で按分割合を決めます。3号分割は平成20年4月以降の第3号被保険者期間に限り、合意なしで2分の1に固定されます。
Q4年金分割は相手の同意が必要ですか?
3号分割は不要です。制度上、第3号被保険者だった側が単独で請求できます。合意分割の場合のみ、按分割合について合意または家庭裁判所の手続が必要になります。
Q5年金分割の対象期間はいつからですか?
3号分割の対象は平成20年(2008年)4月1日以後の第3号被保険者期間に限られます。それ以前の期間を分けたい場合は合意分割の手続によることになります。
Q6年金分割の請求に必要な書類は?
標準報酬改定請求書のほか、婚姻期間と離婚を確認できる戸籍謄本等、当事者双方の基礎年金番号が分かる書類が基本です。事前に情報通知書を取得しておくと手続が早くなります。
Q7分割される側の年金はいつ減りますか?
相手が請求した日の属する月の翌月からです(78条の18第1項)。離婚日まで遡って過去の受給分の返還を求められることはありませんが、減額通知は予告なく届きます。
Q8年金分割の後に再婚したらどうなりますか?
一度決定された標準報酬の分割は、その後の再婚や相手の死亡によって元に戻ることはありません。分割された記録は自分自身の厚生年金記録として確定します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1離婚してすぐ請求しなかったら、その間の分の年金はもらえないんですか?
増額の起算点は請求のあった日の属する月の翌月です(78条の18第1項)。離婚日まで遡っての支給はなく、離婚から2年を過ぎれば請求権そのものが消えます(78条の14第1項)。実務のポイント:月末に間に合わせたいなら郵送は避ける。受付日は到達日で決まるため投函日では押さえられず、1日の差で増額開始が丸1か月ずれる
Q2障害年金をもらっています。年金分割しても本当に増えないんですか?
障害厚生年金については、分割で決定された標準報酬を額の計算の基礎に取り込みません(78条の18第2項が準用する78条の10第2項)。ただし決定された記録自体はあなたのものとして残るため、65歳以降に老齢厚生年金を選ぶ場面では効いてきます。実務のポイント:窓口で「増えません」とだけ言われて請求を見送る人がいるが、見送れば2年の期限で記録ごと失う。今の障害給付と将来の老齢給付は別勘定で考える
間違えやすい点 AI による整理
- 離婚が成立すれば年金は自動的に分割されると思われているが、3号分割は請求して初めて動く。しかも増額の効力は請求月の翌月から。離婚届の提出日は、増額の起算点とは何の関係もない
- 「分割でいくら増えるか」を最初に計算する人が多いが、障害厚生年金の受給権者にとっては問いの立て方自体が外れている。第2項が準用する78条の10第2項により、分割で決定された標準報酬は障害厚生年金の額に入らない。金額を試算する前に、どの給付なら効果が届くのかを確かめる順序になる
- 請求期限が2年であることは知られているが、その2年が「離婚成立から」であって「話し合いがまとまってから」ではないことの深刻さは軽く見られている。3号分割は相手の同意も合意も不要な制度なので、交渉が長引いたことは期限切れの言い訳にならない。もめている間に権利だけが消える結末は、制度上ふつうに起こる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用される分割の種類 | 78条の18:3号分割(78条の14)後の額改定 | 78条の10:合意分割(78条の2)後の額改定 78条の14:3号分割の請求と標準報酬の改定・決定そのもの |
| 相手方の同意 | 不要(請求のみで成立する分割が前提) | 必要(合意または家庭裁判所の決定で按分割合を定める) 不要、ただし離婚等から原則2年の請求期限あり |
| 額の改定時期 | 請求のあった日の属する月の翌月から、離婚日に遡及しない | 同様に請求月の翌月から(本条第2項の準用元) 改定・決定自体の効力を定め、支給額の改定時期は78条の18が担当 |
| 障害厚生年金への反映 | 第2項が78条の10第2項を準用し、額の計算の基礎としない | 第2項で障害厚生年金への不反映を直接規定 規定なし(額の計算は50条・43条系の規律による) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には離婚時の年金分割制度がなく、労工保険・労工退職金の受給権をどこまで剰余財産に含めるかという解釈問題として処理される。行政庁への請求で記録が移転する日本の仕組みとは構造が異なる
韓国は婚姻期間5年以上などの要件のもと、分割年金の受給権を独立の給付として構成する。日本のように標準報酬記録そのものを移転する方式ではない点が最大の違い
ドイツは離婚判決と同時に家庭裁判所が職権で年金期待権を清算する。請求主義でなく裁判所主導である点、対象が公的年金以外の企業年金等にも及ぶ点で日本より広い
米国は裁判所の命令により私的年金プランの給付を分割する。公的な Social Security は分割されず、婚姻10年以上の配偶者給付という別制度で処理される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 離婚が成立してから1年11か月、まだ年金事務所に行っていないとしたら、どうなる? 3号分割の請求期限は離婚等をしたときから原則2年。1日過ぎた瞬間、平成20年4月以降の第3号被保険者期間は永久に相手の記録のままになる。残り1か月でそろえるのは戸籍謄本と基礎年金番号、それだけだ
- あなたが分割される側で、すでに老齢厚生年金を受け取っている。元配偶者が請求した月の翌月から、振込額は静かに下がる。ただし離婚した月まで遡って過去の受給分を返せと言われることはない。減額通知が届いてから家計を組み直すのでは遅く、通知は予告なしに来る
- 障害厚生年金を受けながら離婚した。3号分割の請求は通り、標準報酬の決定通知も届いた。それでも毎月の振込額は1円も動かない、第2項がそう決めている
取るべき行動
被害を受けた側:1. 離婚成立日を確定、そこから2年が請求期限2. 年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を取得し、平成20年4月以降の第3号被保険者期間があるか確認3. 合意分割の対象期間も持つなら同時に手続、窓口往復を一度で終わらせる4. 障害厚生年金の受給権者でも、将来の老齢厚生年金のために請求はしておく5. 増額開始は請求月の翌月、月末提出か月初提出かで1か月ずれることを計算に入れる
訴えられた側:1. 3号分割は相手の同意も合意も不要で、争って止める制度ではない2. できるのは対象期間の検算、平成20年4月1日より前の第3号被保険者期間は対象外なので通知書の期間表示を必ず突き合わせる3. 減額は相手の請求月の翌月からで、過去に受け取った分の返還を求められることはない4. 減額後の年金額を試算し、必要なら財産分与全体の中での調整を弁護士と詰める
時効(請求できる期限):3号分割の請求は、離婚等をしたときから2年(厚生年金保険法78条の14第1項ただし書、その他政令で定める場合を除く)。年金額の改定は請求のあった日の属する月の翌月からで、離婚日への遡及はない。分割の対象は平成20年(2008年)4月1日以後の第3号被保険者期間に限られる(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)年金制度改正、平成20年(2008年)4月1日施行 第3号被保険者期間についての標準報酬の分割(3号分割)制度の創設に伴い新設。分割後の老齢厚生年金の額の改定時期を請求月の翌月と定め、障害厚生年金については分割後の標準報酬を額の計算の基礎としない旨を78条の10第2項の準用で規定した
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:年金制度改正により第3号被保険者期間の標準報酬の分割(3号分割)制度が創設され、その額改定規定として新設。平成20年(2008年)4月1日施行
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める