運用職員は、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
要点厚生年金保険法 79 条の 11 は、運用職員が職務上知り得た秘密を漏らすことに加え、自ら利用する「盗用」も禁止する。相手方に伝えなくても違反が成立する。
Q · 年金の積立金を運用している職員って、どこまで話しちゃいけないんですか?
漏らさなくても、自分で使えば「盗用」として違反です
厚生年金保険法 79 条の 11 は、運用職員に対し、職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならないと定めています。禁止されるのは外部への漏洩だけではなく、誰にも伝えずに自分でその情報を利用する行為も独立した違反類型です。守るべき対象は自分の担当分野に限られず、職務を通じて知った秘密全般に及びます。また本条の文言に退職後の定めはありませんが、運用職員は国家公務員であり、国家公務員法 100 条 1 項により退職後も守秘義務が継続します。
二百兆円規模の厚生年金の積立金が、どの資産にどれだけ振り向けられるか。その決定過程を公表前に見ている職員が、厚生労働省には実在する。本条はその職員(運用職員、積立金の運用に係る事務に従事する者)に対し、職務に関して知り得た秘密を「漏らしてはならない」だけでなく「盗用してはならない」と重ねて命じる。効いてくるのは二語目だ。誰にも話さず、自分の口座で使うだけでも違反になる。多くの守秘義務規定は漏洩しか禁じておらず、自己利用の規制は金融商品取引法のインサイダー規制など別の枠に委ねられている。本条はその隙間を、公務員の職務規律そのもので塞いだ。あなたが給与明細で天引きされている保険料の行き先を、市場より先に知る者がいる。その者の口と手を同時に縛る一文が、ここにある。
厚生年金保険法 79 条の 11 は、積立金の運用に係る事務に従事する運用職員に対し、職務に関して知り得た秘密の漏洩および盗用を禁止する規定である。国家公務員法 100 条 1 項が定める一般的な守秘義務に対し、相手方に伝えない自己利用型の情報利用を明文で違反類型に加えた点に特色がある。
厚生年金保険法上、積立金の運用に係る事務に従事する者を指します。国家公務員であるため、本条に加えて国家公務員法 100 条 1 項の守秘義務も重ねて適用されます。
積立金は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に寄託して運用される仕組みです。厚生年金保険法 79 条の 2 以下が運用の目的と枠組みを定めています。
運用職員は国家公務員であり、守秘義務違反には国家公務員法 109 条の刑事罰が定められています。加えて懲戒処分の対象にもなります。
肯定も否定も情報になり得るため、個別回答を避け、広報窓口へ一本化するのが原則です。接触の日時と内容を記録に残すことで、後日の疑義に対応できます。
「秘」の指定があるだけでは足りず、非公知かつ実質的に保護に値するか(実質秘)が問われます。この一点に絞って審査請求を行うのが有効です。
外部に出す前に、行政機関内部の通報窓口へ記録の残る形で申し出ておくことで、後から守秘義務違反と構成される筋を細くできます。順序が結論を左右します。
公務員の職務上の行為による損害は国家賠償法 1 条のルートとなり、請求先は国であって職員個人ではありません。この点を最初に押さえる必要があります。
国家公務員法 90 条の 2 により、人事院への審査請求は処分説明書を受け取った日の翌日から起算して三月以内です。期間を過ぎると争えなくなります。
違う。判例は、公務員の守秘義務にいう秘密とは非公知の事実であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値するものを指すとしている(実質秘、徴税トラの巻事件)。79 条の 11 の「秘密」も同様に解される。業界裏話ヒント:不開示決定の理由が「秘」の指定だけを根拠にしている場合、審査請求では実質秘に当たるかを正面から突く。役所側が具体的な保護の必要性を再構成できず、結果的に開示に転じる例がある
引っかかる。79 条の 11 は「漏らし、又は盗用してはならない」と二つを並べており、自己利用そのものが独立した違反類型になっている。国家公務員法 100 条 1 項が禁じるのは漏らす行為であり、そこには自己利用が明示されていない。業界裏話ヒント:金融商品取引法のインサイダー規制は上場会社の関係者を主な対象としており、運用側の職員の自己利用は必ずしもそこで捕まらない。この条文はその隙間を職務規律の側から塞いでいる
自由にはならない。79 条の 11 の文言に退職後の定めは書かれていないが、運用職員は国家公務員であり、国家公務員法 100 条 1 項は「その職を退いた後といえども同様とする」と明記し、違反には同法 109 条の刑事罰がある。業界裏話ヒント:転職の面接や社内の初回ミーティングで前職の非公開情報を語ってしまう事故が最も多い。守れる話は方法論と判断の枠組みまで、個別の銘柄や配分の数字は退職後も一生外に出せない、この線引きを転職前に紙に書いておく
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 禁止される行為 | 厚年法 79 条の 11:漏洩に加え、自ら利用する「盗用」も禁止 | — |
| 名宛人 | 積立金の運用に係る事務に従事する運用職員 | — |
| 相手方の特定 | 相手方を限定せず、相手方が存在しない自己利用でも成立し得る | — |
| 退職後の効力 | 本条の文言に退職後の定めはない | — |
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