自衛隊法 第81条の2(自衛隊の施設等の警護出動)
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- 内閣総理大臣は、本邦内にある次に掲げる施設又は施設及び区域において、政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で多数の人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊する行為が行われるおそれがあり、かつ、その被害を防止するため特別の必要があると認める場合には、当該施設又は施設及び区域の警護のため部隊等の出動を命ずることができる。
- 一自衛隊の施設
- 二日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二条第一項の施設及び区域(同協定第二十五条の合同委員会において自衛隊の部隊等が警護を行うこととされたものに限る。)
- 2.内閣総理大臣は、前項の規定により部隊等の出動を命ずる場合には、あらかじめ、関係都道府県知事の意見を聴くとともに、防衛大臣と国家公安委員会との間で協議をさせた上で、警護を行うべき施設又は施設及び区域並びに期間を指定しなければならない。
- 3.内閣総理大臣は、前項の期間内であつても、部隊等の出動の必要がなくなつたと認める場合には、速やかに、部隊等の撤収を命じなければならない。
この条文の基本情報
自衛隊の施設等の警護出動とは何ですか?
定義自衛隊の施設等の警護出動とは、自衛隊法第81条の2に定められた規定で、「内閣総理大臣は、本邦内にある次に掲げる施設又は施設及び区域において、政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 自衛隊法第81条の2(自衛隊の施設等の警護出動)は、日本の自衛隊法に含まれる条文です。
- 自衛隊法第81条の2の条文原文は「内閣総理大臣は、本邦内にある次に掲げる施設又は施設及び区域において、政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を…」で始まります。
- 自衛隊法第81条の2は第六章 自衛隊の行動に置かれています。
- 自衛隊法の公布日は昭和29年6月9日です。
- 自衛隊法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 自衛隊法第81条の2の前の条は自衛隊法第81条です。
- 自衛隊法第81条の2の次の条は自衛隊法第81条の3です。
- 自衛隊法第81条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第81条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000165 - 本サイト収録
自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第81条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000165/81_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点自衛隊法81条の2は、テロのおそれがある自衛隊施設と一部の在日米軍施設を守るため、内閣総理大臣が部隊の警護出動を命じられると定める。国会承認は要件ではない。
Q · 自衛隊の警護出動って、国会や地元の知事が止めることはできるの?
できない。知事は意見を述べられるだけで国会承認も不要
自衛隊法81条の2の警護出動は、内閣総理大臣の命令だけで発令できます。国会の承認は要件ではなく、関係都道府県知事にはあらかじめ意見を聴かれる機会があるものの、出動を止める同意権はありません。そのかわり、防衛大臣と国家公安委員会の協議、警護する施設と期間の事前指定、必要がなくなった場合の速やかな撤収命令(3項)という手続で歯止めがかけられています。
解説
自衛隊が国内で「守るために出動する」ルートは一つではない。暴動に備える治安出動(78条・81条)とは別に、テロの標的になりうる自衛隊の基地と一部の在日米軍施設だけを守る専用のルートとして、2001年の米国同時多発テロの直後に設けられたのが警護出動である。ここで押さえておくべき点は三つある。第一に、命令を出すのは内閣総理大臣で、国会の承認は要件になっていない。第二に、地元の都道府県知事は事前に意見を聴かれるが、同意権(出動を止められる権限)はない。第三に、対象は条文に列挙された施設に限られる。原子力発電所や空港、あなたが住む街の駅は含まれない。「自衛隊がどこでもテロから守ってくれる」という思い込みと、実際の法的な守備範囲との間には、はっきりした差がある。この差を知っているかどうかで、ニュースの読み方も、基地のそばで暮らす意味も変わってくる。
法的な位置づけ
警護出動とは、自衛隊法第81条の2に基づき、内閣総理大臣が、自衛隊の施設又は日米合同委員会で自衛隊が警護することとされた在日米軍の施設及び区域においてテロ行為が行われるおそれがあり、被害防止のため特別の必要があると認める場合に、当該施設等の警護のため部隊等に命ずる出動をいう。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.指定された施設と期間を確認する 警護出動の報道に接したら、官報や防衛省の発表で、内閣総理大臣が指定した警護対象の施設(又は施設及び区域)と期間を確認する。指定区域の内か外かで、自衛官の権限が及ぶかどうかが変わる
- 2.出動類型を見分ける 防衛出動(76条)、治安出動(78条・81条)、警護出動(81条の2)、平時の施設警護(95条の3)のどれに当たるかを、命令主体と国会承認の有無で見分ける。類型によって使える権限の範囲が違う
- 3.自衛官の措置を受けたら記録する 警護中の自衛官に制止や質問を受けた場合は、日時、場所、部隊の識別情報、措置の内容を記録する。あわせて、根拠が91条の2で準用される警察官職務執行法のどの規定なのかを落ち着いて尋ねる
- 4.損害があれば国家賠償請求を検討する 身体や財産に損害を受けた場合は、国家賠償法1条に基づき、自衛官個人ではなく国を相手に賠償を求める。消滅時効(損害と加害者を知った時から3年、生命・身体侵害は5年)に注意し、弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1警護出動とは何ですか?
自衛隊法81条の2に基づき、テロのおそれがある自衛隊施設や一部の在日米軍施設を守るため、内閣総理大臣が部隊に命じる出動です。2001年に新設されました。
Q2警護出動に国会の承認は必要ですか?
必要ありません。国会承認を要件とする防衛出動などと異なり、内閣総理大臣の命令で発令できます。歯止めは知事の意見聴取や施設・期間の指定といった手続です。
Q3警護出動に知事の同意は要りますか?
同意は要りません。内閣総理大臣はあらかじめ関係都道府県知事の意見を聴く義務を負いますが、知事に出動を拒否する権限はありません。
Q4警護出動で原発や空港も守れますか?
守れません。対象は自衛隊の施設と、日米合同委員会で自衛隊が警護することとされた在日米軍施設に限られます。原発や空港のテロ対策は原則として警察が担います。
Q5警護出動はいつまで続きますか?
内閣総理大臣が指定した期間内に限られます。期間中であっても出動の必要がなくなったと認めれば、速やかに撤収を命じなければなりません(81条の2第3項)。
Q6警護出動中の自衛官は武器を使えますか?
使えます。自衛隊法91条の2により、警察官職務執行法の武器使用規定などが準用されます。ただし一部の規定は警察官がその場にいない場合に限られます。
Q7警護出動は誰が決めるのですか?
命令するのは内閣総理大臣です。その前に防衛大臣と国家公安委員会に協議をさせ、警察との役割分担を調整したうえで、警護する施設と期間を指定します。
Q8在日米軍基地はすべて警護出動の対象ですか?
すべてではありません。日米地位協定25条の合同委員会で、自衛隊が警護を行うこととされた施設及び区域に限られます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1警護出動って、今まで実際に出たことあるんですか?
2001年に設けられて以降、警護出動が実際に命じられた例は公表されていない(最新状況をご確認ください)。自衛隊施設の日常的な警護は、出動命令なしで行える95条の3で足りるためである。実務のポイント:発令例がないからといって無意味な規定ではない。91条の2による権限の準用と、米軍施設まで守る範囲を広げられる点は、この条文でしか開けない扉であり、有事や重大テロ情報の際の選択肢として机上で必ず検討される
Q2治安出動と警護出動、何が違うんですか?
治安出動(78条・81条)は、警察力では治安を維持できない場合の出動で、78条による命令出動は国会の事後承認が必要になる。警護出動(81条の2)は、テロのおそれがある特定の施設を守るための出動で、国会承認は要件ではなく、代わりに知事の意見聴取と防衛大臣・国家公安委員会の協議が求められる。実務のポイント:守る対象が「社会全体」なのか「列挙された施設」なのかで、使える権限の範囲も変わる。報道では両者が混同されやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 「自衛隊が国内で動くには必ず国会の承認が要る」と思われがちだが、国会承認を要件とするのは防衛出動(76条)などであり、警護出動は内閣総理大臣の命令で出せる。民主的な歯止めは、知事への意見聴取、防衛大臣と国家公安委員会の協議、施設と期間の指定、必要がなくなったときの撤収義務という手続でかけられている
- 警護出動がテロ対策の要だということは知られていても、守備範囲の狭さはあまり知られていない。対象は自衛隊の施設と、日米合同委員会で自衛隊が警護することとされた在日米軍の施設及び区域だけである。原発、新幹線、大規模イベント会場のテロ対策は、原則として警察の仕事のままだ
- 「基地の警護は警護出動がないとできない」という問いの立て方自体がずれている。自衛隊の施設であれば、平時から自衛官が警護し、一定の武器使用もできる規定(95条の3)がある。警護出動が意味を持つのは、特別な脅威があるときに部隊単位で守りを厚くし、一部の米軍施設まで範囲を広げる場面である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 命令主体 | 81条の2警護出動:内閣総理大臣 | 78条 命令による治安出動:内閣総理大臣 95条の3施設警護:出動命令なし(平時の自衛官の職務) |
| 国会の関与 | 国会承認は要件ではない | 出動を命じた日から20日以内に国会に付議し承認を求める 国会の関与なし |
| 守る対象 | 自衛隊の施設と、合同委員会で自衛隊が警護するとされた在日米軍施設 | 警察力で維持できない一般の治安(社会全体) 自衛隊の施設 |
| 事前の手続 | 知事の意見聴取、防衛大臣と国家公安委員会の協議、施設と期間の指定 | 間接侵略その他の緊急事態で警察力では不十分と認める判断 特段の手続なし |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は重要軍事施設の周辺を管制区として指定する方式をとる。テロのおそれを要件として軍を施設警護に出動させる独立の命令類型は置かれていない
韓国は軍・警察・自治体を統合した防衛体制の中で国家重要施設の防護を定める。日本のように出動類型を細かく分ける方式とは設計が異なる
ドイツは連邦軍と同盟軍の施設警護における直接強制を専用の法律で定める。同盟軍の施設まで含めて守る点が日本の81条の2と似ている
米国は国防総省が自らの施設と人員を守る権限を持つ一方、国内の法執行に軍を使うことを Posse Comitatus Act で原則として制限している
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたの住む町の隣にある米軍施設で警護出動が命じられたら、何が変わる? 施設の周囲で武装した自衛官が警護にあたり、警察官がその場にいない場面では、自衛官が警察官職務執行法の一部を準用して動くことができる(91条の2)。フェンス沿いで撮影していただけの住民も、声をかけられる側になりうる
- あなたは県庁の危機管理担当である。官邸から「知事の意見を今日中に」と連絡が入った。与えられる時間は数時間しかないかもしれない。意見は述べられるが、出動を止める権限はない。何を文書に残すかがすべてだ
- 基地の前で抗議活動を続けてきた市民団体のメンバーが、警護出動中の自衛官に制止された。制止の根拠は何条か、それが警察官と同じ範囲なのか。その場で答えられる人はほとんどいない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 警護出動中の自衛官の措置で身体や財産に損害を受けたら、日時、場所、部隊の識別情報、措置の内容を記録し、写真や目撃者を確保する2. 公務員の職務行為による損害は、国家賠償法1条に基づいて国に賠償を求める。自衛官個人ではなく国が相手になる3. 施設や期間の指定内容は、官報や防衛省の発表で確認する。指定区域外での措置であれば、その点が争点になる
訴えられた側:1. 警護出動中の自衛官に制止や質問をされた場合、その根拠は91条の2で準用される警察官職務執行法の規定になる。準用の範囲は限定的で、警察官がその場にいない場合に限られる規定もあるため、落ち着いて根拠となる条文を尋ねる2. 身柄を拘束されそうになったら、その場でむやみに抵抗しない(抵抗すると公務執行妨害罪に問われるおそれがある)。弁護士への連絡を求める3. 抗議活動は指定区域の外で行い、映像記録を残す
時効(請求できる期限):本条に固有の期限はないが、出動には内閣総理大臣が指定する「期間」があり、必要がなくなれば期間内でも撤収しなければならない。損害を受けた場合の国家賠償請求は、国家賠償法4条により民法が適用され、損害と加害者を知った時から3年(生命・身体侵害は5年、民法724条・724条の2)、不法行為の時から20年
学説
通説(警察比例の原則):警護出動時に91条の2で準用される警察官職務執行法上の権限、特に武器使用は、事態に応じ合理的に必要と判断される限度にとどまるとされる。自衛隊の部隊であっても、警察権行使の枠組みの中で動くという理解である
改正沿革 AI による整理
- 平成13年(2001年) 米国同時多発テロを受けた自衛隊法改正で新設。自衛隊施設と一部の在日米軍施設を対象とする警護出動の制度を創設した
- 平成19年(2007年)防衛省移行 防衛庁の省への移行に伴い、協議主体の「防衛庁長官」が「防衛大臣」に改められたとみられる(改正の全履歴は人的検証が必要)
改正の年表
- 1.平成13年(2001年) 新設:米国同時多発テロを受けた自衛隊法改正で新設。自衛隊の施設と一部の在日米軍施設及び区域を対象とする警護出動の制度を創設した
- 2.平成19年(2007年) 改正:防衛庁の防衛省への移行に伴い、協議主体の表記が防衛大臣に改められたとみられる(改正履歴の詳細は e-Gov で要確認)
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