第十五条第一項及び第二項の規定にかかわらず、厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、同項の規定により決定され、又は改正された特定最低賃金が著しく不適当となつたと認めるときは、その決定の例により、その廃止の決定をすることができる。
要点最低賃金法 17 条は、特定最低賃金が著しく不適当となった場合、厚生労働大臣または都道府県労働局長が労使の申出なしに廃止を決定できると定める。決定と同じ手続の履践が必要である。
Q · 業界ごとの上乗せ最低賃金って、労使が反対しても国が勝手に廃止できるんですか?
できます。ただし「著しく不適当」+ 決定と同じ手続が必要です
最低賃金法 17 条により、厚生労働大臣または都道府県労働局長は、特定最低賃金が「著しく不適当となつた」と認めるときは、関係労使の申出がなくても廃止を決定できます。ただし発動には二重の縛りがあります。第一に「著しく不適当」という高いハードル、第二に「その決定の例により」、すなわち最低賃金審議会の調査審議、意見の公示、異議申出の機会という決定時と同じ手続の履践です。実務上の廃止の多くは 15 条 2 項の労使の申出により処理されています。
あなたの職場に効いている最低賃金は、一本ではなく二本立てかもしれない。都道府県ごとの地域別最低賃金と、特定の産業や職種にだけ上乗せされる特定最低賃金である。後者は本来、労使双方が申し出なければ動かせない(15 条)。ところが 17 条は、その労使自治をひとつだけ飛び越える。厚生労働大臣または都道府県労働局長が「著しく不適当となつた」と認めれば、労使の申出がなくても廃止を決められる。近年、地域別最低賃金が毎年数パーセント上がり続けた結果、上乗せのはずの特定最低賃金が地域別に追い抜かれる逆転が各地で起きている。追い抜かれた瞬間、その上乗せは事実上の空文になる。17 条は、その空文を法的に消すためのブレーカーだ。ただし落とし方には条件がある。「その決定の例により」、つまり最低賃金審議会の調査審議と意見聴取、公示と異議申出という、決定時と同じ手続を丸ごと踏まなければならない。あなたの産業の床を、誰かが黙って抜くことはできない。
最低賃金法 17 条は、特定最低賃金の職権廃止を定める規定である。厚生労働大臣または都道府県労働局長は、決定または改正された特定最低賃金が著しく不適当となったと認めるとき、15 条 1 項・2 項の関係労使の申出を要件とすることなく、決定の例による手続を履践して廃止を決定できる。申出主義の例外規定として機能する。
特定の産業や職種の労働者に、地域別最低賃金に上乗せして適用される最低賃金です。関係労使の申出に基づき決定され、地域別を上回るべきものとされます(最低賃金法 15 条、16 条)。
厚生労働大臣または都道府県労働局長です。原則は関係労使の申出(15 条 2 項)ですが、17 条により著しく不適当と認めるときは申出なしでも廃止を決定できます。
地域別最低賃金の引き上げが続き、上乗せのはずの特定最低賃金が追い抜かれて実質的な意味を失った場合などです。この逆転が「著しく不適当」の典型的な実態とされます。
最低賃金審議会の調査審議を経て意見が公示され、異議申出期間(公示の日から 15 日以内とされる)の経過後に決定されます。正確な日程は各都道府県労働局の公示文書で確認してください。
できます。関係労働者と関係使用者は、審議会の意見が公示された後に異議を申し出られます(最低賃金法 25 条)。ただし実質的な勝負どころは公示前の審議会段階です。
最低賃金法 6 条により、最も高い額の最低賃金が適用されます。特定最低賃金が地域別に追い抜かれた場合、実際に効いているのは地域別最低賃金です。
船員に係る特定最低賃金を除き、最低賃金法 40 条の罰金は及びません。差額の未払いは労働基準法 24 条(賃金の全額払い)違反として処理されます。
既存の労働契約の賃金額が自動的に下がることはありません。ただし法的な下限は地域別最低賃金まで落ち、次の賃金交渉の出発点が一段低くなります。
廃止されても既存の労働契約の賃金額が自動的に下がることはない。引き下げには労働者との合意(労働契約法 8 条、9 条)か、就業規則変更の合理性(同法 10 条)が要る。ただし法的な床は地域別最低賃金まで落ちる。業界裏話ヒント:影響は在職者ではなく求人票に最初に出る。廃止前後で自社と同業他社の募集時給の下限を記録しておくと、次の交渉で「床が下がった分の実害」を数字で示せる
最低賃金審議会の意見が公示された後、関係労働者と関係使用者は異議を申し出られる(最低賃金法 25 条)。なお、最低賃金の決定や廃止が取消訴訟の対象となる「処分」に当たるかは、実務上、解釈が分かれている。業界裏話ヒント:だから本当の勝負どころは異議申出ではなく、その前の審議会での労使委員の議論である。地方最低賃金審議会の委員名簿と議事録は公開されているので、廃止の話が出た時点で自分の業界団体や組合がどの席にいるかを先に確かめる
地域別最低賃金と船員に係る特定最低賃金の違反には最低賃金法 40 条の罰金(50 万円以下)があるが、それ以外の特定最低賃金の違反に同条は及ばない。差額は同法 4 条 2 項により当然に発生し、その未払いは労働基準法 24 条違反として同法の罰則の対象になりうる。業界裏話ヒント:罰則ルートが違うということは、監督署の是正勧告の書きぶりも違う。申告するときは「最低賃金法違反」ではなく「賃金全額払い違反」として整理して持ち込む方が、話が早い
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 発動の主体 | 17 条:厚生労働大臣または都道府県労働局長の職権 | — |
| できる行為 | 廃止の決定のみ(決定・改正は含まない) | — |
| 発動要件 | 「著しく不適当となつた」という高いハードル | — |
| 手続 | 「その決定の例により」=決定時と同格の手続を丸ごと履践 | — |
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