最低賃金法 第18条(派遣中の労働者の特定最低賃金)
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派遣中の労働者については、その派遣先の事業と同種の事業又はその派遣先の事業の事業場で使用される同種の労働者の職業について特定最低賃金が適用されている場合にあつては、当該特定最低賃金において定める最低賃金額により第四条の規定を適用する。
この条文の基本情報
派遣中の労働者の特定最低賃金とは何ですか?
定義派遣中の労働者の特定最低賃金とは、最低賃金法第18条に定められた規定で、「派遣中の労働者については、その派遣先の事業と同種の事業又はその派遣先の事業の事業場で使用される同種の労働者の職業について特定最低賃金が適用されている場合にあつて…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 最低賃金法第18条(派遣中の労働者の特定最低賃金)は、日本の最低賃金法に含まれる条文です。
- 最低賃金法第18条の条文原文は「派遣中の労働者については、その派遣先の事業と同種の事業又はその派遣先の事業の事業場で使用される同種の労働者の職業について特定最低賃金が適用されている場合にあつて…」で始まります。
- 最低賃金法第18条は第三節 特定最低賃金に置かれています。
- 最低賃金法の公布日は昭和34年4月15日です。
- 最低賃金法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 最低賃金法第18条の前の条は最低賃金法第17条です。
- 最低賃金法第18条の次の条は最低賃金法第19条です。
- 最低賃金法第18条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第18条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000137 - 本サイト収録
最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第18条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000137/18
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点最低賃金法18条は、派遣中の労働者の特定最低賃金を派遣先の事業または職業を基準に判定すると定める。派遣元の所在地や業種は判定に影響しない。
Q · 派遣で働いているとき、産業別の高い最低賃金は派遣元と派遣先のどちらで決まりますか?
派遣先です。派遣先の産業や職業の特定最低賃金が下限になります
最低賃金法18条により、派遣中の労働者の特定最低賃金は、派遣先の事業と同種の事業、または派遣先の事業場で使用される同種の労働者の職業を基準に判定されます。雇用契約を結んだ派遣元の所在地や業種は判定材料になりません。特定最低賃金は地域別最低賃金を上回る額でなければ決定できないため(16条)、本条が働く場面では下限額は必ず都道府県の地域別最低賃金より高くなります。複数の最低賃金が競合する場合は最も高い額が適用されます(6条)。
解説
派遣元が大阪、派遣先が東京。あなたの賃金の下限はどちらで決まるか。答えは派遣先だ。18条は、産業や職業ごとに上乗せされた特定最低賃金(かつての産業別最低賃金)について、派遣先の事業と同種の事業、または派遣先の事業場で使用される同種の労働者の職業にその最低賃金が適用されている場合、その額をあなたの下限として4条を適用すると定める。雇用契約を結んでいる派遣元がどこにあろうと、派遣元自身が何業であろうと、判定材料にならない。見るべきは派遣先で何が行われているかだ。特定最低賃金は地域別最低賃金を上回る額でなければ決定できないため(16条)、この条文が動く場面では、あなたの時給の下限は都道府県の最低賃金より確実に高い。給与明細の時給が都道府県の最賃ぎりぎりで止まっているなら、派遣先の業種を調べる価値がある。
法的な位置づけ
最低賃金法18条は、派遣中の労働者に適用される特定最低賃金の判定基準を定める規定である。派遣先の事業と同種の事業、または派遣先の事業場で使用される同種の労働者の職業について特定最低賃金が適用されている場合、その最低賃金額により同法4条の支払義務が適用される。派遣元の所在地および業種は判定材料とならない。
手順
- 1.就業条件明示書から判定材料を書き出す 派遣先の事業内容、事業場の所在地(都道府県)、自分が従事する業務内容の三点を書き出す。判定は雇用契約書ではなく就業条件明示書の派遣先情報で行うため、契約書だけを見ても答えは出ない
- 2.派遣先の都道府県の最低賃金一覧を産業と職業の二方向で照合 厚生労働省および派遣先を管轄する都道府県労働局が公示する最低賃金一覧で、地域別最低賃金と特定最低賃金の両方を確認する。派遣先の事業と同種の事業(産業の入口)と、派遣先事業場の同種の労働者の職業(職業の入口)の二方向で照合し、決定本文の適用除外欄まで読む
- 3.実際の時間額を換算して差額を算出 月給制や日給制なら時間額に換算し、賞与・時間外割増・精皆勤手当・通勤手当・家族手当を除外して比較する。適用最低賃金額を下回っていれば、その差額は既に発生している賃金債権となる
- 4.派遣元へ書面で照会し回答期限を切る 在職中に派遣元の担当部署へ、適用最低賃金額・照合根拠・差額計算を明記した書面で照会し、回答期限を設定する。監督署の是正勧告は同一派遣先の同種スタッフ全員に波及するため、派遣元は書面照会の段階で応じる動機が強い
- 5.応じない場合は派遣先を管轄する労働基準監督署へ申告 特定最低賃金の違反(船員に係るものを除く)は最低賃金法40条ではなく、労働基準法24条の賃金全額払い違反として同法120条の対象になる。申告時に持ち出す根拠条文が地域別最低賃金の場合と異なる点に注意する
よくある質問 AI による整理
Q1特定最低賃金とは何ですか?
特定の産業や職業について、地域別最低賃金に上乗せして決定される最低賃金です。かつての産業別最低賃金にあたり、地域別を上回る額でなければ決定できません(最低賃金法16条)。
Q2特定最低賃金に適用除外はありますか?
決定ごとに適用除外が個別に定められています。18歳未満または65歳以上の者、雇入れ後一定期間内で技能習得中の者などが除外される例が多く、該当すると下限は地域別最低賃金まで戻ります。
Q3特定最低賃金の発効日はいつですか?
10月に集中する地域別最低賃金の改定とずれ、12月から翌3月に集中する傾向があります。決定ごとに発効日が異なるため、派遣先の都道府県労働局の公示で個別に確認してください。
Q4最低賃金の差額はいつまで請求できますか?
差額賃金は賃金債権であり、消滅時効は労働基準法115条により当分の間3年(本則5年)です。起算点は各月の賃金支払日で、古い月から順に時効が完成していきます。
Q5請負契約でも最低賃金法18条は適用されますか?
適用されません。18条は労働者派遣における派遣中の労働者を対象とする規定です。ただし実態が労働者派遣であれば偽装請負として派遣の規律が及ぶ余地があります。
Q6派遣先の産業に特定最低賃金がない場合はどうなりますか?
18条は動かず、下限は派遣先の事業場所在地の地域別最低賃金となります(最低賃金法13条)。この場合も基準は派遣元ではなく派遣先の所在地です。
Q7最低賃金の計算に含まれない手当は何ですか?
臨時に支払われる賃金、賞与、時間外・休日・深夜の割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当は算入されません。基本給と一部の手当のみで下限を満たす必要があります。
Q8派遣先にも最低賃金の支払義務はありますか?
賃金の支払義務者は雇用主である派遣元のままです。18条が派遣先に移すのは適用額の判定基準だけで、支払責任の所在は動きません。派遣先には待遇に関する情報提供が求められます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1派遣元が大阪で派遣先が東京なんですが、どっちの最低賃金ですか?
派遣先の東京です。地域別は13条、産業別の特定最低賃金は18条で、いずれも派遣先の事業場を基準に判定します。実務のポイント:派遣先が変わっても時給が据え置かれるケースは珍しくありません。派遣元の給与システムは派遣先の都道府県までは追っていても、産業別の特定最低賃金までは自動判定していないことが多い。派遣先が変わるたび自分で照合する人だけが差額を取り戻せる
Q2特定最低賃金って、どこで調べられますか?
厚生労働省と各都道府県労働局のサイトに一覧があります。産業ごとに「○○県鉄鋼業最低賃金」のような名称で公示され、発効日と適用除外者が明記されています。18条の判定は派遣先の産業と職業で行うので、見るのは派遣先の都道府県の一覧です。実務のポイント:一覧の下に小さく載る適用除外欄が本番です。18歳未満や65歳以上、技能習得中の者などが除外されている決定が多く、該当すると床は地域別まで下がる
Q3時給が特定最低賃金より低かったら、会社は罰金ですか?
船員以外の特定最低賃金の違反には最低賃金法40条の罰則(50万円以下の罰金)は適用されず、賃金の一部不払いとして労働基準法24条違反となり、同法120条の30万円以下の罰金の対象です。実務のポイント:罰金が軽い代わりに、監督署の是正勧告は事業場の同種スタッフ全員分に及びます。一人の申告が全員の遡及精算を動かすため、派遣元は申告前の書面照会の段階で応じることが多い
Q4地域別と特定、両方あったらどっちが適用されるんですか?
高い方です。二以上の最低賃金の適用を受ける場合は最も高い額により4条を適用します(6条)。特定最低賃金はそもそも地域別を上回る額でなければ決定できない仕組みです(16条)。実務のポイント:近年の地域別最低賃金の大幅引き上げにより、古い特定最低賃金が実質的に追い越されて機能していない産業もあります。まず地域別、次に特定という順で確認するのが実務の手順
間違えやすい点 AI による整理
- 雇用契約を結んだ派遣元の所在地の最低賃金が適用されると思っている人が圧倒的に多いが、13条も18条も基準は派遣先である。地方の派遣元から東京の事業場へ出れば東京の水準で判定され、都心の派遣元から地方の工場へ出れば下がる。契約書のどこにも書かれていないこの反転が、時給の数十円を毎時間動かしている
- 特定最低賃金の存在を知っている人でも、その違反が地域別最低賃金の違反と別の罰則ルートに乗ることまでは知らない。地域別最低賃金の違反は最低賃金法40条で50万円以下の罰金、船員に係るものを除く特定最低賃金の違反は同法の罰則の対象外で、労働基準法24条の賃金全額払い違反として同法120条の30万円以下の罰金となる。罰金が軽いから軽い違反という意味ではなく、申告するときに持ち出す根拠条文そのものが変わるという意味だ
- 「自分の職種に特定最低賃金があるか」を調べる人は多いが、問いの立て方が半分ずれている。18条は派遣先の事業と同種の事業、または派遣先の事業場で使用される同種の労働者の職業、という二つの入口を用意している。産業の側で引っかからなくても職業の側で引っかかることがある。調べるべきは自分の肩書ではなく、派遣先の事業場で何が行われているかだ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用される最低賃金の種類 | 18条:派遣先の産業・職業の特定最低賃金 | 13条:派遣先の事業場所在地の地域別最低賃金 6条:複数が競合する場合は最も高い額 |
| 判定基準の所在 | 派遣先の事業と同種の事業、または派遣先事業場の同種の労働者の職業 | 派遣先の事業場が所在する都道府県 労働者に適用されうる全ての最低賃金を比較 |
| 水準の高さ | 地域別を必ず上回る(16条が上回ることを要件とするため) | 都道府県ごとの基礎的な下限 適用対象のうち最高額が結論となる |
| 違反時の罰則ルート | 船員に係るものを除き最低賃金法40条の対象外、労働基準法24条違反として同法120条(30万円以下の罰金) | 最低賃金法40条(50万円以下の罰金) 適用された最低賃金の種類に応じたルートに従う |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾は単一の最低工資のみで産業別の上乗せ制度を持たないため、18条に相当する「派遣先産業で下限が変わる」構造が存在しない。派遣勞工の保護は元請的な連帯責任と同一待遇の方向で組まれている
韓国も派遣法により最低賃金法の適用上は使用事業主(派遣先)を使用者とみなす構造をとるが、最低賃金は全国一律で産業別の上乗せがなく、判定基準の移動が金額差を生まない
ドイツは派遣労働者に受入企業の労働者との均等待遇原則を課し、さらに AEntG による業種別最低賃金が存在する。判定基準を移すのではなく、待遇そのものを受入企業側に揃える設計
フランスは派遣労働者の報酬を受入企業の同等資格労働者の額以上とする均等原則を採用。産業別の下限は職種別協約(convention collective)の拡張適用によって実現される
米国は連邦最低賃金と州最低賃金の高い方が適用され、派遣・人材会社と受入企業は joint employer として双方が責任を負いうる。産業別最低賃金は原則存在しない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 派遣先が鉄鋼メーカーの工場で、あなたの時給は都道府県の最低賃金プラス10円。もしその県に鉄鋼業の特定最低賃金があったとしたら? 差額は1時間あたり百数十円になることがあり、フルタイム1年で20万円を超える。しかもそれは「もらえたかもしれない金」ではなく、法律上すでに発生しているあなたの賃金債権だ
- 派遣元の給与担当として、全国30か所の派遣先にスタッフを出している。派遣先の県が変わるたび地域別最低賃金は差し替えてきたが、産業別の特定最低賃金までは照合していなかった。10月の地域別改定に気を取られている間に、12月から3月に集中する特定最低賃金の発効日が過ぎていく。監督署の是正勧告が入れば、遡及精算はその事業場の全スタッフ分に及ぶ
- 派遣先が変わった。時給は据え置きのまま。だが新しい派遣先が自動車小売業なら、あなたの下限額はもう別の数字に切り替わっている
- 友人が「派遣元が東京の会社だから東京の最低賃金でしょ」と相談してきた。逆だと三分で説明できるか。13条も18条も、基準はすべて派遣先側にある。派遣元が都心にあっても、派遣先が地方の工場なら判定はその地方の水準で行われる
- 同じ製造ラインで、正社員には産業別の賃金表があり、あなたには派遣元の時給表しかない。特定最低賃金は雇用形態を問わず、その事業場の同種の労働者の職業に適用される。派遣であることは、それ自体では適用を外す理由にならない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 就業条件明示書から派遣先の事業内容、事業場所在地、自分の従事業務を書き出す2. 派遣先の都道府県労働局が公示する最低賃金一覧で、地域別と特定最低賃金の両方を確認、産業の入口と職業の入口の二方向で照合する3. 適用があるのに時給が下回っていれば差額は当然に発生している賃金債権。まず派遣元へ書面で照会し回答期限を切る4. 応じなければ派遣先を管轄する労働基準監督署へ申告。特定最低賃金の場合は労働基準法24条違反としての申告になる
訴えられた側:1. 派遣先ごとに、所在地の地域別最低賃金と派遣先の産業・職業に係る特定最低賃金を突き合わせた台帳を作り、発効日も併記する2. 特定最低賃金には年少者、高齢者、雇入れ後一定期間の技能習得中の者などの適用除外が個別に定められていることが多いため、決定の本文まで読む3. 不足が判明したら是正勧告を待たず自主的に遡及精算する。指導後の是正より社内発見からの自主是正のほうが処分もレピュテーションも軽い4. 派遣先には待遇に関する情報提供義務があるので、実態確認に協力を求める
時効(請求できる期限):本条自体に特定の期限はない。差額賃金の請求権の消滅時効は労働基準法115条により当分の間3年(本則5年)、起算点は各月の賃金支払日(最新の改正状況をご確認ください)。罰則面では、船員に係るものを除く特定最低賃金の違反は最低賃金法40条ではなく労働基準法24条違反として同法120条(30万円以下の罰金)の対象となる
学説
通説:18条は賃金支払義務者を派遣元に据え置いたまま、適用すべき最低賃金額の判定基準のみを派遣先側へ移す二段構えの規定と理解される。派遣元基準を貫くと同一事業場内で下限が人ごとにばらつき、産業別に水準を底上げする特定最低賃金の趣旨が空洞化するためである。
改正沿革 AI による整理
- 平成19年(2007年)改正 従来の産業別最低賃金が特定最低賃金として整理され、その違反は最低賃金法の罰則(船員に係るものを除く)の対象外となり、労働基準法24条による処理へと組み替えられた。派遣中の労働者に関する規定の条番号も現行の配置に整理されている(改正内容の詳細は人的検証が必要)
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:最低賃金法制定(昭和34年法律第137号)。ILO 第26号条約を背景とする最低賃金決定制度の国内実装として成立
- 2.平成19年(2007年) 改正:従来の産業別最低賃金が特定最低賃金として整理され、その違反(船員に係るものを除く)は最低賃金法の罰則の対象外となり、労働基準法24条による処理へ組み替えられた。派遣中の労働者に関する規定の条番号も現行の配置に整理された(改正内容の詳細は人的検証が必要)
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