最低賃金法 第39条
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第三十四条第二項の規定に違反した者は、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 最低賃金法第39条は、日本の最低賃金法に含まれる条文です。
- 最低賃金法第39条の条文原文は「第三十四条第二項の規定に違反した者は、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。」で始まります。
- 最低賃金法第39条は第五章 罰則に置かれています。
- 最低賃金法の公布日は昭和34年4月15日です。
- 最低賃金法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 最低賃金法第39条の前の条は最低賃金法第38条です。
- 最低賃金法第39条の次の条は最低賃金法第40条です。
- 最低賃金法第39条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第39条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000137 - 本サイト収録
最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第39条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000137/39
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点最低賃金法39条は、監督署等への申告を理由に労働者を解雇その他不利益に取り扱った使用者を、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処すると定める。最低賃金額違反より重い刑種である。
Q · 労基署に最低賃金のことを通報したら仕返しされた。これって犯罪になるんですか?
はい。申告を理由とする報復には拘禁刑もありえます。
最低賃金法39条は、同法34条2項の違反者を六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処します。34条2項が禁じるのは、労働者が都道府県労働局長・労働基準監督署長・労働基準監督官に法違反の事実を申告したことを理由に、解雇、減給、降格、配転、雇止め、シフト削減などの不利益な取扱いをすることです。最低賃金額そのものの違反(40条)は五十万円以下の罰金のみで自由刑がなく、通報者への報復にだけ拘禁刑が用意されています。また42条の両罰規定により、法人だけでなく決裁した個人も処罰の対象になります。
解説
最低賃金法の罰則を並べると、奇妙な逆転が見える。最低賃金を下回る賃金しか払わなかった使用者は50万円以下の罰金(40条)、身柄を拘束する刑はない。ところが、労働基準監督署に申告した労働者を解雇したり、シフトを削ったり、契約更新を拒んだ使用者には、6月以下の拘禁刑がありうる。罰金額は低いのに、自由刑はこちらにだけ付いている。理由は単純で、最低賃金という制度は、行政が全事業場を回って見つけるのではなく、現場の労働者が声を上げて初めて発見されるからだ。あなたが監督署に電話した翌週、上司の口調が変わり、翌月のシフトが半分になったとする。それは人事の裁量ではなく、刑罰の対象になりうる行為だ。しかも労働基準監督官は、この法律違反の罪について司法警察員の職務を行う(33条)。相手は労使交渉の当事者ではなく、刑事事件の被疑者になる。
法的な位置づけ
最低賃金法39条は、同法34条2項の申告者に対する不利益取扱いの禁止に違反した使用者を処罰する罰則規定であり、法定刑を六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金と定める。保護されるのは都道府県労働局長・労働基準監督署長・労働基準監督官に対する申告であり、社内での抗議はこの条文の射程に含まれない。
よくある質問 AI による整理
Q1最低賃金法39条とは何ですか?
最低賃金法違反を監督署等に申告した労働者への報復を処罰する罰則です。34条2項違反に対し、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金が定められています。
Q2最低賃金法違反はどこに通報すればいいですか?
都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官のいずれかです(34条1項)。この三者以外への申立ては、39条の保護の外に置かれます。
Q3最低賃金を払わない会社の罰則はいくらですか?
最低賃金額に満たない賃金しか支払わなかった場合は40条により五十万円以下の罰金で、拘禁刑はありません。自由刑があるのは報復を罰する39条だけです。
Q4有期契約の更新拒否も39条の対象になりますか?
申告を理由とする雇止めであれば、34条2項の「不利益な取扱い」に当たり39条の処罰対象になりえます。並行して労働契約法19条の雇止め法理でも争えます。
Q5最低賃金法39条の時効はいつまでですか?
公訴時効は3年で(刑事訴訟法250条2項)、起算点は不利益取扱いをした時、解雇なら意思表示が到達した時です。民事の差額請求は別の時効で進みます。
Q6店長個人も罰せられるのですか?
42条の両罰規定により、法人と、実際に不利益取扱いを決裁した個人の双方が処罰対象です。「本部の指示だった」は行為者処罰を外す理由になりません。
Q7最低賃金法34条2項とはどんな規定ですか?
使用者が、労働者の申告を理由として解雇その他不利益な取扱いをすることを禁じる規定です。39条はこの違反にだけ刑罰を接続しています。
Q8報復されたら誰に相談すればいいですか?
刑事は労働基準監督官(33条により司法警察員の職務を行う)、民事の地位確認と差額請求は労働審判や弁護士へ、と二軌道で同時に動かすのが実務です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1労基署に相談したら、会社にバレますよね?
34条1項の申告は、申告者が特定されないよう配慮を求める旨を書面に明記でき、監督官が臨検の際に申告に基づく調査だと告げない運用も可能である。ただし従業員5名の店で一人だけ時給が違えば、配慮しても実質的に特定される。実務のポイント:特定されうる規模の職場ほど、申告前の証拠複製が生命線になる。報復が起きてから会社の記録を取りに戻ることはできない
Q2クビじゃなくてシフトを減らされただけでも、罰則の対象なんですか?
34条2項は「解雇その他不利益な取扱い」と書いており、減給、降格、配転、雇止め、シフト削減、嫌がらせも射程に入る。39条の処罰対象はその全部である。実務のポイント:勝負を決めるのは不利益の重さではなく時間的近接性。申告日と処遇変更日が近いほど、使用者側が「申告前から決まっていた」ことを記録で示す負担が重くなる
Q3会社が罰金を払ったら、その分は自分に戻ってくるんですか?
戻らない。罰金は国庫に入る金で、あなたの手元には一円も来ない。未払いの差額は民事で別に請求する(4条2項により、最低賃金額に達しない定めは無効となり、最低賃金額が契約内容とみなされる)。実務のポイント:在職中の遅延損害金は民法404条の法定利率(3年ごとに見直し)だが、退職後は賃金の支払の確保等に関する法律6条により年14.6パーセント。請求のタイミングだけで利息が何倍も変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 報復されるかもしれない、という警戒は多くの人が持っている。だがその報復に刑事罰が付くこと、しかも最低賃金の不払い本体より重い種類の刑(拘禁刑)であることまでは、ほとんど知られていない。知らないまま「言っても無駄」と結論を出した人が、毎年どれだけの差額を諦めているか
- 「会社に残業や賃金のことを言ったら不利益取扱いになるのか」という問いの立て方自体が、この条文とずれている。34条2項が守るのは、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官への申告であって、社内での抗議や上司へのメールではない。社内だけで完結させている限り、あなたはこの条文の傘の外に立っている
- あなたから見れば「申告したせいで切られた」だが、法律から見れば「申告を理由としたこと」の立証が必要な事案である。使用者は必ず別の理由(勤務態度、売上減、人員整理)を用意してくる。この落差を埋めるのは正義感ではなく、申告前の処遇がどう記録されているかという、地味な紙の束だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処罰される行為 | 39条:申告を理由とする解雇その他の不利益取扱い(34条2項違反) | 40条:最低賃金額に満たない賃金の支払(4条1項違反) 42条:両罰規定(法人・使用者本人と行為者個人の双方を処罰) |
| 法定刑 | 六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金(自由刑あり) | 五十万円以下の罰金(自由刑なし) 各本条の罰金刑を法人にも科す |
| 守っている利益 | 監督の端緒となる申告そのもの(制度のヒューズ) | 個々の労働者の賃金額(制度の本体) 組織による違反の実効的抑止 |
| 実務上の争点 | 「申告を理由として」の立証、申告日と処遇変更日の時間的近接性 | 実際の支払額と地域別最低賃金額の差額計算 決裁者の特定と稟議・面談記録の時系列 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も申訴を理由とする解雇・降調・減薪その他の不利益処分を禁じるが、制裁は行政罰である罰鍰が中心で、日本のような自由刑は正面から用意されていない
韓国も監督機関への申告と、申告を理由とする不利益処遇の禁止を定め、違反に懲役刑を含む罰則を接続する。構造は日本と極めて近い
ドイツは報復禁止を民事上の無効・損害賠償で処理し、最低賃金法違反自体は秩序違反金(Bußgeld)で対応する。報復に自由刑を科す日本とは制裁の型が異なる
米国は連邦法で報復を明文の違法行為とし、故意の違反には刑事罰も予定する。日本の申告者保護は、戦後この系譜を受け入れた制度と位置づけられる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 県の最低賃金が10月に上がったのに、あなたの時給は据え置きのまま。監督署に電話した12日後、来月のシフトが18日から4日に減らされた。店長の説明は「客足が落ちたから」。この一言が通るかどうかを決めるのは、申告日と翌月シフト表の作成日の間隔である
- もし、誰が申告したか分からないまま、店長が全員のシフトを一律に削ったとしたら? 申告者を狙い撃ちしていなくても、申告を理由とする不利益取扱いと評価される余地は残る。ただし「誰に対する報復か」の立証は難しく、実務上、解釈が分かれる領域でもある
- 本部から「あいつが垂れ込んだ」と聞かされ、店長のあなたは有期契約を更新しないと決めた。両罰規定(42条)により、被疑者になるのは会社だけでなく、決裁したあなた個人でもある。「上の指示だった」は、行為者処罰を外す理由にならない
- 有期契約の更新期限まであと3週間。申告したのは先月で、上司はまだ何も言ってこない。ここで解雇ではなく更新拒否という形を取られると、主戦場は39条の刑事責任ではなく雇止め法理(労働契約法19条)へ移る。どちらの土俵に立つかは、通告が来る前の準備で決まっている
取るべき行動
被害を受けた側:1. 申告前に給与明細、シフト表、勤務評価、雇用契約書を3か月分複製2. 監督署へは34条1項の申告であると明示し、申告者が特定されないよう配慮を求める旨も書面に残す3. 処遇が変わったら、解雇理由証明書または雇止め理由の書面を請求(労働基準法22条) 4. 報復の事実を監督署へ改めて申告し、刑事は監督官、差額賃金と地位は労働審判、と二軌道で同時に動かす
訴えられた側:1. 申告後の処遇変更は、理由の書面化と時系列の整合がすべて。稟議日、面談記録、業績資料が申告日より前に存在するかを確認2. 申告前から進んでいた人員整理や懲戒手続なら、その証跡を先に固める3. 両罰規定(42条)で法人と決裁した個人の双方が対象、現場管理職に「本部の指示」という逃げ道はない4. 監督官の臨検拒否や虚偽報告は別罰則を招くので、対応は誠実に5. 送検は企業名公表に直結する、差額の自主清算と是正報告を最優先で
時効(請求できる期限):公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項、長期5年未満の拘禁刑に当たる罪)、起算点は不利益取扱いをした時、解雇なら意思表示が到達した時。民事側は別軌道で、差額賃金の請求権は労働基準法115条により当分の間3年(本則5年、最新の改正状況をご確認ください)。解雇の効力を争う労働審判に法定の期限はないが、遅れるほど職場復帰の現実味は落ちる
学説
通説:34条2項違反の成立には「申告をしたことを理由として」という動機の因果関係が必要であり、処遇変更それ自体は禁止されない。使用者の人事権行使の予測可能性を確保するための限定と解される
実務的理解:本条の存在意義は個々の労働者の救済よりも、監督の端緒となる申告経路の維持にある。したがって刑事責任の追及と、差額賃金・地位確認の民事請求とは別軌道で並行して進めるのが実務の定型である
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法の懲役・禁錮統合に伴う整備により、法定刑の「六月以下の懲役」が「六月以下の拘禁刑」へ改められた。罰金額(30万円以下)に変更はない
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:最低賃金法制定。監督機関への申告権と、申告を理由とする不利益取扱いの禁止、およびその罰則が置かれた
- 2.平成19年(2007年) 改正:最低賃金制度の大幅な見直し。最低賃金額違反に対する罰金額が大きく引き上げられ(現行40条=五十万円以下)、条文構成が整理された
- 3.令和4年(2022年)公布・令和7年(2025年6月1日)施行 改正:刑法の懲役・禁錮統合に伴う整備により、法定刑の「六月以下の懲役」が「六月以下の拘禁刑」に改められた。罰金額(三十万円以下)に変更はない
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