国民年金法 第113条の3
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- 法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの(以下この条において「人格のない社団等」という。)を含む。以下この項において同じ。)の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して第百十一条の二又は前条(第五号及び第六号を除く。)の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、各本条の罰金刑を科する。
- 2.人格のない社団等について前項の規定の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民年金法第113条の3は、日本の国民年金法に含まれる条文です。
- 国民年金法第113条の3の条文原文は「法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの(以下この条において「人格のない社団等」という。」で始まります。
- 国民年金法第113条の3は第九章に置かれています。
- 国民年金法の公布日は昭和34年4月16日です。
- 国民年金法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 国民年金法第113条の3の前の条は国民年金法第113条の2です。
- 国民年金法第113条の3の次の条は国民年金法第113条の4です。
- 国民年金法第113条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第113条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141 - 本サイト収録
国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第113条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000141/113_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民年金法113条の3は両罰規定を定め、従業者等が業務に関して111条の2又は113条の2の違反行為をしたとき、行為者のほか法人にも罰金刑を科す。人格のない社団等も対象となる。
Q · 従業員が年金の届出で違反したら、会社まで罰金を払うことになるんですか?
会社にも罰金が科されます。代表者の認識は要件ではありません。
国民年金法113条の3により、法人又は人の代表者、代理人、使用人その他の従業者が、その業務又は財産に関して111条の2(不正受給)又は113条の2(第五号・第六号を除く)の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人にも各本条の罰金刑が科されます。代表者が知らなかったことは免責事由になりません。判例は事業主の選任監督上の過失を推定する構成を採るため、監督を尽くした証拠を法人側が示せなければ責任を免れないのが実務です。
解説
罰金を払うのは誰か。国民年金の届出や報告をめぐって違反が起きたとき、多くの人は「担当者が怒られて終わり」だと考える。113条の3はその常識を壊す。法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者が、その法人の業務または財産に関して111条の2(偽りその他不正の手段による受給)または前条113条の2の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人にも各本条の罰金刑を科す。一つの違反で、刑事責任が二つ動く。さらに効いてくるのが第1項の括弧書きだ。ここでいう法人には、法人格のない社団または財団で代表者もしくは管理人の定めがあるものが含まれる。登記のない業界団体や任意のNPOでも、被告人席に座ることになる。第2項はその手続まで用意し、代表者または管理人が訴訟行為につき団体を代表するほか、法人を被告人とする刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
法的な位置づけ
国民年金法第113条の3は両罰規定であり、法人又は人の代表者、代理人、使用人その他の従業者が、その業務又は財産に関して第111条の2又は第113条の2の違反行為をした場合に、行為者の処罰に加えて、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科すことを定める。法人には代表者又は管理人の定めがある人格のない社団等が含まれ、第2項が刑事訴訟手続の準用を規定する。
よくある質問 AI による整理
Q1両罰規定とは何ですか?
違反行為をした個人を罰するのに加え、その者を使用する法人や事業主にも罰金刑を科す仕組みです。国民年金法では113条の3が定めており、一つの違反で刑事責任が二重に発生します。
Q2国民年金法113条の3で会社にはいくら罰金が科されますか?
法人に科されるのは「各本条の罰金刑」であり、111条の2又は113条の2の各条が定める罰金額の範囲で決まります。法人には拘禁刑を科せないため、罰金刑のみが対象です。
Q3人格のない社団等とは何ですか?
法人登記をしていない社団又は財団のうち、代表者又は管理人の定めがあるものです。会則で会長や事務局長を決めていれば該当し、113条の3第1項の括弧書きで法人と同じ扱いになります。
Q4会社が罰金を免れる方法はありますか?
選任監督上の注意を尽くしたと立証できれば免責の余地があります。社内規程、研修記録、二重チェック体制、過去の是正指示など、違反前から存在した記録が唯一の材料になります。
Q5113条の2の第五号・第六号が除かれているのはなぜですか?
条文が明文で除外しているためです。除外された号の違反は行為者のみが処罰され、法人には罰金刑が及びません。どの号に当たるかで会社のリスクが変わるため、条文の確認が必要です。
Q6法人の罰金前科は残りますか?
残ります。法人に自由刑は科せませんが、罰金刑の記録は法人に帰属し、公共調達の資格審査や許認可の欠格判断で照会対象となります。数年後の入札や M&A の評価にも影響します。
Q7個人事業主も113条の3の対象ですか?
対象です。条文は「その法人又は人」と定めており、法人だけでなく個人事業主も従業者の違反行為について罰金刑を科されます。従業員を雇う時点でリスクが発生します。
Q8両罰規定の公訴時効は何年ですか?
法人に科されるのは罰金刑のみであり、罰金刑にあたる罪の公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項6号)と解されています。起算点は違反行為が終わった時です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1社長が全然知らなかった違反でも、会社が罰金を払うんですか?
原則として科される。113条の3は行為者を罰するほか法人に各本条の罰金刑を科すと定め、代表者の認識を要件にしていない。判例は法人の選任監督上の過失を推定するため、監督を尽くした証拠を出せなければ免責されない。実務のポイント:労働基準法121条には違反防止措置を講じた事業主を免責する明文の但書があるが、国民年金法の両罰規定にこの但書はない。免責は判例法理で争うほかなく、必要な証拠量が最初から違う
Q2うちは登記していない任意の団体なんですが、それでも罰金の対象になりますか?
代表者または管理人の定めがあれば対象になる。113条の3第1項の括弧書きが人格のない社団等を法人に含め、第2項で代表者が訴訟行為につき団体を代表し、法人を被告人とする刑事訴訟に関する法律の規定(刑事訴訟法27条など)が準用される。実務のポイント:この第2項がなければ、法人格のない団体を被告人として起訴する手続が存在しない。手続規定までわざわざ置いたということは、立法者が任意団体の処罰を本気で想定しているという意味だ
Q3担当者と会社、どっちが先に狙われるんですか?
実務では行為者個人の立件が先行し、法人はそれに付随して処罰される。113条の3が「行為者を罰するほか」法人へ罰金刑を科す構造だからだ。なお前条の第五号および第六号の違反は両罰の対象から除かれている。実務のポイント:法人が罰金前科を負うと、公共調達の資格審査や許認可の欠格判断で数年単位の影響が出る。個人の略式罰金で完結させられるなら会社にとって安い、という計算が自主申告のタイミング設計に効いてくる
間違えやすい点 AI による整理
- 法人は刑務所に入れないのだから刑事責任は事実上ないと考えられがちだが、法人に科せないのは自由刑であって、罰金刑は現実に科される。罰金前科は法人に残り、公共調達の資格審査や許認可の審査で照会対象になる
- 両罰規定の存在を知っている人でも、法人側の負担の重さまでは知らない。判例が採ってきたのは、法人に選任監督上の過失を推定する構成である。つまり「監督を尽くした」ことを法人の側が立証できなければ免責されない。知っているかどうかではなく、立証責任が事実上ひっくり返っている点こそがこの条文の重さである
- 「うちは登記していない任意団体だから対象外か」という問いの立て方自体が誤っている。1項の括弧書きが見ているのは登記の有無ではなく、代表者または管理人の定めがあるかどうかだ。会則で会長を決めた瞬間に、条件は満たされている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処罰される主体 | 113条の3:行為者に加えて法人・人(人格のない社団等を含む) | 111条の2:偽りその他不正の手段で給付を受けた行為者本人 113条の2:届出・報告義務等に違反した行為者本人 |
| 科される刑の種類 | 113条の3:法人には各本条の罰金刑のみ(自由刑は科せない) | 111条の2:自由刑又は罰金刑 113条の2:自由刑又は罰金刑 |
| 成立の前提 | 113条の3:業務又は財産に関する違反であること+選任監督上の過失(判例上推定) | 111条の2:不正の手段による受給の実行 113条の2:義務違反の実行(第五号・第六号は両罰の対象外) |
| 防御の焦点 | 113条の3:社内体制・研修記録による監督義務履行の立証 | 111条の2:故意・欺罔行為の有無、詐欺罪との競合 113条の2:義務の存否と違反該当性、除外号への当たり |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾も行為者と法人を併せて処罰する構造を採るが、行政罰法15条は代表者等が防止義務を尽くさなかった場合という要件を明文化しており、免責要件が条文上明確な点で日本と異なる
韓国は2007年の憲法裁判所決定(責任主義違反)を契機に、多数の両罰規定へ「相当の注意と監督を怠らなかった場合は除く」という免責但書を一斉に追加した。日本の国民年金法113条の3に同様の明文はない
中国は「単位犯罪」として法人自体を犯罪主体と認め、単位に罰金、直接責任者に自由刑を科す両罰制を採る。法人を独立の犯罪主体とする点で、事業主の監督過失に還元する日本型と構成が異なる
ドイツは法人の刑事責任を否定し、秩序違反法(OWiG)による過料で処理する。§ 130の監督義務違反が § 30の法人過料の接続点となる構造で、日本の監督過失構成と機能的に近い
フランスは1994年新刑法で法人の刑事責任を一般的に承認し、機関または代表者が法人のために行った犯罪について法人を処罰する。個別法ごとに両罰規定を置く日本と異なり、総則で一般化されている
米国は respondeat superior により、従業員が職務範囲内で法人の利益のために行った犯罪について法人が刑事責任を負う。免責ではなく量刑段階(Sentencing Guidelines の compliance program 評価)でコンプライアンス体制が考慮される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 総務担当のあなたが、年金事務所からの報告要求を二度放置した。三度目に届いたのは督促ではなく調査の通知で、回答期限まであと数日。ここで動かなければ、責任を問われるのはあなた個人だけでなく、あなたに給与を払っている会社そのものになる
- もし、法人登記をしていない業界団体の事務局長が、団体の業務として虚偽の届出をしたらどうなる? 団体に法人格はない。それでも113条の3第1項の括弧書きが「人格のない社団等」を法人と同じ扱いにし、第2項によって代表者が刑事訴訟で団体を代表することになる
- 派遣会社の営業所長が、コスト圧縮のために必要な届出を出さなかった。所長は書類送検、会社は罰金。社長が知らなかったという事実は、法人への科刑を止めない
- M&Aのデューデリジェンスで、買収候補の会社に社会保険関係の罰金前科が見つかった。法人の罰金は記録として残り、入札の資格審査や許認可の欠格判断で照会される。担当者一人の不始末が、数年後の取引価格を削る
取るべき行動
被害を受けた側:1. ねんきんネットまたは年金事務所で被保険者記録を取得し、加入期間の空白を特定する2. 空白期間の勤務実績を給与明細・タイムカード・雇用契約書で裏付ける3. 事業主の届出義務違反として年金事務所に申告する。通常は行政指導が先行し、悪質な場合に113条の2および113条の3による刑事手続へ進む4. 刑事罰が科されても記録は自動回復しない。年金記録の訂正請求を必ず並行して進めること
訴えられた側:1. 行為者個人と法人の利益は一致しない。弁護人を分けるかどうかを最初に判断する2. 法人側は選任監督上の注意を尽くした証拠(社内規程、研修記録、二重チェック体制、過去の是正指示)を時系列で整理する3. 111条の2の不正受給は刑法の詐欺罪と競合しうるため、どちらで立件される見込みかを確認する4. 調査段階での担当者の供述が法人の責任認定に直結する。任意聴取に応じる前に弁護人と方針を固める
時効(請求できる期限):法人に科されるのは罰金刑のみであり、罰金刑にあたる罪の公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項6号)と解されている。起算点は違反行為が終わった時。行為者本人に拘禁刑が定められている場合に法人の時効期間をどう解するかは実務上、解釈が分かれる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
過失推定説(判例・通説):両罰規定の処罰根拠は法人・事業主自身の選任監督上の過失にあり、その過失は法律上推定される。事業主が監督義務を尽くしたことを立証すれば免責されるが、実務上その立証は容易でない。
無過失責任説:両罰規定は取締法規の実効性確保のための政策的責任であり、事業主の過失を問わず責任を負わせる趣旨だとする見解。責任主義との緊張が強く、現在は支持を失っている。
純過失責任説(有力説):推定を認めず、検察官が事業主の選任監督上の過失を積極的に立証すべきだとする見解。責任主義を徹底する立場だが、判例は採用していない。
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