要点国民年金法 16 条の 2 は、財政の均衡を保てないと見込まれる場合に年金たる給付の額を調整する規定で、調整期間の開始年度と終了年度は政令で定める。付加年金は調整の対象外である。
Q · 年金が「増額」と発表された年でも実質は目減りしているって、どういう仕組みですか?
国民年金法 16 条の 2 の調整期間が続いているためです
国民年金法 16 条の 2 は、財政検証で財政均衡期間中の均衡を保てないと見込まれる場合、付加年金を除く年金たる給付の額を調整すると定めます。この調整期間中は、改定率が名目手取り賃金変動率または物価変動率から調整率を差し引いて決まるため(27 条の 4)、名目額が増えても伸びが物価に届かず、実質価値は下がります。調整期間の開始年度も終了年度も政令事項で、国会の議決は要しません。
毎年 1 月下旬、厚生労働省が翌年度の年金額を発表する。増額改定と報じられる年でも、その伸び率は物価の伸びを下回っている。差を削っている装置が本条だ。政府は財政検証(4 条の 3)で、財政均衡期間を通じて収支の均衡を保てないと見込んだとき、年金たる給付の額を「調整するものとし」、その開始年度を政令で定める。国会の再議決は要らない。内閣の政令一本で始まり、平成 17 年度(2005 年度)の開始以来、2 項が用意している終了年度は一度も定められていない。あなたが納めた保険料と、将来受け取る額の関係は、この一条によって静かに切り離されている。付加年金だけが調整の対象外である点も、覚えておく価値がある。
国民年金法 16 条の 2 は、いわゆるマクロ経済スライドの根拠規定である。財政の現況及び見通しにおいて財政均衡期間中の均衡を保てないと見込まれるとき、政府は付加年金を除く年金たる給付の額を調整するものとされ、調整期間の開始年度および終了年度は政令で定められる。調整期間中は終了年度の見通しを作成し公表する義務も課される。
年金の給付水準を、平均余命の伸びと現役世代の減少に合わせて自動的に抑える仕組みです。国民年金法 16 条の 2 が調整の根拠、27 条の 4 が改定率の計算方法を定めています。
政令により平成 17 年度(2005 年度)から開始されました。本条 1 項が開始年度を政令事項としているため、国会の議決ではなく内閣の判断で始まった点が特徴です。
毎年度の改定率は政令で定められます。計算の枠組みは国民年金法 27 条の 4 が規定し、名目手取り賃金変動率または物価変動率から調整率を差し引いて算出されます。
適用されます。本条 1 項の「年金たる給付」には老齢基礎年金だけでなく障害基礎年金・遺族基礎年金も含まれ、除外されているのは付加年金のみです。
少なくとも 5 年ごとに、国民年金事業の財政の現況及び見通しを作成する仕組みです(4 条の 3)。本条の調整を続けるか終えるかの判断材料になります。
支給すべき事由が生じた日から 5 年で時効消滅します(国民年金法 102 条 1 項)。請求が遅れると、5 年より前の分は受け取れなくなる可能性があります。
処分があったことを知った日の翌日から 3 か月以内に、社会保険審査官へ審査請求します。調整率そのものは争いにくい一方、納付記録の漏れや裁定の誤りは覆ることがあります。
所得が一定基準を下回る年金受給者に支給される別枠の給付です。根拠は年金生活者支援給付金の支給に関する法律で、本条の調整による目減りを部分的に緩和する役割を担います。
本条 2 項は、調整の必要がなくなったと認められたときに政令で終了年度を定めると書くだけで、期限そのものは書いていない。平成 17 年度の開始以来、終了年度は定められていない。業界裏話ヒント:3 項が終了年度の見通しの公表を義務付けているため、5 年ごとの財政検証の原資料には調整終了の想定年度が必ず載っている。報道では扱われないが、そこを開けば国自身の想定が読める
改定率は名目手取り賃金変動率または物価変動率から調整率を差し引いて決まる(27 条の 4)。名目額が増えても、伸びが物価に届かなければ買える量は減る。業界裏話ヒント:名目額は下げないという歯止めがあるため、削りきれなかった分は翌年度以降に繰り越される(平成 28 年改正、平成 30 年度から)。物価が上がった年にまとめて効くのは、この繰越しが放出されるからだ
給付水準の設計は立法裁量が広く認められる領域で、憲法 25 条をめぐる堀木訴訟(最大判昭和 57.7.7)以来、裁判所は国会と内閣の判断を尊重してきた。減額改定を争う訴訟は各地で提起されたが、受給者側の主張が通った例は乏しい(最新の判例状況をご確認ください)。業界裏話ヒント:実益が出るのは調整の当否より、自分の納付記録漏れや裁定の誤り。こちらは審査請求で覆ることがある
1 項は調整対象から付加年金を明示的に除いている。月 400 円の付加保険料(87 条の 2)に対し、納付月数 ×200 円が年額に上乗せされ(44 条)、この部分に調整率はかからない。業界裏話ヒント:付加年金は 2 年受け取れば元が取れる設計。ただし定額で物価上昇分の増額もないため、インフレ下では実質価値は落ちる。第 1 号被保険者でこれを使っていない人は今も多い
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 16 条の 2:調整の発動と調整期間(開始・終了年度)の決定 | — |
| 決定の主体 | 政府が調整を判断し、開始年度・終了年度は政令(内閣) | — |
| 対象 | 年金たる給付(付加年金を除く)の額 | — |
| 受給者への効き方 | 調整のオン・オフを決める弁として働く | — |
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