国税徴収法 第9条(強制換価手続の費用の優先)
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納税者の財産につき強制換価手続が行われた場合において、国税の交付要求をしたときは、その国税は、その手続により配当すべき金銭(以下この章において「換価代金」という。)につき、その手続に係る費用に次いで徴収する。
この条文の基本情報
強制換価手続の費用の優先とは何ですか?
定義強制換価手続の費用の優先とは、国税徴収法第9条に定められた規定で、「納税者の財産につき強制換価手続が行われた場合において、国税の交付要求をしたときは、その国税は、その手続により配当すべき金銭(以下この章において「換価代金」という…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第9条(強制換価手続の費用の優先)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第9条の条文原文は「納税者の財産につき強制換価手続が行われた場合において、国税の交付要求をしたときは、その国税は、その手続により配当すべき金銭(以下この章において「換価代金」という…」で始まります。
- 国税徴収法第9条は第一節に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第9条の前の条は国税徴収法第8条です。
- 国税徴収法第9条の次の条は国税徴収法第10条です。
- 国税徴収法第9条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第9条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第9条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/9
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法9条は、強制換価手続で交付要求をした国税は、換価代金につきその手続に係る費用に次いで徴収されると定める。配当の最上段は国税ではなく手続費用である。
Q · 競売や破産の配当で、国税より先に取られるお金があるって本当?
本当。手続にかかった費用が国税より先です
国税徴収法9条により、強制換価手続が行われた場合、交付要求をした国税は換価代金から「その手続に係る費用」に次いで徴収されます。つまり配当順位の最上段は国税ではなく、執行費用など手続を動かすために要した費用です。費用を誰かが負担しなければ配る原資である換価代金自体が生まれないため、共益的な支出が全員に先立ちます。なお交付要求(同法82条)を出していなければ、その手続の配当に国税は参加できません。
解説
国税は他のどんな債権にも先立って徴収される。国税徴収法8条がそう宣言している以上、税務署は配当の場で無敵に見える。ところが9条は、その無敵の国税より前に立つ存在をひとつだけ認めた。強制換価手続そのものにかかった費用である。あなたが取引先の不動産競売に債権者として参加したとする。売却代金からまず執行費用が引かれ、次に国税、その後にようやく担保権者や一般債権者が並ぶ。なぜ費用が国税より先なのか。理由は単純で、誰かがその費用を負担しなければ、換価代金という配る原資そのものが存在しないからだ。全員が受益する共益的な支出は、全員より先に回収される。もうひとつ見落とされやすいのが「交付要求をしたときは」という条件。税務署が交付要求(進行中の他人の手続に対して国税分を配当せよと申し出る手続、国税徴収法82条)を出していなければ、その配当表に国税は登場しない。優先権があることと、実際に金を取れることは別の話である。
法的な位置づけ
国税徴収法9条は、強制換価手続における国税の徴収順位を定める規定である。納税者の財産について強制換価手続が行われ、国税の交付要求がされたときは、その国税は配当すべき金銭である換価代金につき、その手続に係る費用に次いで徴収される。国税優先の原則に対する費用優先の例外を構成する。
よくある質問 AI による整理
Q1強制換価手続とは何ですか?
滞納処分、強制執行、担保権実行としての競売、企業担保権実行手続、破産手続をいいます(国税徴収法2条12号)。財産を強制的に換金し債権者へ配当する手続の総称です。
Q2換価代金とはどのお金を指しますか?
強制換価手続により配当すべき金銭のことです。競売なら売却代金、公売なら公売代金がこれにあたり、9条はこの原資に対する徴収順位を定めています。
Q3国税は本当に一番優先されないのですか?
国税徴収法8条で他の債権に優先しますが、9条により手続に係る費用が国税に先立ちます。したがって配当表の最上段は費用、二段目が国税です。
Q4交付要求はいつまでに出せばよいですか?
9条は「交付要求をしたときは」を条件とします。各手続の配当要求の終期に効力が縛られるため、終期経過後の交付要求はその配当に参加できません。
Q5配当表に国税が載っていないのはなぜですか?
税務署が交付要求を出していない可能性があります。9条は交付要求を前提とするため、未提出なら国税はその配当に参加せず、他の債権者の取り分が増えます。
Q6滞納処分費も9条の費用に入りますか?
直接の滞納処分費については国税徴収法10条が別に優先を定めています。9条は「その手続に係る費用」の優先、10条は滞納処分費の優先という役割分担です。
Q7抵当権と国税ではどちらが先ですか?
国税徴収法15条により、法定納期限等以前に設定された質権・抵当権が国税に優先します。設定登記と法定納期限等の前後が分岐点です。
Q8破産手続でも同じ順位になりますか?
考え方は同じです。手続遂行に必要な費用は財団債権(破産法148条)として破産債権に先立ち随時弁済され、租税も一定範囲で財団債権になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1国税って、何よりも優先されるんじゃないんですか?
原則はそのとおりで、国税徴収法8条は国税が他の公課や債権に先立つと定めます。ただし9条が例外を置き、強制換価手続にかかった費用が国税より先に換価代金から徴収されます。費用を誰かが負担しなければ、配る原資自体が生まれないためです。実務のポイント:優先順位が上でも、代金が費用と先順位担保権で尽きればゼロ配当になります。税務署が交付要求を出したという事実は、回収の保証ではありません。
Q2税務署が交付要求を出していなかったら、国税は取れないんですか?
その手続の配当からは取れません。9条は「交付要求をしたときは」と条件を付けており、交付要求(国税徴収法82条)を出して初めて換価代金の配当に参加できます。出さなければ、その分は他の債権者に回ります。実務のポイント:配当表に国税が載っていない場合、税務署が滞納を把握していないか、参加の時期を逃した可能性があります。債権者にとっては、取り分が増える数少ない場面です。
Q3ここでいう「費用」に、私が払った弁護士費用も入りますか?
原則として入りません。9条の費用は「その手続に係る費用」、つまり執行費用(民事執行法42条)や破産手続を進めるための共益的な支出に限られます。個別の債権回収のために依頼した弁護士費用は自己負担が原則です。実務のポイント:申立債権者が納めた予納金は執行費用として売却代金から優先的に償還されます。全損に見える案件でも予納金部分だけは戻ることがあるので、配当表の費用欄は自分で検算する。
Q4破産のときも同じ順番になるんですか?
発想は同じです。破産手続の遂行に必要な費用は財団債権(破産法148条)として破産債権に先立って随時弁済され、租税も一定の範囲で財団債権になります。9条の考え方が破産法側にも組み込まれている形です。実務のポイント:財団債権が財団を食い尽くす財団不足は珍しくなく、その場合は破産債権への配当がゼロで終わります。配当の見込みは、第1回債権者集会の前に管財人へ率直に尋ねるのが最短です。
間違えやすい点 AI による整理
- 「国税は何よりも優先する」と理解されているが、9条はその原則に正面から例外を置く。強制換価手続にかかった費用は国税に先立って換価代金から徴収される。優先順位の頂点は国税ではなく、手続を動かした費用である
- 国税に優先権があることは知っていても、その優先権が空振りする深刻さは知られていない。優先順位が二番目でも、代金が費用と法定納期限等の先行する担保権で尽きれば、国税ですらゼロ配当で終わる。順位は取り分を保証しない、取り分を計算する起点にすぎない
- 「自分が回収のためにかけたコストは優先的に戻るはずだ」という前提自体が誤っている。9条の費用は「その手続に係る費用」に限られ、執行費用や破産手続の共益的費用は入るが、あなたが個別の債権回収のために依頼した弁護士費用や信用調査費は原則として入らない。問うべきは「自分の出費は戻るか」ではなく「自分の出費が手続費用に該当するか」である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 定める内容 | 国税徴収法9条:手続費用が国税に優先 | 国税徴収法8条:国税が他の債権に優先する原則 国税徴収法10条:直接の滞納処分費の優先 |
| 適用の前提 | 強制換価手続 + 国税の交付要求(82条) | 国税と他の公課・債権が競合する一般的場面 滞納処分により換価がされた場面 |
| 配当上の位置 | 国税より上(費用が先取り) | 国税を担保権・一般債権より上に置く 滞納処分費を国税本税より上に置く |
| 覆される場面 | 費用に該当しない支出(個別の弁護士費用等)は対象外 | 15条により法定納期限等前設定の担保権が国税に優先 対象が直接の滞納処分費に限定される |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も執行費用を売却代金から優先受償させたうえで税捐優先を認める構造で、費用が租税に先立つ点は日本と同じ発想
韓国も国税優先を原則としつつ、強制執行等の費用を先順位に置く。日本の8条・9条の関係とほぼ並行する
ドイツの強制競売法は手続費用を最上位の Rangklasse に置き、公租公課はより後順位。費用最優先という設計思想が共通する
米国連邦倒産法も administrative expenses を租税債権より上位の priority claim とする。共益費用先取りの発想は法系を越えて共通
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先が破産した。あなたの売掛金800万円は破産債権に格下げされる。配当表の上段には手続費用と租税が並び、あなたの取り分は数パーセントまで落ちる
- もし、あなたが自分で申し立てた不動産競売で、落札額が予納金と執行費用でほぼ消えてしまったら? 9条は費用を国税より先に置くと言うが、その費用を実際に立て替えたのはあなたである。申立債権者が納めた予納金は執行費用として売却代金から優先的に償還される(民事執行法42条)ので、諦める前に配当表の費用欄を一円単位で検算する価値がある
- あなたの会社が消費税を滞納し、事業用不動産を差し押さえられた。公売公告まであと10日。公売代金から滞納処分費と国税を引いた残りが手元に戻る計算だが、実際はゼロで終わることが多い。申請による換価の猶予(国税徴収法151条の2)は納期限から6か月以内という期限があり、その窓が閉じているかどうかが最後の分岐点になる(最新の改正状況をご確認ください)
- 銀行の融資担当者として設定した抵当権の登記が4月。ところが債務者の法人税の法定納期限等が同じ年の3月だった。この一か月の差で、国税があなたの抵当権の上に立つ(国税徴収法15条)。しかもその国税のさらに上に、9条の手続費用が座っている。三段重ねで上から金が消えていく
- 友人が「破産手続に参加すれば少しは戻ってくるよね」と相談してきた。あなたは費用、租税、担保権、一般債権という四段の順番をその場で紙に書いて示せる。そして多くの案件で最下段に届く金はほぼ残らないことも、根拠を添えて説明できる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 手続の種類を特定する(強制執行・担保権実行としての競売・破産・滞納処分のどれか、国税徴収法2条)2. 裁判所または破産管財人から配当表や配当計算書を取り寄せ、費用、租税、担保権、一般債権の四段を自分で並べ直す3. 国税の交付要求日と法定納期限等を確認し、あなたの担保権設定登記が法定納期限等より前なら15条であなたが国税の上に立つ4. 順位や金額に誤りがあれば配当期日に出席して配当異議の申出を行う。欠席すれば争えない
訴えられた側:1. 公売や競売が始まった時点で、代金は手続費用と国税で尽き、残余は戻らない前提で資金繰りを組み直す2. 差押え前または早い段階なら納税の猶予(国税通則法46条)、申請による換価の猶予(国税徴収法151条の2、納期限から6か月以内)を検討する3. 滞納処分費は本税とは別に積み上がるため、手続が進むほど総額が膨らむことを前提に交渉時期を決める4. 任意売却で公売より高値を作れる見込みがあるなら、その資料を持って差押解除の協議に入る
時効(請求できる期限):9条自体に固有の期限はない。ただし配当を受けるには交付要求(国税徴収法82条)が必要で、その効力は各手続の配当要求の終期に縛られる。配当額を争う配当異議の申出は配当期日にその場で述べる必要があり、翌日以降は受け付けられない。国税の徴収権自体は法定納期限から5年で時効消滅する(国税通則法72条、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:9条の費用優先は共益費用の性質に基づく。換価代金を生み出すために不可欠な支出は、その代金から利益を受ける全債権者に先立って償還されるべきであり、租税債権の一般的優先権もこの限度で後退する
改正沿革 AI による整理
- 昭和34年(1959年)現行国税徴収法制定 現行法の全面制定に伴い、国税優先の原則(8条)とその例外としての手続費用優先が体系化された。以後の破産法制定など関連手続法の改正に伴う影響の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:現行国税徴収法の全面制定に伴い、国税優先の原則(8条)とその例外としての強制換価手続費用の優先が体系的に規定された
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