国税徴収法 第8条(国税優先の原則)
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国税は、納税者の総財産について、この章に別段の定がある場合を除き、すべての公課その他の債権に先だつて徴収する。
この条文の基本情報
国税優先の原則とは何ですか?
定義国税優先の原則とは、国税徴収法第8条に定められた規定で、「国税は、納税者の総財産について、この章に別段の定がある場合を除き、すべての公課その他の債権に先だつて徴収する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第8条(国税優先の原則)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第8条の条文原文は「国税は、納税者の総財産について、この章に別段の定がある場合を除き、すべての公課その他の債権に先だつて徴収する。」で始まります。
- 国税徴収法第8条は第一節に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第8条の前の条は国税徴収法第4〜7条です。
- 国税徴収法第8条の次の条は国税徴収法第9条です。
- 国税徴収法第8条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第8条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第8条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/8
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法8条は、国税が納税者の総財産についてすべての公課その他の債権に先立って徴収されると定める。ただし法定納期限等以前に設定された抵当権は国税に優先する。
Q · 税金って、銀行の抵当権より本当に先に持っていかれるんですか?
原則は国税が先。ただし法定納期限等より前の抵当権は勝てる
国税徴収法8条は、国税が納税者の総財産についてすべての公課その他の債権に先立って徴収されると定めます。ただし条文自体が「この章に別段の定がある場合を除き」と留保しており、法定納期限等以前に設定された質権・抵当権は国税に優先します(15条、16条)。留置権も優先します(21条)。分かれ目は差押えの先後ではなく、担保の設定・登記日とその国税の法定納期限等のどちらが早いかという一点です。
解説
銀行が一番に抵当権を登記していても、配当の場で税務署に順番を抜かれることがある。国税徴収法8条は、国税は納税者の総財産について、すべての公課その他の債権に先立って徴収すると宣言する。あなたが取引先に売掛金を持っていようが、貸金に担保を付けていようが、原則としてその全部より税金が先に立つ。ただしこの原則には出口がある。同じ第2章に並ぶ別段の定め、とくに15条と16条が、法定納期限等より前に設定された質権や抵当権を国税に優先させる。分かれ目は、担保を取った日と、その税金の法定納期限等のどちらが早いか、それだけである。つまりあなたが確認すべきは登記簿の順位だけではない。相手の税金がいつ納期限を迎えるかという、登記簿に一行も書かれていない事実の方だ。
法的な位置づけ
国税徴収法8条は国税優先の原則を定める規定であり、国税が納税者の総財産について、同法第2章に別段の定めがある場合を除き、すべての公課その他の債権に先立って徴収される旨を規定する。私債権における債権者平等原則に対する一般的優先権の根拠条文であり、9条以下の調整規定によりその効力範囲が相対化される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自分の担保権の設定・登記日を日付単位で確定する 登記事項証明書を取得し、抵当権・根抵当権の設定登記が完了した日を年月日まで確定させる。契約書の日付ではなく登記完了日が判定基準になるため、契約日で安心しないこと
- 2.相手方の滞納国税の税目と法定納期限等を特定する 交付要求書、配当計算書、競売記録の記載から、滞納国税の税目とその法定納期限等を確認する。法人税なら決算期末から2か月後、消費税なら課税期間ごとの申告期限が目安になる
- 3.二つの日付を並べて優先劣後を判定する 登記日が法定納期限等より前なら15条・16条により国税に優先すると主張する。後であれば8条の原則どおり劣後するため、回収計画そのものを組み直す
- 4.配当計算書への不服は期間内に申し出る 配当計算書の記載に誤りや不服がある場合、書面に記載された不服申立期間内に手続を取る。期間経過後は配当が確定し、後から順位を争うことはできない
- 5.自分が滞納側なら督促状の日付から10日を数える 督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないと、法律上は差押えが可能になる(47条1項1号)。この期間内に税務署へ接触し、納付計画または換価の猶予の申請を出す
よくある質問 AI による整理
Q1国税優先の原則とは?
国税が納税者の総財産について、すべての公課その他の債権に先立って徴収されるという原則です。国税徴収法8条が根拠で、同法第2章に別段の定めがある場合は例外となります。
Q2法定納期限等とは?
国税と担保権の優先順位を判定する基準日で、原則として申告期限にあたる日です。この日より前に設定・登記された抵当権は国税に優先し、後のものは劣後します。
Q3国税徴収法8条の「別段の定め」とは何ですか?
同法第2章に置かれた調整規定を指します。強制換価手続の費用(9条)、法定納期限等以前の質権・抵当権(15条、16条)、留置権(21条)などが国税に優先します。
Q4譲渡担保にした財産も税金で差し押さえられる?
納税者本人の財産で不足する場合、譲渡担保財産から国税を徴収できます(24条)。名義が譲渡担保権者に移っていても、それだけでは追及を免れません。
Q5留置権は国税に優先しますか?
優先します。国税徴収法21条により、留置権のある財産を換価したときは、その債権が国税に先立って配当されます。設定時期で判定される抵当権と異なる点です。
Q6社会保険料と国税はどちらが先に取られますか?
国税が先です。健康保険料や厚生年金保険料の先取特権は法律上「国税及び地方税に次ぐ順位」とされているため、8条の優先がその序列の起点になります。
Q7換価の猶予はいつまでに申請できますか?
申請による換価の猶予は、国税の納期限から6か月以内に申請する必要があります(151条の2)。この期間を過ぎると職権による猶予を待つほかありません。
Q8交付要求とは何ですか?
他の機関が既に強制換価手続を進めている財産について、徴収職員が配当を求める手続です。自ら差押えをしなくても、8条の優先順位で配当を受けられます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1銀行の抵当権と税務署の差押え、結局どっちが強いんですか?
抵当権の設定登記が、その国税の法定納期限等より前かどうかで決まります(16条)。前なら抵当権が国税に優先し、後なら8条の原則どおり国税が先です。差押えの早い遅いは関係ありません。実務のポイント:法定納期限等は原則として申告期限であり、法人税なら決算期末から2か月後です。決算期を見ればおおよその分岐点が読めるため、金融機関の担当者は融資審査で相手の決算月を必ず確認しています
Q2会社が倒産したら、うちの未払い給料と税金はどっちが先に払われますか?
破産手続に入ると、順位のルールが破産法に置き換わります。破産手続開始前3か月間の給料は財団債権として扱われ(破産法149条)、租税も納期限からの経過期間により財団債権か優先的破産債権かが分かれます(破産法148条1項3号、98条。最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:会社に配当原資が残っていなくても、未払賃金立替払制度(賃金の支払の確保等に関する法律7条)で退職前6か月分の一定割合が国の機関から支払われます。倒産と聞いて諦める前に、労働基準監督署へ行く順番の方が早い
Q3税金を滞納したら、いきなり口座を差し押さえられるんですか?
いきなりではありません。督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないことが差押えの要件です(47条1項1号)。逆に言えば、その日を過ぎれば法律上はいつでも差押えができる状態になります。実務のポイント:徴収職員が最も嫌うのは連絡が取れない滞納者です。分割納付の相談や換価の猶予の申請は、こちらから出さない限り向こうから案内は来ません。同じ滞納額でも、電話に出る人と出ない人で差押えの時期は明確に変わります
Q4国と市役所の両方に滞納がある場合、税務署と市役所のどちらが先に取るんですか?
国税と地方税のような公租公課どうしでは、8条の原則ではなく差押先着手主義が働き、先に差押えをした側の徴収機関が優先します(12条、地方税法にも同趣旨の規定があります)。私債権との関係とは判断基準がまったく別です。実務のポイント:この構造があるため、複数の役所が同じ財産を狙っているときは、動きの速い自治体が先行することがあります。どの機関から先に交渉するかを決めるとき、差押えの有無と日付を確認するのが実務の出発点です
間違えやすい点 AI による整理
- 税金は何にでも勝つと思われているが、条文自体が「この章に別段の定がある場合を除き」と留保している。法定納期限等以前に設定された質権・抵当権は国税に優先し(15条、16条)、留置権も優先する(21条)。国税は無条件の最強ではなく、時間軸で決まる相対的な優先にすぎない
- 「どっちが先に差し押さえたか」という問いの立て方そのものが誤っている。私債権との関係で効くのは差押えの先後ではなく、法定納期限等と担保設定日の先後である。差押先着手主義(12条)が働くのは、国税と地方税など公租公課どうしが競合する場面に限られる。問いを間違えたまま調べると、答えは永遠に見つからない
- 国税優先は自分が滞納したときの話だと考えられている。だが法律の側から見れば、あなたが債権者として誰かの財産をあてにしている限り、これは常にあなたの取り分に対する減額要因である。取引先の滞納は取引先の問題ではなく、あなたが握っている担保の価値の問題だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 優先順位を決める基準 | 8条:国税が私債権に一般的に優先(原則規定) | 16条:抵当権の設定登記日と法定納期限等の先後 12条:公租公課どうしは差押えの先着手 |
| 適用される場面 | 国税 vs 私債権全般(無担保債権を含む) | 国税 vs 質権・抵当権などの担保物権 国税 vs 地方税など他の公租公課 |
| 債権者が取れる対抗手段 | 原則としてなし(別段の定めに該当するかを探す) | 法定納期限等より前に登記を完了させる 先に差押えを行う |
| 差押えの先後の影響 | 影響しない(順位は法定納期限等で決まる) | 影響しない(登記日で決まる) 決定的(先に差し押さえた側が優先) |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾も租税は普通債権に優先すると定めるが、担保物権との関係は日本の法定納期限等基準ほど細分化されておらず、土地増値税など個別税目の優先規定が別に置かれている
韓国も国税優先を原則としつつ、法定期日前に設定された担保物権を優先させる構造を持ち、日本の法定納期限等基準と発想が近い
税収は無担保債権に優先し、さらに滞納が担保設定より前に生じた場合は担保物権にも優先すると明文化している。時間軸で切り分ける点は日本と同じ発想
ドイツは倒産法改正により租税の一般的優先権を廃止し、租税債権を原則として通常の倒産債権として扱う。優先権を維持するか否かという立法選択そのものが日本と分岐している
フランスは国庫の先取特権として租税優先を維持するが、一定の公示要件と結び付けて第三者への対抗力を制限する構造を取る
米国は連邦税リーエンが法律上当然に成立するが、Notice of Federal Tax Lien の登録前に権利を取得した担保権者等には対抗できない。公示を対抗要件とする点が日本と大きく異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先の預金を仮差押えした翌週、同じ口座に税務署の差押えが入ったらどうなるか。民事執行の手続と滞納処分は別系統で走るため、あなたの差押えが先でも、配当の順位は差押えの先後ではなく国税優先の原則で決まる。先に動いた者が勝つという民事の常識が、ここだけ通用しない
- 取引先の社長から追加融資を頼まれ、工場に抵当権を設定して貸した。半年後に会社が飛び、競売の配当表を見ると、あなたの取り分がゼロだった。理由は、抵当権の登記が消費税の法定納期限等より3週間遅かったこと、それだけである
- あなた自身が消費税を滞納している側で、督促状が届いた。督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないと、法律上は差押えができる状態になる(47条1項1号)。銀行口座を押さえられれば、翌日の給与振込も仕入代金の決済も止まる。動けるのはこの10日間だ
- 在庫を譲渡担保に取って融資している卸売業者。担保に取ったはずの商品が、取引先の滞納国税を理由に追及される場面がある(24条)。名義があなたに移っていても、それだけでは盾にならない
- 相続で father の会社株式と不動産を引き継いだら、被相続人の滞納国税がついてきた。相続人はその財産の限度で納税義務を承継する。抵当権者や他の債権者と自分のどちらが先かを判断できないまま、督促と競売の通知だけが積み上がっていく
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分の担保がいつ設定・登記されたかを登記事項証明書で日付単位まで確定させる2. 相手の滞納国税の税目と法定納期限等を、税務署への交付要求書や配当計算書の記載から確認する3. 自分の登記日が法定納期限等より前なら15条・16条で優先を主張、後なら劣後を前提に回収戦略を組み直す4. 配当計算書に不服があれば、記載された不服申立期間内に動く。期間経過後は配当が確定して覆せない
訴えられた側:1. 督促状の日付を確認、そこから10日経過で差押えが可能になる(47条1項1号)ため、この間に税務署へ接触する2. 一時に納付できない事情があるなら、納期限から6か月以内に申請による換価の猶予(151条の2)を出す。役所は待っていても勧めてこない3. 差押えを受けた場合、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に審査請求ができる(国税通則法77条) 4. 事業を続ける前提なら、どの財産を残すかを先に決めて交渉する
時効(請求できる期限):国税の徴収権の消滅時効は法定納期限の翌日から5年(国税通則法72条、偽りその他不正の行為があれば7年)。ただし督促・差押え・交付要求で時効は更新されるため、事実上ほぼ止まらないと考えた方がよい。差押え等の処分に対する不服申立ては、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(国税通則法77条)。換価の猶予の申請は納期限から6か月以内(国税徴収法151条の2)
学説
一般的な理解(通説):国税優先の根拠は、国が取引相手を選べず担保も通常取得できないという租税債権の特殊性と、その公益性・自力執行力に求められる。他方で公示されない租税債権が担保金融を覆すことを避けるため、法定納期限等を基準とする時間的調整が第2章に組み込まれていると説明される
改正沿革 AI による整理
- 昭和34年(1959年) 現行国税徴収法の全部改正により、国税優先の原則が本条として整理された。旧法下の絶対的優先から、第2章の別段の定めによる担保権との調整を組み込んだ構造へ移行している。個別改正の有無と内容は要人的検証
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 改正:現行国税徴収法の全部改正により、国税優先の原則が本条として整理された。旧法下の広範な優先から、第2章の別段の定めによる担保権との調整を組み込んだ構造へ移行している。個別改正の有無と内容は要検証
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