受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 8 分8 分8 分

国税徴収法 第12条(差押先着手による国税の優先)

クイックジャンプ
  1. 納税者の財産につき国税の滞納処分による差押をした場合において、他の国税又は地方税の交付要求があつたときは、その差押に係る国税は、その換価代金につき、その交付要求に係る他の国税又は地方税に先だつて徴収する。
  2. 2.納税者の財産につき国税又は地方税の滞納処分による差押があつた場合において、国税の交付要求をしたときは、その交付要求に係る国税は、その換価代金につき、その差押に係る国税又は地方税(第九条(強制換価手続の費用の優先)の規定の適用を受ける費用を除く。)に次いで徴収する。

この条文の基本情報

差押先着手による国税の優先とは何ですか?

定義差押先着手による国税の優先とは、国税徴収法第12条に定められた規定で、「納税者の財産につき国税の滞納処分による差押をした場合において、他の国税又は地方税の交付要求があつたときは、その差押に係る国税は、その換価代金につき、その交付要求…」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 国税徴収法第12条(差押先着手による国税の優先)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
  2. 国税徴収法第12条の条文原文は「納税者の財産につき国税の滞納処分による差押をした場合において、他の国税又は地方税の交付要求があつたときは、その差押に係る国税は、その換価代金につき、その交付要求…」で始まります。
  3. 国税徴収法第12条は第二節に置かれています。
  4. 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
  5. 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 国税徴収法第12条の前の条は国税徴収法第11条です。
  7. 国税徴収法第12条の次の条は国税徴収法第13条です。
  8. 国税徴収法第12条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第12条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147
  • 本サイト収録国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第12条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/12

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点国税徴収法12条は、国税と地方税の優先順位を差押先着手主義で定める。先に差押えをした税が換価代金から優先して徴収され、後から交付要求した税は残余から徴収される。

Q · 税務署と市役所が同じ財産を狙ってきたら、どっちが先に取っていくの?

税の種類ではなく、先に差し押さえた側が先に取ります

国税徴収法12条は、国税と地方税の優先順位を差押先着手主義で決めます。先に滞納処分の差押えをした税は、その換価代金から交付要求に係る他の国税・地方税に先立って徴収され(1項)、逆に後から交付要求した国税は、先行する差押えに係る国税・地方税に次いで徴収されます(2項)。8条の国税優先の原則は私債権に対する原則であり、税同士では国であることに特権はありません。ただし担保を徴した国税は13条により先着手を破ります。

解説

税金には序列がある、と多くの人は信じている。国税が一番強く、地方税はその次だ、と。国税徴収法8条(国税優先の原則)だけを読むと、確かにそう見える。だが12条はその理解をひっくり返す。国税と地方税の間で強さを決めるのは、税の種類ではない。誰が先にその財産を差し押さえたか、それだけである。市役所があなたの預金を先に差し押さえていれば、後から交付要求してきた税務署は、市の取り分が終わった後の残りしか取れない(2項)。逆に税務署が先着手していれば、市は後回しになる(1項)。ここで注意すべきは、この早い者勝ちルールが効く相手が、あくまで他の国税と地方税に限られるという点だ。抵当権を持つ銀行や取引先といった私債権者との優劣は、15条・16条の「法定納期限等」という全く別の物差しで決まる。二つの物差しを混同したまま配当計算書を眺めても、なぜその順番なのかは永遠に分からない。

法的な位置づけ

国税徴収法12条は、国税と地方税が同一財産の換価代金をめぐって競合する場合の順位規定であり、差押先着手主義を採用する。滞納処分による差押えを先に行った税が交付要求に係る税に優先し、後発の交付要求は先行差押えに係る税に次いで徴収される。強制換価手続の費用(9条)は本条の適用対象から除かれる。

よくある質問 AI による整理

Q1差押先着手主義とは何ですか?

国税と地方税が競合したとき、先に滞納処分の差押えをした税を優先させる考え方です。国税徴収法12条が根拠で、税の種類や国か地方かは関係ありません。

Q2国税と地方税はどっちが優先ですか?

種類では決まりません。12条により先に差し押さえた側が優先します。8条の国税優先は私債権に対する原則で、税同士の順位には働きません。

Q3交付要求と参加差押の違いは何ですか?

交付要求(82条)は配当を求めるだけで、先行差押えが解除されると効力を失います。参加差押(86条)は先行差押え解除後も差押えの効力を引き継ぎます(87条)。

Q4同じ預金に二重に差押えできますか?

同一財産に重ねて滞納処分の差押えはできません。後から来た庁は交付要求または参加差押の形を取り、配当段階で12条の順位に従います。

Q5先着手はいつの時点で決まりますか?

差押えの効力発生時点で判定されます。債権差押えなら差押通知書が第三債務者に送達された時、不動産なら差押登記の時点が基準になります。

Q6担保を出した国税は順位が変わりますか?

変わります。担保を徴した国税は13条により他の国税・地方税に優先して徴収され、12条の先着手主義を破ります。納税の猶予での担保提供が典型です。

Q7抵当権と税金はどっちが強いですか?

12条は関係しません。私債権と税の優劣は15条・16条の法定納期限等と抵当権設定日の先後で決まる別ルールです。二つの物差しを混同しないことが重要です。

Q8配当計算書の順位に納得できないときは?

各庁の差押日・交付要求日を時系列化し、税同士は12条、税対私債権は15条・16条で分けて検証します。不服があれば所定の期間内に審査請求を行います。

この条文についての質問 AI による整理

Q1国税と市県民税、結局どっちが強いんですか?

種類では決まりません。国税徴収法12条により、先に差押えをした側が換価代金から先に取り、後から交付要求した側は残額から取ります。8条の国税優先は私債権に対する原則で、税同士には働きません。実務のポイント:だからこそ自治体の徴収担当は国税より早く動く動機を持っています。滞納の相談に行くとき、すでに先着手を取っている庁と、取り損ねた庁とでは対応の温度が明確に違います。

Q2同じ預金に税務署と市役所が両方差押えってできるんですか?

同一財産に重ねて滞納処分の差押えをすることはできません。後から来た庁は交付要求(82条)または参加差押(86条)という形を取り、換価代金の配当段階で12条の順位に従って分配を受けます。実務のポイント:後発庁が交付要求ではなく参加差押を選んできたら、それは長期戦の構えです。先行差押えが解除されても効力が残る設計(87条)なので、こちらの財産を手放す気がないという意思表示だと読めます。

Q3先に差し押さえられたら、もう他の役所は何も取れないんですか?

そうではありません。先着手した税が換価代金から満額を取った後、残余があれば後順位の交付要求庁に回ります(12条2項)。あくまで順番の問題で、権利が消えるわけではありません。実務のポイント:残余が出ない見込みだと分かった時点で、後順位の庁は他の財産を探しに動きます。一つの差押えで安心していると、数か月後に別口座や売掛金へ手が伸びてくるのが実際のパターンです。

Q4担保を出していれば、先着手のルールより有利になりますか?

なります。担保を徴した国税は、13条により他の国税・地方税に先立って徴収され、12条の先着手を破ります。納税の猶予などで担保を提供した場面が典型です。実務のポイント:担保提供の要請は単なる手続ではなく、その庁が配当順位を確保しにきた動きでもあります。応じるかどうかを検討するときは、猶予が得られる利益と、他の財産の処分余地が狭まる不利益を並べて考えるべきです。

間違えやすい点 AI による整理

  • 「国税優先だから税務署が最後は全部持っていく」と理解されがちだが、8条の国税優先が働くのは私債権に対してであって、他の国税や地方税との間では12条の先着手が優先順位を決める。国であることに、他の課税団体に対する特権はない
  • 「どっちの税金を先に払えば差押えを止められるのか」という問いの立て方そのものが的を外している。12条は徴収機関同士で換価代金をどう分けるかのルールであり、あなたが負う滞納総額は1円も変わらない。本当に問うべきは、どの庁が換価の猶予や差押解除に応じる余地を持っているかである
  • 同一の財産に二重の差押えができないことまでは知っている人も、後から来る庁が単なる交付要求(82条)を出すか参加差押(86条)を出すかで結果が大きく変わることは知らない。先行差押えが解除された場合、交付要求は効力を失うが、参加差押は差押えの効力を引き継ぐ(87条)。同じ「後発」でも、生き残る強さが違う
  • 先着手が絶対だと思うと足をすくわれる。担保を徴した国税は12条の先着手を破って優先的に徴収される(13条)。担保提供を求められたとき、それが単なる形式手続ではなく順位を買う行為だと理解している納税者は少ない
比較の観点この条文ほかの条文
適用される相手12条:国税 対 他の国税・地方税8条:国税 対 私債権(一般債権)
13条:担保を徴した国税 対 他の国税・地方税
順位を決める物差し差押えの先着手(差押えの効力発生時点)国税優先の原則(税であること自体)
担保の存在(先着手を破る)
後発側の地位交付要求に係る税は先行差押えに係る税に次いで徴収(2項)私債権は原則として国税に劣後
担保を徴した国税が先着手より前に出る
除外される費用9条の強制換価手続費用は本条の適用外(2項括弧書)9条・10条の費用は国税に優先
同様に費用が最優先

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
税捐稽徵法第6条、行政執行法第26条(準用強制執行法)

台湾は税捐の一般優先を定めるが、税捐相互間の順位は行政執行の参与分配ルールに委ねられ、日本のような明文の先着手条項は置かれていない

韓国
국세기본법 제36조

韓国も押収(差押)を先に行った税の優先を明文化しており、日本の12条と構造が近い

ドイツ
Abgabenordnung §§ 249 ff.、ZPO § 804(Prioritätsprinzip)

ドイツは執行一般に優先主義(Prioritätsprinzip)を採り、差押えの先後で順位が決まる点は共通するが、租税債権に一般的優先権を認めない点で日本と異なる

アメリカ
26 U.S.C. § 6323(Federal Tax Lien)

米国連邦税は Notice of Federal Tax Lien の提出時期を基準とする first in time, first in right の原則で他の担保権・州税との順位を決める

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 同じ日に、税務署と市役所の両方があなたの預金口座に差押えをかけてきたら、どちらが先になるのか? 答えは差押通知書が金融機関に到達した時点で決まる。日付ではなく時刻の勝負になる場面が実際にあり、銀行の受付記録が唯一の証拠になる
  • あなたが会社の経理担当で、同じ従業員について税務署と市役所の両方から給与の差押通知を受け取った。第三債務者であるあなたは、誰にいくら払えばいいのか判断を迫られる。順位を誤って先に届いた方を無視すると、会社が二重払いのリスクを負う。取立てに応じる前に、両方の通知の到達日時を必ず記録すること
  • 競売の配当計算書が届いた。税が二つ並んでいる。なぜその順番なのか、担当者に聞いても「先着手ですので」としか返ってこない
  • 資金繰りが詰まり、消費税と法人住民税を同時に滞納した。売掛金に税務署の差押えが入り、その一週間後に市役所が参加差押えをしてきた。公売の期日まであと三週間。この間に換価の猶予(国税徴収法151条の2)を申し出るなら、どちらの庁に持ち込むかで結果が変わる。後順位で配当が薄い庁ほど、個別の分納協議に応じる余地が残っている
  • 取引先に貸付金があり、その不動産に抵当権を設定していたあなた。登記簿を取ると「差押 ○○税務署」「参加差押 ○○市」の二本が並んでいた。税同士の順位は先着手で決まるが、あなたの抵当権が税に勝てるかどうかは、抵当権設定日と法定納期限等のどちらが先かという別ルールで決まる

取るべき行動

被害を受けた側:配当を待つ債権者の立場なら、1. 各庁の差押日・交付要求日・参加差押日を時系列で一覧化する2. 税同士は12条の先着手、あなたの担保権と税の優劣は15条・16条の法定納期限等基準で別々に判定する3. 交付要求は換価代金の交付期日までに行われたものだけが配当対象になるため、期日後の要求が混じっていないか確認4. 配当計算書に疑義があれば、記載された不服申立期間内に審査請求を出す。計算書が確定してからでは覆せない。

訴えられた側:差押えを受けた納税者側なら、1. どの庁が先着手を取ったかを差押調書と登記で確定させる2. 換価猶予・分割納付の交渉は、配当が薄くなる後順位庁の方が現実的な着地点を持つことが多い3. 担保提供を求められた場合、13条により担保を徴した国税が先着手を破ることを踏まえて条件を検討する4. 差押えの範囲が滞納額に対して過大なら超過差押えの禁止(48条)を根拠に一部解除を求める。公売公告後は動かせる幅が急激に狭まるため、期日前に動く。

時効(請求できる期限):本条自体に期限の定めはない。ただし交付要求は換価代金の交付期日までに行われなければ配当を受けられない(国税徴収法82条以下、131条)。差押処分や配当に不服がある場合は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に再調査の請求または審査請求(国税通則法77条)。国税の徴収権は法定納期限の翌日から5年で時効消滅するが、差押えにより時効は更新される(同72条、73条。最新の改正状況をご確認ください)。

学説

通説:国税と地方税はいずれも公租であり実質的な優劣の根拠に乏しいため、12条は形式的基準である差押えの先後で順位を決した。徴収機関の執行努力を報いる政策的規定と理解され、担保国税の優先(13条)が例外として位置づけられる。

実務解釈(国税徴収法基本通達):先着手の判定は差押えの効力発生時を基準とし、債権差押えは差押通知書の第三債務者への送達時、不動産は差押登記時とされる。参加差押は交付要求の一形態でありながら、先行差押え解除時に差押えの効力を引き継ぐ点で単純な交付要求と区別される。

改正沿革 AI による整理

改正の年表

  1. 1.昭和34年(1959年) 新設:国税徴収法の全面改正により、国税と地方税の相互間の優先順位を差押先着手主義で明文化。旧法下で不明確だった課税団体間の配当順位を統一的に規律した

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

国税徴収法の全文を見る所属する編章節を開く:第二節

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›