国税徴収法 第13条(交付要求先着手による国税の優先)
クイックジャンプ
納税者の財産につき強制換価手続(破産手続を除く。)が行われた場合において、国税及び地方税の交付要求があつたときは、その換価代金につき、先にされた交付要求に係る国税は、後にされた交付要求に係る国税又は地方税に先だつて徴収し、後にされた交付要求に係る国税は、先にされた交付要求に係る国税又は地方税に次いで徴収する。
この条文の基本情報
交付要求先着手による国税の優先とは何ですか?
定義交付要求先着手による国税の優先とは、国税徴収法第13条に定められた規定で、「納税者の財産につき強制換価手続(破産手続を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第13条(交付要求先着手による国税の優先)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第13条の条文原文は「納税者の財産につき強制換価手続(破産手続を除く。」で始まります。
- 国税徴収法第13条は第二節に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第13条の前の条は国税徴収法第12条です。
- 国税徴収法第13条の次の条は国税徴収法第14条です。
- 国税徴収法第13条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第13条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第13条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/13
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法13条は、強制換価手続(破産手続を除く)で国税と地方税の交付要求が競合したとき、先にされた交付要求に係る国税が優先すると定める。順位は交付要求の到達順で決まる。
Q · 税務署と市役所が同時に交付要求してきたら、どっちが先に取るんですか?
交付要求書が先に執行機関へ届いた方が先に取ります
国税徴収法13条により、強制換価手続(破産手続を除く)で国税と地方税の交付要求が競合した場合、先にされた交付要求に係る国税が後の交付要求に係る国税・地方税に優先して徴収されます。判断基準は滞納の発生時期でも法定納期限でもなく、交付要求書が執行機関に到達した先後です。ただしこの先着順は第三階層で、担保を徴した国税(14条)と差押先着手による優先(12条)が上位にあります。破産手続では本条は適用されず、破産法の分配秩序に従います。
解説
税務署と市役所が同じ一つの財産をめぐって競り合う場面がある。あなたの不動産が競売にかけられ、売却代金が配当される。そこへ税務署が消費税と源泉所得税で、県税事務所が法人事業税で、市役所が固定資産税で、それぞれ交付要求を出す。代金は全部を賄うには足りない。誰が先に取るか。国税徴収法13条の答えは身も蓋もない、交付要求書が先に届いた方だ。国税同士でも、国税と地方税の間でも、順位は到達の先後だけで決まる。ただしこのルールには階層がある。担保を提供させた国税(14条)が最優先、次に自ら差押えをした国税(12条)、交付要求しかしていない者同士が最後に13条で先着順に並ぶ。そして強制換価手続のうち破産手続だけが、この競走から外されている。あなたが本当に知るべきは、この順位が「どの税が払い残されるか」を決めているという点だ。残った税は延滞税を積み上げながら、次の差押えの根拠として、あなたを追いかけ続ける。
法的な位置づけ
国税徴収法13条は交付要求先着手主義を定める規定であり、納税者の財産につき強制換価手続(破産手続を除く)が行われ、国税と地方税の交付要求が競合した場合の徴収順位を、交付要求が執行機関に到達した先後によって決定する。担保を徴した国税の優先(14条)および差押先着手による優先(12条)に劣後する第三順位の規律として機能する。
手順
- 1.交付要求の有無と到達日を執行機関に照会する 競売開始決定や滞納処分の通知を受けたら、執行機関(裁判所書記官または差押えをした徴収機関)に対し、どの機関から交付要求が出ているか、それぞれの到達日時はいつかを照会する。13条の順位はこの到達日時だけで決まるため、事実確認が出発点となる
- 2.自分の担保権設定日と法定納期限等を突き合わせる 抵当権者・質権者の立場であれば、担保権の設定日が租税の法定納期限等より前かを確認する。前であれば租税に優先でき(15条、16条)、後であれば租税が先に配当を受け、その租税同士が13条で先着順に並ぶ
- 3.配当期日前に配当表を閲覧し順位を自分で検算する 配当表は配当期日の前に執行裁判所で閲覧できる。交付要求の先後の認定、法定納期限等の認定、12条・14条の上位順位の適用が正しいかを一つずつ検算する。誤りは配当期日を過ぎると争えない
- 4.配当期日に出席して配当異議を申し出る 順位や金額に誤りがあると判断したら、配当期日に必ず出席し、その場で配当異議を申し出る(民事執行法89条)。欠席・無申出はその瞬間の失権を意味し、後から順位を争う道は事実上閉ざされる
- 5.1週間以内に配当異議の訴えを提起する 配当異議の申出をした日から1週間以内に、配当異議の訴えを提起し、提起の事実を執行裁判所に証明する(民事執行法90条)。期間を徒過すると申出は取り下げたものとみなされ、配当表どおりに実施される
よくある質問 AI による整理
Q1交付要求とは何ですか?
他の機関が始めた強制換価手続に対し、徴収機関が滞納税額の交付を求める手続です(国税徴収法82条)。自ら差押えをせずに換価代金の配当に加わる方法で、13条の順位はこの書類の到達順で決まります。
Q2交付要求はいつまでにできますか?
換価代金の交付を受けられる段階までに執行機関へ到達している必要があります。配当手続が進むほど不利になり、到達が遅れれば同じ滞納額でも13条により後順位に落ちます。
Q3交付要求されたら何が起きますか?
その財産の換価代金から、交付要求をした税が順位に従って配当されます。滞納者に通知され、配当で消えなかった税額はそのまま残り、延滞税を積みながら次の滞納処分の対象となります。
Q4交付要求を取り消してもらえますか?
納付や換価の猶予、滞納処分の停止などで前提が消えれば解除されます。分割納付の合意だけで自動的に解除されるわけではなく、交付要求を出している機関ごとに個別の手続が必要です。
Q5国税と地方税、どちらが優先されますか?
税目の種類では決まりません。13条は国税相互間でも国税と地方税の間でも、交付要求の到達の先後だけで順位を決めます。地方税法14条の6が地方税側の鏡像規定です。
Q6競売の配当で税金は全部持っていかれますか?
常にではありません。法定納期限等より前に設定された抵当権は租税に優先します(15条、16条)。設定が後であれば租税が先に取り、その租税同士が13条で先着順に分け合います。
Q7配当表の順位が間違っていたらどうする?
配当期日に出席して配当異議を申し出る必要があります(民事執行法89条)。欠席や無申出はその場で失権を意味し、申出後1週間以内に配当異議の訴えの提起が必要です(同90条)。
Q8滞納が残ったらその後どうなりますか?
配当で消えなかった税額は納税義務として存続し、延滞税が加算され続けます。別の財産への差押えの根拠になり、国税の徴収権の消滅時効は原則として法定納期限から5年です(国税通則法72条)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1税務署と市役所のどっちが先に取るかなんて、滞納してる側には関係なくないですか?
大いに関係する。換価代金で消えるのは先着の税だけで、残った税はそのまま延滞税を積みながらあなたを追い、次の差押えの根拠になる。実務のポイント:国税には申請による換価の猶予(徴収法151条の2、納期限から6か月以内)という明文の制度があり、地方税は自治体ごとに運用の幅が違う。どちらが残るかで、その後の交渉の難易度が変わる
Q2先に差押えした役所が勝つんじゃないんですか?
その通りで、だからこそ13条は三階層の一番下にある。担保を徴した国税が最優先(14条)、次に自ら差押えをした国税(12条)、交付要求しかしていない税同士が最後に13条で先着順に並ぶ。実務のポイント:既に他機関が差押えている財産には重ねて差押えできないため、税務署は参加差押え(86条)を使う。これは交付要求としての効力を持つが、先行の差押えが解除されれば差押えに昇格する(87条)
Q3破産手続だけ除かれてるのは、どうしてですか?
破産では租税債権が財団債権または破産債権として破産法の分配ルールに服するからだ(破産法148条1項3号ほか)。財団が足りなければ財団債権は按分弁済となり(同152条)、先に手を挙げた税が総取りする構造にならない。実務のポイント:この違いは申立てをするかどうかの実務判断に直結する。代表者が第二次納税義務や連帯保証を負っている場合、残る税目が手続選択で変わるため、申立て前に税目別の残存見込みを試算する
間違えやすい点 AI による整理
- 「先に滞納した税、古い税が先に取る」と考える人が多いが、問いの立て方そのものが違う。13条が見ているのは滞納の発生時期でも法定納期限でもなく、交付要求書が執行機関に到達した順序だけである。10年前の滞納でも、交付要求が後なら後ろに並ぶ
- あなたから見れば税金はひと括りの「税金」だが、法律から見れば税務署の国税、県税事務所の地方税、市役所の地方税は、互いに取り分を奪い合う別々の債権者である。この落差があなたを潰す。一か所と話がついても、残る二か所は独立に交付要求を出し、猶予の申請も各庁に別々に必要になる
- 13条が先着順だと知っている人でも、その上に二階層あることまでは知らないことが多い。担保を徴した国税(14条)が最優先、次に自ら差押えをした国税(12条)、13条はその下の第三階層にすぎない。交付要求しかしていない税は、上位二層に食われて配当に届かないことがある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 順位を決める基準 | 13条:交付要求が執行機関に到達した先後 | 12条:差押えをした先後(差押先着手) 14条:担保を徴した国税であること |
| 徴収機関に必要な行為 | 交付要求書の交付(82条)のみ | 自ら差押えを執行していること 納税の猶予等に際し担保を徴していること |
| 三階層における位置 | 第三順位(最下層) | 第二順位(13条に優先) 第一順位(最優先) |
| 適用が外れる場面 | 破産手続(条文で明文除外、破産法の分配に移行) | 差押えが解除された場合は優先が失われる 担保が消滅すれば優先が失われる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は租税が普通債権に優先する点は共通するが、租税相互間を交付要求の到達順で並べる明文の先着手主義は置かず、参加分配の一般ルールに委ねている
韓国は国税優先を35条で定めたうえ、36条で押収(差押え)の先後による優先を規律する。日本の12条に対応する構造が中心で、交付要求単独の先着手規定の位置づけが異なる
ドイツは租税に一般的優先権を与えず、差押質権の成立時期による時間的順位で処理する。倒産手続でも租税の一般的優先権は廃止されている
米国は連邦税リエンについて first in time, first in right の原則を採り、リエンの成立・公示の時期で順位が決まる。届出書類の到達順ではなく担保権的な公示時期が基準となる点が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたの会社の工場が競売にかけられ、開札まであと10日だとしたら? 税務署は消費税で、県税事務所は法人事業税で、市役所は固定資産税で、それぞれ交付要求を出してくる。あなたが分割納付を約束した相手が誰であっても、他の役所の交付要求は止まらない。何が消えて何が残るかは、あなたの意思と無関係に、書類の到達順で決まっている
- 取引先に貸した500万円を回収するため、あなたは相手の不動産を強制競売にかけた。配当期日に配られたのは税務署と市役所で、あなたにはゼロ円。国税優先の原則(8条)で税が先に持っていき、その税同士が13条で先着順に分け合ったからだ
- あなたは会社の代表者で、法人の滞納が膨らんでいる。破産を申し立てるか、放置して競売に任せるかで迷っている。見落とされがちなのが、強制換価手続のうち破産手続だけが13条の先着手ルールから外れているという一点。破産なら財団債権として按分、競売なら先着順。どちらを選ぶかで、あなたが連帯保証や第二次納税義務で個人的に追われる税目が変わる
- あなたが融資の担保に取った抵当権が、法定納期限等より前に設定されていれば税に勝てる(15条、16条)。後に設定していたなら税が先で、その税が国税か地方税か、交付要求の先後がどうかまで配当表に効いてくる。しかも配当表の順位に誤りがあっても、配当期日に出席して異議を述べなければ、その瞬間に失権する
取るべき行動
被害を受けた側:1. 競売や滞納処分が始まったら、執行機関(裁判所書記官または差押えをした税務署)に交付要求の有無と到達日を照会する2. 自分の担保権の設定日が法定納期限等より前かを確認、前なら税に優先できる(15条、16条) 3. 配当表は配当期日前に閲覧できる、必ず事前に取り寄せて先着順の認定を検算する4. 誤りがあれば配当期日に出席して配当異議を申し出る、欠席は失権を意味する5. 申出後1週間以内に配当異議の訴えを提起する(民事執行法90条)
訴えられた側:1. 交付要求を出している役所を全部洗い出す、税務署・県税事務所・市役所は別々に動いている2. 一か所と分割納付の話がついても他は止まらない、換価の猶予は各庁に個別申請が必要(国税徴収法151条の2) 3. 換価代金で消える税と残る税を先に試算し、残る側の窓口と先に交渉する4. 破産を選べば先着順は働かなくなる、連帯保証や第二次納税義務を負っているなら手続選択そのものを弁護士・税理士と詰める
時効(請求できる期限):13条自体に期限の定めはなく、順位を確定させるのは交付要求書が執行機関に到達した日時である。反撃側の期限は配当期日当日の配当異議の申出(民事執行法89条)と、その後1週間以内の配当異議の訴え(同90条)。滞納者側の申請による換価の猶予は納期限から6か月以内(国税徴収法151条の2)。国税の徴収権自体の消滅時効は法定納期限から5年(国税通則法72条)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:13条の先着手主義は、租税相互間の優先関係を交付要求の到達という外形的事実に一元化し、執行機関が税目ごとの実体的優劣を審査せずに配当を実施できるようにした技術的規律であると解される。12条・14条に劣後する三層構造の最下層に位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 改正:国税徴収法の全部改正により現行法が成立し、租税相互間の優先関係が差押先着手(12条)と交付要求先着手(13条)として整理された。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める