国税徴収法 第82条(交付要求の手続)
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- 滞納者の財産につき強制換価手続が行われた場合には、税務署長は、執行機関(破産法(平成十六年法律第七十五号)第百十四条第一号(租税等の請求権の届出)に掲げる請求権に係る国税の交付要求を行う場合には、その交付要求に係る破産事件を取り扱う裁判所。第八十四条第二項(交付要求の解除)において同じ。)に対し、滞納に係る国税につき、交付要求書により交付要求をしなければならない。
- 2.税務署長は、交付要求をしたときは、その旨を滞納者に通知しなければならない。
- 3.第五十五条(質権者等に対する差押の通知)の規定は、交付要求をした場合について準用する。
この条文の基本情報
交付要求の手続とは何ですか?
定義交付要求の手続とは、国税徴収法第82条に定められた規定で、「滞納者の財産につき強制換価手続が行われた場合には、税務署長は、執行機関(破産法(平成十六年法律第七十五号)第百十四条第一号(租税等の請求権の届出)に掲げる請求権…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第82条(交付要求の手続)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第82条の条文原文は「滞納者の財産につき強制換価手続が行われた場合には、税務署長は、執行機関(破産法(平成十六年法律第七十五号)第百十四条第一号(租税等の請求権の届出)に掲げる請求権…」で始まります。
- 国税徴収法第82条は第二節に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第82条の前の条は国税徴収法第81条です。
- 国税徴収法第82条の次の条は国税徴収法第83条です。
- 国税徴収法第82条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第82条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第82条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/82
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法82条は、滞納者の財産に強制換価手続が行われたとき、税務署長が執行機関に交付要求書で交付要求をしなければならないと定める。差押えと異なり、配当のみを受ける手続である。
Q · 税務署の「交付要求」って、結局こっちの取り分はどうなるんですか?
税務署が他人の競売や破産手続に割り込み、配当を受ける義務的な手続です
国税徴収法82条1項により、滞納者の財産に強制執行、担保権実行としての競売、破産手続などの強制換価手続が行われた場合、税務署長は執行機関に対し交付要求書で交付要求をしなければなりません。義務規定であり、税務署が自ら財産を差し押さえる必要はありません。破産法114条1号の請求権に係る国税では、宛先は破産管財人ではなく破産事件を取り扱う裁判所となります。交付要求をしたときは滞納者への通知(2項)と、55条準用による質権者・抵当権者等への通知(3項)が義務づけられます。私債権者の配当は、その分だけ削られることになります。
解説
郵便受けに届いた「交付要求通知書」。この一通が何を意味するか、正確に説明できる人は少ない。国税徴収法82条は、滞納者の財産に強制換価手続(強制執行、担保権実行としての競売、企業担保権の実行、破産手続、他機関の滞納処分)が始まったとき、税務署長は執行機関に交付要求書を出さ「なければならない」と定める。裁量ではない、義務である。税務署は自分で財産を押さえる必要がない。他人が費用と時間をかけて始めた手続に、書面一枚で割り込み、配当だけを受け取る。破産では、財団債権となる租税等の請求権について宛先が管財人ではなく破産事件を扱う裁判所になる点まで、条文はわざわざ書き分けている。そして2項が滞納者本人への通知を、3項が55条準用によって質権者・抵当権者らへの通知を義務づける。この通知が届いた時点で、換価代金の行き先はすでにあなたの手を離れている。
法的な位置づけ
国税徴収法82条は交付要求の手続を定める規定であり、滞納者の財産に強制執行、担保権実行としての競売、企業担保権の実行、破産手続その他の強制換価手続が行われた場合に、税務署長が執行機関に対し交付要求書により配当を求めるべき義務を規定する。あわせて滞納者への通知(2項)および55条準用による質権者等への通知(3項)を義務づける。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.配当表で交付要求の行を特定する 配当表を受け取ったら、自分の順位より先に「交付要求」の行を探す。税目・法定納期限等・金額の三点を記録し、どの徴収機関からのものかを確認する。徴収機関が複数並ぶ場合、どれが差押えでどれが交付要求かで取り分が変わる(国税徴収法12条)
- 2.法定納期限等と自分の登記日の先後を比較する 交付要求に係る国税の法定納期限等と、自分の抵当権設定登記の日付を並べる。登記が先であれば国税徴収法16条により自分が優先する余地があり、逆であれば登記簿に現れない国税が先順位になる。ここが争えるかどうかの分水嶺になる
- 3.他の財産を特定して交付要求の解除を請求する 滞納者に換価が容易で第三者の権利の目的になっていない他の財産があり、その財産で国税全額を徴収できるときは、税務署長に交付要求の解除を請求できる(国税徴収法85条)。資料を添えて、配当表が作成される前に提出する。順番を逆にすると配る金額はもう決まっている
- 4.配当期日に出頭して配当異議を申し出る 配当期日には必ず出頭し、その場で配当異議の申出をする(民事執行法89条)。申し出た後は配当期日から1週間以内に配当異議の訴えを提起した証明をしなければ、申出は取り下げたものとみなされる(同90条)。翌日気付いても手はない
よくある質問 AI による整理
Q1交付要求とは何ですか?
他人が始めた強制換価手続に税務署が書面一枚で参加し、滞納国税分の配当を受ける手続です。国税徴収法82条1項が根拠で、税務署長にとっては裁量ではなく義務です。財産の管理も売却も執行機関が行います。
Q2交付要求通知書が届いたらどうすればいいですか?
まず税目・年度・金額と、どの執行機関宛の交付要求かを確認します。交付要求は差押えと違い他の財産の使用収益を直接止めるものではないため、事業と生活の資金繰りを直ちに諦める必要はありません。同時に徴収担当と納付計画の協議を始めるのが実務です。
Q3交付要求されると滞納税の時効はどうなりますか?
国税の徴収権の消滅時効は原則5年(国税通則法72条)ですが、交付要求がされている期間は完成猶予・更新の対象になります(同73条)。他人の競売が長引くほど滞納税は時効で消えにくくなります。最新の改正状況は必ずご確認ください。
Q4競売の配当で税金はいつも最優先ですか?
常に最優先ではありません。抵当権設定登記より前に法定納期限等が到来していた国税は登記に優先しますが(国税徴収法16条)、登記が先なら私債権者側に優先する余地があります。また既に滞納処分で差押えをした国税は、交付要求した国税に優先します(同12条)。
Q5破産した会社の税金の交付要求はどこに出されますか?
破産法114条1号に掲げる請求権に係る国税の交付要求については、宛先が破産管財人ではなく、その破産事件を取り扱う裁判所になります。国税徴収法82条1項の括弧書が明示しており、84条2項の解除の場面でも同じ扱いです。
Q6交付要求されると口座や給料も止まりますか?
交付要求そのものは、他人が既に押さえている財産の換価代金から配当を受ける手続にすぎず、他の財産の使用収益を直接止める効力はありません。ただし税務署が別途、預金や給与を差し押さえることは可能なので、交付要求=安全という意味ではありません。
Q7交付要求されている不動産を売却できますか?
交付要求は既に進行中の強制換価手続に参加するものなので、その手続自体が続く限り、対象不動産は執行機関の手続の中で換価されます。任意売却で処理したい場合は、執行機関の手続と徴収担当の双方との調整が前提になります。
Q8交付要求の期限はいつまでですか?
交付要求そのものに条文上の期限はありません。ただし不動産執行では配当要求の終期が決定・公告され(民事執行法49条)、これに間に合わなければその手続からの配当は受けられません。記録で終期と交付要求の日付を照合するのが実務の確認作業です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1税務署から交付要求の通知が来たんですけど、差押えと何が違うんですか?
差押えは税務署自身が財産を押さえて換価する手続、交付要求は他人が始めた換価手続に割り込んで配当だけ受ける手続である(82条1項)。管理も売却も執行機関が行い、税務署は書面一枚で列に並ぶ。実務のポイント:交付要求は、先に滞納処分で差押えをした国税に劣後する(差押先着手主義、国税徴収法12条)。配当表に徴収機関が複数並んでいたら、どれが差押えかで取り分が変わる
Q2税務署の交付要求って、こっちから止めることはできないんですか?
一定の条件下で解除を請求できる(85条)。交付要求により配当を受けるべき金額に相当する債権を持つ者が、その国税を徴収できる他の財産があり換価容易で第三者の権利の目的になっていないこと、かつその財産で国税全額を徴収できること、この両方を満たすときに限られる。実務のポイント:この請求は「税務署がまだ把握していない財産」を教える行為でもある。実務では滞納者の遊休不動産を特定して提示するのが定石である
間違えやすい点 AI による整理
- 交付要求が来ることは知っている人でも、その副作用の深刻さまでは知らない。交付要求がされている期間、国税の徴収権の消滅時効は完成しない(国税通則法73条)。他人が申し立てた競売が長引けば長引くほど、あなたの滞納税は時効で消えなくなる。手続の遅延は、あなたにとって猶予ではなく延命である
- 「税務署の交付要求を止められるか」という問いの立て方が、そもそもずれている。止めるのではなく、別の財産へ振り向けさせるのが正しい問いだ。85条は、交付要求により配当を受けるべき金額に相当する債権を持つ者が、換価容易で第三者の権利の目的になっていない他の財産があり、かつその財産で国税全額を徴収できるときに限り、解除を請求できると定める。条件は厳しいが、扉は存在する
- あなたから見れば「先に抵当権を登記した自分が一番手」である。法律から見れば「法定納期限等が登記より前に到来していた国税が先」である(国税徴収法16条)。登記簿には一行も現れないその順位が、交付要求という形で配当表に初めて姿を現す。この落差を配当期日に初めて知った債権者は、その場で反論の材料を持っていない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の内容 | 82条:強制換価手続が行われた場合の交付要求の義務と、滞納者・質権者等への通知 | 84条:交付要求を維持する必要がなくなった場合の解除と執行機関への通知 85条:一定の要件を満たす私債権者からの交付要求の解除請求 |
| 誰が動くか | 税務署長(義務、裁量なし) | 税務署長(職権による解除) 交付要求により配当を受けるべき金額に相当する債権を有する者 |
| 発動の前提 | 滞納者の財産に強制執行・競売・破産手続等の強制換価手続が行われたこと | 交付要求を維持する必要がなくなったこと 換価が容易で第三者の権利の目的でない他の財産があり、それで国税全額を徴収できること |
| 私債権者への影響 | 配当が交付要求分だけ削られる。登記簿に現れない順位が配当表で初めて可視化される | 解除により交付要求分が配当から外れる 認められれば配当が回復する。ただし要件は厳格で実務上のハードルは高い |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も租税債権が他の債権者の申し立てた強制執行手続に参与分配で加わる構造を採る。日本の交付要求が税務署長の義務であるのに対し、台湾では参与分配の申立てという形式を取る点が異なる
韓国も国税徴収法上に交付請求(교부청구)制度を置き、強制換価手続に租税債権が参加する仕組みを採用する。日本法との構造的な近さが顕著な領域
ドイツは租税債権も一般の執行手続に乗り、不動産強制競売法(ZVG)の順位ルールに従って配当を受ける。日本のような一般的優先権の明文よりも、担保権の順位と手続内での取扱いが前面に出る
米国は連邦租税リーエンという担保権的構成を採り、公示(Notice of Federal Tax Lien)の有無と時期で優先順位を決する。登記簿に現れない優先権が突然現れる日本型とは、可視性の設計思想が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、貸した金の担保に取った抵当権で競売を申し立てた数か月後、配当表に見覚えのない「交付要求」という行が現れ、あなたの取り分がその分だけ削られていたとしたら? 争える窓は極端に狭い。配当異議の申出は配当期日その場でしか出せず(民事執行法89条)、申し出た後も配当期日から1週間以内に訴え提起の証明をしなければ、申出は取り下げたものとみなされる(同90条)。翌日気付いても、もう手はない
- 郵便受けに「交付要求通知書」。誰かがあなたの財産に競売や破産の手続をかけ、税務署がそれを掴んだという合図である。この一通が届いた時点で、換価代金の分配はもう執行機関の側で動いている
- 取引先が破産した。あなたの売掛金は破産債権、税務署の租税債権は財団債権として先に財団から抜かれる。管財人が回収した金額を見て「これなら自分にも配当が来る」と計算していたのに、交付要求の分を引いた残りで割ると配当率が一桁になる。破産手続では、税務署は債権届出ではなく交付要求という別ルートで、しかも裁判所宛てに入ってくる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 配当表の交付要求の行を特定し、税目・法定納期限等・金額を確認する2. あなたの抵当権設定登記日と法定納期限等の先後を比較(国税徴収法16条)、登記が先なら優先関係を争う余地がある3. 滞納者に換価容易で無担保の別財産があるなら、資料を添えて税務署長に交付要求の解除を請求(85条)。配当表作成前に動く4. 配当期日には必ず出頭してその場で配当異議の申出(民事執行法89条)、1週間以内に訴え提起の証明(同90条)
訴えられた側:1. 交付要求通知書が届いたら、税目・年度・金額と、どの執行機関宛かをまず確認する2. 交付要求は差押えと違い、他の財産の使用収益を直接止めるものではない。事業と生活の資金繰りをそこで諦めない3. 換価代金では足りない残額はほぼ確実に残る。通知が届いた時点で徴収担当と納付計画・換価の猶予の協議を始める4. 交付要求期間中は徴収権の時効が進まない(国税通則法73条)。放置して消えるという前提は捨てる
時効(請求できる期限):交付要求そのものに条文上の期限はない。ただし不動産執行では配当要求の終期(民事執行法49条)に間に合わなければ、その手続からの配当は受けられない。債権者側の反撃は配当期日当日の配当異議の申出(民事執行法89条)、および配当期日から1週間以内の訴え提起の証明(同90条)。国税の徴収権の消滅時効は原則5年(国税通則法72条)だが、交付要求がされている期間は完成猶予・更新の対象となる(同73条。最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:82条の交付要求は税務署長の義務であり裁量の余地はないが、83条により配当を受けることができる見込みがない場合には制限がかかると解される。義務としての強さと、83条の制限・84条の解除・85条の解除請求という事後の調整弁の二段構えで、租税債権と私債権者の期待との均衡が図られている。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)破産法制定に伴う関係法律整備 1項に括弧書が追加され、破産法第114条第1号に掲げる請求権に係る国税の交付要求については、宛先が破産事件を取り扱う裁判所となる旨が明示された。旧破産法下の運用を新破産法の届出制度に合わせた改正
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:国税徴収法の全部改正により現行法が制定され、租税債権と担保権・執行手続との調整を明文化した体系の一部として交付要求の規定が置かれた
- 2.平成16年(2004年) 改正:破産法制定に伴う関係法律の整備により、1項に括弧書が追加され、破産法第114条第1号に掲げる請求権に係る国税の交付要求については宛先が破産事件を取り扱う裁判所となる旨が明示された
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