要点国税徴収法 85 条は、強制換価手続で配当を受ける債権者が税務署長に交付要求の解除を請求できると定める。滞納者に他の換価容易な財産があり、その財産で国税全額を徴収できることが要件となる。
Q · 差し押さえた債権に税務署の交付要求が入ったら、配当はもう諦めるしかないの?
他に換価しやすい財産を示せれば、解除を請求できます
国税徴収法 85 条により、強制換価手続で配当を受けられる債権者は、税務署長に交付要求の解除を請求できます。要件は二つで、①その交付要求により自己の債権の全部または一部の弁済を受けられないこと、②滞納者が他に換価の容易な財産で第三者の権利の目的となっていないものを持ち、その財産で当該国税の全額を徴収できることです。税務署長は請求を相当と認めれば解除しなければならず、認めないときはその旨を請求者に通知します。要件をそろえる資料は、請求する側が用意します。
差し押さえた売掛金からようやく回収できると計算していたところに、税務署の交付要求が入る。国税は原則としてあなたの債権に優先して徴収されるので(国税徴収法 8 条)、配当表からあなたの取り分がごっそり消える。ここで大半の債権者は「相手が税務署なら仕方ない」と引き下がるが、85 条はもう一手を残している。滞納者が他に換価の容易な財産(すぐ現金化できる財産。例:預金、上場株式、抵当権のついていない土地)を持っていて、しかもその財産だけで国税の全額を徴収できるなら、あなたは税務署長に対し、その交付要求を解除するよう請求できる。陳情でも交渉でもなく、法律上の請求権である。税務署長は相当と認めれば解除しなければならず、認めないときも理由を示して通知する義務を負う。ただし二つの要件は両方そろって初めて効き、しかも「他に取りやすい財産がある」ことを探し出して示すのは、税務署ではなくあなたの仕事だ。
国税徴収法 85 条は、交付要求の解除請求権を定める規定である。強制換価手続により配当を受けられる債権者は、交付要求により自己の債権の弁済を受けられず、かつ滞納者が他に換価容易で第三者の権利の目的でない財産を有し、その財産で国税全額を徴収できる場合に、税務署長へ解除を請求できる。税務署長は相当と認めれば解除義務を負い、認めないときは通知義務を負う。
AI 輔助整理,以條文原文為準
他の執行機関による強制換価手続が進行しているとき、税務署長がその手続に参加して国税への配当を求める徴収手続です。国税徴収法 82 条が定めています。
強制換価手続により配当を受けることができる債権者です。差押債権者だけでなく、競売の配当を受ける担保権者や、破産手続で配当を受ける立場も含まれます。
短期間に確実な価格で金銭に換えられる財産です。預金、上場株式、抵当権のついていない不動産などが典型で、第三者の権利が付いていないことも必要です。
条文に期限の定めはありませんが、換価代金の配当が実施されれば解除を求める実益が消えます。実務上の期限は配当期日の前と考えるべきです。
国税は原則としてすべての公課その他の債権に先立って徴収されるという原則です。国税徴収法 8 条が定め、85 条はこの前提を調整する規定です。
できません。85 条 1 項 2 号は「第三者の権利の目的となつていないもの」を要件としており、抵当権や質権が設定された財産では要件を満たしません。
その強制換価手続では国税への配当が行われなくなり、配当は他の債権者に回ります。国税の徴収権自体は消えず、他の財産へ徴収の対象が移ります。
破産手続は国税徴収法 2 条 12 号の強制換価手続に含まれるため、配当を受ける立場の債権者は破産の場面でも 85 条の請求権を持ちます。
条文上は通知義務までしか定めていません(85 条 2 項)。この通知を不服申立ての対象となる処分と見るかは実務上、解釈が分かれており、処分性を認めて審査請求(国税通則法 75 条、77 条)を検討する立場と、事実上の回答にすぎないとする立場があります。業界裏話ヒント:争うより、拒否された理由を読み取って「他の財産」の資料を補強し、再度請求を出し直す方が実務では早い。理由の記載こそ、次の請求書の設計図になります
債務名義があるなら民事執行法の財産開示手続(196 条以下)と第三者からの情報取得手続(204 条以下)が使えます。207 条で金融機関から預貯金情報を、205 条で不動産情報を取得できます。業界裏話ヒント:この情報取得は本来自分の強制執行のための制度ですが、得られた資料はそのまま 85 条の請求書の添付資料に使えます。回収実務では、この二段活用を知っている代理人とそうでない代理人で、着手から半年後の回収額が変わります
できます。参加差押えについては国税徴収法 88 条で 85 条の解除請求の規定が準用されており、要件も同じ構造です。交付要求と参加差押えは名称が違うだけで、他の手続に乗って徴収する点は共通しています。業界裏話ヒント:書面のタイトルを間違えても中身が要件を満たしていれば実務上は処理されますが、根拠条文を 88 条準用と明記した請求書は、担当官が要件審査に直行できるぶん判断が早い。書面の入口で相手の手間を削るのは有効です
国税は原則としてすべての公課その他の債権に先立って徴収されるため(国税徴収法 8 条)、差押えの順番だけでは決まりません。ただし法定納期限等以前に設定された抵当権など、優先関係が逆転する場面もあります(同法 15 条以下)。業界裏話ヒント:担保権者はまず自分の担保設定日と国税の法定納期限等を突き合わせるべきで、そこで勝てるなら 85 条を使うまでもない。85 条は、その比較で負けた側が最後に残す一手です
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 動かす主体 | 85 条:配当を受ける債権者からの請求で動く | — |
| 要件 | ①請求者が弁済を受けられない ②他に換価容易で第三者の権利のない財産で国税全額を徴収できる(両方必要) | — |
| 税務署長の義務 | 相当と認めれば解除義務、認めなければ請求者への通知義務 | — |
| 債権者にとっての使いどころ | 資料を自分でそろえて能動的に配当を取り戻す一手 | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。