受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 8 分8 分8 分

国税徴収法 第85条(交付要求の解除の請求)

クイックジャンプ
  1. 強制換価手続により配当を受けることができる債権者は、交付要求があつたときは、税務署長に対し、次の各号のいずれにも該当することを理由として、その交付要求を解除すべきことを請求することができる。
  2. 一その交付要求により自己の債権の全部又は一部の弁済を受けることができないこと。
  3. 二滞納者が他に換価の容易な財産で第三者の権利の目的となつていないものを有しており、かつ、その財産によりその交付要求に係る国税の全額を徴収することができること。
  4. 2.税務署長は、前項の請求があつた場合において、その請求を相当と認めるときは、交付要求を解除しなければならないものとし、その請求を相当と認めないときは、その旨をその請求をした者に通知しなければならない。

この条文の基本情報

交付要求の解除の請求とは何ですか?

定義交付要求の解除の請求とは、国税徴収法第85条に定められた規定で、「強制換価手続により配当を受けることができる債権者は、交付要求があつたときは、税務署長に対し、次の各号のいずれにも該当することを理由として、その交付要求を解除すべ…」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 国税徴収法第85条(交付要求の解除の請求)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
  2. 国税徴収法第85条の条文原文は「強制換価手続により配当を受けることができる債権者は、交付要求があつたときは、税務署長に対し、次の各号のいずれにも該当することを理由として、その交付要求を解除すべ…」で始まります。
  3. 国税徴収法第85条は第二節に置かれています。
  4. 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
  5. 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 国税徴収法第85条の前の条は国税徴収法第84条です。
  7. 国税徴収法第85条の次の条は国税徴収法第86条です。
  8. 国税徴収法第85条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第85条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147
  • 本サイト収録国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第85条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/85

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点国税徴収法85条は、強制換価手続で配当を受ける債権者が税務署長に交付要求の解除を請求できると定める。滞納者に他の換価容易な財産があり、その財産で国税全額を徴収できることが要件となる。

Q · 差し押さえた債権に税務署の交付要求が入ったら、配当はもう諦めるしかないの?

他に換価しやすい財産を示せれば、解除を請求できます

国税徴収法85条により、強制換価手続で配当を受けられる債権者は、税務署長に交付要求の解除を請求できます。要件は二つで、①その交付要求により自己の債権の全部または一部の弁済を受けられないこと、②滞納者が他に換価の容易な財産で第三者の権利の目的となっていないものを持ち、その財産で当該国税の全額を徴収できることです。税務署長は請求を相当と認めれば解除しなければならず、認めないときはその旨を請求者に通知します。要件をそろえる資料は、請求する側が用意します。

解説

差し押さえた売掛金からようやく回収できると計算していたところに、税務署の交付要求が入る。国税は原則としてあなたの債権に優先して徴収されるので(国税徴収法8条)、配当表からあなたの取り分がごっそり消える。ここで大半の債権者は「相手が税務署なら仕方ない」と引き下がるが、85条はもう一手を残している。滞納者が他に換価の容易な財産(すぐ現金化できる財産。例:預金、上場株式、抵当権のついていない土地)を持っていて、しかもその財産だけで国税の全額を徴収できるなら、あなたは税務署長に対し、その交付要求を解除するよう請求できる。陳情でも交渉でもなく、法律上の請求権である。税務署長は相当と認めれば解除しなければならず、認めないときも理由を示して通知する義務を負う。ただし二つの要件は両方そろって初めて効き、しかも「他に取りやすい財産がある」ことを探し出して示すのは、税務署ではなくあなたの仕事だ。

法的な位置づけ

国税徴収法85条は、交付要求の解除請求権を定める規定である。強制換価手続により配当を受けられる債権者は、交付要求により自己の債権の弁済を受けられず、かつ滞納者が他に換価容易で第三者の権利の目的でない財産を有し、その財産で国税全額を徴収できる場合に、税務署長へ解除を請求できる。税務署長は相当と認めれば解除義務を負い、認めないときは通知義務を負う。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.交付要求の中身を特定する 執行裁判所または執行機関で交付要求書の写しを確認し、対象国税の税目・金額・法定納期限等・所轄税務署を特定する。金額が分からなければ「他の財産で全額徴収できる」という要件を数字で示せない
  2. 2.滞納者の他の財産を洗い出す 登記事項証明書、決算書、民事執行法205条・207条の第三者からの情報取得手続で得た不動産情報・預貯金情報を集める。財産の存在だけでなく、抵当権・質権など第三者の権利が付いていないことまで確認する
  3. 3.国税全額を賄えることを金額で示した請求書を作る 特定した財産の評価額と交付要求に係る国税の総額を並べ、その財産だけで全額徴収できることを示す。あわせて自己が交付要求により弁済を受けられないことを配当見込額で説明する
  4. 4.配当期日前に所轄税務署長へ提出する 配当が実施される前に提出する。相当と認めない旨の通知が来たら、記載された理由を読み取って資料を補強し再請求するか、不服申立ての可否と期限(国税通則法77条)を弁護士・税理士に確認する

よくある質問 AI による整理

Q1交付要求とは何ですか?

他の執行機関による強制換価手続が進行しているとき、税務署長がその手続に参加して国税への配当を求める徴収手続です。国税徴収法82条が定めています。

Q2交付要求の解除を請求できるのは誰ですか?

強制換価手続により配当を受けることができる債権者です。差押債権者だけでなく、競売の配当を受ける担保権者や、破産手続で配当を受ける立場も含まれます。

Q3換価の容易な財産とは何を指しますか?

短期間に確実な価格で金銭に換えられる財産です。預金、上場株式、抵当権のついていない不動産などが典型で、第三者の権利が付いていないことも必要です。

Q4交付要求の解除はいつまでに請求すべきですか?

条文に期限の定めはありませんが、換価代金の配当が実施されれば解除を求める実益が消えます。実務上の期限は配当期日の前と考えるべきです。

Q5国税優先の原則とは何ですか?

国税は原則としてすべての公課その他の債権に先立って徴収されるという原則です。国税徴収法8条が定め、85条はこの前提を調整する規定です。

Q6抵当権がついている財産でも解除請求の対象にできますか?

できません。85条1項2号は「第三者の権利の目的となつていないもの」を要件としており、抵当権や質権が設定された財産では要件を満たしません。

Q7交付要求が解除されたらどうなりますか?

その強制換価手続では国税への配当が行われなくなり、配当は他の債権者に回ります。国税の徴収権自体は消えず、他の財産へ徴収の対象が移ります。

Q8破産手続でも交付要求の解除を請求できますか?

破産手続は国税徴収法2条12号の強制換価手続に含まれるため、配当を受ける立場の債権者は破産の場面でも85条の請求権を持ちます。

この条文についての質問 AI による整理

Q1税務署から「相当と認めない」って通知が来たら、それでもう終わりですか?

条文上は通知義務までしか定めていません(85条2項)。この通知を不服申立ての対象となる処分と見るかは実務上、解釈が分かれており、処分性を認めて審査請求(国税通則法75条、77条)を検討する立場と、事実上の回答にすぎないとする立場があります。実務のポイント:争うより、拒否された理由を読み取って「他の財産」の資料を補強し、再度請求を出し直す方が実務では早い。理由の記載こそ、次の請求書の設計図になります

Q2そもそも滞納者に他の財産があるかなんて、どうやって調べるんですか?

債務名義があるなら民事執行法の財産開示手続(196条以下)と第三者からの情報取得手続(204条以下)が使えます。207条で金融機関から預貯金情報を、205条で不動産情報を取得できます。実務のポイント:この情報取得は本来自分の強制執行のための制度ですが、得られた資料はそのまま85条の請求書の添付資料に使えます。回収実務では、この二段活用を知っている代理人とそうでない代理人で、着手から半年後の回収額が変わります

Q3参加差押えをされた場合も、同じように解除を請求できますか?

できます。参加差押えについては国税徴収法88条で85条の解除請求の規定が準用されており、要件も同じ構造です。交付要求と参加差押えは名称が違うだけで、他の手続に乗って徴収する点は共通しています。実務のポイント:書面のタイトルを間違えても中身が要件を満たしていれば実務上は処理されますが、根拠条文を88条準用と明記した請求書は、担当官が要件審査に直行できるぶん判断が早い。書面の入口で相手の手間を削るのは有効です

Q4税金より先に差し押さえていたのに、どうして後から来た税務署に負けるんですか?

国税は原則としてすべての公課その他の債権に先立って徴収されるため(国税徴収法8条)、差押えの順番だけでは決まりません。ただし法定納期限等以前に設定された抵当権など、優先関係が逆転する場面もあります(同法15条以下)。実務のポイント:担保権者はまず自分の担保設定日と国税の法定納期限等を突き合わせるべきで、そこで勝てるなら85条を使うまでもない。85条は、その比較で負けた側が最後に残す一手です

間違えやすい点 AI による整理

  • 「税務署に勝てるか」という問いの立て方自体が外れている。85条は国税の徴収権を否定する条文ではなく、徴収の対象をどの財産に向けるかを組み替える条文である。争点は勝敗ではなく、税務署にとってより確実で手間の少ない回収ルートを、あなたが提示できるかどうかだ
  • 「解除を請求できる」ことまでは知っていても、その深刻さが理解されていない。二つの要件(自分が弁済を受けられないこと、かつ他に換価容易で第三者の権利が付いていない財産で国税全額を徴収できること)は片方でも欠ければ請求は通らず、しかもその立証資料をそろえるのは請求する側である。相手の資産調査を一切していない請求書は、事実上ただの手紙として処理される
  • あなたから見れば「先に差し押さえたのはこちらだ」という順番の問題に見える。だが徴収の現場から見れば、判断軸は順番ではなく回収の確実性と換価の容易さだけである。この視点の落差に気付かないまま「不公平だ」と訴える書面を書くと、要件審査の土俵にすら乗らない
比較の観点この条文ほかの条文
動かす主体85条:配当を受ける債権者からの請求で動く84条:税務署長の職権で解除する
83条:税務署長の職権で交付要求自体を行わない
要件①請求者が弁済を受けられない ②他に換価容易で第三者の権利のない財産で国税全額を徴収できる(両方必要)交付要求を存続させる必要がなくなったと税務署長が判断したとき
他の財産で徴収でき、交付要求を要しないと税務署長が判断したとき
税務署長の義務相当と認めれば解除義務、認めなければ請求者への通知義務解除したときは関係者への通知
そもそも手続に乗らないため請求者への応答は生じない
債権者にとっての使いどころ資料を自分でそろえて能動的に配当を取り戻す一手待ちの立場、こちらから起動できない
交付要求前の段階の話で、配当表が出た後には使えない

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
税捐稽徴法第6条、強制執行法第34条(行政執行法26条による準用)

台湾も税捐優先権を認め、行政執行機関が民事執行手続に参与分配する構造は日本の交付要求に近い。ただし債権者側から解除を請求する明文の権利は置かれていない

韓国
국세기본법 제35조(국세의 우선)

韓国も国税優先を原則とし、他の執行手続への교부청구 制度を持つ。日本法を継受した徴収手続の骨格が残っている

ドイツ
Abgabenordnung §§ 249 ff.

ドイツは租税債権の一般的優先権(Fiskusvorrecht)を倒産手続で廃止しており、租税債権は原則として他の無担保債権と同順位。日本のような優先権調整規定を必要としない構造

アメリカ
26 U.S.C. § 6321, § 6325

米国は連邦租税リーエンで担保し、§ 6325(b) により特定財産をリーエンから解放する仕組みを持つ。「他に十分な財産があること」を理由に個別財産を解放する発想は本条と機能的に近い

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • もし、勝訴判決を取って取引先の預金を差し押さえた三日後に、税務署から交付要求が入ったらどうなる? 国税が優先するので、あなたの配当はゼロになりうる。だが、その取引先が抵当権のついていない社有地を持っているなら、85条でその方向へ税務署を誘導する余地がある。差押えの取り合いに負けるのではなく、標的をずらす発想に切り替わる
  • 抵当権に基づく競売を申し立てた地方銀行の担当者。配当期日まであと10日というところで税務署の交付要求が届く。滞納者が保有する上場株式の残高証明と、その株式に質権が設定されていない証拠を、今週中に書面で税務署へ持ち込めるかどうかで回収額が数千万円動く。期日を過ぎて配当が実施されれば、解除を求める実益そのものが消える
  • 下請けとして未払い報酬を回収中。差し押さえた売掛金に税務署が乗ってきた。滞納者の本社建物に抵当権が付いていないなら、その一点を登記事項証明書で示せば足りる。
  • あなたが滞納している側だとする。債権者が85条で解除請求を出すと、税務署の視線は今差し押さえられている売掛金から、あなたの預金や工場設備へ移る可能性がある。事業の生命線が矢面に立つということだ。どの財産で納付を組むかは、請求が出る前に税務署と話しておいた方が、あなたにとっても選択肢が残る
  • 取引先が破産し、破産管財人として換価を進めている場面。破産手続も国税徴収法2条12号の強制換価手続に含まれるので、配当を受ける立場の債権者は破産の場面でも85条の請求権を持つ。管財人が財産目録を作る過程で、まさにこの「他に換価容易な財産」を誰よりも早く把握している

取るべき行動

被害を受けた側:1. 交付要求書の写しを執行裁判所または執行機関で確認し、対象国税の税目・金額・所轄税務署を特定する2. 滞納者の他の財産を洗う。登記事項証明書、決算書、第三者からの情報取得手続(民事執行法207条)で得た預金情報を使い、第三者の権利(抵当権・質権など)が付いていないことまで確認する3. その財産だけで国税全額を賄えるかを金額で示した請求書を、所轄税務署長宛てに提出する4. 配当期日前に出すこと。拒否通知が来たら、不服申立ての可否と期限を税理士または弁護士に確認する

訴えられた側:1. 滞納者側の立場なら、解除請求が出された時点で徴収の照準が別の財産へ移りうると理解する2. 事業継続に不可欠な財産(機械設備、営業用預金)と、手放してもよい財産を先に仕分けし、納付計画とともに税務署へ提示する3. 換価の猶予(国税徴収法151条の2の申請による猶予を含む)や分割納付の協議を並行して進める4. 債権者との個別和解で交付要求の実益自体を消す方向も、選択肢として検討する

時効(請求できる期限):本条に請求期限の明文はない。ただし換価代金の配当が実施されれば解除を求める実益が消えるため、実質的な期限は配当期日の前である。拒否通知に不服がある場合、国税に関する処分の審査請求期間は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内(国税通則法77条)。なお、この拒否通知に処分性が認められるかは実務上、解釈が分かれている(最新の改正状況をご確認ください)

学説

実務上の議論(拒否通知の処分性):85条2項の「相当と認めない旨の通知」について、不服申立ての対象となる処分と見て審査請求(国税通則法75条、77条)を検討する立場と、事実上の回答にすぎないとする立場があり、実務上解釈が分かれている。

改正沿革 AI による整理

改正の年表

  1. 1.昭和34年(1959年) 新設:国税徴収法の全部改正により現行法が成立し、交付要求の解除請求権を定める本条が置かれた。国税優先の原則(8条)と私債権者の配当利益を調整する仕組みとして設けられている。

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

国税徴収法の全文を見る所属する編章節を開く:第二節

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›