国税徴収法 第75条(一般の差押禁止財産)
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- 次に掲げる財産は、差し押えることができない。
- 一滞納者及びその者と生計を一にする配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係にある者を含む。)その他の親族(以下「生計を一にする親族」という。)の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
- 二滞納者及びその者と生計を一にする親族の生活に必要な三月間の食料及び燃料
- 三主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物
- 四主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物
- 五技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)
- 六実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの
- 七仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物
- 八滞納者に必要な系譜、日記及びこれに類する書類
- 九滞納者又はその親族が受けた勲章その他名誉の章票
- 十滞納者又はその者と生計を一にする親族の学習に必要な書籍及び器具
- 十一発明又は著作に係るもので、まだ公表していないもの
- 十二滞納者又はその者と生計を一にする親族に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物
- 十三建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の備品
- 2.前項第一号(畳及び建具に係る部分に限る。)及び第十三号の規定は、これらの規定に規定する財産をその建物その他の工作物とともに差し押えるときは、適用しない。
この条文の基本情報
一般の差押禁止財産とは何ですか?
定義一般の差押禁止財産とは、国税徴収法第75条に定められた規定で、「次に掲げる財産は、差し押えることができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第75条(一般の差押禁止財産)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第75条の条文原文は「次に掲げる財産は、差し押えることができない。」で始まります。
- 国税徴収法第75条は第六款に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第75条の前の条は国税徴収法第74条です。
- 国税徴収法第75条の次の条は国税徴収法第76条です。
- 国税徴収法第75条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第75条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第75条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/75
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法75条は、生活に欠くことができない衣服・寝具・家具、三月間の食料と燃料、業務に欠くことができない器具(商品を除く)など13類型を差押禁止財産と定める規定である。
Q · 税金を滞納したら、家の中の物は全部差し押さえられてしまうのですか?
生活必需品と仕事道具は差し押さえられません
国税徴収法75条1項は、滞納処分で差し押さえることのできない財産を13号にわたり列挙します。生活に欠くことができない衣服・寝具・家具・台所用具、生計を一にする親族の三月間の食料と燃料、農業・漁業の必需器具、知的または肉体的労働により職業に従事する者の業務に欠くことができない器具(商品を除く)、実印、仏像・位牌、義手・義足などが対象です。これらを差し押さえた処分は違法であり、解除を求めることができます。ただし同条2項により、畳・建具と消防用備品は建物とともに差し押さえる場合には禁止が適用されません。
解説
税金を滞納すると、税務署は裁判所の判決なしに、いきなりあなたの財産を差し押さえられる。給与も預金も車も、令状なしで押さえられる。だが国税徴収法75条は、その強大な権力に13個の穴を開けている。布団、三か月分の食料と燃料、実印、仏壇の位牌、義足、そして「あなたの仕事に欠かせない道具」。大工のノコギリ、美容師のハサミ、プログラマーの、いや、ここは慎重に言おう、業務に不可欠な器具は差押えできない。しかも1項5号には括弧書きで「(商品を除く)」とある。あなたが仕入れて売るための在庫は押さえられるが、それを作る道具は押さえられない。この線引きを知らないまま徴収職員の説明を受け入れると、本来押さえられないはずの物まで差押調書に載る。異議を言わなければ、それがそのまま公売にかけられる。
法的な位置づけ
国税徴収法75条は差押禁止財産を定める規定であり、滞納処分において徴収職員が差し押さえることのできない財産を13号にわたり列挙する。滞納者及び生計を一にする親族の最低限の生活を維持する物と、自己の労力による職業の継続に不可欠な器具が中心であり、同条2項は畳・建具及び消防用備品について、建物とともに差し押さえる場合の例外を定める。
よくある質問 AI による整理
Q1差押禁止財産とは何ですか?
差押禁止財産とは、滞納処分において徴収職員が差し押さえることのできない財産です。国税徴収法75条1項が13類型を列挙し、生活必需品と業務用の器具が中心となります。
Q2税金を滞納するといつから差し押さえられますか?
国税徴収法47条により、督促状を発した日から10日を経過した日までに完納されないときに差押えができます。裁判所の判決や令状は必要ありません。
Q3仏壇や位牌は差し押さえられますか?
75条1項7号は、仏像・位牌その他礼拝または祭祀に直接供するため欠くことができない物を差押禁止としています。骨董的価値のみを目的とする高額な仏具は趣旨から外れる余地があります。
Q4三か月分の食料が差押禁止ってどういう意味ですか?
75条1項2号は、滞納者と生計を一にする親族の生活に必要な三月間の食料及び燃料を差押禁止としています。備蓄の米や灯油は、この範囲内であれば押さえられません。
Q5農業や漁業の道具は守られますか?
主として自己の労力により農業を営む者の器具・肥料・労役用の家畜と飼料・次の収穫までの種子は3号で、漁業の漁網・えさ・稚魚は4号で差押禁止とされています。
Q6差押禁止財産を差し押さえられたらどうすればいいですか?
差押禁止財産の差押えは違法です。税務署長に解除を求めるとともに、処分を知った日の翌日から3か月以内に再調査の請求または審査請求を行います(国税通則法77条)。
Q7親の税金滞納で自分の財産が差し押さえられますか?
被相続人の未納の国税は相続人が承継するため、承継した相続人の財産が徴収の対象になります。相続放棄や限定承認は原則として熟慮期間内の判断が必要です。
Q8換価の猶予とは何ですか?
換価の猶予は差し押さえた財産の換価(公売)を猶予する制度で、国税徴収法151条・151条の2が定めます。滞納が積み上がる前に申請するほど認められやすくなります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1冷蔵庫とか洗濯機って、差し押さえられちゃうんですか?
75条1項1号は「生活に欠くことができない…家具、台所用具」を差押禁止としており、通常の冷蔵庫は台所用具または生活必需の家具として禁止財産に含まれると解される。ただし高級品や複数台保有分は「欠くことができない」を超えるとして押さえられうる。実務のポイント:実務上、徴収職員は換価価値の乏しい中古家電をわざわざ差し押さえない。運搬・保管・公売のコストが回収額を上回るためだ。争点になるのは、むしろ高額な業務用機器や車両である
Q2フリーランスのライターです。ノートパソコンは仕事道具ですけど、守られますか?
75条1項5号は「主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者」の「その業務に欠くことができない器具その他の物」を禁止財産とする。知的労働も明文で射程内であり、業務専用の PC は該当を主張できる。ただし実務上、解釈が分かれている。実務のポイント:同じ PC でも「これがないと収入がゼロになる」ことを、取引先との契約書や納品実績で示せるかどうかで結論が変わる。抽象的に「仕事に使う」と言うだけでは通りにくい
Q3店の在庫は差し押さえられて、道具は守られる。この違いは何ですか?
5号の括弧書きが「(商品を除く)」と明記しているためだ。商品は売却して換価することが本来の目的であり、それを差し押さえても本人の労働能力自体は失われない。一方、道具を奪えば以後の稼得能力を根こそぎ奪い、結果として納税もできなくなる。実務のポイント:この区別は微妙な境界を生む。仕入れた材料が「商品」か「業務に欠くことができない物」かは、加工の程度と販売形態で判断が割れる。原材料の状態で押さえられそうになったら、加工工程の実態を説明する余地がある
間違えやすい点 AI による整理
- 「差押禁止財産があるなら、徴収職員が勝手に外してくれるだろう」と考える人が多い。だが構造を見誤っている。徴収職員は差押えを執行する側であり、あなたの生活実態を隅々まで把握しているわけではない。ある道具が「業務に欠くことができない」かどうかは、あなたの仕事の中身を説明して初めて判断される。説明しなければ、ただの動産として調書に載る
- 「差押禁止財産」という言葉を知っている人でも、その効果の深刻度を取り違えている。禁止財産を差し押さえた処分は違法であり、争えば取り消される。だがその間、その財産は公売手続に乗ったまま進む。取消しを求めるには不服申立て(国税通則法75条以下の審査請求、または取消訴訟)が必要で、期間制限がある。放置すれば、違法な差押えでも既成事実として確定していく
- 「うちは事業をやっていないから5号は関係ない」という前提そのものが誤っている。5号は「技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者」を対象とする。会社員の副業、フリーランス、業務委託で働く配達員、在宅ライター、これらはすべて射程内に入りうる
- 「税金の滞納なんて自分には無縁だ」と思っている人ほど危ない。滞納は相続でも発生する。被相続人の未納の国税は相続人が承継し、承継した相続人の財産が徴収対象になる。親の滞納が、あなたの家の差押えとして立ち現れる経路が存在する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる財産 | 国税徴収法75条:生活必需品・業務用器具など13類型の動産等 | 国税徴収法76条:給与・賞与など継続的な収入債権 国税徴収法78条:条件付で差押えが禁止される財産 |
| 禁止の性質 | 全部禁止(該当すれば一切差押不可) | 一部禁止(生活に必要な一定額のみ禁止、超過部分は差押可) 条件付禁止(代替財産の提供等があれば差押可) |
| 主な例外 | 2項:畳・建具と消防用備品は建物とともに差し押さえる場合は禁止不適用 | 差押禁止額を超える部分、滞納者の承諾がある部分 滞納国税の全額を徴収できる他の財産がない場合 |
| 違反した場合の争い方 | 差押解除の請求(79条)+再調査の請求・審査請求(国税通則法77条) | 差押金額の是正請求+不服申立て 条件充足の有無を争う不服申立て |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾は民事執行の禁止査封規定を行政執行(税の強制徴収)に準用する構造。日本のように租税徴収法に独自の列挙を置かず、民事執行側の列挙を共用する点が異なる
韓国も生活必需の衣服・寝具・家具、一定期間の食料と燃料、職業に不可欠な器具を列挙する。列挙の思想は日本とほぼ同型
中国は列挙方式ではなく「個人及びその扶養家族の生活必需の住居と用品は差押えの対象外」という一般条項型。住居まで明示的に除外する点が日本より広い
ドイツは民事執行法の差押禁止物リストを租税執行に準用する。日本の75条列挙の思想的源流に位置する
米国内国歳入法典も衣服・学用品・生業用の道具・年金等を levy の対象外とするが、金額上限を法定して毎年インフレ調整する点が日本と大きく異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 一人親方の内装業。消費税を三期分滞納し、税務署の徴収職員が自宅兼作業場に臨場した。工具箱の中の電動ドライバー、丸ノコ、レーザー墨出し器。これらは1項5号の「業務に欠くことができない器具」に当たりうる。だが同じ作業場に積んである未使用のフローリング材は「商品」または原材料として押さえられる可能性がある。その場で線を引けるかどうかが分かれ目
- もし、徴収職員が家に来て居間の家具に差押えの札を貼り始めたら、あなたはどう言えばいいのか。1項1号は「生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具」を明示的に禁止財産としている。冷蔵庫と洗濯機は生活に欠くことができないか。この争いは実務で頻繁に起きている
- 祖父の位牌と仏壇が居間にある。1項7号は「仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物」を禁止財産とする。だが高額な仏具や、明らかに投資目的で保有する骨董的な仏像は、この趣旨から外れうる。実務上、解釈が分かれている
- 納期限から50日が過ぎ、督促状が届いてから10日を経過した。この瞬間から徴収職員は差押えできる状態にある。あなたに残された時間は多くない。今夜のうちに、家の中の何が75条の13号のどれに当たるかを紙に書き出しておくこと
- 義足を使っている家族が同居している。1項12号は義手・義足その他身体の補足に供する物を差押禁止としている。だがそれが高額な最新型で、予備が複数あった場合はどうか。「必要な」という限定が付いている以上、必要性を超える部分は理屈上押さえうる
取るべき行動
被害を受けた側:滞納者本人として臨場を受ける場合。1. 差押えの前後を問わず、自宅・作業場にある物を75条1項の13号に照らして仕分けし、写真とメモで記録する2. 徴収職員に対しては、その物が業務や生活にどう不可欠かを具体的に説明する(「毎日この工具で施工している」「この冷蔵庫がないと三食が成立しない」) 3. 差押調書に禁止財産が含まれていたら、その場で異議を述べ、記載を求める4. 並行して納税の猶予・換価の猶予(国税徴収法151条、151条の2)の申請を検討する。差押えを外す交渉より、差押えを始めさせない交渉の方が成功率が高い
訴えられた側:既に禁止財産が差し押さえられてしまった場合。1. 差押調書の写しを入手し、どの財産がどう記載されているか確認する2. 税務署長に対して差押えの解除を求める(国税徴収法79条2項は解除できる場合を定める)と同時に、不服申立てのルートを確保する3. 再調査の請求または国税不服審判所への審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(国税通則法77条、最新の改正状況をご確認ください) 4. 公売期日が指定されていれば時間との勝負になる。公売が済むと原状回復は事実上不可能になるため、期日前に動く
時効(請求できる期限):差押えができるのは督促状発付の日から10日を経過した日以後(国税徴収法47条)。差押処分に対する不服申立ては、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(国税通則法77条)。国税の徴収権の消滅時効は法定納期限から5年(国税通則法72条)だが、差押えや督促で時効は更新されるため、実際には長期化する(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:75条各号の「欠くことができない」は、滞納者の主観的必要性ではなく、当該世帯の生活実態および職業の遂行に照らした客観的必要性で判断される。同種の物が複数ある場合、必要性を超える部分は差押えの対象となりうる。
実務通説(基本通達の運用):5号の「業務に欠くことができない器具」該当性は、その物を失った場合に職業の継続が不可能または著しく困難になるかで判断される。知的労働も明文で射程内であり、業務専用性と収入への直結性を客観資料で示せるかが実務上の分岐点となる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:国税徴収法(昭和34年法律第147号)の制定に伴い、差押禁止財産を13号の列挙形式で整理。生活最低限の保全と稼得能力の保全という二本柱を明文化した
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