国税徴収法 第79条(差押えの解除の要件)
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- 徴収職員は、次の各号のいずれかに該当するときは、差押えを解除しなければならない。
- 一納付、充当、更正の取消その他の理由により差押えに係る国税の全額が消滅したとき。
- 二差押財産の価額がその差押えに係る滞納処分費及び差押えに係る国税に先立つ他の国税、地方税その他の債権の合計額を超える見込みがなくなつたとき。
- 2.徴収職員は、次の各号のいずれかに該当するときは、差押財産の全部又は一部について、その差押えを解除することができる。
- 一差押えに係る国税の一部の納付、充当、更正の一部の取消、差押財産の値上りその他の理由により、その価額が差押えに係る国税及びこれに先立つ他の国税、地方税その他の債権の合計額を著しく超過すると認められるに至つたとき。
- 二滞納者が他に差し押さえることができる適当な財産を提供した場合において、その財産を差し押さえたとき。
- 三差押財産について、三回公売に付しても入札又は競り売りに係る買受けの申込み(以下「入札等」という。)がなかつた場合において、その差押財産の形状、用途、法令による利用の規制その他の事情を考慮して、更に公売に付しても買受人がないと認められ、かつ、随意契約による売却の見込みがないと認められるとき。
この条文の基本情報
差押えの解除の要件とは何ですか?
定義差押えの解除の要件とは、国税徴収法第79条に定められた規定で、「徴収職員は、次の各号のいずれかに該当するときは、差押えを解除しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第79条(差押えの解除の要件)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第79条の条文原文は「徴収職員は、次の各号のいずれかに該当するときは、差押えを解除しなければならない。」で始まります。
- 国税徴収法第79条は第七款に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第79条の前の条は国税徴収法第78条です。
- 国税徴収法第79条の次の条は国税徴収法第80条です。
- 国税徴収法第79条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第79条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第79条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/79
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法79条は差押えの解除を定める。1項は国税全額の消滅と無益な差押えで解除を義務づけ、2項は著しい超過差押え、代替財産の提供、三回公売不成立で裁量的解除を認める。
Q · 税金を全額払わないと、差押えは絶対に外れないんですか?
外れます。国税徴収法79条は納付ゼロでも解除される類型を定めています
国税徴収法79条1項2号は、差押財産の価額が滞納処分費と先順位の優先債権の合計を超える見込みがなくなったとき(無益な差押え)、徴収職員に解除を義務づけています。オーバーローンの自宅が典型です。また同条2項1号は、財産価額が国税額と優先債権の合計を著しく超過する場合に、裁量的な一部解除の道を開きます。ただし2項は申出を待つ規定であり、役所から超過を指摘してくれることはまずありません。解除されても国税債権自体は残り、延滞税も加算され続けます。
解説
税務署に預金口座や自宅を差し押さえられたとき、多くの人は「全額払うまで一生このままだ」と信じ込む。国税徴収法79条は、そこに二つの出口を用意している。第1項は「解除しなければならない」、つまり徴収職員に選択の余地がない義務的解除だ。国税の全額が消滅したとき(納付・充当・更正の取消)、そして差押財産の価値が滞納処分費と優先債権の合計を超える見込みがなくなったとき、この二つに当たれば役所は必ず外さなければならない。第2項は「解除することができる」、つまり裁量的解除で、あなたが動かなければ発動しない。国税額を大きく超える超過差押え、代替財産の提供、三回公売しても買い手がつかない財産、この三つが引き金になる。決定的なのは、第2項があなたからの申出を待っているという点だ。役所が親切に「超過していますよ」と教えに来ることは、まずない。
法的な位置づけ
国税徴収法79条は差押えの解除を定める規定である。第1項は、国税全額の消滅、または差押財産の価額が滞納処分費及び優先債権の合計を超える見込みの喪失を要件とする義務的解除を規律する。第2項は、著しい超過差押え、代替財産の差押え、三回公売不成立の三類型について裁量的解除を認める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.差押調書と登記から三つの数字を並べる 差押調書、差押登記事項証明書を取り寄せ、①差押財産の時価②滞納国税の総額(延滞税込み)③先順位の抵当権・優先債権の残高、この三つを数字で並べる。判断の全ては、この三数字の大小関係で決まる
- 2.1項(義務)か2項(裁量)かを切り分ける 時価が②+③を下回るなら79条1項2号の無益な差押えで、徴収職員に解除義務がある。時価が②+③を著しく上回るなら2項1号の超過差押えで、裁量的な一部解除の対象となる。どちらを主張するかで書面の構成が変わる
- 3.公売公告の前に書面で申し出る 所轄税務署の徴収担当部門宛に、該当条項、三つの数字、根拠資料を添えた解除の申出書を提出し、収受印を押した控えを保管する。公売公告後は手続コストが跳ね上がり判断が動きにくいため、公告前が勝負どころ
- 4.代替財産を提供するなら換価の確実性を示す 2項2号を狙う場合、預金や上場株式など現金化が読める財産を特定し、徴収に足りることを示して提供する。共有持分、非上場株式、係争中の債権は換価に手間がかかり通りにくい
- 5.解除されない場合は不服申立てを検討 解除しない処分に不服がある場合、処分があったことを知った日の翌日から原則3か月以内に、国税通則法75条・77条による再調査の請求または審査請求を行う。同時に153条の滞納処分の停止が使えないかも並行して検討する
よくある質問 AI による整理
Q1差押えの解除とは何ですか?
滞納処分として押さえた財産に対する執行を終わらせる行為です。国税徴収法79条が要件を定め、1項は義務的解除、2項は裁量的解除を規律します。国税債権自体は消滅しません。
Q2無益な差押えとは何ですか?
差押財産の価額が滞納処分費と先順位の優先債権の合計を超える見込みがない状態です(79条1項2号)。オーバーローンの自宅が典型で、徴収職員は解除しなければなりません。
Q3超過差押えはいつ解除できますか?
財産価額が国税と優先債権の合計を著しく超過すると認められるに至ったときです(79条2項1号)。裁量的解除のため、滞納者側からの申出と数字の提示が事実上の起点になります。
Q4差押え解除の申出はどこにしますか?
所轄税務署の徴収担当部門です。法定書式はないため、財産の時価、滞納国税額、先順位債権額を数字で示した理由書を作成し、控えに収受印をもらって保管します。
Q5三回公売で売れなかったら差押えは外れますか?
自動では外れません。79条2項3号は、形状・用途・利用規制等を考慮して更に公売しても買受人がなく、随意契約の見込みもないと認められる場合の裁量的解除です。
Q6代替財産を出せば差押えは解除されますか?
必ずではありません。79条2項2号は、提供財産が実際に差し押さえられたことを前提とする裁量的解除です。預金や上場株式など換価が確実な財産ほど通りやすくなります。
Q7差押えを解除してもらえないときはどうする?
国税通則法75条の再調査の請求または審査請求を検討します。1項は義務規定のため、要件該当を立証できれば解除しない処分は違法評価の対象になります。
Q8差押解除と滞納処分の停止は違う?
違います。79条の解除は執行手続の終了にすぎませんが、国税徴収法153条の滞納処分の停止は3年継続すると納税義務そのものが消滅します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1差押えを解除してくださいって、どこに何を出せばいいんですか?
所轄税務署の徴収担当(管理運営・徴収部門)宛に書面で申し出るのが実務上の運用である。法定の申請書式は定められていないため、財産の時価、滞納国税額、先順位債権額を数字で示した理由書を作るとよい。実務のポイント:口頭の相談は記録に残らず、担当者が替われば消える。書面で出して収受印をもらった控えを持つと、後に審査請求へ進むとき、いつ何を主張したかの証拠になる
Q2「著しく超過」って、何倍くらいから認められるんですか?
79条2項1号に明確な倍率基準はなく、実務上、解釈が分かれている。滞納処分費、先順位債権、公売時の減価(市場価格より低く落ちるのが通常)を差し引いた見込額との比較で判断されるため、時価の単純な倍率だけでは決まらない。実務のポイント:不動産の公売価額は市場価格の7割前後に落ちることが多く、徴収側はその減価を前提に「超過ではない」と説明してくる。反論するなら不動産業者の査定書を添えて、公売見込額でも著しく超過することを示す
Q3差押えが解除されたら、滞納していた税金はチャラになるんですか?
ならない。79条の解除は、財産に対する執行手続を終わらせるだけで、国税債権そのものは残り、延滞税も加算され続ける。三回公売で買い手がつかず2項3号で解除された場合も同じである。実務のポイント:解除と混同されやすいのが「滞納処分の停止」(国税徴収法153条)で、こちらは停止が3年継続すると納税義務そのものが消滅する。生活困窮が続くなら、解除より153条の適用を狙う方が本質的な出口になる
Q4他の財産を差し出せば、今の差押えは必ず外れますか?
必ずではない。79条2項2号は「適当な財産を提供した場合において、その財産を差し押さえたとき」と定めており、提供財産が実際に差し押さえられ、かつ徴収に足りると認められることが前提になる。裁量的解除なので、提供しただけでは効果は生じない。実務のポイント:換価に手間のかかる財産(共有持分、非上場株式、係争中の債権)を差し出しても通りにくい。預金や上場株式のように現金化が読める財産を出せるかどうかで、結論が分かれる
間違えやすい点 AI による整理
- 「差押えを外すには税金を全額払うしかない」と思い込んでいる人が圧倒的に多いが、79条1項2号と2項は、税金が残っていても解除される類型を定めている。無益な差押えと超過差押えは、納付ゼロでも解除されうる
- 超過差押えが違法であることは知っていても、その深刻度を測れていない人が多い。差押登記が入った不動産は事実上売却も借入もできず、事業者なら運転資金が止まる。数十万円の滞納で数千万円の資産が凍結される、この不均衡が「著しく超過」の判断を動かす実質的な理由だ
- 「解除を申し出ても、結局は役所の胸三寸だから無駄」という前提そのものが誤っている。1項は義務規定であり、要件を満たせば裁量の余地はない。要件該当の主張が通れば、解除しない処分は違法となり、審査請求(国税通則法75条)や取消訴訟の対象になる
- 差押えが解除されれば納税義務も軽くなると考える人がいるが、法律から見れば全く別の話だ。解除は執行手続の終了にすぎず、国税債権そのものは残る。延滞税も走り続ける。この落差を理解しないまま安心すると、次の差押えを食らう
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の性質 | 79条:差押えの解除(1項=義務/2項=裁量) | 48条:超過差押え及び無益な差押えの禁止(差押時の規律) 153条:滞納処分の停止(納税義務の消滅ルート) |
| 働くタイミング | 差押え後、要件が生じた時点 | 差押えを行う時点の判断基準 無財産・生活困窮等が継続している局面 |
| 納税義務への影響 | 国税債権は残り、延滞税も加算され続ける | 違反すれば当該差押えが違法評価を受ける 停止が3年継続すると納税義務そのものが消滅 |
| 誰が動かすか | 1項は徴収職員の義務、2項は滞納者の申出が実質的な起点 | 徴収職員の差押判断 税務署長の職権判断(申立ては事実上の端緒) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は行政執行分署が執行を担い、超額査封の禁止は準用される強制執行法に依拠する。日本のように解除要件を租税徴収法典内で義務/裁量に二分して明文化する構造は取っていない
韓国も必要的解除事由と任意的解除事由を条文上区別しており、日本法と最も構造が近い。無剰余・超過を理由とする解除の枠組みも共通する
ドイツは無益な差押えの禁止を差押段階の要件として規定し、解除は執行機関の職権による。比例原則が憲法レベルで執行全体を統制する点が日本より前面に出る
米国は IRS が levy を解除すべき事由(徴収不能、経済的困窮、財産価値が徴収費用を下回る等)を列挙し、納税者側からの release 請求手続が制度化されている。日本の2項に近い申出型の設計
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 滞納税額80万円に対して、時価3,000万円のマンションが差し押さえられた。登記簿に差押えの記載が入り、売却も担保設定もできない。これは2項1号の「著しく超過」に当たりうる典型例で、超過部分の解除を申し出る余地がある。黙っていれば、差押えは公売まで走り続ける
- 住宅ローン残債が時価を上回るオーバーローンの自宅を差し押さえられた。抵当権が先順位で、公売しても税に回る金は一円も残らない。この状態は1項2号の「無益な差押え」であり、徴収職員は解除しなければならない義務を負う。任意売却の交渉が動き出すのは、この一手からだ
- 会社の売掛金債権を差し押さえられ、取引先に債権差押通知書が届いた。信用不安で取引を切られる寸前。他に換価しやすい定期預金があるなら、2項2号の代替財産提供を申し出て、取引先への影響を止める道がある。あと数日で次回の入金日が来る
- 所有する山林が三回公売にかけられたが、入札はゼロ。形状も接道も悪く、次も買い手はつかない。2項3号はこの状況を想定して解除の道を開いている。ただし解除されても税金は消えない。差押えが外れることと、債務が消えることは別だ
- 更正処分の取消しを求めて不服申立てをし、審査請求が認容された。国税の全額が消滅した以上、1項1号により差押えは当然に解除される。だが解除の登記が実際に入るまでの時間差で、不動産取引が止まったままになることがある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 差押調書・差押登記の内容を確認し、対象財産の時価、滞納国税の総額、先順位の抵当権や優先債権の額を数字で並べる2. 時価が滞納額と優先債権の合計を下回るなら1項2号(無益差押え)、著しく上回るなら2項1号(超過差押え)を主張3. 換価容易な代替財産があるなら2項2号による提供を書面で申し出る4. 解除されない場合、その不作為や処分について国税通則法75条の審査請求を検討。税理士または滞納処分に強い弁護士へ相談
訴えられた側:徴収側の立場であれば、1項該当性は裁量の余地なく判定すべき事項であり、見落としは違法評価に直結する。差押時に見積もった財産価額と優先債権額を定期的に洗い直し、値下がりや先順位債権の増加で無益差押えに転じていないか確認する。滞納者から代替財産の提供があった場合、換価の確実性と徴収額の充足を基準に判断し、記録を残す
時効(請求できる期限):本条の解除自体に固有の期限はない。解除しない処分に不服がある場合、国税通則法77条により、処分があったことを知った日の翌日から原則3か月以内に再調査の請求または審査請求を行う必要がある。また国税の徴収権自体は法定納期限の翌日から5年で時効消滅する(国税通則法72条。差押えによる時効の完成猶予・更新に注意。最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:79条1項は要件該当により解除義務が生じる羈束処分であり、徴収職員に裁量の余地はないと解される。これに対し2項は効果裁量を認める規定だが、著しい超過が明白な場合には比例原則により裁量が収縮し、解除しないことが違法となり得るとされる。
実務運用:無益・超過の判定は、時価の単純比較ではなく、公売による減価と滞納処分費、先順位債権額を控除した配当見込額を基準に行われる。差押時点で適法でも、値下がりや先順位債権の増加により事後的に1項2号に転じ得るため、価額の洗い直しが求められる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:国税徴収法の全部改正(昭和34年法律第147号)により、差押えの解除に関する要件を義務的解除(1項)と裁量的解除(2項)に整理して規定
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