国税徴収法 第153条(滞納処分の停止の要件等)
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- 税務署長は、滞納者につき次の各号のいずれかに該当する事実があると認めるときは、滞納処分の執行を停止することができる。
- 一滞納処分の執行及び租税条約等の相手国等に対する共助対象国税の徴収の共助の要請による徴収(以下この項において「滞納処分の執行等」という。)をすることができる財産がないとき。
- 二滞納処分の執行等をすることによつてその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。
- 三その所在及び滞納処分の執行等をすることができる財産がともに不明であるとき。
- 2.税務署長は、前項の規定により滞納処分の執行を停止したときは、その旨を滞納者に通知しなければならない。
- 3.税務署長は、第一項第二号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その停止に係る国税について差し押さえた財産があるときは、その差押えを解除しなければならない。
- 4.第一項の規定により滞納処分の執行を停止した国税を納付する義務は、その執行の停止が三年間継続したときは、消滅する。
- 5.第一項第一号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その国税が限定承認に係るものであるとき、その他その国税を徴収することができないことが明らかであるときは、税務署長は、前項の規定にかかわらず、その国税を納付する義務を直ちに消滅させることができる。
この条文の基本情報
滞納処分の停止の要件等とは何ですか?
定義滞納処分の停止の要件等とは、国税徴収法第153条に定められた規定で、「税務署長は、滞納者につき次の各号のいずれかに該当する事実があると認めるときは、滞納処分の執行を停止することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第153条(滞納処分の停止の要件等)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第153条の条文原文は「税務署長は、滞納者につき次の各号のいずれかに該当する事実があると認めるときは、滞納処分の執行を停止することができる。」で始まります。
- 国税徴収法第153条は第二節に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第153条の前の条は国税徴収法第152条です。
- 国税徴収法第153条の次の条は国税徴収法第154条です。
- 国税徴収法第153条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第153条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第153条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/153
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法153条は、無財産・生活の著しい窮迫・所在不明のいずれかがあるとき、税務署長が滞納処分の執行を停止できると定める。停止が三年継続すれば納税義務は消滅する。
Q · 税金を滞納したまま払えない場合、支払義務が消えることはあるの?
執行停止が三年続けば納税義務は消滅する
国税徴収法153条1項により、税務署長は、差し押さえる財産がないとき、滞納処分により生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき、所在も財産も不明のときのいずれかに該当すると認めれば、滞納処分の執行を停止できます。停止が三年間継続すると納税義務は消滅します(同条4項)。生活窮迫を理由とする停止では既存の差押えを解除しなければならず(3項)、限定承認など徴収不能が明らかな場合は三年を待たず直ちに消滅させられます(5項)。
解説
税金を滞納したまま逃げ切ることはできない、と多くの人が信じている。ところが国税徴収法153条は、その信念に例外の穴を開けている。税務署長は、差し押さえる財産がない、差し押さえたら生活が著しく窮迫する、本人の所在も財産も不明、この三つのいずれかに当たると認めたとき、滞納処分の執行を停止できる。そして停止が三年間続けば、納税義務そのものが消滅する。破産免責を経ても税金は残るのに、この条文だけは税金を消す。しかも二号(生活窮迫)で停止した場合、既に差し押さえられている財産があれば、税務署長は差押えを解除しなければならない。あなたが知っておくべきは、これが「申請すれば通る制度」ではなく、税務署長の職権判断だという点だ。だからこそ、あなたの生活実態をどう税務署に伝えるかが、三年後に義務が消えるか消えないかを分ける。
法的な位置づけ
国税徴収法153条は滞納処分の停止を定める規定であり、税務署長が、無財産、生活の著しい窮迫のおそれ、所在及び財産の不明のいずれかの事実を認めるときに滞納処分の執行を停止できる旨を規定する。停止が三年間継続したときは当該国税の納付義務が消滅し、徴収手続の終局的な出口として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.督促・差押予告を受けたら期限前に徴収担当へ連絡する 封筒を放置せず、記載の期限前に所轄税務署の徴収担当へ連絡する。連絡した事実が財産調査と実態把握の起点になり、所在不明(3号)扱いで宙吊りになる事態を避けられる
- 2.収支・資産・扶養・医療費を一覧化して生活実態を数値化する 月次の収入、家賃、光熱費、医療費、扶養家族数、預貯金残高、保有資産を一覧表にする。「苦しい」という体感ではなく、可処分所得が生活維持水準を下回ることを数字で示すことが1項2号の要件事実に届く条件になる
- 3.換価の猶予と執行停止のどちらが実態に合うか整理する 分割で納付できる資力が残るなら換価の猶予(151条の2)、そもそも徴収可能な財産がない、または徴収すれば生活が著しく窮迫するなら153条の執行停止。どちらの土俵で話すかを徴収担当と明確にする
- 4.既に差押えがある場合は2号該当性を軸に解除を求める 給与・年金が差し押さえられている場合、1項2号による停止であれば3項により差押解除は税務署長の義務となる。給与の差押禁止額(76条)の計算結果とあわせ、差押可能額がほぼ残らない実態を示す
- 5.停止の通知書を受け取ったら日付を管理し三年間保管する 2項により停止したときは滞納者への通知が義務づけられている。通知書の日付が4項の三年経過の起点を立証する材料になるため、原本を保管し、三年経過日をカレンダーに記録する
よくある質問 AI による整理
Q1滞納処分の停止とは何ですか?
税務署長が職権で滞納処分の執行を止める措置です。国税徴収法153条1項が根拠で、無財産・生活の著しい窮迫のおそれ・所在及び財産の不明のいずれかに該当すると認めた場合に行われます。
Q2滞納した税金はいつ消滅しますか?
執行停止が三年間継続したときに納付義務が消滅します(153条4項)。限定承認など徴収不能が明らかな一号停止では、三年を待たず直ちに消滅させられます(5項)。
Q3滞納処分の停止は申請できますか?
申請権は法定されていません。税務署長の職権発動です。納税者にできるのは財産調査に協力し、収支・扶養・医療費など生活実態を数字で示して判断材料を提供することです。
Q4生活が苦しいと差押えは解除される?
153条1項2号(生活の著しい窮迫)で執行停止された場合、税務署長は差し押さえた財産の差押えを解除しなければなりません(同条3項)。1号・3号停止には解除義務の規定はありません。
Q5執行停止は取り消されることがありますか?
あります。停止後に資力が回復するなど停止事由が消滅すれば、国税徴収法154条により停止は取り消され、徴収が再開されます。三年経過後は義務が消滅しているため再開できません。
Q6自己破産すれば滞納税金も免責されますか?
免責されません。租税債権は破産法上の非免責債権です。破産後も残る国税を消滅させうる法的経路が国税徴収法153条4項・5項による納付義務の消滅です。
Q7住民税や国保料も同じ扱いですか?
地方税法15条の7に同型の滞納処分の停止規定があります。ただし所管は各自治体であり、国税で停止されても自動連動しません。市区町村へ別途生活実態を示す必要があります。
Q8執行停止と換価の猶予はどう違いますか?
換価の猶予(国税徴収法151条の2)は分割納付を前提に換価を待つ制度で義務は残ります。執行停止は徴収手続自体を止め、三年継続で義務が消滅しうる点が決定的に異なります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1執行停止って、こっちからお願いできるものなんですか?
153条1項は「税務署長は…停止することができる」と定めており、納税者に申請権はありません。動くのはあくまで税務署長の職権です。ただし停止した場合は本人への通知が義務づけられています(同条2項)。実務のポイント:徴収の現場では、本人が財産調査に協力し収支資料を出した案件ほど実態が把握され、停止の判断材料が揃う。連絡を絶つと三号(所在不明)扱いで放置され、生活再建に必要な解除も受けられないまま宙吊りになる
Q2三年経てば必ず税金は消えるんですか?
消えるのは執行停止が三年間「継続」した場合です(153条4項)。途中で資力が回復したと判断されて停止が取り消されれば、カウントは続きません。逆に一号停止かつ限定承認など徴収不能が明らかなときは、三年を待たず直ちに消滅させられます(同条5項)。実務のポイント:三年の起点は停止処分の日であり、滞納が始まった日ではない。通知書の日付を残しておくかどうかで、後の主張の強さが変わる
Q3すでに給料を差し押さえられているんですが、解除される可能性はありますか?
153条3項は、1項2号(生活の著しい窮迫)による停止の場合に、差押財産の解除を税務署長に義務づけています。つまり生活窮迫を理由とする停止であれば、差押えは解除されなければなりません。実務のポイント:給与は差押禁止額の計算(国税徴収法76条)があり、そもそも手取りが低ければ差押可能額はほとんど残らない。窮迫の主張は、扶養家族数と医療費を含めた実額で示すと要件事実に届きやすい
Q4自己破産すれば税金の滞納も片づくと思っていたんですが、違うんですか?
違います。租税債権は破産法上の非免責債権であり、免責許可を受けても納税義務は残ります。破産後も残る国税を実際に消滅させうる法的経路が153条4項・5項による義務の消滅です。実務のポイント:破産手続と滞納整理は所管が別で、自動的には連動しない。破産を選ぶ場合でも、税務署の徴収担当には別途生活実態を伝えておかないと、免責決定後に差押えだけが残る
間違えやすい点 AI による整理
- 「執行停止を申請すれば認められる」と考える人が多いが、そもそも問いの立て方が誤っている。153条は納税者に申請権を与えておらず、税務署長の職権発動である。あなたにできるのは申請ではなく、財産調査への協力と生活実態の疎明を通じて、税務署長が停止要件に該当すると「認める」材料を積むことだけだ
- 「執行停止 = すぐ税金がゼロになる」と誤解されやすい。停止はあくまで徴収手続を止めるだけで、納税義務は残ったままだ。消滅するのは停止が三年間継続したとき(四項)、または一号停止かつ徴収不能が明らかなとき(五項)。三年の途中で資力が回復したと判断されれば、停止は取り消され、徴収が再開する
- 破産手続で借金が消えたのだから税金も消えたはずだ、と信じている人がいる。破産法上、租税債権は非免責債権であり、破産免責では消えない。破産を経てなお残る税金を実際に消しうる数少ない法的経路がこの153条であり、破産と滞納処分の停止はまったく別の手続として並行して考える必要がある
- 「生活が苦しい」と口頭で伝えれば二号に当たると考えがちだが、法律から見れば求められているのは「著しい窮迫のおそれ」という要件事実であり、そこには収入・支出・扶養家族・医療費の具体的な数字が要る。あなたの体感的な苦しさと、税務署が動かせる要件事実の間には、この落差がある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 153条:徴収不能・生活窮迫・所在不明の場合に執行を止め、三年で義務を消滅させる出口 | 151条の2:分割納付を前提に換価を待つ猶予 154条:停止事由が消滅した場合の停止取消しと徴収再開 |
| 納税義務の帰趨 | 停止が三年継続すれば消滅(4項)、一号かつ徴収不能明白なら直ちに消滅(5項) | 義務は残り、猶予期間経過後に納付を要する 義務は残ったまま徴収が再開される |
| 差押えの扱い | 2号停止では差押解除が税務署長の義務(3項) | 換価を止めるのみで差押え自体は原則維持 取消し後、あらためて差押えが可能 |
| 発動主体・手続 | 税務署長の職権判断、停止時は滞納者への通知が義務(2項) | 申請による猶予と職権による猶予の双方がある 税務署長の職権による取消し |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は徴収権の行使期間経過と執行の終止を組み合わせて処理する。日本のように「停止の三年継続」を独立の消滅事由とする明文構成ではない点が異なる
韓国も無財産等を理由とする滞納処分の中止を定め、日本法と近い構造を持つ。ただし義務消滅との接続の仕方は各改正で変動しており個別確認を要する
ドイツは徴収不能の租税債権を内部的に不徴収処理(Niederschlagung)する。行政内部の措置であり請求権自体は当然には消滅しない点で、三年経過で義務が消滅する日本法と決定的に異なる
米国 IRS は徴収不能状態を CNC として徴収を停止するが、義務が消えるのは原則として査定から10年の徴収時効(CSED)到来による。停止自体が消滅事由となる日本法とは設計が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 個人事業が廃業し、消費税と所得税を合わせて300万円滞納したまま日雇いの仕事で食いつないでいる。預貯金も不動産もなく、給与の差押可能額もほぼゼロ。この状態が第一項一号の「財産がないとき」に該当する可能性がある。滞納整理の窓口で財産調査に協力し、実態を示すことが起点になる
- 年金と生活保護に近い水準の収入で暮らす高齢者が、過去の住民税・国税を抱えている。年金の一部を差し押さえられたら食費も薬代も出ない。これが二号の「生活を著しく窮迫させるおそれ」。しかも二号で停止されれば、既にかかっている差押えは解除しなければならない(三項)
- 会社が事実上倒産し、代表者が第二次納税義務を負ったまま行方をくらました。所在も財産も分からない状態は三号に該当する。ただし、この場合は本人が知らないうちに停止が始まり、三年後に義務が消える可能性がある。逆に言えば、税務署が本人を発見した時点で停止は取り消されうる
- もし、亡くなった親の相続で限定承認をしたが、相続財産では親の滞納国税を払いきれないとしたら? 五項が働く。一号で停止された国税のうち、限定承認に係るもの等、徴収できないことが明らかなものは、三年を待たずに直ちに義務を消滅させることができる
- 滞納整理の担当者から「執行停止を検討する」と言われたが、その後何の通知も来ない。二項は通知義務を定めている。通知が来ないなら停止されていない可能性が高い。三年のカウントが始まっているかどうか、あと数か月の判断ミスで数百万円の義務が残るか消えるかが決まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 督促や差押予告が届いたら無視せず、期限前に税務署の徴収担当へ連絡する。連絡した事実自体が実態把握の入口になる2. 収入・預貯金・家賃・医療費・扶養家族を一覧化し、可処分所得が生活維持水準を下回ることを数字で示す3. 一括納付が不能でも分納(換価の猶予、国税徴収法151条の2)と執行停止のどちらが実態に合うかを担当者と整理する4. 停止となった場合は二項の通知書を必ず保管し、三年経過の起点を自分で管理する
訴えられた側:1. 徴収する側の立場であれば、三つの号のいずれに該当するかを財産調査(同法141条以下の質問検査権)の結果で特定する2. 二号による停止では差押解除が義務であり(三項)、解除漏れは違法な差押えの継続になる3. 停止後に資力回復が判明した場合は停止を取り消し徴収を再開できるが、四項の三年経過後は義務が消滅しており再開できない4. 一号かつ限定承認等で徴収不能が明白なら、五項で直ちに消滅させる処理を検討する
時効(請求できる期限):四項により、執行停止が三年間継続したときに納税義務は消滅する。起算点は停止の効力が生じた日であり、二項の通知が実務上の確認手段になる。なお国税の徴収権は原則として法定納期限の翌日から五年で時効消滅する(国税通則法72条)が、差押え等により時効の完成猶予・更新が生じる点に注意(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(徴収実務・租税法学):153条は納税者に申請権を認めた規定ではなく、徴収不能な租税債権を整理するための税務署長の職権規定と解される。もっとも1項2号は憲法25条の生存権保障を租税徴収手続に反映させた規定と位置づけられ、要件該当性の判断には生活実態の具体的資料が不可欠とされる。
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