国税徴収法 第48条(超過差押及び無益な差押の禁止)
クイックジャンプ
- 国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押えることができない。
- 2.差し押えることができる財産の価額がその差押に係る滞納処分費及び徴収すべき国税に先だつ他の国税、地方税その他の債権の金額の合計額をこえる見込がないときは、その財産は、差し押えることができない。
この条文の基本情報
超過差押及び無益な差押の禁止とは何ですか?
定義超過差押及び無益な差押の禁止とは、国税徴収法第48条に定められた規定で、「国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押えることができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第48条(超過差押及び無益な差押の禁止)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第48条の条文原文は「国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押えることができない。」で始まります。
- 国税徴収法第48条は第一款に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第48条の前の条は国税徴収法第47条です。
- 国税徴収法第48条の次の条は国税徴収法第49条です。
- 国税徴収法第48条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第48条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第48条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/48
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法48条は、徴収に必要な範囲を超える差押え(1項)と、滞納処分費及び優先債権の合計額を超える見込みがない財産の差押え(2項)を禁止する規定である。
Q · 税務署は、売っても国にお金が入らない財産でも差し押さえられるの?
できません。実益のない差押えは48条2項が禁止しています
国税徴収法48条2項は、差押財産の価額が滞納処分費及び優先する他の債権の金額の合計額を超える見込みがないとき、その財産を差し押さえることができないと定めています(無益な差押えの禁止)。1項は徴収に必要な範囲を超える差押えも禁じています(超過差押えの禁止)。要件を満たすことが明らかになれば、同法79条1項2号により差押えの解除は税務署の義務です。ただし判断の起点は徴収職員側にあるため、抵当権者の残高証明と時価査定書で剰余がないことを数字で示す必要があります。
解説
税務署の差押えには、条文で引かれた上限が二本ある。国税徴収法48条1項、徴収に必要な範囲を超える財産は押さえられない(超過差押えの禁止)。同条2項、公売しても滞納処分費と優先する抵当権などを差し引いた残りが出る見込みのない財産は、そもそも押さえられない(無益な差押えの禁止)。ここが多くの滞納者の盲点だ。住宅ローン残債3,150万円、時価2,800万円の自宅を押さえられても、多くの人は「税金を払っていないのだから仕方ない」と受け止めて終わる。だが配当の見込みがゼロだと数字で示せば、税務署は79条1項2号により差押えを解除しなければならない。お願いではなく、法律上の義務である。あなたが動かすのは職員の同情ではなく、優先債権額と時価を並べた一枚の計算だ。
法的な位置づけ
国税徴収法48条は差押えの制限を定める規定であり、1項で国税の徴収に必要な財産以外の差押えを禁止し(超過差押えの禁止)、2項で差押財産の価額が滞納処分費及び優先する他の債権の金額の合計額を超える見込みのない場合の差押えを禁止する(無益な差押えの禁止)。滞納処分における比例原則の具体化であり、事後の是正は同法79条の解除義務による。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.差押調書と登記事項証明書で対象と金額を特定する 差押調書で押さえられた財産の範囲と金額を確認し、不動産なら登記事項証明書の権利部で差押登記と抵当権の順位を確認する。滞納額・滞納処分費と差押財産の価額が釣り合っているかをここで見る
- 2.優先債権額と時価を数字でそろえる 抵当権者から残高証明書を取得し、不動産業者から複数社の査定書、近隣の成約事例をそろえる。優先債権額と滞納処分費の合計が時価を上回ることを一枚の計算表にまとめる
- 3.書面で差押解除を申し出る 徴収職員へ、48条2項に該当し79条1項2号により解除が義務であることを明示した書面を提出する。可分な財産なら79条2項1号による一部解除も併せて求める。口頭ではなく書面で記録を残す
- 4.換価の猶予を同時に申請して公売の進行を止める 分割納付の具体案を添えて換価の猶予(151条の2、原則として納期限から6か月以内の申請)を申請する。解除の主張だけを繰り返すより、納付意思を示した側の主張のほうが通りやすい
- 5.動かなければ期限内に不服申立てを行う 処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に、再調査の請求または審査請求を行う(国税通則法75条・77条)。公売で買受人へ所有権が移転した後は、違法と認められても原状回復は事実上不可能になる
よくある質問 AI による整理
Q1超過差押えとは何ですか?
国税の徴収に必要な範囲を超えて財産を差し押さえることで、国税徴収法48条1項が禁止しています。ただし一個の不動産や一台の機械のように分割できない財産は、価額が滞納額を超えても直ちに違法とはされないのが実務の運用です。
Q2無益な差押えとは何ですか?
公売しても滞納処分費と優先する抵当権などを差し引いた残りが出る見込みのない財産を差し押さえることで、国税徴収法48条2項が禁止しています。住宅ローン残債が時価を上回る自宅が典型例です。
Q3差し押さえられた財産はいつ解除されますか?
国税の完納や滞納処分の停止のほか、48条2項の要件を満たすことが明らかになったときは、79条1項2号により税務署は差押えを解除しなければなりません。解除は職権ですが、実際は資料の提出が起点になります。
Q4差し押さえられた家に住み続けられますか?
不動産の差押えは処分を禁止する効力であり、公売で買受人に所有権が移るまで居住自体は続けられます。ただし売却・借り換え・担保設定は登記上止まるため、生活は実質的に凍結されます。
Q5給与はどこまで差し押さえられますか?
給与は全額ではなく、税金・社会保険料や生活に必要な一定額を控除した残りの範囲に限られます(国税徴収法76条)。差押可能額の計算は扶養親族の数によって変わります。
Q6共有名義の不動産も差し押さえられますか?
滞納者の持分に限って差押えができます。ただし登記には差押えの記載が乗るため共有者も売却や担保設定ができなくなり、49条の第三者の権利尊重と48条を並べて財産選択の妥当性を問える立場になります。
Q7差押えに不服があるときの期限は?
処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に、再調査の請求または審査請求を行う必要があります(国税通則法77条1項)。期限を過ぎると違法な差押えでも争えなくなります。
Q8差押えがあると住宅ローンの借り換えはできますか?
登記に差押えの記載が残っている限り、金融機関は借り換えにも任意売却にも応じません。税の滞納整理と住宅ローンの立て直しは、同じ登記簿の上で正面衝突します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1ローンが残ってて売っても足りない家なのに、なんで差し押さえるんですか?
差押えには時効の完成猶予・更新の効果があり(国税通則法72条3項)、ローン残債は年々減るため、税務署は将来の配当可能性を見ている。ただし79条1項2号は、配当の見込みがなくなったときの解除を義務としている。実務のポイント:この解除は職権で行うものだが、職員が自発的に再評価することはまずない。残高証明と査定書を添えた書面を出して初めて内部の検討が始まる。黙っていれば差押えは何年でも登記に残り続ける
Q2滞納は50万なのに900万の機械を丸ごと押さえられました。違法ですよね?
48条1項は徴収に必要な範囲を超える差押えを禁じるが、一個の不動産や一台の機械のように分割できない財産は、価額が滞納額を超えても直ちに違法とはされないのが実務の運用で、この点は解釈が分かれている。実務のポイント:土地なら分筆、債権なら一部差押えというかたちで可分性を作り出せる場合がある。可分にできると示した瞬間、79条2項1号による一部解除の交渉テーブルに乗る
Q3差押えを解除してもらえたら、滞納はチャラになるんですか?
ならない。解除は差押えの効力を消すだけで、滞納した国税そのものは残る。納税義務まで消えるのは滞納処分の停止(153条)が3年継続した場合で、徴収できないことが明らかなときに即時に消滅させる規定もある。実務のポイント:本当に生活が立ち行かない人が狙うべきは解除ではなく停止。停止には収支と財産の実額が要る。給与明細、預金通帳、家賃の領収書をそろえた人だけが土俵に上がれる
Q4「配当の見込みがない」って、誰がどうやって決めるんですか?
差押えの時点で徴収職員が、公売による見積価額と、それに先立つ抵当権などの債権額を比較して判断する(48条2項)。評価は固定資産税評価額や路線価をもとに機械的に行われることが多い。実務のポイント:この見積りは実勢価格より高めに出がちで、そこが最大の争点になる。複数業者の査定書と近隣の成約事例を並べれば、評価の前提そのものを崩せる。鑑定士の正式鑑定まで取る必要は必ずしもない
間違えやすい点 AI による整理
- 「差押えを止められるか」という問いの立て方そのものがずれている。48条は差押えを止める規定ではなく、押さえてよい財産の範囲を画す規定だ。争点は「差押えの可否」ではなく「この財産を押さえて国に配当が入るのか」。問いを立て直した瞬間、集めるべき書類が謝罪文から残高証明と査定書に変わる
- あなたから見れば、ローン残債が時価を上回った家は価値ゼロの負債だ。だが税務署から見れば、差押えには時効の完成猶予・更新の効果(国税通則法72条3項)があり、残債は年々減り、地価は上がることもある。この見え方の落差が、解除の申出が一度で通らない現実を作っている。落差を埋めるのは感情ではなく評価時点の数字である
- 超過差押えが違法だという知識までは持っていても、違法イコール当然無効ではないという深さまで知る人は少ない。違法な差押えでも、取り消されるまでは効力を持ち、手続は公売へ進む。誰かが職権で気付いて止めてくれることはまずない。自分で不服申立てをしない限り、違法な状態は時間とともに既成事実になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 48条:押さえてよい財産の範囲を事前に画す(禁止規範) | 47条:差押えができる時期の要件(督促後10日経過) 79条:既にした差押えを事後に解除する義務・裁量 |
| 判断のものさし | 徴収に必要な範囲か(1項)/剰余の見込みがあるか(2項) | 督促と期間の経過という形式要件 完納・滞納処分の停止・剰余の消滅などの事後事情 |
| 違反した場合 | 違法だが当然無効ではなく、取り消されるまで手続は進む | 要件を欠く差押えは違法として争える 要件を満たすのに解除しないこと自体を不服申立てで争える |
| 納税者が使う場面 | 差押えの直後、公売の見積価額が固まる前 | 督促状の到達日と差押日の先後を検証するとき 残高証明と査定書がそろい、剰余ゼロを示せたとき |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾は民事の強制執行法に超額査封と無益查封の禁止を置き、行政執行法26条がこれを税捐の滞納処分に準用する。日本のように徴収法自体に置く構造ではないが、規範内容は48条1項・2項とほぼ重なる
韓国も国税徴収法の中に超過押収の禁止と無益な押収の禁止に相当する制限を置く。具体的な条番号は現行法での確認を要する
税務機関の査封・扣押は「納付すべき税額に相当する」商品・貨物その他の財産に限られる。範囲の制限は明文だが、剰余の見込みを要件とする無益な差押えの禁止に相当する規定は日本ほど明確でない
換価によって執行費用を超える剰余が期待できないときは差押えを行わないと定め、日本の48条2項と発想がほぼ一致する。租税手続法典の中に置かれている点も共通
IRS は、費用が財産の価額を上回るとき(uneconomical levy)差押えを行えない。剰余を要件とする点で48条2項に近いが、判断は行政内部の基準に強く委ねられる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 公売の公告が出た。入札期日まで3週間。あなたの家は時価2,800万円、住宅ローン残債3,150万円で、公売しても国への配当はゼロになる。無益な差押えを主張できるのは公売が終わるまで。買受人へ所有権が移った後は、たとえ違法だったと認められても家は戻らない
- もし滞納額50万円に対して、時価900万円の事業用機械一式が丸ごと差し押さえられたら、それは超過差押えか。答えは単純ではない。物理的に分けられない一個の財産は、価額が滞納額を大きく超えても直ちに違法とはされないのが実務の運用である。争える余地が生まれるのは、財産が可分なとき、そして他に押さえるべき財産があったときだ
- 取引先への売掛金400万円が全額差し押さえられた。滞納は80万円。債権は分けられるのだから、まず差押調書の金額が滞納額と滞納処分費に見合っているかを確認する
- あなた自身は1円も滞納していない。だが共有名義の実家に、兄の滞納で差押えが入った。押さえられたのは兄の持分だけでも、登記には差押えの記載が乗り、売却も担保設定も止まる。49条の第三者の権利尊重と48条を並べて、他に押さえるべき財産がなかったのかを問える立場にいる
- 分割納付を申し出ている最中に差押通知が届いた。徴収職員に「払う意思はあると言っているのに、なぜ外せないのか」と訴えても答えは動かない。差押えの可否は納税の意思とは別の基準で決まるからだ。動かせるのは、押さえた財産に配当の見込みがあるかどうか、その一点である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 差押調書と登記事項証明書を取り、押さえられた財産と金額を特定する2. 抵当権者から残高証明、不動産業者から査定書を複数社分そろえ、優先債権額が時価を上回ることを数字で示す3. 徴収職員へ書面で差押解除を求める(79条1項2号は要件を満たせば解除が義務) 4. 動かなければ、処分を知った日の翌日から3か月以内に再調査の請求または審査請求(国税通則法75条、77条)。並行して換価の猶予を申請し、公売の進行そのものを遅らせる
訴えられた側:他人の滞納に巻き込まれた側(共有者、抵当権者、売掛金の第三債務者)の手順。1. 差押調書で、押さえられたのが誰の権利のどの範囲かを確認し、自分の持分まで及んでいないか見る2. 第三債務者なら、差押通知書に記載された金額を超えて国へ支払う義務はない、超過分は本来の債権者へ支払う3. 自分の財産が誤って含まれていれば、滞納者の財産ではないとして異議を申し立て、49条の第三者の権利尊重も併せて主張する
時効(請求できる期限):差押解除の申出そのものに期限はないが、公売により買受人へ所有権が移転すると原状回復は事実上不可能になる。差押処分を争うなら、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に再調査の請求または審査請求(国税通則法77条1項)。取消訴訟は審査請求の裁決を経たうえで、裁決を知った日の翌日から6か月以内(行政事件訴訟法14条、国税通則法115条の審査請求前置。最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:48条は徴収権限の内側に比例原則を組み込んだ規定であり、1項が範囲の制限、2項が実益の制限を担う。もっとも本条違反の差押えは違法にとどまり当然無効ではなく、実効性は79条の解除義務と不服申立てによる事後統制に依存すると解される。
実務の運用:一個の不動産や不可分な機械については、価額が滞納額を超えても直ちに超過差押えとはされない。可分性を作り出せる場合(土地の分筆、債権の一部差押え)に初めて79条2項1号による一部解除の検討対象となるとされ、この点の線引きは解釈が分かれている。
改正沿革 AI による整理
- 昭和34年(1959年)国税徴収法全部改正 現行国税徴収法の制定に伴い新設された条文と解される。条文が「差し押えることができない」「こえる」など現代語化前の表記のまま残っている点からも、その後に本条の文言が実質的に改められた形跡は乏しい。ただし改正回数と個別改正の有無は未検証であり、人的確認を要する
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:国税徴収法の全部改正に伴い設けられた条文と解される。「差し押えることができない」「こえる」など現代語化前の表記が残っており、その後に本条の文言が実質的に改められた形跡は乏しい。改正回数と個別改正の有無は未検証であり、人的確認を要する
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める