国税徴収法 第74条(差し押さえた持分の払戻しの請求)
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- 税務署長は、中小企業等協同組合法に基づく企業組合、信用金庫その他の法人で組合員、会員その他の持分を有する構成員が任意に(脱退につき予告その他一定の手続を要する場合には、これをした後任意に)脱退することができるもの(合名会社、合資会社及び合同会社を除く。以下この条において「組合等」という。)の組合員、会員その他の構成員である滞納者の持分を差し押さえた場合において、当該持分につき次に掲げる理由があり、かつ、その持分以外の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められるときは、その組合等に対し、その持分の一部の払戻し(組合等による譲受けが認められている持分については、譲受け)を請求することができる。
- 一その持分を再度換価に付してもなお買受人がないこと。
- 二その持分の譲渡につき法律又は定款に制限があるため、譲渡することができないこと。
- 2.前項に規定する請求は、三十日(組合等からの脱退につき、法律又は定款の定めにより、これと異なる一定期間前に組合等に予告することを必要とするものにあつては、その期間)前に組合等にその予告をした後でなければ、行うことができない。
この条文の基本情報
差し押さえた持分の払戻しの請求とは何ですか?
定義差し押さえた持分の払戻しの請求とは、国税徴収法第74条に定められた規定で、「税務署長は、中小企業等協同組合法に基づく企業組合、信用金庫その他の法人で組合員、会員その他の持分を有する構成員が任意に(脱退につき予告その他一定の手続を要する場…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第74条(差し押さえた持分の払戻しの請求)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第74条の条文原文は「税務署長は、中小企業等協同組合法に基づく企業組合、信用金庫その他の法人で組合員、会員その他の持分を有する構成員が任意に(脱退につき予告その他一定の手続を要する場…」で始まります。
- 国税徴収法第74条は第五款に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第74条の前の条は国税徴収法第73条の2です。
- 国税徴収法第74条の次の条は国税徴収法第75条です。
- 国税徴収法第74条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第74条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第74条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/74
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法74条は、差し押さえた組合等の持分が換価できず、他の財産でも国税に不足するとき、税務署長が組合等に持分の一部の払戻しを請求できると定める。請求には30日前の予告を要する。
Q · 信用金庫の出資金を差し押さえられました。売れない出資金でも税務署は取り立てられるんですか?
差し押さえた持分が売れなければ、組合本体に払戻しを請求できます
国税徴収法74条により、税務署長は差し押さえた組合等の持分について、再度の換価でも買受人がない、または法律・定款の譲渡制限で譲渡できないという理由があり、かつ持分以外の財産に滞納処分を執行してもなお国税に不足する場合に、組合等へ持分の一部の払戻しを請求できます。請求の相手方は滞納者ではなく組合等であり、実行には30日(脱退につき法律または定款が異なる予告期間を定めるときはその期間)前の予告が必要です。この予告期間が、換価の猶予申請などを検討できる最後の窓になります。
解説
信用金庫の出資金や事業協同組合の持分は、預金と違って自由に引き出せない。だから税務署も手を出せない。そう考えている中小企業の経営者は少なくないが、国税徴収法74条はその思い込みを正面から崩す条文である。持分を差し押さえても、譲渡制限があったり、公売に二度かけても買い手がつかなければ、それは現金にならない。そこで本条は、税務署長に「組合や信用金庫の本体に対して、持分の一部を払い戻せと請求する権利」を与えた。請求される相手は滞納者であるあなたではなく、組合等という第三者である。ただし発動には絞りがある。他の財産に滞納処分を執行してもなお国税に不足すること、そして請求の30日前までに組合へ予告すること。この予告期間こそ、あなたに残された最後の交渉窓である。
法的な位置づけ
国税徴収法74条は、差し押さえた持分の払戻請求権を定める規定である。企業組合、信用金庫その他任意に脱退できる法人(合名会社・合資会社・合同会社を除く)の構成員である滞納者の持分について、再度の換価不成立または譲渡制限により換価できず、かつ他の財産では徴収すべき国税に不足する場合に、税務署長は組合等に対して持分の一部の払戻しを請求できる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.予告書の日付を確認し、残日数を数える 予告書の到達日と、脱退の予告期間の定めを確認する。原則は30日だが、法律または定款がこれと異なる期間を定めるときはその期間が適用される(74条2項)。まず残り日数を確定させないと、他のすべての手当てが間に合わない
- 2.他に換価可能な財産があるかを棚卸しする 74条1項は「その持分以外の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足する」ことを要件とする。売掛金、車両、保険解約返戻金など換価可能な財産を洗い出し、資料とともに税務署へ提示すれば補充性の要件が崩れる
- 3.換価の猶予または納税の猶予を申請する 国税徴収法151条の2の申請による換価の猶予、または国税通則法46条の納税の猶予を検討する。分割納付計画と収支状況を添えて所轄税務署に提出する。申請期限や要件は最新の様式・手引で確認する
- 4.組合側は定款と法令を照合し、決裁ラインを立てる 予告を受けた組合等は、予告書の記載(滞納者、対象持分、請求予定額)を定款・根拠法令と照合する。請求されるのは持分の一部の払戻しであり全部ではない点、譲受けが認められる持分は譲受け請求となる点を押さえ、理事会決裁の日程を予告期間内に組む
よくある質問 AI による整理
Q1国税徴収法74条とは?
差し押さえた組合等の持分が換価できないとき、税務署長が組合本体へ持分の一部払戻しを請求できると定める規定です。再度の換価不成立または譲渡制限、他の財産の不足、30日前の予告が要件です。
Q2持分の払戻し請求の予告は何日前ですか?
原則30日前です。ただし脱退につき法律または定款がこれと異なる予告期間を定める場合は、その期間が適用されます(74条2項)。中小企業等協同組合法では自由脱退に90日前の予告を求める規定があります。
Q3出資金を差し押さえても売れない場合どうなりますか?
差押えが解除されるわけではありません。再度の換価でも買受人がなければ、74条により税務署長が組合等へ持分の一部払戻しを請求する段階に進みます。換価不能は徴収の終点ではありません。
Q4合同会社の持分も74条の対象ですか?
対象外です。合名会社・合資会社・合同会社は条文上除外されています。持分会社については会社法609条が差押債権者に社員を退社させる権利を認めており、別ルートで回収される建て付けです。
Q5農協の出資金は差し押さえられますか?
構成員が任意に脱退できる法人の持分であれば対象になり得ます。74条は企業組合、信用金庫その他の法人を広く含む建て付けで、農業協同組合の出資持分も実務上この枠組みで扱われます。
Q6換価の猶予はいつ申請すべきですか?
予告書を受け取ってから請求が行われるまでの間が実質的な勝負どころです。国税徴収法151条の2の申請による換価の猶予は、納付すべき国税の納期限から6か月以内の申請が要件とされています。
Q7国税徴収法74条の補充性とは?
その持分以外の財産に滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められることが請求の要件である、という意味です。他に換価可能な財産の存在を示せれば、請求自体が成り立ちません。
Q8組合等とは74条ではどの法人を指しますか?
中小企業等協同組合法に基づく企業組合、信用金庫その他、構成員が任意に脱退できる持分を有する法人を指します。合名会社・合資会社・合同会社は除かれます(74条1項)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1信用金庫の出資金って、税務署に差し押さえられるんですか?
差し押さえられる。持分は国税徴収法72条の無体財産権等として差押えの対象になる。ただし自由に売れないため、公売で二度買い手がつかない場合や譲渡制限がある場合は、74条で信用金庫本体に払戻しを請求する流れになる。実務のポイント:出資金は金額が小さくても手続が進むことがある。予告が組合に届いた時点で取引金融機関に滞納が伝わるため、金額が小さいから見逃されるという読みは危うい
Q2組合を脱退して出資金を返してもらえば、差押えを避けられますか?
避けられない。脱退すると持分は持分払戻請求権という債権に変わり、国税徴収法62条の債権差押えの対象になる。第三債務者である組合に差押通知が届けば、組合はあなたに払えなくなる。実務のポイント:差押え後の脱退は、74条の請求より徴収側に有利に働く場合がある。持分のまま置いておく方が、公売不成立や補充性の要件で時間を稼げることがある。動く前に順序を確認する
Q3うちは組合の事務局です。税務署の予告を無視したらどうなりますか?
組合が払戻しに応じなければ、税務署は組合を相手に手続を進めうる。滞納者の財産である払戻請求権を差し押さえ、組合が第三債務者として取立てを受ける構図になり、無視は組合自身のリスクに転化する。実務のポイント:74条2項の予告期間は定款次第で30日より長くなる。定款を確認せずに30日で動こうとすると、資金手当ての時間を自ら放棄することになる
Q4持分を全部持っていかれるんですか?
条文は「持分の一部の払戻し」を請求できると定めており、徴収すべき国税に不足する範囲で行われるのが建前である。組合等による譲受けが認められている持分については、払戻しではなく組合による譲受けを請求する形になる。実務のポイント:請求の前提は他の財産では足りないという判断である。他に換価可能な財産の存在を示せれば、1項の補充性要件が崩れ、請求自体が立たなくなる
間違えやすい点 AI による整理
- 出資金は自由に引き出せないから差し押さえても意味がない、と思われている。実際は72条で無体財産権等として差押えができ、換価できなければ74条で組合に払戻しを請求する二段構えになっている。引き出せないことは、徴収を止める理由にはならない
- 74条の存在を知っている人でも、請求の名宛人が滞納者ではなく組合等であることの重みを見落としがちだ。あなたの滞納が、取引先である信用金庫や協同組合の法務案件に転化する。組合の理事会に自分の名前が上がる、その社会的コストまで含めて初めて本条の射程が見える
- 「組合を脱退して持分を守れないか」という問いの立て方自体が誤っている。脱退すれば持分は持分払戻請求権という債権に変わり、62条の債権差押えの対象になる。組合が第三債務者として取立てを受けるだけで、手続はむしろ簡単になる。逃げ道ではなく近道を差し出すことになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の対象 | 74条:差押済みだが換価できない組合等の持分 | 72条:無体財産権等としての持分そのものの差押え 62条:脱退後に生じた持分払戻請求権(債権) |
| 相手方 | 組合等(第三者)への払戻し請求 | 滞納者に対する差押えと第三者への通知 第三債務者としての組合等への差押通知・取立て |
| 発動要件 | 再度の換価不成立または譲渡制限+他の財産では国税に不足+30日前の予告 | 滞納の事実と差押えの一般要件(47条) 被差押債権の存在と特定 |
| 滞納者側の対抗手段 | 予告期間内に他の財産を示して補充性を崩す、換価の猶予(151条の2) | 超過差押えの禁止(48条)、換価の猶予 債権の不存在・帰属の争い、換価の猶予 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では公法上の金銭債務の強制執行に民事の強制執行法が準用され、その他の財産権については執行法院が譲渡命令・管理命令等を発する構造。組合本体へ払戻しを請求する専用条文を置く日本とは、権限の担い手(行政庁か裁判所か)が異なる
韓国も財産権一般への差押え・換価を認めるが、組合持分の換価不能を要件に本体へ払戻しを求める形式の専用規定を置くかは条文構成が異なるため、機能的対照にとどまる
ドイツは租税基本法(AO)が「その他の財産権への強制執行」を定め、Verwertung(換価)が困難な権利について執行官庁が適切な換価方法を定める柔軟な建て付け。日本のように予告期間を明文化する構造ではない
米国では IRS の levy が property and rights to property 一般に及び、第三者(custodian)に対する surrender の義務が § 6332で課される。第三者を支払窓口とする点で74条と機能が近いが、公売不成立を要件としない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先の信用金庫から「税務署から持分払戻しの予告書が届いた」と連絡が入った。請求はまだ来ていないが、30日後には実行されうる。この30日で換価の猶予を申請するか、他の資産で納付するかを決めなければならない。予告が組合に届いた時点で、あなたの滞納は取引金融機関に事実上知られている
- 事業協同組合の持分が公売にかけられて、二回とも入札ゼロだったらどうなる? 差押えが空振りに終わって解放される、ではない。そこから74条のスイッチが入り、組合本体が支払う側に回る
- あなたが信用金庫の総務担当で、税務署からの予告書を受け取った。無視すれば組合自身が徴収手続の相手方になりうる。一方で定款上、持分の払戻しは事業年度末にしかできない建て付けになっている。法令の要求と定款の実務が衝突する場面で、どちらをどう処理するかを30日以内に決裁に上げる必要がある
- 不動産は既に公売、預金はゼロ。残ったのは農業協同組合の出資金だけだった。財産がないから安全だと考えていたが、74条は「その持分以外の財産につき滞納処分を執行してもなお不足する」ことを発動要件にしている。他に何もないという事実そのものが、最後の一つを狙う条件を満たしてしまう
取るべき行動
被害を受けた側:持分を差し押さえられた滞納者の側の手順。1. 予告書の日付を確認し、請求可能日までの残日数を数える2. 他に換価可能な財産があるなら税務署に示す、74条は補充性が要件であり、他に財産があれば請求は成り立たない3. 換価の猶予(国税徴収法151条の2)または納税の猶予(国税通則法46条)を申請し、分割納付計画を提出する4. 組合の担当者に連絡し、払戻しが実行された場合の組合内の取引や保証への影響を先に把握する
訴えられた側:予告を受けた組合等の側の手順。1. 予告書の記載(滞納者、対象持分、請求予定額)を定款・根拠法令と照合する2. 脱退予告期間が30日を超えるなら74条2項によりその期間が適用される、期間の起算点を文書で確認する3. 請求されるのは持分の一部の払戻しであり、全部の払戻しではない点を押さえる4. 正当な理由なく応じなければ組合自身が徴収手続の相手方になりうるため、理事会決裁のラインを早期に立てる
時効(請求できる期限):74条1項の請求は、30日(脱退につき法律または定款がこれと異なる予告期間を定めるときはその期間)前に組合等へ予告した後でなければ行えない(同条2項)。中小企業等協同組合法18条は自由脱退に90日前の予告を求めており、この種の組合では予告期間が90日となりうる。請求権自体に固有の期間制限はないが、国税の徴収権は法定納期限から5年で時効消滅する(国税通則法72条、最新の改正状況をご確認ください)
学説
実務通説:74条の払戻請求は、換価不能の確認(再度の換価不成立または譲渡制限)、補充性(他の財産では国税に不足)、予告期間の経過という三つの絞りをすべて満たして初めて行使できると理解されている。組合の資本維持と他の構成員の利益に配慮し、請求範囲も持分の一部に限られる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:現行国税徴収法(昭和34年法律第147号)の制定により本条が置かれ、換価できない組合等の持分について組合本体への払戻請求という第二の徴収経路が法定された。
- 2.平成17年(2005年) 改正:会社法の制定に伴う整備により、除外対象の持分会社に合同会社が加えられた。持分会社は会社法609条の退社請求権という別ルートがあるため本条の適用外とされている。
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