要点国税徴収法 18 条は、国税に優先する抵当権等の元本を、担保権者が差押え又は交付要求の通知を受けた時の債権額を限度とする。極度額の増額登記も増加分は新規設定とみなされる。
Q · 契約中の根抵当権、税務署に差し押さえられたら枠いっぱいまで守られるの?
通知を受けた時の残高までしか国税に優先できません
国税徴収法 18 条 1 項により、法定納期限等以前に設定された質権・抵当権が国税に優先できるのは、担保権者が差押え又は交付要求の通知を受けた時点の元本残高までです。通知後に同じ根抵当権の枠内で追加融資しても、その部分は国税に劣後します。2 項は、極度額や債権額を増加する登記がされても、増加分はその登記の時に新たに設定されたものとみなすと定めるため、後から登記で優先枠を買い戻すことはできません。
銀行が握る根抵当権の極度額が1億円、いま借りているのは3000万円。そこへ税務署の差押えが入り、その通知が銀行に届く。この瞬間、銀行が国税に優先できる元本は3000万円で固定される。翌日、銀行が同じ根抵当権の枠内で5000万円を追加融資しても、その5000万円は国税の後ろに並ぶ。18条1項が定めているのはそれだけだが、実務上の効果は残酷だ。銀行は通知を受けた時点で、その担保枠を事実上閉じる。さらに2項が逃げ道も塞ぐ。極度額や債権額を増やす登記をしても、増えた部分は「その登記の時に新しく設定された質権・抵当権」とみなされ、法定納期限等より後の設定として15条から17条の保護を失う。あなたの資金繰りを止めるのは税務署ではなく、通知を受け取った銀行である。
国税徴収法 18 条は、国税に優先する質権又は抵当権により担保される債権の元本額の限度を定める規定である。1 項は差押え又は交付要求の通知を受けた時の債権額を上限とし、2 項は債権額又は極度額を増加する登記について、その増加分をその登記時の新規設定とみなして 15 条から 17 条を適用する。
国税に優先する質権・抵当権が守られる元本額の上限のことです。国税徴収法 18 条 1 項により、差押え又は交付要求の通知を受けた時の債権額が限度になります。
無効にはなりません。担保権自体は有効ですが、その追加分は国税に劣後します。配当では通知時の残高までしか国税より先に回収できないという順位の問題です。
法定納期限等以前に設定された質権・抵当権であれば、通知時点の残高までは 15 条から 17 条により国税に優先します。実行済みかどうかが分かれ目になります。
固定されます。厚生年金保険法 89 条により保険料等は国税徴収の例により徴収されるため、年金事務所からの差押通知が担保権者に届いた時が基準時になります。
適用されます。個人が税を長く滞納して差押えを受けると、その通知以後に同じ抵当権枠で借り増した分は国税に劣後します。法人限定の規定ではありません。
使われます。地方税の滞納処分は地方税法により国税徴収法の例によるとされるため、住民税や固定資産税の差押通知でも同じ時点切断が働きます。
法律上は禁じられていませんが、多くの金融機関は差押通知の受領を与信停止のトリガーとして内規化しています。実務上は通知前に実行を終える必要があります。
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法定納期限等以前に設定された質権・抵当権は国税に優先する(15条から17条)。ただし18条1項で、優先できる元本は差押えまたは交付要求の通知を受けた時点の残高が上限になる。業界裏話ヒント:この通知は国税徴収法55条により担保権者へ直接送られる。「税務署と話をつけてから銀行に説明する」という順番は成り立たない。銀行はあなたより先に知る
広がらない。18条2項は、債権額または極度額を増加する登記がされた場合、その増加分についてその登記の時に新たに担保が設定されたものとみなす。法定納期限等より後の設定になるため、増額分は国税に劣後する。業界裏話ヒント:実務では増額登記ではなく、別物件の追加担保や保証で手当てする。増額登記は登録免許税(増加額に対して4/1000)まで無駄になる(最新の改正状況をご確認ください)
限度額の制限をそのまま適用すると、本来は後順位のはずの債権者が繰り上がって想定外の利得を得る配当関係が生じることがある。その場合は制限を適用しない、というのが但書である。業界裏話ヒント:この種の配当は循環関係を生み、あん分計算で処理される。計算書を見ても素人には検算できない。争うなら税務の専門家ではなく、執行・配当実務に強い弁護士に配当計算書ごと渡すのが実質的な分かれ目になる
差押えをしたときは質権者・抵当権者などに通知され(国税徴収法55条)、他の手続に交付要求をした場合も担保権者へ通知される(同82条2項)。この受領時が18条1項の基準時になる。業界裏話ヒント:基準となるのは発送日ではなく「受けた時」。受付印の日付が数日ずれるだけで、その間に実行した貸付が優先枠に入るか外れるかが変わる。封筒と受付記録は捨ててはいけない
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律している内容 | 国税徴収法 18 条:優先できる元本額の上限(時点による切断) | — |
| 基準となる時点 | 差押え又は交付要求の通知を受けた時 | — |
| 効果 | その時点の元本残高までしか国税に優先できない | — |
| 登記による事後的な回復 | 2 項により増額登記は新規設定とみなされ回復不可 | — |
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