要点国税徴収法 17 条は、納税者が譲り受けた財産に譲受前から設定されていた質権・抵当権を国税に優先させる規定。登記できない質権は執行機関への証明が必要となる。
Q · 抵当権の付いた不動産を買った後に税金を滞納したら、抵当権と国税はどちらが先に配当を受けるの?
譲受前に設定された抵当権・質権が国税に優先します
国税徴収法 17 条により、納税者が質権又は抵当権の設定されている財産を譲り受けたときは、国税はその換価代金につき、その担保債権に次いで徴収されます。国税優先の原則(同法 8 条)の例外であり、ここでは法定納期限等(15 条・16 条)の前後を問わず、担保権の設定が譲受より前かどうかだけが基準となります。ただし登記をすることができない質権については、質権者が強制換価手続の執行機関に対し譲受前の設定を証明した場合に限り適用されます(同条 2 項)。
差押えの現場で最初に問われるのは、誰が先に旗を立てたかである。国税徴収法は原則として国税を他の債権に優先させる(8 条)が、その優先は無制限ではない。抵当権や質権が設定されたのが、その財産が納税者の手に渡る前だったなら、順序は逆転する。中古マンションをローン付きで買った、事業承継で担保の付いた工場を譲り受けた、そんな場合、前の所有者の時代に登記された抵当権は、あなたの滞納国税より先に換価代金から配当を受ける。理由は単純で、その担保権者には「この財産の将来の持ち主が税金を滞納するか」を知る手立てがなかったからだ。法定納期限等がいつかという 15 条・16 条のものさしは、ここでは使わない。使うのは「譲受の前か後か」という一本の線だけである。ただし 2 項に罠がある。登記できない質権(動産質など)は、質権者自身が換価手続の執行機関へ「譲受前に設定した」と証明しない限り、この保護を受けられない。証明しなければ、権利があっても土俵に上がれない。
国税徴収法 17 条は、納税者が質権又は抵当権の設定された財産を譲り受けた場合における国税と担保債権の順位を定める規定である。当該担保権が譲受前に設定されていたときは、国税は換価代金につきその担保債権に次いで徴収される。登記をすることができない質権については、質権者が執行機関に譲受前の設定を証明した場合に限り適用される。
納税者が質権・抵当権の付いた財産を譲り受けた場合、その担保権が譲受前に設定されていれば、換価代金から国税より先に配当を受けられると定める規定です。国税優先の原則の例外にあたります。
国税徴収法 8 条の原則に対し、15 条から 21 条に調整規定が並びます。法定納期限等以前の質権・抵当権、17 条の譲受前担保権、不動産保存の先取特権などが代表例です。
16 条は法定納期限等より前に設定された抵当権を優先させる規定で、比べるのは納期限です。17 条が比べるのは納税者がその財産を譲り受けた日であり、ものさし自体が異なります。
不動産質など登記で公示できる質権は、登記簿から設定日が確認できます。動産質のように登記制度がない質権は公示手段がないため、17 条 2 項で質権者側に証明責任が課されています。
強制換価手続の執行機関(税務署長、裁判所、執行官など、その手続を行う機関)に対して提出します。書面の種類は国税徴収法施行令が定めており、公正証書などが用いられます。
公売等で換価され、代金が配当されます。譲受前の抵当権が残っていれば、その被担保債権が国税より先に弁済を受け、残額があってはじめて国税に配当が回ります。
差押財産の見積価額が、優先する債権額と滞納処分費の合計を超えない場合を指します。国税徴収法 48 条 2 項により、そのような差押えは禁止され、既にした差押えは解除されます。
17 条が適用される抵当権であれば、換価代金からまず抵当権者へ配当され、国税は次順位になります。残債が見積価額を上回れば、そもそも差押え自体が争われ得ます。
あります。国税優先の原則(8 条)はあくまで原則で、15 条から 21 条に例外が並びます。17 条はその一つで、納税者が財産を譲り受ける前に設定されていた質権・抵当権は、換価代金から国税より先に回収できます。業界裏話ヒント:担保評価の実務では、法定納期限等を調べる前に登記簿の所有権移転日を見る担当者のほうが事故が少ない。甲区の日付が与信の生命線になっている
もらえません。17 条 2 項は、登記できない質権について、質権者自身が強制換価手続の執行機関へ譲受前の設定という事実を証明した場合に限り優先を認めます(15 条 2 項後段・3 項を準用)。証明は公正証書など定められた書面で行います。業界裏話ヒント:この証明を待ってくれる執行機関はない。だから動産質の実務家は、契約したその日に確定日付を取りに行く
実務上、17 条の「譲り受けた」は売買や贈与のような特定承継を指すと解されており、相続のような包括承継は納税義務の承継(国税通則法 5 条)の枠組みで処理されます。この線引きは実務上、解釈が分かれる余地があります。業界裏話ヒント:同じ不動産を渡すのでも、生前贈与か相続かで適用条文が変わる。事業承継の設計を比べるとき、この差は表に出ないまま結論を動かす
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 順位を分ける基準時 | 17 条:納税者がその財産を譲り受けた日 | — |
| 対象となる担保権 | 17 条:譲受財産に付いた質権・抵当権 | — |
| 証明の要否 | 17 条:登記できない質権のみ質権者に証明責任(2 項) | — |
| 適用場面 | 17 条:担保付財産を第三者から譲り受けた納税者 | — |
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